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今回ご紹介するのは、富山・入善町(にゅうぜんまち)にある米澤製材所。製材所といっても建材をつくるだけでなく、カナダから輸入した大きな木材でログハウスを建てたり、日本ではどこも扱っていない海外の水回りの製品を取り揃えたりしている。
国内外のアーティストとコラボして内装材をつくったり、デザイナーや家具メーカーと一緒に漆塗りの浴槽をつくり、ミラノサローネに出展したことも。

製材所なのか何屋さんか分からないほど、本当にいろんなことをやっている。
そんな様子を見て「面白そう!」と思ってくれる人を求めています。
大事なのは経験やスキルよりも、一緒にワクワクしながら働けるかどうか。
東京営業所の営業スタッフの募集です。
東京・南青山。
米澤製材所の東京営業所は、外苑駅前から歩いて10分ほどの場所にあります。
迎えてくれたのは代表の米澤政幸さん。

米澤さんの風貌やフランクな喋りからも、製材業の会社という感じがあまりしない。
ただ話を聞いてみると、どうやら江戸時代から続く老舗企業らしい。
「初代がおじいちゃんのおじいちゃんだから、うちはけっこう古いんですよ。機械のない時代から続いてて、うちの作業場に建材を取りに来る大工さんたちの腕が昔から凄かった。当たり前のように墨付けができるような大工さんたちを相手にしていたんです」
そんな大工さんたちに木材を提供するからには、もちろん米澤製材所にも腕の立つ木挽き職人がたくさんいた。
新建材の登場によって材木の需要が落ちると家づくりにも取り組みはじめ、当時から無垢材にこだわった家を在来工法でつくり続けてきました。
大きな転機が訪れたのは、代表の米澤さんが実家に戻って数年が経ったころ。
米澤製材所はログハウスをはじめます。
「自分は昔からログハウスが好きだったんですよ」
「ティンバーフレーム工法とかでつくると柱や梁がすごく大きくて迫力があるし、好きな人は本当に好き。たまたまカナダのメーカーと知り合って、それで事務所をログハウスでつくってみようって」
事務所を建ててからはすぐにいろんなお客さんがやってくるようになった。
いまは日本で暮らす外国人の方からの問い合わせが多く、今年はすでに白馬で2棟建てることが決まっているという。

「スキーが好きだから白馬によく行ってたけど、夏にこんな仕事に行くとはねぇ」
笑いながら米澤さんはさらっと話すけれど、そもそもログハウスをつくることって、そんなにすぐはじめられるものなのだろうか。
「いや、簡単じゃない。最初のほうは大工さんと結構いろいろあったよ。やるたびに『もう二度とやらない』って言われたし。大変なんだよね」
「最初はお金のことも考えなかった。でも、うちに出入りしている大工さんたちのテクニックがあればできると思ってたの。だからおかげさんですごくうれしいのは、うちの会社よりも大工さんたちのほうが名前あがっちゃってるもんね。それでいいと思うんだよね」

これもやっぱり、はじめた理由は「水回りが好きだった」から。
米澤製材所で店舗も手がけるようになってから、製品の選択肢が極端に少ない水回りのことが気になりはじめたのだそう。
「日本って水回りが本当に弱いのね。意識の低さは世界一じゃないかってくらい。そもそも日本にはツートップしかいなくて、バリエーションがない」
「海外ではどんなに大きい会社でも、洗面ボウルか浴槽のどっちかだけをつくっているところがほとんど。それくらい特化して、競争相手も多いから切磋琢磨していいものをつくっているんです」
そう言いながら見せてくれた海外メーカーのカタログには、たしかに見たこともないような製品が載っている。

え、いきなり?
「最初はイタリアのメーカーに商品扱わせてくれってメール送ったんだけど、向こうはどデカイ会社だからね。日本の無名の会社なんか相手にするわけがない。だから世界中の展示会を回って、ひたすら名刺を配ったの。英語もそんな分かるわけじゃないけど、日本の富山から来たKANEJINだって」
「ショールームもやるなら東京で、それも激戦区の青山でやろうと思って。バカだよねぇ(笑)」
最初はまったく売れず厳しい日々が続いたそうだけれど、めずらしいラインナップのKANEJINは徐々に口コミで広がり、いまや引っ張りだこなのだそう。
ひと部屋3億円以上の超高級マンション、東京ステーションホテルといった星付きホテル、星野リゾートの「星のや」全施設など。海外のメーカーと提携してオリジナル商品の製作にも対応することで、一流のデザイナーとの仕事も増えている。
以前はミラノサローネにKANEJINで出展したこともあり、デザイナーの橋本夕紀夫さんと長野の家具メーカー「木曽アルテック」でコラボしてつくった漆塗りのお風呂は大きな反響を呼んだ。

こうした様々なオリジナル商品をつくっていくうちに、米澤さんは「今度は素材が楽しくなっちゃった」そうだ。
国内外のアーティストや作家さんと一緒に、建材をつくる動きも生まれている。
「富山のガラスってすごい有名なんです。けど、作家さんはそれだけじゃご飯食べられなくて」
「デザイナーをマッチングさせて建材をつくってみないかって提案もしました。たとえば、ガラス作家の岸本耕平くんと一緒に仕事をしているんだけど、どんどん仕事が入ってる」
製材もするし、住宅もつくるし、水回りもやるし、アーティストともコラボする。
「だから変な話、何屋なんだよってね」
そう言いつつも、昨年にはまた面白いことを見つけてしまったようです。
本社工場に新しい木材加工用の機械を導入し、海外のオリーブやウォールナットなどの木材でつくる食器雑貨のブランド「Daily table」を立ち上げました。

「20代のころって、いい時計していい車に乗ってっていう考えだったけど、自分が40代後半になったら、日常のライフスタイルを大事にしていきたいよねって」
「いい食器でおいしいご飯を食べたい。じゃあお皿とか自分でつくりたいなと思ったりしちゃって。もう木の器なんて世の中には山ほどあるけど、オリーブの木材って日本にはほとんどないのよ。イタリアの陶器も加えたりして少しずつやってるんだけど、まあ面白いよね」
今年は富山で新しいモデルルームをつくる予定。
家、水回り、テーブル、食器… いままでやってきたことすべてを注ぎ込んだ米澤製材所ならではの空間になるという。
「いまはお客さんも増えて、固定客で十分まわっている。でも、それじゃあ面白くない。ミラノサローネももう一回行きたいです。気持ちはあるんだけど、忙しくて」
「だから、そういうのもやりたいって言ってくれるスタッフがほしいんだよね。この仕事を見て楽しそうって思ってくれる人。うちはボコボコ儲けるつもりもないけど、面白いものやっていきたいなって思ってるからさ」
これだけいろんなことをやっていても、実は米澤製材所のスタッフ数は全体で20名ほど。
東京営業所には4名勤めていて、KANEJINだけでなくDaily tableの様々な仕事を、それぞれが役割に関係なくマルチタスクでこなしています。
まだ人数の少ない組織だから「やりたい!」と手を挙げればチャンスはやってくるだろうし、そうでなくても舞い込んでくる多様な仕事を通じて、いろんな経験ができると思う。
ただ一方でそれは、忙しいことの裏返しかもしれない。
「いろんなことを面白がってやれる人がいいですね。じゃないと続かないんじゃないかな。業界経験は必要ないです。動ける人だといい」
そう話すのは、KANEJINやDaily tableの営業を担当する迫本さん。

米澤製材所にやってきたのは昨年のこと。
「入社したときがちょうどDaily table立ち上げのタイミングだったので、ビッグサイトの展示会の準備をしたり、カタログをつくったりしました。展示会が春夏に2回あるので、いまはすっかりDaily tableの担当みたいになっちゃってますね」

いろんなことを担当しているんですね。
「そうですね。サンプルづくりは流石に『おっ?』と思いましたけど、別に私はイヤじゃないんです。デスクに座って図面を描くのも好きなんですけど、富山に行ったりいろんな現場に移動していろんなことをやるっていうのは、飽きっぽい私には向いていると思います」
「だから、なんでこんなことやらされるの?っていう人はここには合わないと思う。社長はああいう感じなので、面白そうなことにパッと飛びついて、急に仕事が入ることがあるので。このあいだも、見積もり出さなきゃいけない日だったのに、『営業行くから一緒に行くぞ!』って連れて行かれて(笑)」

米澤さんがいろんな仕事を迫本さんに振るのは、きっと期待しているからなんだと思いました。
ゆくゆくは社長と社員という関係を超えて、一緒にワクワクしながら、もっと面白いことができるように。
この募集でも、そんな仲間を求めています。
(2017/5/8 森田曜光)