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「新しく入る方は経験があっても全然いいんですけど、今まで学んだことを常識と思って引きずってほしくない。過去の経験は関係なくて、ここで結果を出せれば、それでいいんじゃないって思うんです」これは、エドケンの社長・山際さんの言葉です。
エドケンは神奈川を拠点に、土地活用を提案している建設会社。オーナーの持つ借地に、コンビニやファミレスといった商業施設を誘致するというビジネスをしています。
今回求めているのは建設現場の管理をする監督と、設計担当です。
経験は問いません。この会社は、きっとあなたの“今”を見てくれると思います。
都心から1時間ほど電車に揺られて到着したのは、小田急江ノ島線の南林間駅。
そこから線路沿いをさらに5分ほど歩いたところに、エドケンの事務所はある。

「今日はお客さんから大好物の山芋が届いて、ハッピーです」

残念ながらその夢は叶わず、大学を卒業したあとは大手ゼネコンに入社したのだそう。
何万平米の土地を再開発したり、国のプロジェクトを任されるような本当に大きな会社。世の中では憧れの企業と言われていた。
「その会社にいると、自分も大きなプロジェクトに参加してる気になれちゃうんだけど、実際は先輩の書類運びばかり。それに大きな企業だと社内のしがらみも仕事に関わってくる。出世競争のために、尊敬できない上司にごまをすったり、そういうことが僕にはできなくて」
「世の中では普通だと言われるようなことでも、それにみんなが合わせないといけないのはおかしい。筋が通ってない無駄なことが、僕は嫌いなんです」
そのころ、住んでいた家の最寄り駅の近くにラーメン屋さんが開店。何もなかったその駅の周りにお客さんが集まるようになったのを目の当たりにした。
「もっと自分の力で勝負できる小規模な会社で仕事したら楽しいだろうなって思いました」
その思いを知人に相談したところ、“江戸建設”という会社を紹介された。土地の所有者に土地活用を呼びかけて、誘致した商業施設をその土地に建設する建設会社だった。
今のエドケンは、この江戸建設の神奈川営業所が分社化したものだそうだ。
オーナーの土地をテナント企業が借り受け、その土地にエドケンが店舗を建設するというスタイル。少し複雑だけれど、エドケンのお客さんは土地のオーナーでもあり、テナントに入る企業でもある。

小さな建設会社がどうしてその立場にまでなれたのだろう。
「僕のキャラクターかなぁ(笑)」
そうおどけてみせながら、山際さんは仕事のスタンスがわかるエピソードを教えてくれた。
エドケンのお客さんだった土地のオーナーが、テナントのコンビニにリニューアル改装を持ちかけられたときのこと。
なんとそれは、1千万円以上かかる工事費を、すべてオーナー側で負担しろという乱暴なものだった。
契約書にはそんなことは書かれていない。オーナーから相談を受けた山際さんは、コンビニの担当者と直接話をつけることに。
「大手のコンビニを相手にしたら、そのあとが怖くてみんな断れないんでしょう。電話したら、ほかのオーナーもみんなやってると言われて」
「でも、それはおかしいですよ。オーナーにもアドバイスをして断り続けてもらったら、結局コンビニ側がお金を出すことになりました」
たしかに筋は通ってる。でも、山際さんはどうしてそんなに強気でいられるんですか?

山際さんはこれからの努力で結果が出せるなら、エドケンで働くのに建築関係の経験はなくてもいいと考えている。大事なのはこれまでのことではなくて、ここからどう努力できるか。
働き方も、職種によっては相談可能。融通のきく環境だ。
現在、エドケンの受注する仕事のすべては山際さんと副社長の鈴木さんが窓口を担当している。受けた仕事は設計を経て、その後現場監督に任されていくという流れ。
エドケンで働く設計担当は2名、現場監督が4名。少人数ながら商業施設を得意とする完全な元請け業者として、実直な仕事を続けてきた。
最近では仕事のエリアが広がっていて、この夏に東京に支店ができることも決まっている。
希望すれば、そこで働くこともできるのだそうだ。
山際さんのもとでは、どんな人が働いているのだろう。
現場監督の能條さんにもお話を伺います。
壁紙の貼り替えやトイレの交換をするリフォーム会社の営業を経験したのちに、エドケンに転職してきた。

「それではお金を払ってるお客さんにも、一緒に働く職人たちにも申し訳ないじゃないですか。なんか違うなって思うようになって」
そして転職。現場監督としてエドケンに入社したときは、ほとんど初心者のような状態でのスタートだった。
最初は先輩について現場に入り、人の手配と工事の段取りの仕方を、見よう見まねで覚えていく。

「先輩はみんな忙しくて質問する時間もないことが多いんです。わからない建築用語とかはインターネットで調べたり、職人さんに聞いてました。知識のない最初のころは勉強するから残業も多かったですね」
コンビニの施工は、ある程度パッケージ化されているのでだいたいの図面は決まっている。工期も3ヶ月ほどと短いのでどんどん数をこなして覚えていける。でも初心者からのスタートはやっぱり努力が必要だ。
「僕の場合、前の経験が糧になっていて。職人さんたちが困ってるのを見てきたから、それはないようにしたいと思ってて」
「わからないなら勉強すればいいだけ。現場では何をすべきかちゃんと指示を出せるようにしたいです」
一緒に働くなら、どんな人が向いてますか。
「どんな人生を歩んできたかは、人それぞれでいいんじゃないですか。この会社はやる気次第ですよ。知識は問わない」

「あとは元気があればね」
一番必要なことは「元気と負けず嫌いな心」と能條さん。
無駄なことが嫌いな社長の意向で、現場監督たちは週1日の会議のときだけ出社するスタイル。担当の現場に直行直帰するため、あまり顔を合わせないそうだ。

続いてお話を聞かせてくれたのは、設計チームの奥さんです。

大阪にあるインテリアの専門学校を卒業後、仕事をさがすために上京。なんとその日は、前日に東日本大震災があった日だった。
「埼玉のほうに行ったんですけど、損壊している建物がたくさんあって。建物って頑丈そうに見えるけど壊れてしまうのって一瞬なんだって衝撃でした」
「そこから建物の設計ってどういうかたちで進んでいくのかなって興味を持ちました」
ひとまずイベント会場を設営する会社に就職したものの、アルバイトをしていたときにエドケンの副社長と話したのがきっかけで、3年前に仲間入りした。
「最初に社長に面接していただいて。資格も専門的な知識もまったくありませんとお話したら、それでも大丈夫だよって言ってもらえました」
日々の仕事はどういったことをしているんですか。
「基本的には、社長に依頼がきた仕事の計画図を書いていきます。什器の配置とか、駐車場に何台車を止められるようにするとか、そういう図のことです」

設計といっても、ゼロからデザインをするわけではないのがエドケンの設計チーム。すでにある程度かたちの決まったお店を、改めて計画図に起こして、必要な手続きを請け負う。お客さんとの打ち合わせに同行することも、事務的作業もある。
設計の知識も法律の知識も求められるこの仕事。最初は何の知識もないからか、役場で相手にしてもらえないことが多かったそう。
「悩んでいたら、上司から『わからないことを自分で認めて、教えて下さいっていうスタンスでいたほうがいいよ』ってアドバイスされて」
「たしかに知ったかぶりをしてる若いやつに、誰が教えてくれるんだって感じですよね。スタンスを変えたら、役場の方の対応もガラッと変わって話を聞いてくれるようになりました」
エドケンの平均年齢はわりと高め。自分の娘のようにいろいろとアドバイスしてくれることもあるのだそう。
「皆さん、よくしてくれます。ただ資格なしでいつまでもいるのでは駄目だなって思っているので、勤続年数が満たされれば資格を取る学校に入ろうと思ってます」
奥さんは、ここで働くことになる人に伝えたいことがあるそうだ。
「自分はこれしかできないからってマイナスに思うのはもったいない。ここに入ってから自分にはこういうこともできるんだって毎日いろいろな発見があります」
「与えられたもののなかで自分で調べながら努力するというスタンスでいれば、きっとすごく成長できますよ」
すると、隣で話を聞いていた山際さん。
「うちって、すごく自由だと思うかもしれないけど。自由にするってすごく責任が重くて。だから自分で予習や復習はしていかないといけない」
「元気でウソを言わない子ならむずかしい話じゃないと思うな」
過去は問いません。今、目の前のことをがんばっていけば、未来につながっていく会社だと思いました。
(2017/6/24 遠藤沙紀)