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ネット通販で買い物をすることはありますか。私はいろんなスタイルを知ることができるし、自分のペースで買い物ができるのでのぞくことが多いです。
ネット通販の裏側にいる人たちと直接顔をあわせることはありません。
けれども、そこで働く人たちの関わり合いや仕事への取り組み方が、サイトにも滲み出ていく。
「ナチュラン」を見ていると、そんなふうに思います。
ナチュランは、宝島ワンダーネットが運営するネット通販。素材や製法にもこだわったナチュラルテイストな商品を中心に、カジュアルだけど女性らしい洋服や服飾雑貨を扱っています。
今回募集するのは、撮影アシスタントや物流管理、Web制作などネット通販を裏方として支える仕事。
どれも一見、地味で単調な仕事に感じるかもしれません。
もちろんコツコツと打ち込めることが大切なのだけど、きっと読んでいくうちに印象が変わると思います。ここで働く人たちは、一つひとつのことを自分の腑に落として、日々考え楽しみながら働いていました。
東京・四ツ谷駅からほど近いオフィスへ。
まずは「ナチュラン」事業本部本部長の宇田川さんにお話を伺う。
ナチュランはファッション誌「リンネル」の公式通販として、誌面に掲載されている商品を中核としてサービスをスタート。今ではWeb販売のみの商品を中心に約2万点もの商品を扱っている。
運営上大切にしているのは、事業者主体で決め切らないこと。そしてものの良さをきちんと伝えること。
「見た目が好きな方も、素材にこだわって選んでくださる方もいる。“ナチュラル”という言葉の解釈は本当に十人十色です。だから商品は5000円以下のものから2万円を超えるものまで広く取り揃えています。定義を決めすぎず、お客さまが選びやすい状態をつくりたいんです」
「あとは当たり前の話ですが直接商品に触れられないぶん、文章や写真からきちんと商品の情報が伝わるように、専門的な知識がない方にもわかりやすいよう心がけています」
確かに、ナチュランではいろいろな角度からの写真や、シチュエーションに合わせたコーディネートも掲載されている。
かゆいところに自然と手が届くような感じ。
そんな姿勢が支持されて、立ち上げから5年目で認知度も上がり、コーディネートを参考にする利用者も増えてきた。
一方で、需要に合わせて柔軟に変化している面もある。
「徐々にオリジナルでの商品開発も増やし、より買いやすくて嗜好性にあうものを提案していきたいです。たとえば今までは普段使いのお洋服が中心でしたが、おでかけ着まで提案するように変化してきました」
「市場にありそうでないものを、価格も含めて生み出していきたいと思っています」
ナチュランをつくっているのは、どんな人たちなのだろう。
事前に想像していたのは、普段からナチュランに掲載されているようなスタイルを好む人たちの集まりなのかな、ということ。
宇田川さんによると、意外とそうでもないよう。
「違うテイストを好む人も、多種多様な人がいますよ。何か一つのものに特化しすぎるとどんなところに違和感を感じるとか、そういう感覚がわからなくなってしまうので、偏りすぎないのがいいところだと思います」
「それから、うちはワンフロアの中にすべての部署があるんです。コールセンターから、営業、制作、スタジオまで。お互いの仕事を把握して、わからないことは声をかけあっています」
社員数も34人と、そんなに大きくない会社だからこそ密なコミュニケーションが必須。そうして自分の領域以外にも目を向けることが、仕事にも活かされていく。
「僕もそうなんですけど、編集、物流、バイヤーといろんな仕事に携わってきたから全体がよく分かるようになってきたんです。自分には関係ないから、じゃなくてちょっと他に関心を持つほうが、仕事は面白くなるんじゃないかな」
実際に働いている人にもお話を聞いてみます。
まずは、撮影アシスタントとして働く増尾さん。入社3年目で、前職ではアパレル販売の仕事をしていた。
なぜ入社することになったのでしょう。
「ナチュランには自分の好きなテイストの服とコーディネートが載っていて。かわいくて、見ているだけで楽しい気持ちになれたんです」
「それに、ネットオークションに自分の洋服を出品するのが趣味で。かわいく写真を撮るために植物を入れてみたり、照明の位置を工夫したり。そういうことも好きでした」
増尾さんにとっては、自分が好きなものを掛け合わせて仕事にできる道だった。だから経験のないことでも不安はなかったと話します。
実際に飛び込んでみてどうでしたか。
「ネット通販の運営って、ずっとパソコンをいじっているイメージだったんです。でも実際は動き回っていることが多いです。商品を出して、アイロンをかけて。撮影が終わったら、また箱に詰めて。そのほうが私には合ってるなって思っています」
働いているなかで、印象的だった出来事があるという。
あるとき、倉庫から撮影用の商品が届いた。けれども、中を開けてみると既に撮影してある商品と、撮影前の商品が混在した状態だったそう。増尾さんは、同僚と二人でひとつずつ中の商品を選別することに。
「いつもは絶対にそんなことないんです。だからなんでこんなことになっているんだろうと、私はちょっと怒っていました」
「そのとき同僚が『今までこういうことがなかったのは、この商品は撮り終わっているから送らなくて大丈夫ですって倉庫に連絡してくれる人がいたからだよ』って言ったんです」
その言葉を聞いて、ハッとした。
自分たちの部署に商品が届くまでに、どんな行程を経て、どんな人たちが関わっているのか考えたこともなかったから。
「私、何も知らないで怒っていて。もっと知ろうとしないとダメだなってそのときに思いました」
宝島ワンダーネットでは、チームに直接は関係のない情報もオープンに公開されているそう。
たとえば、サイトに載せる写真の撮り方を改善したら、実際に商品の購買に結びついているのか受注データを確認することもできる。さらにデータを根拠に新たな提案をすれば、柔軟に取り入れられる空気もある。
その出来事があってから、増尾さんはまわりの人との関わり合いを意識して動くようになった。
「指示を受けたとき、誰がどんな意図で指示を出しているのか自分の足で確かめに行っています。実際に話を聞くと、『この人がやってるんだ』とか『こういう理由でやらなきゃいけなんだ』って理解が深まるんです」
増尾さんのように、スタッフとしてというよりも、自分はどうしていきたいのか。そんな考えと行動が求められる職場だと思います。
相手のことを考える想像力や、全体をみる想像力を持つ。こういった働き方は、部署を問わず社内に共通することのようです。
「物流の仕事も、気づいた事をちゃんと自分から発信して、いろんなところに首を突っ込んでいけるので、やりがいがあると思います」
そう話すのは、物流チームで働く砂原さん。
前回の記事にも登場してくれた方。そのときは、営業さんたちをサポートしながらオフィスの中での業務を担っていた。
その後出産、産休を経て会社に復帰。子育てをしながら働く、というスタイルに合わせて現在は物流チームで働いている。
どんな仕事をしているんですか?
「商品管理という言葉のほうが、しっくりくるかもしれません。たとえば倉庫にある商品を営業さんの依頼を受けて取り寄せたり、ナチュランのサイト上に載せる商品データを修正したり。月次の売上実績を集計して、取引先に報告書を送るような仕事もあります」
商品が最終的にサイト上に掲載されるまで、すべてに関わることになるんですね。
「そうですね。だから全体の流れや、各部署がやっていることも把握しなくてはいけないんです」
前職はECサイトのカスタマーセンターでお客さんからの問い合わせに対応していた。大きな会社で、部署外のやりとりもお金や商品の流れも見えなかった。
「何か問題に気づいても、自分で仕組みを変えたりすることはできませんでした。もうちょっと、ちゃんと仕事に入り込んでいきたいなって思っていたんです」
そんな想いを叶え、最近ではいろんな部署の人から相談を受ける存在に。
「営業さんが、倉庫に届くはずの商品がこっちに届いたんだけどどうしよう、と聞いてくれて。自分で判断しないで、私の判断を待ってくれている感じがやりがいにもなっていますね」
砂原さんがいろいろなことに気づけるのは、自分で考えながら働いているからこそ。自分ごととして関わる姿が、人から信頼されるのだと思う。
大変なこともあれば教えてください。
「覚えることが多いですね。何のためにこの作業をやっているのかわかっていないと、修正箇所もわからないし。ミスをすると、サイト上に間違った商品情報が載ってしまうこともあるので、責任も大きい仕事です」
ナチュランには毎日新商品が掲載されるから、各商品の撮影や商品情報の入力などがいくつも同時並行で進んでいく。なんだか、混乱してしまいそうです。
「慣れるまでは大変だと思います。でも慣れてきたら、少しだけ頭に余裕ができる。私も何のためにやっているのか説明していくので、そこからいろんなことがつながっていくと思いますよ」
この夏、砂原さんは再び産休に入る予定とのこと。だけど砂原さんも、まわりの人たちもしっかりとサポートしてくれるので、興味を持って取り組む気持ちさえあれば大丈夫です。
最後に、砂原さんが話してくれたことがこの会社の人たちをあらわしているように思ったので、紹介します。
「ナチュランに、大人の女性のためのフォーマル服っていう特集ページがあって。あるとき自分もフォーマルっぽいお洋服がほしいなと何気なく見ていたら、商品一覧に今週入荷したはずの商品が入っていないことに気づいたんです」
作業フローを確認すると、掲載する商品を選定してから、手作業で商品の関連付けを行わないと特集ページに表示されないことがわかった。
そしてその作業をリアルタイムで担当している人がいないことも。
「じゃあ気づいたから、私やろうと思って。物流とは直接関係ない仕事だけど、気づいて、すぐに改善していけて。すごく大切なことだと思うんです」
「そうやっていると、業務は増える一方ですよ(笑) でも、サイトもより良くなって、お客さまの受注にもつながっていく。社内にはそれを見ていてくれる人もいる。やりがいは自分次第ですね」
皆いくつもの役割を持ち、当たり前のように自分ごととして働いている。
目の前の相手やお客さんのために、何ができるのか。素直な感覚で考え行動することが、負担ではなく自分を動かす熱源になっているようでした。
そんな想いに共感できる人であれば、やりがいを見いだして心地よく働けるはず。
顔の見えないネット通販の裏側で、うれしい関わり合いがたくさん生まれています。
(2017/6/16 並木仁美)