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「人間にとって、一番ささやかで身近に幸せを感じられるのが、おいしいものを食べたときだと思うんです」ツバメヤは、岐阜県柳ヶ瀬で生まれた和菓子屋さんです。
使う素材は北海道産の全粒粉や、種子島の粗糖、国産の米油など、すべて厳選されたもの。
素材の力を生かした和菓子は、やさしい味がして、安心して食べられるものばかり。
今回はツバメヤ大名古屋ビルヂング店で、ツバメヤを伝え、販売する人を募集します。
大名古屋ビルヂングがあるのは、名古屋駅を降りたすぐ目の前。もともと東海道新幹線が開通して間もないころに建てられたビルで、名古屋の人にとってはとても馴染みのある建物だそう。
おととし建て直され、今はレストランやショップなどの複合施設として、名古屋のあたらしいシンボルになっています。
お店のはじまる朝11時。地下1階にあるツバメヤを訪ねてみると、月曜日にもかかわらず、お店の前には行列ができていました。
「ありがたいことに、オープンから1年以上経った今でもお客さまがたくさん来てくださるんですよ」
お会いしたのは、ツバメヤ代表の岡田さん。さっそく、これまでのお話を聞きました。
岡田さんは、子どものころから食べることが好きだった。大学を卒業してからは、いくつもの飲食店を立ち上げ、経営してきました。
「最初につくったのは、地元である岐阜市の柳ヶ瀬商店街でのワッフル屋です。それが思いのほか人気店になり、勢いにのってフランチャイズ化し、ショッピングセンターを中心にどんどん展開していきました」
会社として成り立たせていくのに、利益を出すことは欠かせないこと。
けれど、あまりにも効率や利益を追求しすぎてしまった。
「人がうまく育たなかったり、仕入先との関係も厳しくしてしまったり。当然、売上も伸びませんよね。いろいろと行き詰まることが多くて、落ち込む時期がありました」
そんなとき、自然素材に詳しいスタッフから「からだを壊してしまいますよ」と差し入れられたお弁当が、岡田さんの考え方を一変させた。
「なんていうのかな、食べた瞬間、わっと体が熱くなるような。素材そのもののエネルギーに触れた感じがして、すっかり感動してしまったんです」
そのエネルギーを確かめるように有機野菜をつくる合宿へ参加し、農家さんと共に野菜やお米を育て、素材の力強さを知った。
もう一度、自分の足元から見つめ直そう。
岡田さんは、あらためて柳ヶ瀬商店街で一番最初につくったお店の店長として復帰することに。
「それまでのわたしは、自分がやりたい店をやるっていう考え方でした。でも、ツバメヤをオープンするときにはじめて、柳ヶ瀬商店街に寄り添った店をつくりたいなって思ったんです」
柳ヶ瀬商店街は、今でこそ少しずつ若い人が増えてきたけれど、オープンしたときは閑散としていた。
「いつも商店街に来てくださる年配の方にも、若い人にも、世代を超えて愛されるお店がもっとあったらいいんじゃないだろうか。そう考えたとき、和菓子はどうだろうと思ったんです」
ちょうどそのころ、自然素材にこだわったおやつ職人の「まっちん」に出会い、プロデュースをお願いすることに。
「彼のお菓子づくりは素材選びからはじまり、素材の魅力を最大限に引き出します。それは単純に素材の味をそのまま出せばいいというものでもなくて、とても感性のいることなんです」
「そんなお菓子づくりに一目惚れしてしまって。わらびもちやどら焼き、和サブレなど、決して品数は多くはありませんが、今も改良しながら丁寧につくりあげています」
そのほっとするおいしさはじわじわと広がり、毎年順調に売り上げを伸ばしてきた。商店街の人たちからは、「柳ヶ瀬土産をつくってくれてありがとう」と声をかけてもらうことも。
「お店を通して誰かのよろこびにつながる。それがまた、自分たちのエネルギーになっていく感じがあるんです」
店舗展開で失敗してきた過去があるから、小さくても、自分たちのペースでこつこつやることを大事にしてきたツバメヤ。
スタッフも売上も安定してきたそんなときに、名古屋市のシンボルでもある大名古屋ビルヂングから出店の依頼が来た。
「返事するリミットの30分前まで、出店しようかどうか葛藤していました。でも、スタッフから『わたしたちの成長にもなるから、やってみましょう』と背中を押してもらったんです」
そうして、昨年春にツバメヤ大名古屋ビルヂング店をオープン。
「結果、本当にやってよかったと思っています。知名度が上がったことで実際に柳ヶ瀬に足を運んでくれるお客さんも増えたんです」
そこで今回、あらたな仲間を探しています。
「販売の仕事って、商品を売るだけみたいに思うかもしれないけれど、伝えるという意味ではとてもクリエイティブなんですよね。彼女を見ていると、サービス業も、ある種職人なんだなと思うんです」
そう紹介してもらったのが、店長の大石さん。
もともと事務職に就いていた大石さん。小さいころ見たホテルのベルガールに憧れて、サービス業に飛び込みます。
「以前はレストランフロアで接客をしていたんです。サーブの仕事って、ただのお運びさんじゃないんですよ。ワイン一つとっても、お出しする温度やタイミングも気にかける。目の前の人を感じて、満足できる時間を演出しているんです」
「そういう意味でいうと、提供するシチュエーションまでつくることができない販売の仕事はわたしにとって挑戦でもあって。ただ、積極的に商品をご説明することで、お客さまそれぞれがより自由に楽しむことができるんじゃないかと思ったんです」
売るというより、伝えるほうが近いのかもしれない。
「だからわたしは、自分の好きなものじゃないと、販売できないんです」
「わたしはここのどら焼きが一番好きです。何回食べても、最初のひと口が『うわっ、おいしい』って思うんですよ」
そこには、いいものをつくるためにかける手間があるから。
たとえば、ツバメヤのどら焼きは全粒粉100%、平飼い有精卵、中の小豆は特別栽培のつぶあんを使用。
丁寧につくられた素材を活かすために、粉は石臼で挽き、小豆は時間をかけて炊き上げている。
「わたしがひと口食べておいしいって感じるのは、やっぱりそういうところだと思うんです。どら焼き1つ199円であの感動が得られるのはすごいと思いますよ」
好きだから伝えたいし、おすすめもする。
それは接客するうえで、いちばん矛盾がないと思う。
「わたしたちは、自分たちでつくれる分量をこつこつ販売しています。やっぱり食べるならここのわらびもちが食べたいって、また買いに来てくれるのがうれしい」
1年以上経った今でも、ほとんど毎朝行列ができている。
「仕事は楽ではないけれど、毎日働こうと思えるんです。なぜなら、今日もきっと待っていてくれる人がいるから」
仕事は、朝8時半からはじまる。
柳ヶ瀬のお店でつくられた、わらびもちのもと。それを、ぷちん、ぷちんと、手でちぎって、きなこをまぶしていく。箱に詰めて蓋をしたら、きれいに包装紙でくるむ。
5人程のスタッフみんなで、1日300から400箱。限られた時間の中で、スピードと丁寧さが求められる。
お店がオープンして一通り販売し終えると、いったん休憩を挟んで午後の分の製造。
14時くらいから厨房の片付け。販売のほうも、夜にかけてだんだん落ち着いてくる。
「チームワークが一番大事ですね。一人一人が役割をまっとうすることで、それがつながってパワーになっている。そう思える人が来てくれたらいいなと思います」
もう一人紹介したい人がいます。入社して半年になる小林さんです。
接客が好きで、新卒で百貨店の販売職に就いたものの、数ヶ月ほどで近所にある町の小さなケーキ屋さんに転職したのだそう。
「もともとお菓子が好きだったんですけど、やっぱり自分が好きなものを売りたいなって。わたし、そこのケーキが大好きだったんです」
「おいしいものを食べたときって、やっぱり幸せですよね。お菓子は、一番身近で、小さな幸せを感じられるものかなって思うんです」
買いに来てくれるお客さんも、そこのケーキが大好きな人たちばかり。いい循環があったけれど、10年働いたころ、オーナーが店を閉めることに。
そんなとき、ひょんなことからツバメヤのお菓子に出会う。食べてみるとおいしくて、ここで働きたいと思ったそう。
入ってみて、どうでしたか?
「ツバメヤのスタッフは、みんなが自分のやらなきゃいけないことに真剣に取り組んでいます。だから、スムーズに作業が進んでいく。いい緊張感がありますよ」
「はじめは慣れるまで、大変かもしれませんね。とくに、朝は製造も販売もめまぐるしいです」
製造では重たいものも運ぶし、販売は長時間の立ち仕事だから体力は欠かせない。
「わたしはある程度いそがしいのっていやじゃないんです。接客も手を動かすのも好きなので、今のこの仕事はちょうどいいなって思います」
お客さんとゆっくり話ができるのは、生菓子が完売したり、客足が落ち着く夜。
「わたし、うちの商品では和サブレが一番好きなんですよ。少し歯ごたえがあって、噛めば噛むほど甘みが出る」
「それはやっぱり、素材もつくり方もいいからだと思うんです。焼き菓子にもこだわっている。そうお伝えすると、安心してお子さんや大事な人へのお土産にされる方もいらっしゃいます」
ツバメヤのお菓子は、おいしいの先に、ほっとした気持ちも広がる。
「ツバメヤのお菓子が好きという人に来て欲しいです。働くうちに、お店も好きになってくれたらいいですね」
気になったら、ぜひツバメヤのお菓子を食べてみてください。
ほんとうのおいしいを届ける仕事だと思いました。
(2017/6/27 倉島友香)