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そっと食卓にある器

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

器って、それ自体が主役ではありません。料理を盛ったり、花を飾ったりするためのもの。

けれど器が違うだけで、印象が大きく変わるし、気分もよくなる。

yumiko iihoshi porcelain(ユミコイイホシポーセリン)は、そっと日常に寄り添いながら、心を満たしてくれる器を届けている会社です。

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今回は、東京と大阪の直営店で働く販売スタッフを募集します。

東京・明治神宮前。

駅を降りると、神宮の緑が目に飛び込んでくる。原宿にも近く、賑やかさと自然が共存するまちだ。

そんな神宮前のマンションの一室に、yumiko iihoshi porcelainのお店はあります。

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扉をひらいて迎えてくれたのは、代表のイイホシユミコさん。

やわらかな笑顔で話しかけてくれる方だ。

「yumiko iihoshi porcelainでは、私の手づくりの食器や、私のデザインをもとに日本各地の窯元さんにつくってもらうプロダクトシリーズを販売して、みなさまにお使いいただいています」

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コンセプトは、「手づくりとプロダクトの境界にあるもの」。

それは、手づくりのように作り手の気配が強く感じられるものではなく、プロダクトでありながら温もりを感じる食器。

「気がついたらずっとある、そんな食器ってありますよね。そういうものをつくりたいです」

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イイホシさんが食器の道にすすんだきっかけは、実はお母さんにあったそう。

「食器が大好きな母だったんです。好きといっても、集めたり飾ったりするのではなくて。食器を使うことがとにかく好きだったんですね」

食器を使うこと?

「そう。季節の混ぜご飯を筒型の器に入れてみたり、夕食を松花堂弁当の箱につめてみたり。母は、食器によってこんなにも印象が変わることを楽しんでいたんだと思う」

そんなお母さんの姿をみて、イイホシさんも食器を使う楽しさを覚えていった。

「お皿が変わるだけで、特別なものに思えたんです。そんな食器の仕掛けが、子ども心にすごく面白かったんですよね」

短大卒業後は、輸入雑貨を扱う会社で働きはじめる。

毎日たくさんの商品を見るなかで、自分は食器をつくることを仕事にしたいという思いが強くなった。

「どうしたら食器づくりを仕事にできるんだろうって、いろんな場所を訪ね歩いたんです。そうして見つけたのが、30歳で入学した美大の陶芸科。卒業後には自分の窯を持って、yumiko iihoshi porcelainとして活動を始めました」

いきなり独立するなんて、大変じゃなかったですか。

「私はストイックではないと思っているんですけど、まわりから見たらそうじゃないかもしれません。確かに大変なこともあったのですが、いろんな人が協力してくれて、今のかたちになっていきました」

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イイホシさんの食器づくりは、「自分ならこういうものがほしい」という自身の思いからはじまる。

はじめての食器シリーズunjour(アンジュール)も、そんな思いから生まれた。

「結婚してから毎朝、夫にコーヒーを淹れていました。でもずっと『早朝にコーヒーを注ぐカップがない』と思っていたんです」

カップがない?

「量産品のなかには、早朝にちょうどいいカップがなかったんです。眠くて気分がすぐれないなかで手にするカップ。それはブランドものでも、手づくりのものでも、ツルツルとした味気ないものでもないなって」

朝早い人のために、ぴったりのカップをつくりたい。そんな思いから生まれたのが、一日の食卓をイメージしたunjourだった。

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左から、朝はたっぷり飲めるように大きめのカップ。午後はケーキと一緒に紅茶を飲む。夜更けには、チョコレートひとつとコーヒーで一息つく。

器を通して風景が浮かぶように、3つのカップが生まれた。

どれもかたちがやわらかく、色合いも落ち着いている。

「このカップだったら、早朝に触れてもざわざわした気分にならないし、量産品のように味気なくもない。ちょうどいい佇まいかなって」

イイホシさんの食器は、ほかのプロダクトと異なり収納やスタッキングは重視していないのだそう。

「とにかく使い心地を大切にしたいんです。お皿に置いた料理が映えたり、気持ちよく手に収まったり。あとは、手あとを残さないものを、と思っています」

手あとを残さないのは、なぜですか。

「作り手の息づかいというのかな。何かを削ったあととか、ろくろから引き上げたようなあととか。そういうものが伝わってしまうと、作り手の存在感が重たく感じる気がして。私はそういうものも好きなんですよ。ただ、私がつくるのではないと思っていて」

「使いやすく、ちょっと背筋が伸びるような、品の良いもの。それが目標ですね」

食器を使うことを楽しんでほしいという思いは、お店に立ったときも変わらない。

「この食器に何をのせたらいいのかわからない、と悩まれる方がとても多いんです。だから、お店では自由にイメージしてもらうためのお手伝いをしたいと思っていて」

「たとえばグレーのお皿だったら、緑色のお野菜が映えますよ、とか、紫色のお皿には白い大根のサラダを入れたらすごくきれいですよ、とか。具体的なお料理を提案してみるんです」

たしかに、具体的にどんな料理が合うかアドバイスしてもらうことで、食器を使うイメージがぐっと広がる気がする。

「そういった言葉を添えるだけで、『あ!そうかも』とひらめいたり、新しいアイデアが出てくるかもしれない。もっと食器を楽しんでもらうきっかけになると思うんです」

ただ食器を売るのではなくて、使う楽しさも伝えたい。

このお店には、普段から食卓の風景を楽しんでいる人が合っているんだと思う。

続いて話を聞いた石丸さんは、5年前から大阪店で働くスタッフです。

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ここで働くきっかけは、なんだったのでしょう。

「以前は福岡のライフスタイルショップで働いていました。そこで働くこともとても楽しかったのですが、たくさんのものに触れるうちに一つのものに関わりたいと思いはじめて」

一つのもの?

「心から向き合いたいと思える、これだ!というものです。それはなんだろうとずっと探していたときに、ピンときたのがyumiko iihoshi porcelainの食器でした」

当時働いていたお店には、洋服から文房具までたくさんのものが並んでいた。

その中でも、yumiko iihoshi porcelainの食器には、ひときわ心惹かれるものがあったそう。

「ここの食器は、敷居が高すぎることも、お手軽すぎることもない。そのバランスと、これを使ったら普段の料理がよりおいしく感じられるだろうなって自然に思えるところに惹かれました」

オーナーに相談したところ、なんとお店を訪れたイイホシさんに直接思いを伝えるチャンスを得た石丸さん。翌春から、大阪店のオープニングスタッフとして働くことに。

大阪店はyumiko iihoshi porcelainにとってはじめての直営店だった。

戸惑うことはなかったのでしょうか。

「お店の仕組みはまだ整っていなかったし、スタッフも私一人でした。レジの管理やラッピングの方法まで、前職の経験を活かしながら一からつくりあげていく。最初は一日を無事に終えることで精いっぱいでした」

「それに、いつでもすぐイイホシに確認できるわけでもありません。イイホシだったらどうするだろう、ということをいつも自分で考えながら働いていました」

試行錯誤を繰り返して、お店をつくりあげてきたという石丸さん。

お店での一日を聞いてみます。

「まずは掃除です。掃除機をかけて、棚に並ぶ商品を整えて、お店を開けます。お客さまが来られたらご案内し、電話やメールにも対応します」

「納品があれば、届いた箱を一つひとつ開けて中の商品を検品します。問題がなければ、売り場に並べる。そんな地道な毎日をコツコツ繰り返しています」

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もっと華やかな毎日を想像していたけれど、そんなことはないみたい。

「重いダンボール箱を運ぶこともありますし、ひたすら検品を続けるときもある。ドラマチックなことはなくって、毎日が続いていく感じです」

「でも、そこに義務感はないんです。食器への憧れだけではなく、自分の考えを持ってお店を動かす。それが大変でもあり、面白さでもありますね」

単調な毎日に見えるかもしれないけれど、一つひとつ丁寧に日常を積み重ねていくことを楽しんでいるようにも感じます。

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そんな毎日の仕事のなかでも、もっとも気を配っているのが接客。

自分たちらしさを大切に、柔軟に対応したいというイイホシさんの思いから、マニュアルは用意していないのだそう。

石丸さんも、はじめはイイホシさんのちょっとした仕草まで観察していたといいます。

ここで、印象的だったエピソードを教えてくれました。

「イイホシが、unjourの朝のカップを探しにきたお客さまと話していたときのことです。そのカップはお店にも置いていたんですが、イイホシがおすすめしたのは、夜更けをイメージしたカップでした」

あとで理由をたずねると、会話の中でお客さまが毎朝ドリップコーヒーを楽しまれていることを知ったのだそう。

そこで、コーヒーを飲む風景をイメージしてつくった夜更けのカップのほうがお客さまにぴったりだと思い、そちらをおすすめしたということだった。

「もちろんコンセプトも大事なんだけれど、これはこう使わないといけない、ということはなくって。実際にそれを使っているイメージを浮かべてもらえるような接客が大事なんだなって、あらためて気づきました」

それぞれの食器を理解しながらも、お客さま一人ひとりにぴったりなものを提案する。

接客の基本だからこそ、おろそかにしてはいけないんだろうな。

「そうですね。私たちが百貨店やセレクトショップのまねをしようとしてもできないし、やる意味もない。これは私たちらしいスタイルかなっていつも話して、共有するようにしています」

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今でもイイホシさんのファンだという石丸さん。

だからこそ、気をつけていることもあるのだとか。

「今でも個展が開かれると聞くと、どうにかして行きたいと思うほどのファンです(笑)でもだからこそ、お客さまに対して前のめりにならないよう気をつけています。食器と同じ、ほどよい距離感を大事にしたいと思っています」

石丸さんからは、本当にここの食器が好きな気持ちが伝わってきます。

それは、ここを訪れるお客さまも同じこと。

「以前、プレゼントしてもらった食器がよかったからと、ほかの食器も見に来てくださったお客さまがいらして」

「それまでは、食器にほとんど興味がなかったそうなんです。うちの食器は、使ってわかるものがあるんだなってうれしくなりましたね」

最後に、イイホシさんにどんな人と働きたいか聞いてみました。

「私たちは、直営店スタッフから倉庫スタッフまで、すごく熱い気持ちを持って働いています。背伸びはしなくていいです。目の前の仕事を丁寧にやって、できないことはできないときちんと言える人がいいですね」

思いはあるけど、それを強く押し付けない。

そんなほどよい心地よさが印象的でした。

(2017/7/2 遠藤真利奈)