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人生を分かち合おう

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「おはよう」「よく来たね」「今日も元気?」

何気ないちょっとした会話が、一日を幸せにしてくれる。

便利な今の世の中、ひとりっきりで生きていけそうな気もするけれど。やっぱり誰かと過ごしたほうが、人生はより色鮮やかなものになると思う。

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オーストラリア・メルボルンで田中さん夫妻が経営するコンセプトストア「CIBI(チビ)」

おいしくて健康的な食事をしたり、質のいいデザインプロダクトを日常に取り入れたり、お店にやってくる人とつながったり... CIBIは自分たちのフィロソフィー“ライフを楽しくする”を詰め込んだお店を通じて、小さな日々の幸せをメルボルンの人たちに届けてきました。

そんなCIBIの輪をもっと広げようと、今年9月に東京・千駄木で新店舗をオープンします。

今回はそのオープニングスタッフの募集。キッチン担当のシェフとフロア担当のバリスタです。

目指すのは、地域の人たちとのつながりを増やしながら、有機的な輪を広げていくお店。

人は他人と関わることで人生を豊かにしていける。そんな想いに共感してくれる仲間を求めています。

 

千駄木駅から歩いて3分ほどにある「よみせ通り」。

お魚屋さんや喫茶店など、昔ながらのお店が立ち並ぶ通りの一画にCIBIの新店舗ができます。

以前は運送会社の出荷場だったという味のある建物。

できる限り自分たちで手をかけようと、スタッフ総出でリノベーションを進めていました。

「昨日は外壁に白いペンキを塗っていたんです。そしたらご近所の方々が『何してるの?』『どんなお店になるの?』って。『一緒に塗ります?』って言えばよかったな(笑)」

そんな話で迎えてくれたのは、CIBI代表の田中善太(ぜんた)さん。

善太さんも自らペンキを塗ったり内装工事をしたりと、オーストラリアと日本を行き来しながら9月のオープンに向けて準備を進めています。

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CIBIは善太さんと奥さんの恵美さんが9年前に立ち上げたお店です。

善太さんがオーストラリアとの縁が生まれたのは16歳のとき。それまでも、お父さんの仕事の関係でアメリカや横浜で生活を送ることがあったのだそう。

「オーストラリアのカフェ文化がすごく好きでしたね。むこうのカフェやパブって日本とは違ってすごくローカルにあるんですよ。いつもみんながそこに集まって、おじさんたちは昼間からビールを飲んでいる。そのなかに僕も交じって、大人の空気を吸う生活をしていました」

社会人になって日本へ戻ってからは、日々の生活の中で日本のよさを改めて感じたという。

ステーキにフライドポテトといった欧米の食とは違って、日本には健康的で豊かな食生活があり、それに紐づく素晴らしいものづくりの生活道具がたくさんあった。

「たとえば松徳硝子さんのグラス。あんな薄くてきれいなグラスは、日本ならではの職人技。使うだけで飲み物までおいしくなってしまうような。そんなことを演出できてしまうのも日本の技術であり、日本の考え方だと思うんです。生活の中によろこびを生むものですよね」

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青春時代から様々な人や文化に触れるのはとても刺激的だった一方で、善太さんは人生について考えることが多かったという。

何が自分の幸せなのか、これからどう生きていくのか。

そう考えたときに思い返すのが、大学生時代に過ごしたカフェの日常であり、日本での暮らしやものづくりのよさだった。

そうして“ライフを楽しくする”をコンセプトに、おいしいコーヒーや食事とともに、暮らしを豊かにしてくれるようなプロダクトを揃えたお店をはじめることにした。

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選んだ場所は、ふたりにゆかりのあったメルボルンの閑静な住宅街。

「衣食住」をテーマに、生活の中にあるお店を形づくってきた。

たとえば食に関しては、奥さんの恵美さんがエグゼクティブシェフとしてディレクションし、和の食文化をベースに西洋の色をミックスした料理を提供。

季節の旬な食材を使ったランチメニューは月ごとに変わり、マフィンやケーキなどハウスメイドのベイクドスイーツを毎朝焼いているそう。

「暮らしを楽しくするためには、食事は重要な要素です。だからキッチンはCIBIの要でもあり、お客さんからよく見えるオープンキッチンのつくりにしています。シェフはここでただ料理するだけじゃなくて、レジを打ってお客さんと会話したり、料理やドリンクを出したりして、料理プラスαのことをするんです」

そんなCIBIの料理や日々の会話を楽しみに、オープンしてから9年間ほぼ毎日食べに来てくれるお客さんもいるのだという。

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物販では、松徳硝子・かまわぬ・白山陶器といった日本メーカーのプロダクトを中心に、生活を豊かにしてくれるようなアイテムを販売。

関係が深まったメーカーとCIBIオリジナル商品を開発したり、展示イベントを企画したり。メーカーとコラボしながら、日本の文化や職人技術の素晴らしさを伝えている。

昨年、かまわぬと一緒に行ったエキシビジョンでは、オセアニア史上最多の200種類もの手ぬぐいを展示した。端切れでボタンをつくるワークショップなども行い、連日たくさんのお客さんで賑わったそう。

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こうしたメーカーとの面白い動きが生まれているのは、CIBIに販売力があるだけでなく、「一緒にやったら面白そう」と思われる善太さんや奥さんの親しみやすい人柄が大きく影響しているのだと思う。

今ではCIBIは常連客の多い地元の人気店となり、飲食メニューを充実させた姉妹店「MINA・NO・IE」も連日大盛況。CIBIや MINA・NO・IEのフィロソフィーに共感してくれる人たちと新しい取り組みが生まれている。

地元のワインメーカーの方とは、様々なワインと料理のペアリングを楽しむイベントを開催。メルボルン州立美術館ではポップアップストアを出店し、今年7月から開催の葛飾北斎展のスーベニアのキュレーションも一部、CIBIが担当している。

店舗営業にとどまらず、「食」「空間」「デザイン」と幅広いアプローチで街や人とコミュニケーションしているのも、CIBIの魅力だと思う。

「準備とか結構かかるんですけど、やることで相手にとっても僕らにとってもやっぱり財産になるんです。今日もおいしい食事ができたとか、いいものが買えたとか、イベントに参加して人に出会えたとか」

「僕らの手がけたことがみんなの喜びに変わって、豊かになってくれたらいい。人の人生に関われたら、僕らも幸せだなと思うんですよね」

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そんなCIBIに魅せられて、これまで関わりのあった人たち数人が、新店舗の立ち上げから加わってくれることになった。

そのひとりが、東京店の責任者となる土井雅美さん。善太さんの奥さんの妹さんです。

CIBIの話を聞いたり、実際にメルボルンへ行ったりするうちに、宝飾系を扱う会社を退職してCIBIに加わることにしたのだそう。

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「はじめてメルボルンのCIBIに行ったとき、全員が知り合いなのかなってくらい、スタッフもお客さんたちも仲良く喋っていたんです。小さい子どもが泣いたら、女の人だけじゃなく男の人も『抱かせてもらっていい?』って」

「日本だとなかなかないし、自然な感じでフレンドリーなのがすごくいいなと思って」

キッチンスタッフは、料理のオーダーを見るだけでどの家族がやってきたのか分かるほど、お客さんとの距離は近い。

毎日テラス席を取り合っていた男性と女性の常連さんは、それをきっかけに付き合い、結婚したという。もちろん善太さんたちみんなが、結婚式に招待された。

「CIBIは人の生活の一部になっているというか。みんなの笑顔を見ていると、どの人もCIBIに来てよかったと思ってるんだろうなって感じて」

「前の仕事もよかったけど、もっと生活の中で人と関わって楽しくしていきたい、私も生活の一部になれたらなって思った。それで新しい道に進んでみることにしました」

 

こうしたCIBIの世界観を、東京店でもつくりあげていく。

店内には物販・カフェ・イベントのスペースを設け、CIBIのフィロソフィー“ライフを楽しくする”に東京ならではのアレンジを加えながら、伝えていく。

美術館とのコラボやメーカーとのイベント開催など、CIBIが培ってきたノウハウを活かして、東京の街ともコミュニケーションを図っていく。

そうして得たものがCIBI全体で共有されれば、CIBIはより魅力的な世界をつくっていける。

これから加わる人にも、職種に関係なく、様々なことを提案してほしいという。

「やりたいと思って提案して、それがお客さんに喜んでもらえるものだったら、何でも柔軟にできる環境だと思うんです」

そう話すのは、東京店バリスタの南千佳子(みなみ ちかこ)さん。

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日本での洋菓子の企画・開発・販売の仕事をしたあとメルボルンへ渡り、今年2月まで約1年間CIBI本店でフロア・バリスタとして働いていた。

提案したら、言い出しっぺが中心となってプロジェクトを進めていく。また、どの担当の人もマルチに動くのがCIBIの特徴だという。

全員でお店をつくっていくため、フロア担当のバリスタは接客をするし、レジも打つ。ときには仕込みの手伝いをすることも。そもそもCIBIでは黙々とコーヒーをつくるのはNGだという。

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「コーヒーをつくりながら、お客さんと会話して、オーダーもとって。それがすごく難しくて、最初は全然できなかったです」

CIBIの接客では、スタッフがお客さんをリードすることを大切にしている。

自分だったらどのタイミングでお皿を下げてもらいたいか、どこに食べ物を置いてもらいたいか。言葉にされないお客さんの願望やニーズを先読みして、行動する。

「CIBIで過ごしてもらう時間をどうデザインするか、というところまでサービスのディテールを考えて行動するのが大変で。でも、ちょっとずつできるようになっていくと、そっちのほうがすごく楽しいことに気づくんです」

「『昨日はコーヒーが美味しくて、1日がすごくハッピーだったわ!』って声をかけてもらえたりして、それが本当に嬉しい。人に喜んでもらえることほど、嬉しいことはないですよね」

“お客さんとスタッフ”というより“人と人”として接することで築くことができる、自然な距離感。いつもダイレクトにお客さんの笑顔を受け取れることは、日々の大きなモチベーションになっているという。

どんな人に来てほしいかとみなさんに聞くと、「ポジティブな人!」という答えが一様に返ってきた。

まだ人数の少ない組織だし、いろんなことに取り組んでいくためには、それぞれが担当に関係なく能動的に動いていかなければならない。

そういったことをむしろ楽しんで、ワクワクをお客さんにも伝えていけるような。そんな人に来てほしいといいます。

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最後に、善太さんから。

「僕はもう単純に、もっといろんな人と知り合いたいんです。東京以外でもロンドンやニューヨーク、いろんなことを考えています」

「人って、ひとりっきりじゃ生きられない。より多くの人の人生に関わっていくと、人生は楽しくなる。そうやって豊かになっていくことを、これからもずっと続けるんだろうと思います」

(2017/8/7 森田曜光)