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働くをデザイン

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年々新しい仕事が生まれ、働き方も多様化している。一方で、働く空間や環境についてはどうだろう。

シェアオフィスや在宅勤務、フリーアドレスなどが一部浸透してきたけれど、いまだに机は島型で、床はカーペットという会社がほとんどだと思う。

住宅において施主の要望や家族構成が間取りに影響するように、オフィスでも事業の内容や規模、掲げるビジョンや働く人の特徴を汲み取ることで、最適な空間が提案できるはず。

株式会社ヒトバデザインは、その企業の仕事や働き方を読み解いたオフィスデザインを手がけています。

hitoba01_Fotor 「コミュニケーションを生み出したい」「グループシナジーを高めたい」といった企業の要望をオフィスデザインで叶えることができるそう。

空間だけでなく、その企業の働き方までも影響するようなデザインを手がけるのがヒトバデザインの特徴だと思う。

ここで、クライアントとの打ち合わせから設計までを担当するデザイナーを募集します。

ヒトバデザインへの依頼は年々増えていて、多くが成長ベンチャーだそう。それぞれに合った個性的なオフィスをどんどん設計していけるから、設計事務所やアトリエ系にも負けないくらい経験値を積める環境だと思います。

 
東京・渋谷駅を出て青山方面へ向かう。

宮益坂を上がり、青山学院大学の手前でヒトバデザインのオフィスが入ったマンションに到着する。

2階へ上がりオフィスの扉を開けると、デザイナーの堀本さん(写真右)と山本さん(写真左)が迎えてくれた。

まずは堀本さんを中心に話を伺う。

hitoba02 堀本さんは6年前にヒトバデザインを立ち上げた7人の創業メンバーのうちのひとり。7人は前職から一緒に仕事をしてきた仲間で、ずっとオフィスデザインを手がけてきたのだそう。

より自由度を持ってオフィスを提供していこうと、スピンアウトしたのだという。

「オフィス業界はまだまだ発展途上だと思っていまして、もともとオフィスデザインというのは国内主要メーカーが家具を売りたいがために販促ツールとしてオフィスのレイアウトをはじめたものなんです」

「だからデザインは二の次で、物を売るのが実は主流。デザインも会社の顔色を伺うようなやり方になってしまうんですね。お客さまの立ち位置になってよりよいオフィスをつくるためには、そういった制限をすべて取っ払いたいなと」

また、オフィス空間のトレンドも年々変化していて、それに応えられる柔軟性も必要だった。

以前は採用やPRといった対外的な目的でオフィスをきれいにするケースが多かったけれど、ここ数年はより離職者を少なくするための社内向けの環境づくりに変化しているという。

「だから我々は、オフィスをデザインするためのツールを幅広い分野から自由に選びます。デザイナーも外部から協力してくれる方々がいて、ときにはインテリアコーディネーターや絵描きの作家さんと一緒に仕事をすることもある」

「そういった様々な手法を持ちながらコスト・スケジュール・デザインのバランスをとって、設計だけを担うというよりプロジェクト全体をマネジメントしていくのが弊社の特徴です」

 
実際どんなふうにヒトバデザインはオフィスをデザインしていくのだろう。

堀本さんが、以前担当したという大手通信会社の案件について教えてくれた。横浜にあるワンフロア600坪ほどの大きなオフィスだったそう。

hitoba03_Fotor ヒトバデザインでは、基本的に1つの案件に対してプロジェクトマネージャーとデザイナーのふたりがタッグを組んで担当することになる。

そのためデザイナーも最初の相談段階からすべての打ち合わせに同席し、クライアントの要望を聞いたり、状況を分析していく。

「この大手通信会社さんからは新しい風を吹かせたいというご要望がありました。ようは従来の島型のオフィスではこの先クリエイティブな仕事ができないから、大胆に改革していきたいと」

「そういったご要望をもとにコンセプトメイキングしていくんですが、そこで私たちが考えたのは、一気にオフィスを変えてしまうのは難しいんじゃないかなって」

難しいのですか?

「たとえばこれまでずっと自席で仕事していたのが急にフリーアドレスに変わると、やっぱり社員さんにとってはストレスがかかるものなんです。過去に、見た目重視でバーカウンターをつくったことがあったんですけど、1年後に訪れたら荷物置き場になっていたりして。どうしても上司の目が気になっちゃったりするんです」

「そういった企業さまの社風や人の様子も汲み取った上で、急に変えるのではなく、今後の移転やリニューアルも見据えて、バージョン1.1のように徐々に変えていきませんかとご提案しました」

hitoba04_Fotor そうしてコンセプトが定まったら、次は設計に落とし込んでいく。

堀本さん曰く、オフィスデザインにおいて一番の肝になるのは最初のゾーニングなのだそう。

「言ってしまえば表層的なデザインはいかようにもなるので、それよりもオフィスとしての機能がしっかり担保できているかが大事です。設計で一番時間を要するのはゾーニングの部分で、お客さまとは7割方平面図をベースにお話を進めさせていただいているんですよ」

堀本さんは、食事からミーティングまでフレキシブルに利用できる「イノベーションスペース」をフロアの中心に配置。すべてのオフィスからここへ接続できるようなゾーニングを提案した。

「オンとオフが背中合わせの環境を、ひとつのフロアでつくったんですね。イノベーションスペースは全体を見渡せるように、かつオフィスの社員さまとは目線が合わないようにちょっと高台にして。スペース効率を考えたら別の配置がセオリーなんですが、大胆にこういった環境をつくったのが評価いただいて、コンペを勝ち取りました」

hitoba05_Fotor ヒトバデザインが受ける案件のほとんどはコンペからのスタートだという。

選ばれた後は、提案時のプランをもとにクライアントと打ち合わせを重ねながら、どの部屋に何人収容するのか、必要な収納機能はどれくらいなのか、より詳細にブラッシュアップしていく。

ここでヒトバデザインは、お客さんの最初の要望に反することでも、クライアントのためにあえて提案することがあるという。

以前、会議室をたくさん持っている会社さんがいて、減らすことにとても抵抗感を抱いていたそう。そこでリサーチをしてみると、稼働率がとても低いことがわかった。綿密にコミュニケーションをとりながら、理論的に話を進めた結果、会議室を減らす案が採用されたという。

「いわば外部にいる総務のような立ち位置ですね。ほかにも『どんなものが必要ですか?』ってお聞きすると、オフィスの場合は担当者さん以外にもいろんな方がいるので、あれもこれもほしいとなってしまいがちなんです」

「すべての人の意見を汲み取ると本質がブレてしまうので、プロとして客観的な立場から、お客さまに本当に必要だと判断したものを提案していきます」

hitoba06_Fotor レイアウトが定まったら、いよいよ内装デザインによって空間に色をつけていく。

デザインに関してこのクライアントは一任してくれたため、堀本さんは思う存分自由にできたそう。もちろん予算内ではあるけれど、こうしたことはよくあるのだという。

「このときは外部のインテリアコーディネーターや絵を描く作家さんにも入っていただきました。作家さんにはイノベーションスペースに飾るグラハム・ベルの絵を描いていただいて、実は私もお客さんも完成するまで何の絵ができるか知らなかったんです」

「設計者がいろんなデザインをするケースもあるけど、幅広くやりすぎて力が散漫することがあると思っていて。餅は餅屋として、それぞれのプロフェッショナルを集めてプロジェクトを動かしていくのが、我々特有の形だと思います」

hitoba07_Fotor 単に要望を聞いて設計するのではなく、その企業に最適なオフィス空間をコスト・スケジュール・内装デザインなど様々な面からトータルデザインする。

堀本さんはこの案件を、コンペから引渡しまでなんとたった3ヶ月で手がけたのだという。外部の専門家を巻き込みながらとはいえ、かなりのスピード感だと思う。

昨年に入社したデザイナーの山本さんも、入社当時同じことを感じたそう。

「スピードもあるし、一人当たりが担当する数も多い。ここに入って最初にびっくりしたことですね」

hitoba08 山本さんは大学でインテリアや建築を学び、さまざまな会社で店舗デザインの仕事を経験してきた。

ヒトバデザインに入ってからは、すぐに即戦力として迎えられた。

「社内のデザイナーって堀本さんと私のふたりだけなんですね。だけど、私は堀本さんの下というより並列で、外部デザイナーとも変わらないくらいいろんな案件を任せていただいて」

いきなりでも、大丈夫でしたか?

「仕事自体は前職の経験があったのでスムーズにできたし、常にプロジェクトマネージャーが隣にいるので。ただやっぱり、スピードはとにかく早い」

「飲食店の設計とかは時間をかけて考えたり、詳細図面まで描いてから提案するんですけど、ここはやりながら詳細の図面ができていくほどのスピード。図面じゃなくスケッチを現場の職人さんに送ることもあって、臨機応変さがすごく求められます。そこは本当に大変だなって思いました」

hitoba09 一所懸命にやるからには、時間をかけて丁寧に設計したいという気持ちもあると思う。

山本さんは、時間をかけられないもどかしさはなかったですか?

「最初はかなり。今もちょっとありますけど、時間をかけたからといっていいデザインができるわけでもないんですよね。ひらめきでパッとできるときがある。だから常日頃からいろんな情報をキャッチして、いざという時にパッと出せる引き出しを増やしておくようになりました」

クライアントは上場企業からわずか数人のスタートアップ企業まで様々。空間に対する要望もデザインへのこだわり具合も本当に多様なため、ひとつとして同じような設計にはならないという。

クライアントの大半を占めるスタートアップ企業の案件では、経営者と直接打ち合わせをすることになるため、緊張感のある環境でデザインができる。

「前職だとボスの陰に隠れてちゃって、最初の打ち合わせから引渡しまで一貫してやった経験がなかったけど、ここでは自分が責任を持ってすべてをつくっていく。スピードも数も多くて大変ですけど、あなたにお願いしてよかったとダイレクトに言われるとやってよかったと思うし、成長できている充実感があります」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 山本さんは、どんな人がこの仕事に合っていると思いますか?

「純粋にめちゃくちゃデザインができるので、自分の作品を残したいっていう人はモチベーション高くやっていけると思います。かっこいいデザインがしたいってなるとインテリア事務所とかに行きがちですけど、意外とこういう環境のほうがいろんな経験ができるんだなって気づきました」

外部のデザイナーさんや作家さんとも一緒に仕事するので、ひとつの組織にいても凝り固まらずに、いろんなことが吸収できる環境だと思う。

また、ヒトバデザインはこれからより最適なオフィス空間を提供できるようにと、自社で働き方やオフィスのあり方について実験を重ねている。

今年9月には南青山で新たにデザインスタジオをオープン予定。クライアントを招いてデザインの打ち合わせをしたり、外部デザイナーにも利用してもらったり。スタッフもここで働くことができ、イベントも積極的に打ち出していくことで、様々な出会いから新たなイノベーションが生まれることを期待している。

hitoba11 働き方の研究や新サービスにも興味を持ってチャレンジしてくれる人に来てほしいと、堀本さんは話していました。

将来的にはオフィスに限らず商業スペースのデザインも手がけいくようです。

まだまだ創業5年で10人ほどの会社。自分も一緒に会社をつくっていくんだという気持ちのある人を求めています。

(2017/8/25 森田曜光)