※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
*採用者が決まったため、こちらの募集は2017/9/26に打ち切りました。ご応募ありがとうございました。スポーツに関わる仕事がしたい。そう考えたとき、どんなことができるだろう。
指導者としてアスリートを育成する。ライターやカメラマンになって選手の活躍を追いかける。もちろん選手として挑戦するのもいい。
けど、スポーツって何もプロの世界だけじゃない。
スポーツのよさをもっと広く多くの人に役立てたい。そう思うのなら、今回の仕事はきっと面白いと思います。

ビーチテニスやカヌー、健康体操といった多様な種目を用意し、子どもからお年寄りまで地域の人たちがそれぞれに合ったかたちでスポーツを楽しんでいます。
目指すのは、スポーツを通じた地域活性化。
野球場や人工芝多目的広場、テニスコートが整備され、施設が拡充していくなか、運営を強化するためにスタッフを募集します。
指導経験や競技実績は必要ありません。それよりもスポーツの楽しさやよろこびを知っていることのほうが大切なようです。
東京から新幹線に乗って新潟へ。長岡駅から車に乗り換え、40分ほどで寺泊に到着する。
寺泊は日本海に面した地域で、魚がおいしいことや「魚の市場通り」でよく知っている人がいると思う。
国道からほど近い海岸へ行ってみると、海のほうから子どもたちのはしゃぐ声が聞こえてきた。

総合学習の時間にカヌーの体験教室にやってきたのだと、学校の先生が教えてくれた。
「ここは2009年に新潟国体が開催されたときのカヌー会場だったんですよ。地元高校のカヌー部はインターハイに出場するほどで、今そこで子どもたちに教えているのはその高校の出身者なんです」
そう話すのは、この体験教室に協力している「てらスポ!」会長の三上さん。

家業を継ぐ前は長年教師として高校で教鞭をとり、クラブの顧問も務めていたそう。
「私はね、テニスの名監督なの(笑)。学校のクラブで生徒たちと一生懸命にテニスをやって、県大会で2位や北信越大会で6位になった。スポーツは人や地域を動かすことができるっていう自信を持っています」
三上さんはてらスポ!のほかにも、寺泊スポーツ協会や寺泊シーサイドマラソン大会実行委員会で会長を務め、スポーツを通じた地域活性化を実践してきた。
ほかにも、眠っていた地域資源を掘り起こして地域活性化につなげる活動にも力を入れてきたという。
「寺泊は魚市場で知られているけど、『北の鎌倉』と称されるほど、実は歴史的にも深いところなんです。海を挟んで真向かいにある佐渡島は、日蓮上人とか順徳上皇が配流された島で、風待ちのために滞在された都の貴人や、多くの文人墨客が寺泊を訪れた際の史跡がたくさん残っている。神社仏閣も多いんですよ」
「さらに、史跡のまわりにはツワブキという黄色いきれいな花がたくさん咲きます。夕日を浴びると、光の当たり具合で色が変化して、ものすごく美しいんです。そういうのを地域おこしで利用しない手はないと」

三上さんはここ数年「つわぶき祭」を開催していて、ツワブキに誘われて史跡や寺社仏閣巡りにやってくる観光客が増えているそう。
「寺泊は国道沿いにある魚市場が有名で、年間270万人も観光にやってくる。けど、道路ひとつ挟んだ山側は、あまり人が通らないんです」

三上さんはスポーツも寺泊の大きな魅力のひとつとして捉え、スポーツを通して交流人口を増やすことで地域を活気づけようと取り組んできた。
そのひとつが「寺泊シーサイドマラソン大会」。来年で40回を迎える長寿イベントで、ちょうどツワブキが咲くころに開催される。
数年前に三上さんをはじめとした有志たちが大会実行委員会を立ち上げて、市から運営を引き継ぎ、小学生の参加枠や安全に配慮した走りやすいコースをつくるなどして、参加者のニーズに応えた運営に努めてきた。
その結果、もともと800名ほどだった参加者が、一昨年から2000名を超えるようになり、2016年には「全国ランニング大会100撰」に選ばれた。
今年はさらに参加者数が増え続け、地元企業の協力によってクーポン付きのマップをつくるなどして、参加者の滞在時間を増やそうという企画もはじめているという。

それを象徴するのが、昭和11年からはじまった「両泊親善体育大会」。
海を隔てて対岸にある佐渡市赤泊地域とスポーツを通して交流を図るイベントで、陸上・野球・テニス・バレー・ゲートボールなど多種目競技が行われ、地域の人たちはとても楽しみにしているという。

「やっぱりスポーツっていうのは、やるにしても見るにしても、人を元気にする。経済効果も大きくて、大会をひとつ開催するだけでたくさんの人を集めることができる」
そうしたスポーツの力をもっと地域活性化に活かせないか。
長岡市の協力を得て、2014年に「てらスポ!」が立ち上がった。

三上さんは、運営をする上で大切にしていることがあるという。
「全国にある総合型スポーツクラブは二極化していて、営利目的に走って、参加者の少ない教室は全部やめたらいいっていうところもあります。てらスポ!にもたった7人しかいない教室があって、その人たちは遠くへ移動ができない高齢者が多いので、講師がその地区へ出向いているんです。もちろん赤字」
「だけど、その人たちは教室をすごく楽しみにされている。そこを考えて維持しようというのは、てらスポ!だからできること。どう採算を取りながら運営していくのか課題はあるけど、スポーツを軸にして地域全体を元気にしていけたらと思っているんです」
最初は少なかった参加者も、1年を経るごとに増え続けている。
クラブマネージャーの安達さんは、てらスポ!が徐々に地域に浸透しているのを実感しているという。
「教室の講師たちは、もともとは地域で独自にサークルなどの活動をされていた方々です。講師をしてくれないかとお願いしに行ったら、みなさんすぐに了解してくれて。地域外から協力してくださる講師も増えて、おかげさまで、いま教室の数は20を超えていて、子どもからお年寄りまで、地域のいろんな方々が楽しみに来られますね」

自身もマラソンを20代から続けていて、毎年10回もの大会に出場するほどだとか。
スポーツで地域を元気づける。そんな三上さんの話を聞いて、自分に何かできることはないかと、てらスポ!に加わったという。

教室の企画、現場の運営管理、講師との連絡、日々の情報発信… それに加え、不定期でイベントや大会も開催している。
「今年3月に開催した『健康とスポーツの祭典』は、けっこう面白いイベントだと思うんです。延べ820人のお客さんが集まって、大盛況でした」
健康とスポーツの祭典では、全日本選手権大会に出場したバトントワリングチームを招いたり、ラート競技元全日本優勝者や国体の体操監督から体験教室を開いてもらったり。
スポーツにあまり親しみがない層でも楽しめるようと、長岡市や企業の協賛を得て体組成計・血圧測定や骨密度・足形測定をできるようにしたり、地元店舗や農家さんの協力を得てマルシェも開いた。

準備もすべて自分たちで行い、イベント当日は市の職員さんやスポーツ協会の方々に協力してもらいながら運営した。
三上さんは、これからも新しいイベントや大会を
に企画し、定期的に開く教室も増やしていきたいという。SNSを活用したりして、情報発信も強化していきたい。

「健康とスポーツの祭典だって、もっといろんなところと連携すれば、より楽しいイベントになるのかなと思います。けど、私たちはもう年齢が上がって、世代交代の時期に来ている。若い人に来ていただいて、若い感覚で企画してもらえたら、また違ったものができるじゃないかと思うんです」
また、組織運営についても一緒に考えてほしいという。施設の委託管理を増やしていったり、大学や企業と提携したり。活動を継続させるためにはビジネス視点も必要。
経営がより安定していけば、最大3年間の任期終了後もてらスポ!の職員として働き続けることができるかもしれない。

仕事の基本やイベント企画のノウハウについては、三上さんや安達さんがしっかり教えてくれる。
たとえ資格がなくても、選手としての実績がなくても、スポーツの持つ力を信じている人なら一緒にやれると思う。
スポーツを楽しむ人たちの笑顔をつくりながら、地域を活気づけていく。とても前向きで、明るい仕事だと思います。
(2017/8/19 森田曜光)
*採用者が決まったため、こちらの募集は2017/9/26に打ち切りました。ご応募ありがとうございました。