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株式会社Tree to Green。日本の“木”を使ったものづくりから、よりよい環境や文化をつくろうとしているベンチャー企業です。
社名をそのまま訳すと、木から緑へ。この“Green”にはいろんな意味が含まれています。

そんなTree to Greenが目下行おうとしているのは、“木”から“地域”をつくることです。
今回はそのはじめの1歩として、木曽ひのきを使ったものづくりを通して木曽のまちをつくっていく人を探しています。
木のものづくりが好き。新しい事業をつくってみたい。そんな方におすすめしたい仕事です。自分ならどんなことができそうか、想像しながら読んでみてください。
平日でも観光客でにぎわう原宿駅を背に、北参道のほうへ歩いて10分ほど。
通りに面したマンションのなかにTree to Greenのオフィスはあります。
ずらりと木の製品が並ぶオフィスで待っていてくれたのは、小瀬木(こせぎ)さん。一見クールで都会的だけど、話してみるとやわらかい雰囲気のある方です。

「飲み仲間だった代表の青野が『日本の林業再生をテーマに、生業づくりがしたい』という話をしてきたんです」
「僕はちょうど何か新しいことをはじめたいと思っていたタイミングで。しかも実家がたまたま木工所だったから、面白そうだと思いました」
小瀬木さんは長野県の木曽地域の出身。ご実家は木曽ひのきを使った日用品をつくる木工所なのだそう。
「木曽郡は6町村でできていて、僕が育った大桑村は森と谷の間にぽつぽつと集落があるようなところ。中山道のなごりがあって、静かないいところです」
「でも木曽も過疎化していて。そのうち木工職人も高齢化して、いなくなっちゃうような状況なんですよね」

そんな想いから六本木ヒルズにあるIT企業を辞めて、青野さんと一緒にTree to Greenを立ち上げたあとは、生活のためにアルバイトをしつつ事業の模索がはじまった。
一番最初の仕事は、知り合いからの依頼ではじまった照明づくり。小瀬木さんは、木曽の職人に協力してもらいながら、インテリア照明TAKIBIを企画する。
試行錯誤を繰り返しながら、1年ほど木曽に出入りして活動を続けていた青野さんと小瀬木さん。
すると、東京のプロデューサーが企画した木曽ひのきをつかった木製品ブランド“木曽生活研究所”の運営を、自治体から引き継ぐ話が舞い込んだ。

マーケティングや営業が得意な小瀬木さんの力で、数年で木曽生活研究所はTree to Greenの看板ブランドに。
都内を中心に有名なセレクトショップに置いてもらったり、国内外の雑誌に取り上げられることも増えているそう。最近は高級ホテルとのコラボ製品も生まれている。
このブランドがきっかけで、さらにTree to Greenと木曽とのつながりは強いものになった。
今は地元や東京で若手の社員を雇い、木曽の80歳になる職人さんのもとで技術を受け継ぎながら製品づくりをしている。今年度中に自社工場を木曽につくる予定もあるのだとか。
「こうやって木のものづくりをやっていくとね、どうしても地域おこしという話になっていくんです」
地域おこし?
「東京から来た若い奴らが、まちの木工振興を担ってくれてるって、町からとても期待されるようになりました」
ここで、木曽町からの期待に応えるかたちで小瀬木さんが企画したというイベントの話をしてくれた。
それは、木工の町、木曽で生まれた子どもたちに、木のおもちゃに触れてもらうというもの。

「『木に触れながら遊ぶ場所が全然ないから、すごく良かった』とか『地元のものづくりに触れられるいい機会になった』というようなうれしいアンケート結果が多く集まりました」
「こういった活動を通して、木曽の木工の現状とか子どもの出生数とか、地元についてはじめて知ることがたくさんありました。地元の人から『頑張ってるね』って言われることも増えましたね」
木のものづくりから事業の広がりを感じたという小瀬木さん。最近考えていることを教えてくれた。
「木曽生活研究所を大きくすることもひとつあるけど、これからは木工を軸として地域活性になるような事業をやっていきたいと思っています」
「それも、若手がかっこいいって思えるようなプロジェクトをやっていきたいんです」
今回募集するのは、小瀬木さんと一緒に木曽での新しいプロジェクトを考えていける人。どのような仕事をイメージしているのでしょう。
「基本的な仕事としては商品開発ですね。商品開発への関わり方としては、売る側、つくる側どちらでもいいと考えています」
どちらでもいい?
「たとえば新しい木工ブランドをつくるとして、どちらの立場の人がいてもきっと面白くなると思うんです。木工職人の経験があるなら工場の側で企画制作を仕切っていくことをお任せできるかもしれないし、そうでない人にはプロジェクトの企画運営や管理をしてもらいたい」
人によって仕事が変わってくるということですね。
「うちはベンチャーですから。その利点を活かして、自由に仕事をつくっていって構わないです」
「木のものづくりをする一方で、地域にも関わっていける。仕事内容によっては東京と木曽の2拠点や、木曽への移住というかたちで働くことになると思います」
経営のプロである代表の青野さんがいるから、のびのびと広げていけるというTree to Greenの仕事。今回も青野さんや小瀬木さんと相談しながら進めていくことになるそうだ。
今は小瀬木さんが、工場の管理やプロジェクトの企画運営すべてを行なっている。
「とにかく人手が足りていなくて。今は部下じゃなくて、一緒に考えてくれる仲間がほしいんですよね」
Tree to Greenは全員で10人。木曽のプロジェクトに携わっているのは、小瀬木さんと、製品をつくっている職人2人だけだ。

「新しく入る人も、地域のなかに入ってたくさんの協力者をつくれるような人になってほしいと思っています」
職人はどちらも30歳前後の若い男性だ。地域で働くということや、拠点をつくるということに興味がある2人なので、この2人と協力してプロジェクトを進めていくことになります。
木のものづくりが中心にあって、それにまつわる事業が紐づいていくイメージ。木曽を舞台に、すでにはじまった事業もある。
「木曽生活研究所の製品をつくってきた縁で、木曽に新たな図書館がつくられるという計画を知りました。そこに一緒に参加させてもらうことになったんです」
この計画を知ったとき、せっかくなら地元の木曽ひのきを主役に木曽のものづくりの技が光るものがいいと考えたそう。
Tree to Greenには、空間のデザインができる人もいる。一緒に企画を進め、単純な内装材としてだけでなく、木曽で昔から培われてきた、風呂いすやスノコづくりの技術を応用したスツールや机のある空間を提案した。

「オープンに合わせて、地元の人たちが参加できる木のしおり作りのワークショップも企画しました」

地域の木やものづくりの文化を大切にしようという、思いをつくる。新しく入る人も、小瀬木さんたちのようにものづくりから空間、ことづくりまで横断して考えられるといいと思う。
「うちの会社はたまたま僕がいるから木曽のものづくりからはじまっていますけど、将来的には木曽でできあがるだろうモデルをいろんな地域でも展開できればいいなと思っています。いろんな地域との関わりが、これから増えていくと思います」
じつはすでに、東京都あきる野市の武蔵五日市の古民家にカフェをつくって、そこから発信するということに挑戦しているスタッフもいる。今後は、たとえば民泊のような拠点づくりにチャレンジするのもいいかもしれない。
地域によって事情が違うから、事業はスタッフのアイディアで自在にかたちを変えていけるという印象だ。
「そういう意味で、募集職種はざっくりと“プロデューサー”という肩書きになっちゃうんです。その地域のものづくりを軸とした地域復興。新しく入る方にはそこを意識してやってほしい」

「まずは商品企画も営業もPRもすることになると思う。経験はあるにこしたことはないけど、ひとまず全部やってみようっていう気持ちが大事です」
仕事内容は決めきっていないので、やりたいことがあればどんどん声に出していくといいと思う。
ところで小瀬木さんご自身は、これからどんなことに挑戦していきたいのでしょう。
「すでにプロジェクトがはじまっているのですが、今はホテル向けの商品を増やしていきたいと思っています」
今は外部のデザイナーなどを集めたプロジェクトチームをつくって、進めているところなのだそう。
大変なことはありますか?
「まだまだベンチャーなので自分から動かないといけない。うちの会社は向き不向きがあると思います」
「やったことのないことをやるので、そういう意味での大変さはありますよね」
ここで働く人たちは、ものづくりだけに関わらず、内装の設計や施工、イベント企画、ワークショップの開催など本当に自由にさまざまなことをしています。
改めて今のみなさんが目指しているものを聞いてみた。
「会社の活動そのものが木育なのかなと思います」
木育、ですか。
「木のことを知って、好きになってもらう。そうすることで地域の木を使ったり森を大切にするような人たちが増えていくような活動。そこが今目指している方向なんじゃないかなと思います」
まずは木のものづくりから。まだまだこれからのTree to Greenを、一緒になってつくっていける人を求めています。
(2017/10/27 遠藤沙紀)