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まずは私たちから

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

子どもは、大人の姿を見て育ちます。

おままごとで両親の会話をまねていたり、気がつけば仕草もよく似ていたり。私たちが想像する以上に、子どもは身近な大人の雰囲気や表情を敏感に読み取っているのかもしれません。

だからこそ、多くの時間を子どもと過ごす大人のあり方が大切になってくるのだと思います。

健やかに働く先生たちを間近に感じながら、子どもたちは誰に教わるともなく優しさやたくましさを自然に身につけていく。そんな教育の形が川越なかよし幼稚園にはありました。

今回は、こちらで幼稚園の先生を募集します。

川越駅から10分ほどバスに乗り、ゆっくり歩いて5分ほど。静かな住宅街の一角に佇むピンク色の園舎が、なかよし幼稚園だ。

次々に登園する子どもたちに混じって玄関へ向かうと、先生と子どもが朝の挨拶を交わしていた。

背をピンと伸ばし、先生の目を見て挨拶する子どもたち。先生も「風邪、治ったんだね。久しぶりに会えてうれしいよ」と、一人ひとりの目線に合わせて声をかけている。

すると、後ろから「おはようございます」という声が。振り返ると、副園長の森田さんが笑顔で立っていた。

子どもたちからは、下の名前をとって“はる先生”と呼ばれている森田さん。家に帰ると3人のお子さんが待つお父さんでもある。

なかよし幼稚園は、森田さんのお母さんが園長を務める園。

クラスは、年少・年中・年長それぞれ一クラスずつ。園には外国籍の先生が常駐していたり、毎月学年ごとに博物館や動物園などに出かけたりと、日々の活動も彩り豊かな幼稚園だ。

そんななかよし幼稚園に森田さんがやってきたのは、7年前のこと。それまで金融機関や一般企業に勤めてきた森田さんにとって、幼稚園で過ごす日々は新鮮だった。

「子どもたちが毎日『先生!』と笑顔で駆け寄ってくれて、行事のたびに新しい表情を見せてくれる。もちろん忙しいし体力勝負な仕事でもあるけれど、こんなに面白い仕事はないと思いました」

ただ、園に入ってから見えてきたことも。

「幼稚園は、先生たち一人ひとりが強い思いを持って仕事をしているからこそ、すれ違いも起きやすい環境です。この園でも『あの先生とはなんとなく気まずいから、挨拶するのはやめておこう』という小さなすれ違いが、やがて大きな摩擦になったこともありました」

どの園でも、そんな光景は珍しくないのかもしれない。

ただ、幼稚園は子どもたちがはじめて経験する社会。森田さんは、まず先生同士が助け合える環境がなければ、結果として子どもたちも幸せにできないのではないかと考えるようになる。

「僕は、どうしても大切にしていきたいことがあった。子どもたちに守ってほしいことは、先生たちも守るということ。まずは自分たちがその手本となるということです」

そうしてたどり着いたのが『まずは先生が笑顔、姿勢、挨拶を大切にする』というシンプルな答えだった。

「幼稚園の先生の仕事は、子どもの変化に気づくこと。ほかの人の挨拶に気づけない先生が、子どもの成長に気づけるとは思えませんでした。失敗は僕と園長先生が引き取るから、日々の活動や大きな行事でも、やってみたいと思ったことにはどんどん挑戦してもらおう。ただ、先生がお互いを大切にするということだけは守ってもらうと決めたんです」

森田さんの考えは、少しずつ園に浸透していく。先生たちが変わりはじめたことで園全体の雰囲気も柔らかくなり、保護者からも「先生たちが仲良しだから安心して預けられる」と言ってもらえるまでになった。

子どもたちの成長を思えばこそ、自分たちも互いに思い合う。この園では、そんなあり方が徐々に形づくられていったのだと思う。

ここで、森田さんがこんな話をしてくれた。

「年中のクラスの話です。2年目の若い先生と大ベテランの先生が2人で担当しているのだけれど、子どもたちは『先生たちって絶対親子なんでしょ!』って聞くんですって。何度説明しても、まだ信じられないみたいです(笑)」

「先生たちが気持ちよく働けるなら、僕は嫌われ役になっても構わない。僕は、先生たちが安心して子どもと向き合える場をつくりたいんです」

自由に園内を見てくださいという森田さんの言葉に甘えて、職員室をのぞいてみる。

ちょうど休憩中のようで、先生が一つの机に集まって楽しそうに話していた。

和気あいあいとした雰囲気。年齢の離れた先生同士が親しげに過ごす風景は、少し意外にも思える。

「ふつう、若い先生は職員室より自分の部屋にいるほうが楽だと思います。でもうちの先生たちは、保育を終えたら『ただいま!』と元気に戻ってきてくれるんです」

そう笑うのは、主任のみずき先生。こちらの目を見ながら、暖かな視線を注いでくれる方だ。

出産を機に、それまで勤めていた幼稚園を退職。娘さんの通う園として選んだのが、なかよし幼稚園だった。

「いろんな園を見た中で、ここが一番よかったんです。少人数制だからよく見てもらえて安心だったし、何より子供に寄り添ってくれる園でした」

寄り添ってくれる園。

「ええ。娘が牛乳を好き嫌いしていて、どうしたものかなって悩んでいて。体験入学のとき、ほかの園では『自分でお水を注いで飲めばいい』と言われることもあったけれど、ここは『飲めなくても大丈夫。少しずつ飲めるようにしていきましょう』と言ってくれて。その言葉どおり、今ではちゃんと飲めるんですよ」

ここでなら、子どもたちと向き合って働ける。そんな思いが後押しして、なかよし幼稚園の一員となり、現在では主任として園を支えている。

そんなみずき先生には、先生たちとの関わりの上で気をつけていることがある。それは、相手を決して否定しないこと。

「正直、以前は『失敗したらどうしよう』とぎこちなく働いていた時期もありました。でも失敗してしまったことに怒ってもしょうがないし、失敗をどう修正していくかこそ大切だと思う」

先生たちが相談しやすいよう普段から会話は欠かさないし、プライベートな会話もよく交わす。この日も、まるで友達同士のようにほかの先生と笑いあっていたのが印象的だった。

みずき先生の思いやりが、園で働く先生たちを支えているのかもしれない。

「何気ない会話からぽろっと悩みを打ち明けくれることもあるし、困ったことがあると『みずき先生!』と廊下を走って来てくれるんです(笑)先生たちが可愛いからこそ、これはいけないというときには心を鬼にして指導しています。先生たちは、私の大の自慢なんです」

職員室を出ると、年少のたんぽぽ組からひときわ明るい歓声が聞こえてきた。

「みんな、来週はなにがあるか覚えている? そう、お餅つきだね。今日は、新聞紙を使ってお餅をつくってみよう!」

そう子どもたちに語りかけていたのは、担任の祐菜先生。周囲をぱっと明るくさせてくれるような笑顔の持ち主だ。

どんな活動が行われるのだろう。さっそく見学させてもらうことに。

まず子どもたちは新聞紙を丸め、白いポリ袋に入れて蝶結びに。大人から見るととても簡単な作業も、子どもにとっては初めての体験だ。

20分ほどでつくりおわった“お餅”は、園庭でバルーンを使って飛ばしてみる。

実は、この日は子どもたちにとってはじめてのバルーン体験。バルーンは大好きな年長組がいつも使っている憧れのもので、祐菜先生の話を聞きながら、目をらんらんと輝かせている。

どの子も「先生、またやろうね!」と楽しそうに笑っているのが印象的だった。

子どもたちが帰ったあと、あらためて祐菜先生に話を聞く。

「もともと小さな頃から子どもと遊ぶのが大好きで。将来は幼稚園の先生になりたいってずっと思っていました」

大学卒業後、なかよし幼稚園へやってきたのは3年前のこと。少人数制で、子どもたち一人ひとりにじっくり関われることが決め手だった。

「ただ、思ったよりずっと仕事が多かったです。毎日の活動準備はもちろん、お遊戯会で着る衣装や、行事ごとに配るカードもすべて先生の手づくり。ただ子どもと楽しく遊ぶだけの仕事じゃないんだな、って思いました」

日々の活動は担任が自由に組み立て、お遊戯会や運動会などの大きな行事の出しものはほかの先生たちと相談して決めていく。主な相談相手は、主任のみずき先生だ。

「案を持っていくと『これは違うよ、これはまだ考えたほうがいいね』と結構厳しく指導してもらっています。やっぱり悔しい!って思います(笑)でも、必ずアドバイスをくれる。私の意見を尊重した上で、新しい案を一緒になって考えてくれるんです」

それは日々の保育でも同じこと。祐菜先生には、忘れられない園児がいるという。

「以前、どうしても手が出てしまう子がいて。『お友達を叩いたらいけないよ』と指導しても、なかなか続いてしまっていました」

副担任の先生や保護者とも相談を重ねたものの、なかなかうまくいかない日々が続いた。自分たちの指導は正しいのだろうかと悩んでいたときに力になってくれたのが、周囲の先生だった。

「皆が『担任と副担任だけで抱え込むんじゃなくて、園の皆で解決していこうよ』と言ってくれたんです。違う言い方を考えてくれたり、外から識者の方も呼んでくれたりと、本当に力になってくれた。今ではその子も楽しく毎日を過ごせています。皆で育てていけたんだなって、すごくうれしいです」

子どもたちを先生たち全員で育てていけるのは、普段の信頼関係があるからこそ。園全体に流れる柔らかな雰囲気も、そんな先生たちの気遣いが生み出すものなのかもしれない。

「私たちは、子どもたち一人ひとりの名前も、得意なことも苦手なことも知っているんです。子どもの成長をほかの先生に伝えると、『もうそんなことできるんだ』って自分のことのように喜んでくれる」

「子どもたち一人ひとりの成長を目の当たりにするたび、早く職員室で伝えたい!って思うんです。そんなふうに過ごせる毎日が、今すごく楽しいです」

最後に、新しく入る人へ主任のみずき先生から。

「私たちは、新しい方が来るのをすごく楽しみにしています。同僚が少なくて心配かもしれないけれど、そのぶんきちんとフォローするから大丈夫。一緒に仕事ができる仲間が増えることが、今から待ち遠しいです」

なかよし幼稚園という名の通り、先生同士もみんななかよし。ただ穏やかなだけではなくて、決してぶれないしなやかな軸もある。

子どもたちを思えばこそ、自分たちも大切にする。子どもたちも、そんな大人たちを間近に感じながら自然と成長していく。

そんな一本の強い芯が通ったあり方が、ここにはありました。

(2017/12/14 取材 遠藤真利奈)