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気持ちのいい仕事ができたときのことを振り返ると、相手と同じ意識を共有して、同じ方向に歩めた場合が多いような気がします。だから仕事において「何をするか」はもちろんのこと、「誰とやるか」も大切なことだと思います。
それは社外との関係だけではなく、社内においても同じようなことが言えるかもしれません。
グリーンケアは東京や神奈川を中心に庭のデザイン&リフォームを手掛ける会社です。
取材に訪ねるのはこれで3度目。「いい仕事をしよう」と異業種から転職してきた若い人たちが切磋琢磨している様子は、以前からずっと変わりません。
今回は、庭のすべてを現場でつくるガーデン職人を募集します。
小田急小田原線・向ヶ丘遊園駅から歩いて10分ほど。住宅街の中を進んでいくと、マンションの1階にグリーンケアの新しい事務所を見つけた。
昨年の夏にここへ移転したそうで、以前の事務所よりもずっと広く、古民家のような雰囲気があって心地よさそう。
代表の河越さんに聞くと、ここはもともとこだわりのあるご主人が経営していたお蕎麦屋さんだったという。
だからこんなに大きな梁が入っていて、壁も漆喰なんですね。
「そうなんです。この打ち合わせスペースも、調理場だったのを自分たちで壁をつけたりしまして。うちはもともと職人の会社だから、そういうのも自分たちでできるんです」
いつもみんなと同じ作業着を着て、にこやかに迎えてくれる河越さん。
経営者ながら自ら営業へ出かけたり、現場ではスタッフと一緒に汗にまみれて作業をしているそう。
そんな河越さんがグリーンケアを立ち上げたのは、今から16年前のこと。
それまで河越さんは大手銀行で働いたり、建築コンサルティング会社で役員を務めるなど、『グリーン』や『庭』とは縁のないような業界にいた。
「いつか自分で会社をつくりたいと思っていました。それも、志の高い人材が集まって、やりがいのある仕事をしているような」
「そんな“いい会社”にしたいと思って、注目したのがグリーンの業界だったんです」
昔からずっとこの業界は、庭のすべてをトータルで手がけられる会社がとても少ないという。
そのためお客さんは、木は植木屋さん、ウッドデッキは大工さんと、施主自らがコーディネートしてそれぞれに依頼しなければならず、たとえ業者さんを呼んだとしても、単に希望するスペックを聞かれるだけで終わってしまうことが多いのだとか。
「本当なら、お客さまになぜ庭をつくりたいのかを最初に聞くべきなんです。ウッドデッキをつくりたいとお客さまが言っても、お茶をするのが一番の目的なら、ウッドデッキ以外に最適な提案ができるかもしれない」
「つまり、お客さまに寄り添うような仕事が業界全体でできていないんですね。だから僕らがやるのは構造物・植物・アフターケア・ライフスタイルを含めたトータルな提案です。お客様さまの相談相手になって困っていることや心配されていることに気づき、提案して差し上げるんです」
そんなグリーンケアの庭づくりは評判を呼び、年々依頼数は増加している。
未経験でもチャレンジしたいというやる気のある若い人材が集まり、支店も横浜や渋谷へと着々と広がっている。
「10万円くらいの工事を地道にやるところからはじめて、徐々に施工事例がよくなっていって。ここ数年は何百万円もする大型案件をいただくようにもなりました」
「これからもっといいものをつくっていきたいと思っています。ただ、実際の現場作業をお願いする施工会社さんが想いを共有できる人たちでないと、なかなか難しくて」
腕のよさよりも、想いですか?
「もちろん腕がいいことも重要です。だけど、一番大事なのは一緒に考えることなんですよ」
グリーンケアは新築の家に新たな庭をつくるよりも、既存の庭をリニューアルすることのほうが圧倒的に多い。
そのため、土を掘り返してみると思わぬところに以前の業者が排水管を通していた、なんてことがよくあるそう。そこにしっかり気づいて対処していくためには、現場の職人さんたちの協力が不可欠だ。
ただ、それをやるにも当然手間はかかるし、工期も延びてしまう。余計なことをせず図面通りにつくればそれでいい、というのは業界の一般常識だ。
「でも優先すべきは図面よりも、お客さまの使い勝手や安全面ですよね。だから僕らは、変更が必要なときはきちんとお客さまにお詫びして、こちらのほうがいいお庭になりますのでやらせてくださいとお伝えします」
「それをやるためには、一緒に考えながら、こっちのほうがいいんじゃないかって言ってくれる職人さんが必要です。幸いなことにそういう業者さんとは3社くらいお付き合いできているんですけど、もっといいものをつくるためには内製化もしてノウハウを貯めていくことも大切だと思っています」
学歴や経験は一切問わないという。
現在活躍しているプランナーの多くも、異業種から転職してきた人たち。みんなモチベーション高く働き、設計のレベルも年々高まっているそう。
「うちの職人の面白さは、多能工なところですかね。ずっとタイルを貼ってばかりってことはなくて、レンガで花壇をつくったり、そのあと木を植えたりと、庭づくりを最初から最後まで自分でできる」
「それに、いろいろやるってことはずっと学び続けられる面白さもあると思うんですよね。腕のいい外注の職人さんたちとも仕事ができるので、技は盗めると思います。竹森もそうやって上手になりまして、今では何でもできるんですよ」
今度は、施工部リーダーの竹森さんに話を伺う。
グリーンケアで現場を担当しているのは竹森さんと、植物担当の女性の方のみ。
これから加わる人は竹森さんと同じ仕事をできるようになってもらいたいという。
最初は竹森さんのもとで教わり、ゆくゆくは共に施工部を引っ張っていくことを代表の河越さんは期待しているそうだ。
竹森さん、まずは仕事の流れについて教えてください。
「うちの会社は営業担当が設計もやるし、職人を手配したりスケジュールを管理することもやるので、設計図が決まっていざ現場に乗り込むって段階から関わることが多いですね」
一職人として、ほかの外注さんたちと同列で入るのですね
「ええ。ただ、まったく同じことをやるというより、グリーンケアの施工部として設計の意図をどれだけ汲み取って具現化できるかを大事にしています」
たとえば以前、町田市のお客さんの庭を手がけたときのこと。
お客さんは緑がとても好きな方で、天気のいい日には外に出てお茶を楽しめるような庭にしたいという相談だった。
そこで営業は、外からの目隠しにもなるようにと既存の木よりも背の高い植栽に植え替え、リビングからスムーズに出られるようにウッドデッキをつくることを提案したという。
「うちの営業は、ただカッコイイからとか、単にお客さまが要望したからとかじゃなく、機能面や安全面、使い心地も考えた上で設計してくれています」
「でも、ときにはすべてを見渡せないこともあります。このときは木が大きかったので、将来的に根が広がっていくとウッドデッキに当たってしまうだろうなって私が気づきまして」
そこで竹森さんはウッドデッキの幅を20㎝ほど狭めることを提案。植栽側を変更しなかったのは、お客さんが植物にこだわりのある人だと知っていたからだった。
こうした現場での対応は、どの案件でも必ず起こることだという。いい庭づくりのためにはガーデン職人のサポートが欠かせない。
美しく仕上げ、工程通りに納めるのはもちろんのこと、お客さんの利用シーンや真に求めていることを常に意識しながら作業することが重要なのだと思う。
「前職は公共工事の現場監督をやっていまして。そのころの仕事って図面の通りにやるのが最優先で、内容の良し悪しは関係ないんです」
「でも、ここは社長がはっきりとお客さまや安全面を優先すべきだと言ってくれます。昔と比べたら納得のいく仕事ができているのかなと思います」
とはいえ、一つひとつ突き詰めるというのは、時間も手間もかかるし、根気のいることだと思う。
また、作業もウッドデッキやフェンス、アーチなど多岐に渡り、木を抜いたり土を運んだり、地味で大変な作業だってあるだろう。
「たしかに、いろいろ覚えることは多いし、大変なこともあるんですけど、自分はそれを楽しいと思っているんですよね。ひとつのことを極めるより、いろんなことやりたいんです。それで最終的に自分ひとりで何でもできるようになれば、もっと楽しいですよね」
「外注の職人さんはとてもいい方ばかりなので、分からないことは教えてくれますよ。こういう業界にありがちな、見て覚えろってことはないですね」
もうひとつ気になるのは、体力面のこと。
グリーンケアは未経験者も歓迎というけれど、実際はどうだろう。
「慣れるまでキツイのは、しょうがないことですね。ただ反対に慣れてしまえば、基礎体力のない人でも全然大丈夫です」
本当ですか?
「大丈夫ですよ。私なんて昔から運動が大嫌いで、スポーツ経験といったら学校の体育の授業くらい(笑)。今もランニングしたり、ジムに通ったりすることはありません」
「要は身体の動かし方とペース配分が分かっているかなんですよね。それってスポーツとはまた別の話で。体力的に自信がない人でもできると思いますよ」
竹森さんは、どんな人に来てほしいですか?
「いろんなことをやるので、それを楽しめる人がいいですね。いろんなことに興味が持てるとモチベーションにつながって、覚えるのも早いですからね」
そんな竹森さんの話を聞いて、隣で北川さんがうんうんと頷いている。
北川さんは昨年に日本仕事百貨の記事を読んで入社した方。営業と人事を担当し、今は勉強のために現場で竹森さんと一緒に仕事をしているそう。
グリーンケアに入ってどうですか?
「言い過ぎかもしれないですけど、毎日楽しいことしかないです(笑)外へ出て作業するのも。植物に触れるのも、ぜんぶ新鮮なんです」
北川さんは以前、百貨店で採用の仕事を担当していたそう。
「ここは、いい目をしている人が多いなって面接のときに感じましたね」
「面接官っぽい話ですけど、本気な人ってキラキラした目をして話してくれるんです。一緒に働いてみても、みんなすごく勉強熱心だし、細かいところまで責任感を持って仕事をしている。入ってばかりで偉そうなこと言ってますけど、いい会社だなって思います」
そんな北川さんの話を受けて、最後に竹森さんがこんな話をしてくれた。
「よく外注の親方さんから、そこまで自分でできるなら独立しないの?って言われるんです。けど、自分はグリーンケアでやりたいことができているから、不満だとか辞めたいって気持ちはまったくなくて」
「この会社にいるからこそ、いい外注さんとお付き合いできて刺激を受けられるし、社内もモチベーションの高い人ばかり。そういう人たちと一緒に仕事をできるのが楽しいですね」
仲間と共に学び、互いに高め合う。そんな環境がここにはあると思います。
(2018/2/19 取材 森田曜光)