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いいアウトプットを生み出し続けるために必要なことは何だろう。それぞれに秘訣があったり、一般的なセオリーみたいなものもある。
その中でもとくに大事なのは、とにかく自分の頭で考え続けることだと思います。
新潟県湯沢町の大自然の中で行うフェス「THE CAMP BOOK」や、まちに馴染む外装をつくる「家町装飾」、アウトドア用品に特化したリユース事業「Camp Fan」など、多岐にわたる事業を展開してきた株式会社リペア。
もともとは、退去後の賃貸物件をもとの姿に戻す原状回復事業からはじまった会社です。

それぞれ個性的な事業を伝えていく仕事です。華やかで楽しそうに思えるかもしれないけれど、目の前の対象と向き合い、考え続ける体力が求められると思います。
東京・代々木。
JR代々木駅から歩いて5分ほどのところに、リペアの本社がある。
外観はいたってふつうのビル。玄関から入ると、チョークアートを取り入れたエントランスが現れた。

賃貸物件の入居者が退去する際に内装をもと通りになおす原状回復事業を開始し、少しずつ実績を積み重ねてきた。関東においては、原状回復業界のシェア第2位を誇る。
イベントやリユースの事業に幅を広げはじめたのは2年ほど前のこと。以来、新規事業への展開は加速し、現在は7つの事業部を構える。2020年には事業部の数を20まで増やすことを目指しているそうだ。
ここ1、2年の事業展開にはどのような経緯があったのだろう。
この疑問に答えてくれたのは、人事採用担当の小島さん。

ひつようとされる人づくり。
「もともと代表の後藤は、人を育て、経営者として社員が独立していくことに意味を感じていました。その第一歩としてスタッフのひとりから声があがったのが、野外フェスの企画運営だったんです」
そのスタッフは当初、自費で100名程度の規模で開催するフェスを考えていたという。
ただ、せっかく人づくりを理念に掲げたのに、社員のやりたいことを趣味の範囲にとどめておくのはもったいない。本気の想いには会社をあげて投資していこうということで、「THE CAMP BOOK」という事業として本格的に取り組むことになった。
「代表も一緒になって、フェスってなんだ?と考えるところからはじめて。調べたら『集会』って出てきたよ、みたいな(笑)。本当にゼロからスタートしました」
経験もノウハウもなかったものの、内装に携わってきた強みを生かして大自然の中に空間をつくり込むことができたし、逆に内装屋という枠を取り払うことでいろんな人たちがともに学び、遊べるようなイベントを目指した。
そしていざ開催すると、多くの人が訪れてくれたそう。
「採用をしていても、フェス経由で知って来てくれる人が多くなって。思わぬ形で、シナジーが生まれることを実感したんです」

その後の事業展開においても大事にしているのは、誰かの“これがやりたい!”という気持ちからはじめること。事業として成り立つ見込みがあるかどうかよりも、まず先に熱量が問われる環境だという。
現在ひとりで広報・PRを担当するのが古郡(ふるごおり)さん。
彼もまた、好きだから今の仕事をしている人。

「こういう時代背景があるとか、SNSの使い方とか。セミナーで習ったりする人もいると思いますけど、ぼくはPRに正解はないと思っているし、“広報とは”みたいなセオリーはまったくいらないと思っていて」
「どんな事柄でもいいから、熱くしゃべれること。熱くしゃべれるってことは、おそらくそんだけ調べてるんですよ。広報の素質として絶対に重要なのはそこだと思います」
学生時代は服飾のデザイン学科に所属していた古郡さん。
「服が好きだったし、自分で服をつくりたいっていう想いがあったんです」
留学先で開かれたファッションショー「ミラノコレクション」に出展した日本のブランドをサポートする機会があったそう。
ファッションショー関連のいろんな仕事に携わるなかで、気づいたことがあった。
「やりたいのは服をつくることだけど、向いているのはプロモーションなんだなって」
やりたいことと得意なことは違う、と。
「そうですね。つくる仕事は、本当にいいものをつくれる人がやればいい。ぼくはつくる人の気持ちも理解しながら、Webや冊子、イベントなど、いろんな形でPRする。両方を経験してきたからこそ、最終的にいい成果が生み出せるんじゃないかと思ったんです」
その後、ファッションブランドやモデル事務所で8年ほどPRを経験。
以前から知り合いだったリペアの取締役のひとりに相談され、THE CAMP BOOKの第一回目にPR担当として関わったことがきっかけで、この会社で仕事をはじめた。
「はじめての試みだったので、お客さんもイメージ湧かないじゃないですか。前職のモデルを使って、ポスターなどで使うビジュアルをつくろうよっていうところから、見せ方のディレクションをやらせてもらいました」
ときには自らラジオなどに出演して宣伝する。
ラジオでフェスの広報をするのは、ある意味セオリー通りだけれど、あくまで原点は「昔からラジオが好き」だから、なのだそう。

「原状回復って言われても、あまりピンとこないですよね。形容するのが難しいんですよ。そこで、要は何をする人かって考えたときに、世の中から空室の賃貸物件をなくす人だと。“空室の謎を解く人”というイメージをもとに、ビジュアルをつくって」
前職の経験を生かし、モデルを起用して写真とコピーで直感的にイメージが浮かぶようなページ構成に。
会社概要というよりも、ブランドのカタログのような感じだ。

その事業はどんな価値をお客さんに提供していて、なぜリペアが取り組むのか。考え抜いた先に浮かんだイメージを、社内外のデザイナーやカメラマン、モデルの力を借りて具現化する。冊子以外でも、ラジオやテレビなどさまざまなメディアを横断し、もっとも効果的な伝え方で伝える。
広報・PR担当と聞いてイメージする仕事よりも、クリエイティブディレクターと呼ばれる仕事に近いのかもしれない。

「モノ単体の価値を伝えるには限界があります。そこに人が関わることで、動きが生まれるし、シーンがつくれる。人は心を持っているんで」
「動きやシーンが直感的に浮かぶものほど、人って安心できると思うんです。だって、よく知らない人に内装をお願いしたいと思わないですよね。なんでも一緒です」
マンガを取り入れた説明書形式の会社案内をつくったり、リノベーション事業「ORGAN CRAFT」のWebサイトでは、料理人やガラス作家など、さまざまなつくり手のクラフトマンシップに焦点を当てたインタビュー記事を掲載していたり。
表現方法はあくまで柔軟に、人とモノのよさを掛け合わせ、あらゆる角度からアプローチしている。ここでの経験は、きっと自分の幅を広げることにつながると思う。
その一方で、決まった型やルールを設けられない難しさもあるはず。
「頭の切り替えは常に必要ですね。それに同時進行でまったく違う内容の案件がいくつも進んでいくので、タスク管理も大変です。立場上、外に出ていく機会も多いですし、働く場所もかなり自由にさせてもらってますけど、その分責任も伴います」
広報やPRは、お金を稼ぐというより、使う側の部門。会社にとっては投資にあたる。
そこで古郡さんは、外部の広報・PR案件を受注したり、新規事業の立ち上げ準備も進めているそう。
「そもそもお金を使う部署ならば、逆に稼いでいたら何も言われないなと思って。現状の数は多くないですが、外から受注案件を取って会社に利益を落とすことで、経営陣も『思うようにやってみなよ』と裁量を振ってくれているんだと思います」

今回募集する人は、古郡さんの右腕として、リペアの世界観をともにつくっていくことになる。
どんな人に来てほしいですか。
「ひとつは最初にも言った通り、好きなものごとについて熱く語れる人。あとは、自信をもっている人がいいかな」
自信をもっている人。
「結局、PRなんてやってみないとわからないんですよ。疑心暗鬼にPRしていたら、まわりも不安に思うじゃないですか。勘違いの自信、は困りますけどね」
「前例がなくても、会社がGOを出したなら任されてるわけだからやってみればいいし、ミスったら謝って次に活かせばいいだけの話だから。別にセオリーなんてないんです」
たしかに、古郡さんの言葉や姿勢には自信を感じます。一つひとつのことに対して、自分なりの理由を持っているというか。
「考えてきた過程を感じられる人って、説得力があると思うんですよ。なんでそうしたんですか?って質問に答えられる人は、そのことについて絶対的に調べているし。“なんとなく”で生きない、常に疑問や好奇心を持つっていうことが大切なのかなと思っています」
自分の好きなものは、なぜ好きなのか。
いつも賑やかな場所にはどうして人が集まるのか。
日常的に考え続けることが求められるだろうし、それを楽しいと思える人は向いていると思う。

この会社は、これからどんなふうに形を変えていくのだろう?と楽しみになりました。
一つひとつの事業部が会社として独立していくことも十分に考えられるし、この先さらに新規事業を増やす計画もあるとのこと。伝え方次第でイメージをつくっていける面白いタイミングだと思います。
トライ&エラーを繰り返しながら、伝える力をつけたいという人にはちょうどいい環境だと感じました。
(2018/5/24 取材 中川晃輔)