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食を支える陰の立役者
鰹節で世界を彩る

「日本に暮らしていたら、誰でも一度はうちの商品を食べていると思います。目には見えないかもしれないけれど、いろんな形でね」

声高に自慢するわけでもなく、でも少しうれしそうに出てきたこの言葉からは、自分の仕事に誇りを持って取り組んでいる様子が感じられました。

それはこの会社のあり方にも共通しているように思います。決して華やかな世界ではないけれど食を支える重要な役割を果たしている会社です。

小林食品株式会社は、削り節の加工メーカー。鰹や鯖、いわしのような原料節を、削り節や出汁パック、ふりかけなどさまざまな形状に加工し、業務用の商品として全国に提供しています。

飲食店や食品メーカーはもちろん、コンビニ業界、醸造業界、学校給食など、卸先は250社以上。今後は海外にも展開していく予定です。

今回はこの会社で総合職として働く人を募集します。はじめは工場で経験を積み、ゆくゆくは営業や商品開発などに携わることもできるそうです。

食を通したビジネスで地域を豊かにしたい、日本の食文化を海外にも広めていきたい。自分も胸を張ってものづくりをしたい。そんな人におすすめしたい仕事です。

静岡県・焼津市。

焼津駅で降りて、焼津港を横目に車で走ること約15分。小林食品の本社に到着した。

階段を上がり2階の事務所へ向かうと、製造現場を担当する井上さんが迎えてくれました。

入社3年目の若手社員。静岡が地元で、大学時代は東京で暮らしていたそう。

どうしてこの会社に就職することにしたのだろう。

「東京で満員電車に揺られながら生活することはできないなぁと思って。今後どうしようか考えていたときに、ここを見つけて」

「食って誰にとっても大事なことだから、食を支えることで誰かの役に立つ仕事がしたかったんです… あと私自身、食べることが大好きだというのも大きいです(笑)」

小林食品は、本社を含め静岡県焼津市内に3つの工場を持つ。

本社はトッピング用の薄削りの鰹節を、三ヶ名工場では出汁用の厚い削り節をメインに製造している。そして現在井上さんが所属する大島工場では、ふりかけ用の鰹節を製造しているそう。

3つの工場をすべて経験すると、削ったものがどんなふうに商品になるのか、一通り学ぶことができるそうだ。

「ぜひ工場も見てください」ということで、実際に見学させてもらうことに。

小林食品では、機械を使って1日何トンもの削り節を削っていく。

「最初は先輩が1ヶ月半くらいついて、使い方を教えてくれます。梱包の仕事なども体験していきますよ」

機械で削るには、どんな難しさがあるのでしょうか。

「機械についている刃の調整ですね」

刃の調整、ですか。

「機械には円盤状に14枚の刃がついているんですが、14枚とも刃の角度や長さを揃えないと、綺麗な花かつおができないんですよ」

世界一硬い食べ物とも言われる鰹節。それを10ミクロンから1mmの幅で、お客さんの要望に合わせた薄さに削っていく。

刃の状態が一枚でも違うと美しい花にならないし、食感も変わる。使うほどに刃は磨耗するので、定期的な調整が必要になるのだそう。

「これは場数を踏んで覚えていくしかないですね。私も最初は1台の調整に30分くらいかかっていたんですけど、今では2、3分でできるようになりました」

原料となる鰹節も、季節や仕入先、鰹そのものの性質によって、脂の量など品質が異なる。

どうすれば安定的に質の高い削り節をつくることができるのか、一つひとつの鰹節の状態に合わせて考えながら対処するのも、井上さんたち現場で働く人の役割だ。

思っていたよりも、繊細で神経を使う仕事。だからこそ、現場でのコミュニケーションが大事だという。

「私は、工場ってみんな黙々と作業をしているイメージだったんです」

「でも、ここではただ削って終わりではなくて。互いに遅れがないか確認したり、梱包担当からもべたつきがないか、削り節の様子を伝えてもらったり。良いものをしっかり届けようという思いが強いと思います」

穏やかに話す井上さんの言葉の端々からは、ものづくりへの熱量が伝わってくる。

会社も、井上さんのように熱意ある若手を積極的に育てようとしている。経験年数にかかわらず大きな仕事を任せてもらえる風土があるそう。

「私も入社1年目で、大手コンビニのおにぎりの具に入る削り節を一番手で削らせてもらいました。自分の仕事次第で取引が左右されると思うと、プレッシャーはかなりありましたね」

一人ひとりの責任が大きいぶん、やりがいも大きくなるのかもしれない。

一方で、大変なことはありませんでしたか。

「重いものを運ぶとか、力仕事はあります。あとは工場ごとに仕事もまったく違うので、覚えることはすごく多いです。僕もようやく3つ目の工場にまわってきたところで、勉強中ですね」

「逆に、知識や技術がなくても、やってみればできるんだということにびっくりしています。だから気負わずに来てくださいと伝えたいです」

今回募集する人は、まずは井上さんのように現場での業務を覚えることからはじまる。

ゆくゆくは営業を担当したり、商品や販売促進の企画をしたり。その人の力を活かせる仕事をしてもらいたいという。

開発部で働くチャオさんも、そんなふうにキャリアを積み重ねてきた。

「私も工場での仕事を経験してきましたが、どんなふうにものづくりが行われているかを知らないといい商品はつくれません。どの仕事も、すべてつながっているんです」

すべてつながっている。

「はい。たとえば新商品を開発したら、まず現場の声を聞きにいきます。『このつくり方なら設備にも合っていてやりやすい』とか『こうすればきれいにつくれるよ』とか、アドバイスをもらう。そうしてベストな状態を見つけます」

いくつもの商品開発に携わってきたチャオさん。実現できたのは、「やってみたい」という想いを後押ししてくれる風土があったからだという。

たとえば、自社商品のドレッシングをつくったときのこと。

鰹節は、水分を含むと柔らかくなってダマになり、食感を邪魔してしまう。どうすればドレッシングのなかに満遍なくちらすことができるのか。

現場とも話し合いながら、何度も試作を重ねて最適なサイズを追求。なんとか完成にこぎつけた。

「まずは試してみるしかないです。パッケージも、会長や社長にも直接相談しながらつくって。会社は、この商品を実現するためにドレッシングの製造販売許可を新たに取ってくれました」

こうした自社商品の開発・販売には、日本の鰹節職人やその技術を守りたいという想いも込められている。

特に鰹節のなかでも最高級と言われる本枯れ節をつくることができる職人は、国内でわずか10人ほどなのだそう。

「世の中には鰹節の量を落として添加物で代用する商品も増えていますが、それは本物の味ではないんです。安いばかりでなく本当においしいものを提供したいし、その価値を感じてほしいと思っています」

今年の11月からは、毎年上海で行われる展示会に出展するのだとか。

「最近では、営業としてお客さんに直接話を聞きに行くことも増えています。小さなことで現場の効率は大きく変わります。たとえば、3.5倍希釈より5倍希釈なら使いやすいとか。こうした声は開発に活かせますね」

チャオさんはどんなことにも貧欲に挑戦して、自分の仕事ヘの活かし方を考えている。会社に言われたからやるのではなく、常に自分なりの意見を持って行動する人だと思う。

「言い出したからには責任を持ってやり抜かなくてはいけないけど、実現できたら楽しいです。新しく入る人にも、自分がやりたいことを教えてもらえたら。私たちも刺激されてもっといいものができると思います」

最後に、代表の小林さんにお話を聞く。

実は、取材前に「まずは社員の話を聞いてほしい」と提案してくれた。社員の成長をじっくりと見守る、そんな人だと思う。

小林食品は、1982年に現会長である小林さんのお父さんが、お兄さんの会社から独立して創業した会社。

「現場を見てもらったけど、すごく出荷量が多かったでしょう。うちの父親が自社ブランドのものを少量つくるのではなく、メーカーさんの下支えとして大きく仕事をしたいと考えていたんです。これまで業務用に特化して事業を拡大してきました」

食品メーカーや飲食店の名前を背負うことになるものだからこそ、素材の安全面には徹底してこだわっている。

工場は、食品を安全につくるためのFSSCという認証システムを鰹節業界で初めて取得。お客さんごとに異なる加工依頼にも細やかに応える。

そんな姿勢が評価されて、現在は営業をしなくても声をかけてもらえるような状況なのだそう。

小林さんは、2011年に社長職を引き継いだ。目指してきたのは“よろしくない職人的な考え方”を排除すること。

「僕自身、社員として働いていたときには苦労したんです。『見て盗め』って言われるけれど、それは教える側の無責任だと思ってね。だって仕事は覚えることが目的ではないでしょう」

「その技術をどう役立てるのかっていう視点が欠けているように感じたんです。だから見て盗めで10年かかる技術なら、1年で習得できるように会社が整備する。残りの9年は習得した技術で誰を幸せにするか、社会にどう貢献するかに焦点を当ててほしいと考えています」

以来、社内のものごとの可視化に取り組んできた小林さん。

たとえば工場では記録表をつくり、作業を明確に管理できるようになった。人事制度にも大きな特徴がある。

「たとえばもっと成長したいとか、お給料をもらいたいと思ったときに『頑張れ』とか抽象的な言葉で処理されることに疑問を持っていたんです」

「だから具体的に、入社したら何に取り組んでもらいたいのか、それが社内でどれほどのウエイトを占めているのか。一目でわかる一覧表をつくりました」

評価基準はもちろん、会社の月次売上もすべて社員に公開している。上司によって評価が変わることもないし、自分の成長度合も、それによって得られる給与も100円単位で可視化されている。

給与がわかることで、社員は人生設計が描きやすくなる。実際に離職率も減ったそうだ。

このほかにも、英語やコミュニケーションの研修など学ぶ機会も多く用意されている。

社内でも社外にも、目の前の相手に誠実に向き合い、全力で応える。

そんな姿勢が、社員にも届いているのかもしれない。井上さんもチャオさんも、自分から前に進もうとする意欲が強い人たちだった。

今後、海外への進出も進めていく予定だという。

「すでに各国から問い合わせがきています。必要とされる声にしっかりと応えるために、英語の勉強会や自社サイトの英語表記もはじめました。準備を進めているところですね」

素敵なことや面白いことだけを追求できる世界ではないかもしれません。だけど会社と一緒に自分もじっくりと成長していけるはず。

日本を、そして世界を食から支える。なくてはならない仕事だと思います。

(2018/10/12 取材 並木仁美)

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