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本当の“地方創生”を
中小企業に伴走することから
はじめよう

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「地域活性化や地方創生。ただの流行り言葉じゃなくて、実際に中小企業を支援することで実現させたい。そんな思いを持っていることが一番のエンジンになると思うんです」

そう話してくれたのは、らづ-Bizのセンター長、瀬沼さん。



千葉県木更津市にある「木更津市産業・創業支援センター らづ-Biz」。

中小企業向け経営相談所の先駆けである静岡県富士市のf-Bizをモデルに、2018年2月に開設されました。

相談は無料で、1回1時間。町工場の経営者や個人事業主として独立したばかりの人など、日々訪れる人たちの悩みや強みを専任の相談員が丁寧にヒアリングし、売上アップや創業のための具体的な提案をします。

こうしたコンサルティング方式は「Bizモデル」と呼ばれ、愛知県岡崎市や広島県福山市など、全国20カ所以上に広がっています。

今回はらづ-Bizで、相談案件の管理やバックオフィス業務、プレスリリースの作成などを担う案件管理コーディネーターを募集します。


木更津市へは、都内から電車で1時間半ほど。車だとアクアラインを通って1時間で到着するので、都心へのアクセスもいい。

海を生かした潮干狩りなどのアクティビティや、大きなアウトレットモールをめがけて、県外からも多くの人が訪れる木更津市。

一方で地元の商店ではそのポテンシャルを活かせず、まちの活気が減退している側面もある。

地元の企業をもっと元気にしていきたい。そこで木更津市では近年、中小企業支援に力を入れてきた。今回紹介する「らづ-Biz」も、その取り組みのひとつ。

らづ-Bizの相談所があるのは、木更津駅から車で5分ほどの距離にある商工会議所の1階。



ふだんは相談スペースとして使われている場所をお借りして、らづ-Bizのセンター長を務める瀬沼さんに話を聞いてみる。

日本各地にあるBizのセンター長は、全国から公募しているそうだ。瀬沼さんは157人の応募者のなかから選抜され、らづ-Bizにやってきた。



「以前は化粧品の輸入や製造をする会社で取締役をしていたんです。8年ほど経営に携わり会社の業績も上げることができました。でも一方でその過程ではすごく大変なことが多くて」

「一歩間違えば倒産するような状況も経験しましたし、取引先や関係企業には実際に倒産してしまうところもありました。会社っていつでもつぶれてしまうんだなという厳しさを、経営者の視点から身近に感じていたんです」

自分の会社はなんとか生き残って成長できたけど中小企業向けのセーフティネットがもっと充実していれば、多くの会社が今も社会のために活動できていたかもしれない。

そんな思いから、Bizモデルに興味を持ったそう。

「倒産しそうなときは、当たり前なんですけどお金がないんですよ(笑)。コンサルティング会社に相談したくてもできないし、銀行でもお金を借りづらい」

「Bizモデルだと、どんな会社でも1回の相談で1時間、無料で話を聞いてくれる。そして相談者自身が気づいていないような強みを見つけて、売上を伸ばすお手伝いをしてくれる。苦しんだ経験のある自分だからこそ、支援する側としてできることがあるんじゃないかと思って応募しました」

2018年のらづ-Biz始動時から、センター長として事業者の相談を受けている瀬沼さん。相談件数は多いときには月に160件。平均でも100件以上の相談を毎月2人体制で受けているという。



相談者は、口コミをきっかけにらづ-Bizのことを聞きつけてくる人がほとんど。要望に的確に応える提案を続けているからこそ、その評判が広がっていると瀬沼さんは言う。

たとえば、と瀬沼さんが話してくれたのは、市内にある小さな焼き鳥屋さんの話。

技術的に難しい「串打ち」をできるベテランのスタッフが退職してしまい、新しい人を募集するもなかなか来ず、焼き鳥が提供できないことで売上が落ちてしまっているという相談だった。

「人手不足の今、普通に採用告知をしてもなかなか良い人は来ないだろうと思ったんです。仮に採用できたとしてもその方が定着するかもわからない。そこでまずは落ちてしまった売上を立て直すことを考え、お店を維持していけるようにしましょうと話しました」

人手は足りない。けれど、鶏肉は大量に仕入れることができる。そこで瀬沼さんは、串を打たずにつくれて、なおかつ少ない人数で売り続けられる商品を考えていった。

そうして生まれたのが、「フタが閉まらない1キロ唐揚げ弁当」。

「ここは比較的若い男性のお客さんが多くて、大盛りの商品が人気だったんです。じゃあいっそのこと、その層をもっと取り込むような商品をつくったらいいんじゃないかと思って」



見た目も名前もインパクトがあり、目につきやすい。数量は1日限定10食。

さらに木更津で活動しているYouTuberと一緒に大食い企画の動画をつくって発信。動画の反響は大きく、お店の売上はなんと以前に比べて1.5倍になったそう。



そしてお店の認知度が上がったことで、当初の悩みだった新しいスタッフの雇用にもつながった。

「最初から採用だけを考えていたら、この結果にはならなかったと思うんです。シンプルに売上を上げて、認知度を高めていくお手伝いをする。使ったのは手元にある材料とアイデアだけなので、お金もかかっていない。これこそ持続可能な中小企業支援だと思っています」

「相談者さんのお話から、無理なくできる売上アップ策を考え、形にしていく。想像以上に大変な作業ですが、そのぶんやりがいはありますね」

手がけた案件の記事を眺めながら、熱くうれしそうに話してくれる瀬沼さん。ほかにもいろんな相談に応えてきた。

木更津市内で別々に開催されていたイベントを木更津オーガニックデーという記念日イベントにまとめたり、地域の事業者同士をつないで、稼働率が低かった業務用機械をシェアして使う仕組みを提案したり。

木更津という立地を活かして、東京への新しい販路開拓も積極的に行なっているそう。全国にあるBizのなかでも、東京に近いというのは事業の幅を広げてくれる大きなメリットのひとつだと思う。



今回募集する、案件管理コーディネーターの仕事についても教えてください。

「今は僕を含めて常駐の相談員がふたりいます。案件管理コーディネーターは、問い合わせ窓口として最初に相談者の話をしっかり聞いて、僕たち相談員につなぐ役割を担ってもらいます。僕らが一つひとつに集中するぶん、案件全体を俯瞰して管理するイメージかな」

「直接相談に応じる役割ではないんですが、僕たち相談員と同じ気持ちで取り組んでほしいと思っているんです」

同じ気持ち?

「一番は、地域の中小企業をサポートして元気になってもらいたいという気持ち。いろいろな悩みを持った方が来る場所なので、それをちゃんと受け止めて、一緒に考えられる人」

「たとえばすごく能力が高くても、どうして月十数万円の売上しかない小さなお店をサポートしなきゃいけないんだろうって思ってしまう人では、続けられないと思うんです。僕らは売上が10万円でも1億円でも同じようにサポートするし、あらゆる人の悩みの受け皿になるために存在していると思っています」


次に話を聞いたのは、案件管理担当として働いている中原さん。

中原さんは3月で退職される予定なので、今回募集する人はその後任として働くことになる。



「案件管理の仕事は、ざっくりと言うと相談員のふたりが相談対応に集中できるように、環境を整えるような役割ですね」

相談依頼が来たら、まずは案件管理担当が応対する。丁寧にヒアリングしながら相談時に必要な情報をまとめ、所定の用紙に記入し、相談員に引き継ぐ。

「電話でお問い合わせいただいたときも、相談内容について可能な範囲で聞いています。直接来られる方もいるので、相談者の方と話したり顔をあわせたりする機会は多いですね」

「売上が上がらなくて元気のない方もいれば、創業したいというエネルギーに溢れた方もいます。事務的に応対するんじゃなく、お一人おひとりにきちんと意識を向けて聞かせていただくことが大事だと思います」

相談者は人生がかかった悩みを抱えてやってくる。黒子のような立場ではあるけれど、相談員と一緒に自分も前線に立っているという心持ちが必要なのだと思う。

「最初は不安そうな顔をされていた方が、帰られるときには笑顔になっていたりして。そんな姿を見るとうれしいし、やりがいになりますね」

外部に対してだけでなく、らづ-Biz内でのコミュニケーションも欠かせない。

1日の相談件数が多い日は、相談員と話せる時間も少なくなってしまう。限られた時間でしっかり連携がとれるよう、密にコミュニケーションを交わしていくことが大事だと話す中原さん。



また、人とのコミュニケーション以外に、事務作業も多くある。

月間の相談件数などの数字をまとめて報告書をつくったり、相談の申込書の内容をデータベースに残したり。中原さんの後任となる人には、メディア向けのプレスリリース作成にも関わってほしいとのこと。

税金を使って運営されているため、市民に対して数字的な結果を示すことも大事になってくる。報告書ひとつでも、丁寧に作成していくことが必要だという。



ほかには、どんなことが大事でしょう。

「相手をリスペクトすること、でしょうか」

相手をリスペクトする。

「たとえば、『売上アップのためにこういうことをやってみましょう』みたいな、相談者にとって大きなチャレンジになるようなことは、相談員が言ってくれる。なのでわたしはもっと細かな部分で満足度を高めることができたらいいのかなって思っていて」

「相談員に聞くほどじゃないんだけど…っていうことって、案外あるんですよ。インスタグラムを始めてみたいけどやり方がわからない、くらいのことだったら、わたしでも力になれたりする。『こんなことも聞いていいんだ』っていう小さな満足の積み重ねで、相談員に対する信頼や、らづ-Biz全体に対する印象も変わると思うので」

今日はいつもより元気がなさそうだなと思ったら、より注意深く話を聞くようにしたり。しっかり顔を見て、次も来てくださいねと声をかけてみたり。

事務や補助的な仕事を担うだけではなく、相談員と一緒になったひとつのチームとして、相談者に向き合っていく仕事なのだと思う。



中小企業支援を通して、まちを動かすプレイヤーたちを元気にし、まちそのものを活性化していくBizモデル。その顔になるとも言える案件管理コーディネーターの仕事は、大変なことも多いと思います。

でもそれ以上に、ここで働く人たちの顔を見ていると「困っている人のために全力を尽くす」ことのやりがいは、すごく大きなものなんだと感じました。

想いを共に、一緒に走る仲間を探しています。

(2019/12/17 取材 稲本琢仙)
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