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東京のガラスの協同組合で
事務局長になる
ただし、引き継ぎなし

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

協同組合と聞くと、どんなイメージがあるでしょう。保守的だったり、閉鎖的なイメージがあるかもしれません。

ただ、見回してみると、世の中にはたくさんの協同組合があります。農協、漁協、生協、それに労働組合や金融機関などにも。

その存在理由の1つは自立した相互扶助の実現。

資本主義や社会主義とは異なり、資本家や労働者などの権利を確保・主張するというよりも、連帯することでそれぞれが自助、自立していくためのものと言えるかもしれません。

考え方を聞いてみると、現代のコミュニティビルディングやインターネット的なつながり、ギルド型組織にも通じて、なんだかモダンな感じもします。

今回の募集は東京硝子製品協同組合の事務局長です。

安政6年の横浜開港後、石油ランプなど多くのガラス製品が日本に輸入されていました。明治初年に、東京でガラスを製造・販売する70名余りの人たちが輸入ガラスに対抗するために設立したのが東京玻璃製造人組合睦会。これが東京硝子製品協同組合の起源となるようです。

仕事内容としては、まず事務作業がメインとなります。助成事業の申請や講習会の企画、会議や懇親会の運営など。よく言えば、縁の下の力持ち。地味な仕事だとも言えるかもしれません。しかも、1人で働きますし、引き継ぎもほぼ期待できない状況。

それでも興味があれば、ぜひ続きを読んでください。

 

木村硝子店の木村さんから電話が入った。なんでも理事長を務める東京硝子製品協同組合の事務局長の後任を探しているらしい。前任者が倒れてしまい、復帰することも難しい状況とのこと。とても焦っているようで、まずは食事をしながら話を伺う。

協同組合の事務局長の求人。お役に立てるだろうか。ただ、日本仕事百貨では事務の求人も意外と人気だ。そして、木村さんのような理事長と一緒だったら大丈夫かもしれない。

日本仕事百貨では、過去に木村硝子店の求人を何度もさせていただいた。人気の仕事で、「応募者数が多すぎて選考が大変」というクレームみたいなもの?をいただいたことも。

素敵な会社だと思うけど、それほど華やかでわかりやすい仕事、と断言できるものでもない。それでも人気なのは、素晴らしい製品とともに、木村硝子店のみなさんが素敵だからなんだと思う。そんな木村さんが理事長を務める協同組合なんだから、きっと大丈夫だろう。

 

後日、東京硝子製品協同組合の事務所へ伺った。新橋と虎ノ門の間にある雑居ビル。

数ブロック先には虎ノ門ヒルズのような巨大な再開発エリアがある一方で、事務所周辺にはたくさんの雑居ビルや飲食店が広がっている。ランチ選びに苦労することはなさそうだ。

1階にとんかつ屋さんのあるビルの5階。扉を開けて中に入ると、木村さんのほかに3人がいらっしゃった。

理化学用の器械、ビンなどの容器、そしてガラス食器を製造・販売している方々。

まずはみなさん、どんな仕事をされているのか聞いてみる。

最初に話を伺ったのが吉沼硝子の吉沼さん。

「業務用に使われる、和をメインとしたガラス製の食器を扱っています。自社オリジナルのデザインを起こして協力工場に委託製造してもらい、全国の問屋さんを介して、飲食店さんやホテル、旅館さんに使って頂くのがメイン事業ですよ」

創業100年を超えて、現在4代目。もともとはビンやランプなどを取引していたが、戦後は金魚鉢やコップなどを扱うように。

「父の代から、割烹用のガラスの食器を企画したんですね。時代もバブルに向けて日本経済も調子がよくなって、大箱の旅館が全国に増えていったんです。同じように弊社の商品も使われるように成長して」

現在は和食器だけでなく、カフェでも使えるような商品も増えてきた。国内生産だけだったので価格帯が高かったこともあり、海外の協力工場も増やすことで、高級店からカジュアル店でも扱ってもらえるようになった。

角柱グラスというのも気になったので聞いてみる。

「これは弊社のブランディングをお願いしている方と話していて生まれたものなんですよ。お酒の席で盛り上がってやってみようということになった」

「私もそんなに売る気もなくて、初めは一般向けで販売したんです。もともと角がすごく薄くて業務用だと使えないから、今は全体的に厚みをもたせたりして業務用にも販売しています」

 

2人目のマルエイの縣(あがた)さんは、主に容器やボトルを扱っている。

「はじまりは商社のようなものでした。後に私の祖父が半人工をはじめて」

半人工?

「完全なオートメーションではなく、半分人の手をつかって作るというものですよ。職人さんの高齢化もあるし、夏は50度近い場所で働くことになる。そんな中で人手を集めるのは難しかったので、製造の半分を自動化しました」

「今はまた商社のような形になって、中国、台湾、韓国、あとはタイなどから化粧品などの容器を輸入して、検査、加工、販売しています」

プラスチックなどの樹脂製品を扱うことも増えてきた。現在はガラスと樹脂の割合が3:7なんだそう。

 

3人目が矢沢科学の珠玖(しゅく)さん。

「40、50年くらい前までは、習志野に工場があって、小さい瓶とか、いわゆる厚物を製造販売していました。たとえば、瓶でも2リットル以上の大きい瓶、容器、商標瓶、それにデシケーターとか」

デシケーターとは、湿気を避けるために乾燥状態にして保管するための容器のこと。

別名防湿庫とも言われている。

ただ、20年ほど前には工場の火を落としてしまった。

「今も工場の一角にガス細工の加工工場だけは残っていますが、国内で大きな容器を作っているところは一軒もなくなってしまいました。中国から輸入している状態です」

「お客さんは製薬会社さんや研究所、大学などですね。セキュリティの問題で、今は研究室などに入ることが難しくて。研究者と話せるのは大学くらいなのが悩ましいですね」

 

みなさん三者三様。

そして、もう一人の木村硝子店の木村さんは、ワイングラスなどのグラスを販売している。

「ガラス」を扱うという意味では同じだけど、それぞれに仕事のスタイルがある。

協同組合を一緒にやる意味はどこにあるのだろう。そもそも必要なのだろうか。解散するにはちょうど良いタイミングとも言える。

求人のご依頼をいただいたものの、そんなことを聞いてみると木村さんは次のように話してくれた。

「考えていたんだけど、協同組合で何がしたいのかなって。とりあえずみんな儲けたいのかな。じゃ儲けるにはどうしたらいいのか。たまたまガラスを通じてみなさん知り合っているわけだから、そのために必要な情報をみんなで持ち寄るのか。あるいは事務局長が何かヒントをもってきてもらうのか」

「ただ、儲ければいいってわけじゃないし、社会貢献ってところまでいかなくてもね。みんなが納得していく形にしていこう、というような議論はあっていいと思う。それで議論の出発点としては、儲けようぜっていうのはわかりやすい。そういう視点はなかったよね」

それぞれが儲けていくためにどうしたらよいか?

すると珠玖さん。

「昔は景気がよかったから楽しくやりましょう、っていう組合だったとは思うけど、今はなくてもいいんじゃないか、という考えもある。組合はどうしたらいいのか」

「1つのところではできないけど、みんなが集まれば何かができたり、色々な情報を集めてもらったり、他の組合と一緒になってガソリンなどを共同購買できるようにしたり。個人でできないことも、組合ならできる。ないと困ることがあるんじゃないかな」

ほかにも時代の移り変わりに対応するためにセミナーを開催することもできる。

たとえばリモートワークの導入方法を教えてもらおうとすると、1社だけで講師を呼ぶのは難しい。複数社が参加してくれるなら費用を分担することもできるし、講師から見ればたくさんの方が参加してくれるなら大きな営業機会になるから、費用をゼロにしてもらうこともできるかもしれない。

また法律の変更や新しい助成制度など、そういった情報を組合全体で集めて共有することもできる。展示会に合同出展することで費用を抑えられるかもしれないし、旅館などの組合と連携して全国の旅館にグラスや食器を販売する機会を創出することもできるかもしれない。

 

組合に加入するためには、月5千円、年間6万円の組合費を支払うことになる。現在は67社が加入している。さらに助成金などもあり、それを合わせて組合の予算となる。

ここから事務局長の人件費や事務所家賃などを支払っている。

もしかしたらリモートワークを前提として、事務所を解約することもできるかもしれない。組合員とのコミュニケーションを図るために、時々組合員の事務所を訪問して働くことだってできるはず。

経費を抑えることができれば、別の試みに投資することもできるだろうし、効果があれば自身の給与の交渉だってできるはず。

さらに組合への入会勧誘をはじめてもいいかもしれない。ネット専業のガラス販売会社なども増えているように感じる。情報発信だって求められるはず。

とはいえ、まずは引き継ぎもないので、少しずつはじめていくしかない。東京都や団体中央会などの情報を見つけて組合員に共有したり、会議を開催することが基本となる。

どんな人がよいのだろう。

木村さんが次のように答えてくれた。

「前任の菊池さんは、大企業のサラリーマンをやっている人だった。身体的なプレッシャーが大きくてもたないから応募してきたんだけど、毎日の仕事に体と心がついていけない人には良いかもね。基本的には一人でできる仕事だし」

「うちの会社にも銀行で働いていた子は、一週間に3、4日、お酒を飲む機会があったみたいで。彼女は飲まないんだけどね。それにうんざりして入社したのに、何人かでごはんするときに、一生懸命酒ついでまわるから『木村硝子に来たら、そんな酒注ぐ必要ないよ』って言ったんだけど(笑) 染み付いちゃってんだよね」

そういう人なら少しは解放されるかもしれませんね。

「予算組んで、こんだけ利益出せ!とかはないわけだし」

働き方を見直したい方。「新しい協同組合」を考えてみたい方。ぜひご連絡ください。

(2020/7/1 取材 ナカムラケンタ)
※撮影時にはマスクを外していただいております。

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