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顔の見える人たちと
まちを耕す不動産屋さん

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

千葉県松戸市。

このまちに「omusubi不動産」という、少し変わった名前の不動産屋さんがあります。

入居者や地域の人たちと一緒に、田植えや稲刈りをしたり、飲み会やマルシェをひらいたり。顔の見える関係性を大事にしながら、さまざまなことに取り組んできました。

今年の春には、慣れ親しんだ松戸のまちを飛び出し、東京・下北沢にも進出。「BONUS TRACK」という施設の一角に2号店を構え、会員制のワークスペースとシェアキッチン、屋台スペースの企画運営もはじめています。

今回は不動産の営業担当を中心に、いくつかの職種で仲間を募ります。働く場所は、基本的には松戸本店になりそうです。

代表の殿塚さんは、omusubi不動産の取り組みを“まちを耕す仕事”と表現します。

「はい、じゃあまちづくりやりましょう。コンセプトができました、今すぐ仲良くなって何か起こしてくださいって、できないんですよね。人間関係の構築には、絶対に時間の積み重ねが必要で。だから、まちづくりは田んぼづくりとよく似ているんです」

地道だし、いいことばかりじゃない。でも積み重ねた先に、うれしい収穫が待っている。

そんな手触り感のある仕事だと思います。

 

omusubi不動産の最寄りは、新京成線のみのり台駅。

車通りの多い県道281号線に沿って歩く。大きな商業施設はないけれど、個人店の看板がちらほら見える。ゆったりした生活のまちという感じ。

途中で脇道に入り、少し進むと側面が茶色いタイル張りのマンションが見えてきた。1階がテナントになっており、本屋さんとアンティーク家具屋さんに挟まれるかたちでomusubi不動産の本店がある。

扉をひらくと代表の殿塚さんが迎えてくれた。

このあたりが地元という殿塚さん。中古マンションのリノベーション会社や企業のCSRプランナー、自給自足やDIYの暮らしを経て、松戸駅前のまちづくりプロジェクト「MAD City」に合流。不動産部門に携わったあと、2014年に独立してomusubi不動産を立ち上げた。

とはいえ、はじめは紹介できる物件もない状態。知り合いづてに輪を広げていったそう。

「最初は今事務所を構えているマンションのオーナーの赤城くん、今でこそよっちゃんって呼んでますけど、ちょっと知り合いだった彼を飲みに誘って。omusubi不動産っていうのをはじめたから、部屋を募集させてほしいと。そしたら赤城くんが人見知りなんですね。『ビール飲んでいい?』って2回も言われて(笑)。いいよ、ひとまず飲もうかって。そんなふうにはじまって」

DIY可能な物件や、古くて懐かしい物件など。個性的な物件を打ち出すと、反響があった。

マンションの一部屋を扱っていたのが複数部屋になり、一棟丸々借り受けるようになって。やがて住民同士の飲み会や小さなコミュニティも生まれるように。

個々の物件単位から、まち全体へと広がるような動きも出てきた。

「アルス・エレクトロニカってわかりますかね。オーストリアのリンツを拠点に、最先端のメディアアートを使ってさまざまなことを展開している団体なんですけど。その人たちとうちの入居者さんがたまたま仲よくて、一緒に芸術祭をやることになり、松戸市にプレゼンして。ダメもとだったものの、ちゃんと予算をつけていただいたんですよ」

重要文化財である戸定邸を舞台に、国内外のアーティストを集めて開かれた「科学と芸術の丘」。

作品の展示だけでなく、トークやワークショップも開催。omusubi不動産はマルシェスペースを中心に、全体の企画運営を担当した。

「地域のお店に出店してもらったり、通訳が必要なときは留学経験のある看護師の人に頼んだり、教員免許持ってる画家の女の子に子どもたちのワークショップをお願いしたり。そういうことをひとつずつ考えてやっていく」

「ぼくらはよくイベントをやるんですけど、こういう形を“自給自足できるまち”って喩えていて」

自給自足できるまち。

「顔が見えてスキルがわかると、その人の適材適所がわかる。で、何か一緒にやる。そうやってまちに自分の役割を持てる人が増えていけば、みんな居心地よく、安心して暮らせるんじゃないかっていう仮説を立てて。その実現のためにずっと活動している感覚があります」

殿塚さんは代々自営業の家系で、おじいさんも不動産屋をやっていたそう。

「べらんめえな江戸っ子だった」おじいさんも、仕事のない人がいるとよく知り合いに紹介していた。もっとさかのぼれば、江戸時代の不動産屋である家守の仕事は、個別の建物の管理というより、地域のつなぎ役や駆け込み寺のようなものだったそうだ。

取材中にも、お土産片手にひょっこり現れ、立ち話をしていく入居者さんがいた。

あれ、不動産屋さんってこんなに身近だったっけ。イメージが少しずつ変わっていくのを感じる。

「さっきの方はお子さんが4人いて。夏休みの宿題で、omusubi不動産からはじまってまちのことを書く、みたいなテーマで話を聞きに来てくれたこともありましたね。なんかすごい、そういうのもうれしいなって思います」

顔の見える関係性からつながってゆく。それは仕事のあり方だけでなく、一緒に働く人にも言えること。

これまではもともとの知り合いや人の紹介でスタッフになる人がほとんどだった。立ち上げから7年目を迎え、会社としての規模も、取り組みの幅も広がってきたため、今回募集をかけることに。

とくに求めているのは営業担当だという。

「賃貸部門は未経験でもいいです。アパレルやってました、メディアで働いてましたって方でも。不動産屋さんじゃない目線を持ち込んでもらったほうが、新しく発想も広がると思うので」

「売買については経験を求めます。でも、バリバリやってきて数字を追うのが好きですって人には、ちょっとうちは合わないかな。それよりもお客さんのことをずーっと考えられる人がいい。そこからいろんなアイデアや工夫が生まれてくると思います」

 

殿塚さんと話していると、気軽にチャレンジできそうな気がしてくる。

でも実際のところどうなんだろう? 営業担当の市川さんに尋ねてみた。

「ぼくも正直、最初はコミュニティづくりとかに興味があって、ふわふわした感じで入ってきたんです。でも働いてみたら、思ってたより超しっかりした不動産屋だな、というか。当たり前のことかもしれないですけど」

ユニークな部分も多いものの、不動産の知識や経験が求められることも当然ある。今は「バリバリ売るぞ」という気持ちが強いとのこと。

なるほど、働くうちに気持ちの変化があったみたい。そもそもどんなふうに“ふわふわした感じ”で入社することになったのか、少しさかのぼって聞かせてもらった。

以前はハウスメーカーでクレーム対応を担当していた市川さん。

寄せられる声に違和感を感じることが多かったという。

「ちょっとここに不具合があるから見て、っていう感じで、家と買った方の関わりが薄いような気がして。ぼく個人の感覚ですけど、“家という商品”を買うっていうイメージの方が多いんだなって。それはもったいないんじゃないかなって思いながら仕事をしていました」

プライベートでも、当時好きでよく通っていた古民家コミュニティの取り壊しが決まり、なんだか寂しく感じていた。

そんなタイミングでたまたま殿塚さんがゲストのイベントに参加したのをきっかけに、徐々にomusubi不動産の活動に関わるようになっていった。

「インターンとして入らせてもらって、最初は自社物件の壁をひたすら白く塗るのが仕事でした。DIYはできるほうだと思っていたんですけど、だんだんできないのがバレてきて(笑)。いろいろやりながらできることが増えていった感じですね」

賃貸の営業から経験を積んで、3年ほど経った今では売買も担当。

週あたりに案内する数は、だいたい3〜5件。その合間に、空き物件の情報を調べて仕入れたり、入退居の手続きを進めたり、内覧会やワークショップの企画運営なども行っている。

「ぼくは案内の時間が長めで。最初は怒られるくらい時間をかけてました。つい途中で寄り道とかしちゃって」

寄り道しちゃうんですね。

「部屋だけというよりかは、まちを案内したくて。お気に入りのパン屋さんだったり、お隣のsmokebooksさんに立ち寄ったら、お客さんも『めっちゃいい本屋だ!』って言って30分滞在したり。それぞれの方に合わせて、強弱つけながら案内していますね」

住まいやオフィスを構えることは、そのまちで暮らし、働くということ。

賃貸ならともかく、売買はお客さんにとって大きな決断になる。その気持ちに寄り添いたいと思ったら、案内の時間が長くなるのは自然なことかもしれない。

 

「omusubiのお客さんは、暮らしのイメージを伝えてくれる方が多いですね」

そう話すのは、松戸本店マネージャーの若林さん。

「こういう活動をしていて、こんなことがやりたいんだって話してくれる。そうすると、あ、応援したいなって思うんです」

応援したい。

「会社としてそれで売り上げをつくっているんだけど、応援しているっていう感覚がすごくあって。個人のノルマ設定もないので、それこそノルマを達成するために、お客さんの希望とは違う物件を契約しちゃったり、っていうことはないかな」

数字で管理されることはないし、社内のルールも明確に定まっていないことが多い。

それは裏返せば、常に自分の頭で考えて動くことが求められる環境であるということだ。ある意味とても難しいことではあるものの、正直に、そして自由に働くことができる。若林さんの場合は自分のライフスタイルを考えて、正社員でありながら週4日勤務で働いているという。

「個人でパフォーマンスを発揮して、インセンティブがほしいって人にはたぶん合わないと思う」と殿塚さん。

「うちは営業より、企画や広報の人間が多いんですよ。その人たちの活動のおかげで周知されることで、不動産屋なのに『ファンです』って言っていただけることがあって。すごくうれしいし、結果的にそれは不動産の利益にもつながってるはずなんです」

イベントやワークショップだけでなく、まちで日々起こることを伝えるメディアも運営しているomusubi不動産。そのどれもが“まちを耕す”ことにつながっているから、一つひとつの価値をお金に換えて考えるのは難しい。

マネージャーとして、しっかりと売り上げを立てつつチームで働く方法を考えてきた若林さん。今回募集する店長候補の人には、一緒にチームづくりのことも考えてもらいたいという。

どんな人と働きたいですか。

「なんか、どんな人でもいいかなと思っていて。その人のままで働ける場所にできたらいいなと思うんです。“不動産屋さん”のスタイルに当てはめないで、ひとりの人として一緒に働く人とも、お客さんとも関わりたいなって」

話していて、等身大という言葉の似合うみなさんだなと思いました。自分を大きく見せることなく、小さく恐縮することもなく。そこにいてくれる安心感がある。

土の合う人が仲間に加わってくれたら、ぼくもうれしいです。

(2020/8/20 取材 中川晃輔)
※撮影時にはマスクを外していただいております。

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