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温泉街をアップデートする
ベンチャー企業のような旅館

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

長野県の北部、湯田中渋温泉郷に、「あぶらや燈千」という旅館があります。

「笑顔をわかちあう」を企業理念に、旅館業の基本である居心地の良い接客を大切にしながら、ベンチャー企業のようなスピード感で新たな事業にも挑戦していく。常にアップデートを重ねてきた旅館です。

客室の大幅なリニューアルやクラフトビール工場併設の日帰り複合施設の建設など、今後もいろいろと計画しているそう。今回は、事業拡大に伴ってマネージャー・支配人を募集します。

経験の有無は問いません。会社の理念やビジョンに沿って変化を楽しみ、スピード感を持って動くことのできる人に向いている仕事だと思います。

長野駅から特急スノーモンキー号で1時間弱。須坂、小布施を通り過ぎ、終点の湯田中駅に到着した。

駅前には「歓迎」と書かれた看板が立っていて、温泉地らしい風情を感じる。

開湯1300年の歴史を持つ湯田中渋温泉郷。湯田中、渋を筆頭に、9つの温泉が集まる。まちなかには無料の公衆浴場もいくつかあり、住民にとっては温泉が生活の一部になっている。

あぶらや燈千は、駅からみて川を挟んだ向こう側にある。橋を渡り、見頃を迎えた桜並木を歩いていくと、2人のスタッフの方が手を振っている。ちょうどチェックアウトのお客さまを見送るタイミングみたいだ。

川沿いの長い一本道を車が曲がって見えなくなるまで、おふたりはずっと手を振り続けていた。

館内でまず迎えてくれたのは、代表の湯本さん。

さっぱりとした話しぶりが印象的な方。2017年に経営を継いでからも、その決断力と行動力で新しいことにどんどん挑戦してきた。

まずは、あぶらや燈千の成り立ちから聞かせてもらうことに。

「あぶらやは祖父がはじめた会社で、創業55年になります。はじめは名前の通り、なたね油を売っていました。だけど、高度経済成長とともに安価な油が大量に出回り、事業が立ちゆかなくなってしまって」

そこで湯本さんのおじいさんは、近隣住民や親戚から資金の協力を得て温泉の掘削工事を行い、「ホテルあぶらや」をオープン。この温泉郷のなかでは、比較的新しい宿だった。

「事業転換後は、長らく団体旅館として営業していました。2002年、露天風呂付き客室棟の増築をきっかけに『あぶらや燈千』に名前を変え、リニューアルオープンして。私もちょうどその頃入社したんです」

「露天風呂付き客室は当時、全国でも珍しく、想像以上にたくさんのお客さまがいらっしゃってくれたんです。ただ、団体のお客さまと露天風呂付き客室を求めるお客さまという、ニーズの異なる客層が入り混じることの不都合も起こりはじめて」

そこで、露天風呂付き客室の宿泊客向けに専用ラウンジを設置。2018年には、宿の玄関口にあたるロビーフロアを大幅に改装するなど、さまざまなお客さまが心地よく滞在できるように工夫を重ねてきた。

「常にお客さまに驚きと感動を提供したいと思っているんです。常連のお客さまからは『またここ変わったね』と驚いていただくことも多くて」

2016年に完成したルーフトップバーは、湯本さんが構想から10年を経て実現させた施設のひとつ。

「2006年にバンコクのルーフトップバーを訪れて衝撃を受けたんです。『これを絶対にうちでもやりたい!』と思いました」

湯田中渋温泉郷を有する長野県北部の山ノ内町は、温泉に入る野生の猿“スノーモンキー”で知られる地獄谷野猿公苑やスキーヤーの集う志賀高原など、観光資源の多いまち。

ただ、冬場は宿泊客がおらず、閑散としてしまうのが課題だった。

「この町には外国人観光客が多くいらっしゃいますが、夜楽しめる観光スポットがなくて。昼間にスノーモンキーを見て、近隣の白馬や野沢温泉村に移動されるお客さまが増えてきました」

「だから、ルーフトップバーは、この地域に観光客が滞在する理由になると思ったんです」

雪が降ると、ループトップバーは灯をともしたかまくらのような見た目になる。その様子がSNSを通じて話題を呼び、インバウンドのみならず国内からも、バーを目的に宿泊するお客さまが増えたという。

宿泊+αの要素を取り入れることで、流動的だった観光客が町に滞留するきっかけをつくる。

こんなふうに、あぶらや燈千では、旅館に泊まるお客さまだけでなく、町や業界全体を俯瞰する視点も大切にしている。

現在は3つの事業を同時に進めているという。

「ひとつは、今年8月に露天風呂客室をリニューアルオープンします。これまで8室あった部屋をドッキングして4室につくり変えるんです。露天風呂に加えてプライベートロウリュウサウナを付け、さらに部屋食ができるようにし、料理人が客室で料理提供する仕様にしようと思って」

「来年の春には、本館の隣に複合施設の建設も控えています。見学型のクラフトビール工場をはじめ、ご当地バーガーやスイーツ、ワーケーション、日帰り貸し切り温泉を楽しめる施設にしたい。2023年には高級ヴィラ建設のプロジェクトも始まっています」

大きな事業を、いくつも同時進行で!

「こんなにも新しい事業に取り組むのは、コロナ禍のピンチをチャンスに変えるため。さらに、従業員の働きやすい環境を整えたいという思いがあるんです」

どんな働き方でしょうか?

「たとえば“中抜け”という制度は、スタッフの定着率低下の原因のひとつだと考えます。午前中に数時間働いて、お昼から4時間の休憩をはさんでまた夕方から夜まで働く。この勤務体系は、心理的に拘束時間が長いし、体も休まらないですよね」

また、地域内にランチ営業のお店が少ないため、新たに施設をつくることで地元の人にも喜んでもらえるし、子育て中のお母さんや学生さんなどの雇用も生み出せる。コロナ禍を通じて生まれた新しい需要に応えていくことにもなるかもしれない。

「需要があまりないところをあえてつくりにいくという感じです。大変だけど、まちの外からも注目してもらえるような施設をつくっていきたいですね」

今回の募集では、ゆくゆくはマネージャーや支配人として、湯本さんと同じ視点に立って組織や事業について一緒につくっていける人に来てもらいたい。

「スキルうんぬんではなく、理念やビジョンに共感していることが第一優先ですね。宿泊業の経験はなくてもいいですし、異業種の方でも全然オッケーです」

ビジョンについて、もう少し詳しく聞きたいです。

「私たちのビジョンは『make delightful journey』です。お客さまの喜びあふれる旅、そして私たち自身の喜びあふれる人生の旅をつくるという意味を込めています。そのためには旅館だけでなく、複合施設やレストラン、ブライダル、体験型ツアーなど、食と観光を通じた多角化展開が欠かせません。なので、そこを一緒に頑張ってくれる人がいいですね」

今は若手のスタッフが多く、湯本さんが現場も全体的に見ている状態。ある程度のマネジメント経験のある人が加わると、組織としてのバランスもよくなりそう。

「たとえば支配人を目指すなら、まずは1年くらい現場スタッフとして入ってもらうことを想定しています。その人が何をしたいか、どうなりたいかに応じて考えていきたいですね」

これまでも、役割に人をあてるというより、人に合わせて役割をつくってきたという湯本さん。新しく入る人も、自分を型にはめることなく、柔軟に挑戦できる人だといい。

実際、現場で働いているのはどんな人たちだろう?

入社して1年半ほどになる予約担当の柴草さんにも話を聞いた。

もともと化粧品の販売をしていた柴草さんは、旅館の接客に興味があり入社を決めたそう。

メインの業務である予約担当のほかにも、社内の人材育成委員会の活動に参加したり、商品開発に携わったりと、部署をまたいで活躍。新規事業にも携わっている。

「ここは自由度が高い分、どんどん新しい挑戦をしていくんです。それが大変なところでもあり、楽しいところでもあるんですよね」

自由度が高いって、たとえばどういうことですか?

「実は私、当初は仲居とフロントの兼務で入社したんです。ところが実際に料理の配膳をやってみると、向いていないかもしれないと不安を覚えて。そんなときに『ちょっと大変かもしれないけど、予約担当をやってみる?』と社長が提案してくれて、部署異動をしたんです」

本来予約担当は、館内の設備やサービスなどを一通り把握した3年目以降のスタッフが就く部署なのだという。

湯本さんのことを、本質的な部分を見抜くことに長けている人、と柴草さんは言う。

型にはめず、進みながら軌道修正していく。そんな柔軟さも、事業展開のテンポのよさに通じるのかもしれない。

今回募集する人は、柴草さんと一緒に働く機会も多そう。どんな人と働きたいですか?

「積極性があって明るい方がいいですね。スタッフと接するなかで、元気を与えてくれるような存在になってもらえるとうれしいです」

チェックアウトの対応を終え、途中から合流した山田さんにも話を聞く。

宮崎県出身の山田さん。ホテルマンを養成する専門学校に通っていた。

そこからホテルではなく旅館に就職する人はかなり珍しいそうだ。

「東京で開催された合同説明会で社長の話を聞き、ここにしかないルーフトップバーと、仲居とフロントのマルチタスクに魅力を感じました。いろんなホテルの話も聞いたなかで、ここに一番惹かれて、志望をホテルから旅館に変えたんです」

ここでの生活はどうですか?

「はじめ洋服を薄いものしか持ってなくて大変でした! いまだに寒さには慣れてないんですけどね。宮崎とは食文化も違うし、会話のなかで方言が出てくると噛み合わないこともあるんですけど、それはそれで楽しんでいます(笑)」

山田さんは笑顔と丁寧な接客が好評で、お客さまのアンケートでも名前がよく上がるそう。

「以前、仲居で担当についたお客さまで『シェフと結婚したい!』と料理を褒めてくださった方がいたんです。お客さまとシェフを引き合わせたらとても喜んでくださり、リピートしてくださって。私の名前を覚えてくださったのは、その方が初めてだったのでうれしかったです」

取材中、柴草さんと山田さんが終始、楽しそうな表情で仕事について話す姿が印象的でした。ふたりとも本当に仕事が好きなんだなあ。

「ここは、どんどん自分で考えて自分でつくっていく会社です。自分の好きにやらせてもらえることってなかなかないと思うんです。それがこの会社の楽しいところであり、やりがいで、大変なところでもあると思います」と柴草さん。

将来的には多角化展開として、拠点を増やしたり、M&Aを通じてまったく異業界への参入も検討しているのだそう。

ルーティーンワークとしてこなすのではなく、課題を見つけて、より良くしていく。

自分で考え、自ら動く心地よさが浸透している会社なのだと思いました。

(2021/4/13 取材 ナカノヒトミ)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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