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副業・リモート・3ヶ月で
地域につながる扉をひらく

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

移住したり、地元に帰ったりした知り合いが、それぞれの土地でがんばっている。

その様子をSNSで見ながら、「いいなあ」とか、「自分に何ができるだろう…」と、悶々としている人もいると思います。

なかなか思うように移動もできない昨今。まずはリモートで3ヶ月間、副業で地域課題に向き合うことから、新しい一歩を踏み出すのもいいかもしれません。

長野県塩尻市ではじまっている関係人口創出の取り組み「MEGURUプロジェクト」。今回はこれに参画する人を募集します。

参加者は、4つのテーマから希望するものを選んで関わることになります。全国どこからでも応募可能で、経験は問いません。海外から関わることもできます。

以前から塩尻に興味があったという人も、地域に関わる機会やフィールドを探している人も。いいきっかけになると思います。

(取材はオンラインで行いました。写真は提供いただいたものを使用しています)

 

MEGURUプロジェクトの募集は今回で2回目。昨年は大きな反響があった。

それを受けて、まちとしてもこの1年で動きがあったようだ。塩尻市役所の山田さんに話を聞いてみる。

「2015年からはじまった塩尻市の第5次総合計画、その施策のひとつにMEGURUプロジェクトが今年度から位置づけられました。本格的に仕組み化していく、挑戦の1年と捉えています」

これまでも、大企業のリーダー人材育成と地域課題解決を目指した官民協働プログラム「MICHIKARA」や、地域で何かはじめたい人を後押しするシビック・イノベーション拠点「スナバ」などを通じて、まちとの多様な関わりをつくってきた塩尻。

MEGURUプロジェクトは、その関わりしろをさらに広げていく。リモートが基本なので全国どこからでも参加できるし、副業で3ヶ月間という期間限定のため、会社勤めをしながらでも、フリーランスでも関わることができる。

「コロナ禍でリモートが普及していることや、人が100歳まで生きるようになっていくこと。今って、わたしたちの生き方とか関わり方、暮らし方を考えていく過渡期なんでしょうね」

「いずれまたリアルな人の流れが戻ってきたときに、今まで通りたくさんの人を集めるのではなく、どう地域との関係性を築いていけるかが問われると思っていて。今回挙がっているテーマは、どれもその問いに向き合っていくおもしろさがあると思います」

テーマは4つ。

ANAと連携して進めているアーティストインレジデンスを、いかに地域に根づいた持続的なものにしていくか。

漆器の産地として知られ、宿場町の面影を残す木曽平沢地区に今年オープンした交流拠点「日々別荘」を舞台に、どんな中長期の滞在コンテンツをつくっていくか。

塩尻駅前にある観光センターの売店をどうリバイバルするか。

そして、塩尻の関係人口ネットワークをいかに可視化し、より多様な関わりを築いていけるか。

それぞれのテーマには、事業の当事者である“テーマオーナー”がいる。

そこに塩尻市のみなさんやオンラインサロン「塩尻CxO Lab」のメンバーが加わり、壁打ちを繰り返しながら課題を抽出。テーマの背景や副業人材に求めたい要件、3ヶ月で達成したいことなどを“仕様書”にまとめ、募集する形をとっている。

 

3つのテーマのうち、観光センター売店のリバイバルプロジェクトのテーマオーナーとなっているのが、塩尻市観光協会の鳥羽さんだ。

昨年まで売店を運営していた会社が撤退したことを受けて、今は観光協会が引き継いで営業している。

「我々の強みは、さまざまな協会員のみなさんとのつながりだと思っていて。それこそB級グルメの山賊焼の冷凍商品とか、季節の農産物。ぶどうだったり桃だったり。あとは金型のメーカーさんのゴルフティーなんかも置いています」

まちの代名詞となるような地場産業や伝統工芸と同時に、一般にはまだ知られていないものや、新しく生まれたものを発掘し、光を当てていくことで、まちにいい流れが生まれることもあると思う。

「ただ売上をあげていくのではなく、駅前という立地も活かしながら、地域の情報発信や玄関口としての役割も考えていきたいですね」

今は鳥羽さん自身、観光協会の別業務があったり、現場のスタッフも目の前の仕事が忙しかったりと、先々を見据える余裕を持てていないのが現状。今回副業人材を募集することで、その時間を意識的につくっていきたいという。

「仕様書を作成する過程でも、みなさんいろんなアイデアを出してくださって。日々ワクワクしています。一方で、ちょっと混乱しているところもあって。一緒に情報を整理しながら、形にしていくのを手伝ってくれる人が来てほしいですね」

 

そんな鳥羽さんに伴走してきたのが、昨年からMEGURUプロジェクトに参画している田村さん。

佐賀県の唐津市出身で、現在は都内の人材会社に勤務。フルタイムで働きながら、塩尻CxO Labのメンバーとして仕様書作成などに携わっている。

背景に映っているのは、昨年田村さんが携わったプロジェクトのもの。ワインの味わいを可視化するツールWaiNariを活用して、塩尻のワインの魅力を広めていく取り組みだった。

「もともとワインが好きで、資格も持っていて。人のご縁もあって塩尻に関わりはじめてから、どんどん沼にハマっていきました(笑)」

プロジェクトの3ヶ月を過ぎた今も、Instagramの「SHIOJIRI WINE CIRCLE(塩尻ワインサークル)」というアカウントの運営やサークル主催のオンラインイベント運営に携わるなど、関わりは続いているという。

今回募集する人と田村さんが違うのは、塩尻CxO Labのメンバーであるということ。副業は報酬が発生するけれど、CxO Labは有料のオンラインサロンなので、会費を払ったうえで参画していることになる。

フルタイムで働きながら何かに取り組むのって、ただでさえ大変だと思うのですが…。田村さんがこのプロジェクトに関わり続けるモチベーションって、なんなのでしょう?

「ワインの知識を高められたり、自分の考えをアウトプットするいい機会になったり。自分自身の成長につながっている実感があるんだと思います。あとは、横のつながりから学べることも多くて」

横のつながり?

「ラボのメンバーや、副業で関わっている方々ですね。みなさん、さまざまな経験や知識をもとにして、アイデアを出しながらプロジェクトを動かされていくんです。そこでの学びは代え難いものになっているなと感じます」

意見の投げかけ方や、仕事の進め方など。普段はなかなか接点のない人たちとの出会いから得られることはたくさんありそう。

 

都内のIT企業で、スタートアップや大企業の新規事業開発をサポートしている井上さんも、田村さんが多くを学んでいるというCxO Labのメンバーのひとり。

昨年はワーケーション、今年はアーティストインレジデンスのテーマで参画している。

「ぼくもボランティアというか、好きでやっているんです。これまでは仕事とか趣味とか、時間で区切っていて。今は24時間、何かしら塩尻のことに結びつけようと脳が動いているような感覚ですね」

じつは井上さん、昨年からテーマオーナーとは一度も対面で会っていないという。

オンラインで進めていくむずかしさは、とくに感じないですか?

「もちろん、話すときには時間を合わせたり、相手に配慮したりする必要はありますが、じゅうぶんに成り立っていると思います。Slackで自分の担当以外のチャンネルも見られるので、コメントを書いたり、いろんな打ち合わせに参加したり」

「大前提として、みんな『何かしたい』って意志を持って集まっているので、自分からコミュニケーションをとろうとする人が多いんだと思います。そこが一番のポイントなんじゃないかな」

田村さんにとってのワインのような、これ!というものがあったわけではなく、何か地域に関わるきっかけを探していた井上さん。今年、アーティストインレジデンスのテーマを選んだのも、馴染みがないぶん、挑戦しがいがありそうだったからとのこと。

応募するのに、特別なスキルも、もっともらしい動機もなくていいのかもしれない。

「頭で考えるより先に体が動く人がいいと思います。スキルがなくても、こじつけでもいいから、直感を信じて飛び込んでほしいですね」

 

最後に話を聞いた椹木(さわらぎ)さんの関わり方は、少しイレギュラー。

なんでも、半分テーマオーナー、半分副業人材のような形だとか。どういうことだろう?

「通っていた経営大学院で、塩尻のイベントに参加したんです。そこから派生して、昨年2月にフィールドワークに行く機会があって。そこで出会ったのが、今も関わっている大河内家具工房という木曽漆器の工房でした」

有志で経営支援をしていく動きが立ち上がり、椹木さんもそこに参画。

やがてMEGURUプロジェクトがはじまり、仕様書を作成していくなかで、より深く関わりたいと自ら手を挙げ、副業で関わるようになったそうだ。

当初のテーマは、多能工人材の育成。ただ、少し引っかかっていたことがあったという。

「自分たちで仕様書をつくっておきながら、『大河内家具工房が目指す一丁目一番地は、果たして本当に職人さんの育成なのか?』という疑問もあって。2度ほど工房に足を運び、現場の様子や経営の数字も見させてもらうなかで、人材育成の前にやることがありそうだと」

それは、事業構造の転換。

コロナ禍の影響もあり、売り上げが伸び悩むなか、採算の合う仕事をシビアにとっていかなければ、人を育てる前に会社が潰れてしまう。今は経営改善の具体的なプランを立てて、一つずつ実行しているところだという。

「社長のパーソナリティや、つくっているプロダクトがすばらしいから支えたい、という気持ちもありますが、なんだかんだ自己実現の部分も大きいと思っていて」

自己実現。

「地域の活性化は、その地域に根ざした企業が元気になることだって常々考えてまして。そこに一石投じたい、自分も何か担いたいと思っていたのがひとつ。あとはぼく、今40代ですけど、長い目で見たときに経営者をやりたいと思っていて。そういった視点で、経験を積めることがインセンティブになっているんです」

自分から関わりたいというモチベーションがあることで、関係性は3ヶ月間にとどまらず続いていくし、結果的に相手のためにもなっていく。

「やりたいっていう想いだけで来ていただくのも全然ありなのかなと思っていて。その姿勢が伝わったから、ぼくと大河内さんとの間にも信頼関係ができて、経営の数字のような内部の情報まで開示してくれたんだと思うんです。やっぱりwantを大切にしてほしいですね」

何ができるか以上に、自分はどうしたいか、何を求めるのか。

みなさんそれぞれの言葉で、そんなふうに語ってくれたことが印象的でした。

それぞれのテーマの詳細は、募集要項内の仕様書のリンクから閲覧できます。自分が今考えていること、感じていることと照らしながら読んでみてください。

(2021/8/18 取材 中川晃輔)

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