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子どもも親も
まるごと受け止める
まちなかの保育園は、温かい

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「子どもはひとりの人なんです。ここで働く人は、“子ども好き”でもなくていい。多種多様な “人”に興味があって、対話をしたり一緒に学んだりするのが好きな人がいいなと思います」

そう話すのは、株式会社ピクニックルーム代表の後藤さん。

横浜の関内エリアで、保育施設をはじめ、小・中・高校生向けの放課後スクール、保護者向けのカウンセリングの場などを運営しています。

今回募集するのは、保育スタッフ。

保育士免許はなくても大丈夫です。地域のクリエイターと連携したワークショップの企画や、保護者のキャリア相談など、幅広い仕事に取り組むので、固定概念を持たずに挑戦できる人を求めています。

あわせて、放課後スクール、いわゆる学童のスタッフも募集します。



横浜駅からJRや市営地下鉄で5分ほどの関内駅。横浜スタジアムの最寄り駅で、オフィスや飲食店も多い繁華街だ。

ピクニックルームが運営する保育園「ピクニックナーサリー」があるのは、両隣を飲食店に挟まれた少し古いビル。一見、保育園が入っているとは思えない。

5階の一室を訪れると、賑やかな子どもたちの声が飛び込んできた。ちょうど給食が終わったところで、後片付けや着替えで忙しそう。

「落ち着いて話ができるように」と近所にある放課後スクールの拠点に移動して、代表の後藤さんに話を聞いた。

もともと、映像制作のプロデューサーとして働いていた後藤さん。15年ほど前、市のクリエイター誘致施策をきっかけに横浜に移り住み、その後関内にきた。

転機となったのは、知り合いに誘われて企画参加したミュージカル。地域の子どもたちが演者となるもので、後藤さんのお子さんも参加した。

これがはじめて手がけた子ども向けの事業だったという。

「関内って、まったく地域性のないオフィス街で、混沌とした雰囲気じゃないですか。一見全然子育てに適していない街なんですけど、タワーマンションがどんどん建って、子どもが増え続けているんです」

「こういう土地で、子どもとその家族が安心して住まうためにはどうしたらいいのか。道路やビルは変えられなくても、保育事業者やまちの人たちが手をつなぐことで、もっと安心できる環境をつくれるんじゃないかって、自分も子育てをするなかで感じていました」

長野県出身の後藤さん。親が帰ってくるまで近所の家で待たせてもらったり、神社の裏に集まって遊んだり。

当時の田舎や郊外のまちには、子どもが安心して過ごせる場がたくさんあった。

「今、この都会のビルのなかで保育園をやってみたら、きっとおもしろい挑戦になると思いました。安心できる環境や地域性を、自分たちの手でつくっていきたいんです」

周囲の協力や後押しもあり、2017年に認可外保育施設のピクニックナーサリーを開所。今は0歳から3歳まで、合計12名の子どもたちが通っている。

特徴的なのは、さまざまな事業者と連携したカリキュラム。

同じビルに入居するクリエイターさんに工作のワークショップを開いてもらったり、節分の季節にはアトリエをまわって豆まきをしたり。お散歩の時間に、公園で開かれているまちづくりのイベントに遊びに行ったこともある。

「子どもはひとりの“人”なので、大人にも通用するような、納得のいくクオリティのものがいいと思っていて。その点、近くにクリエイターさんがたくさんいるのは、非常にありがたいです」

積極的に外部と関わりを持ちながらも、何より大切にしているのは、日々の保護者との対話。

子どもの様子を伝えたり、育児の相談に乗ったりするだけでなく、本人のキャリアや家庭環境まで踏み込んで話を聞くこともあるという。

たとえばコロナ禍の緊急事態宣言下では、自宅で面倒を見るのがむずかしそうだと感じた家庭にはどんどん声をかけ、園で預かった。それぞれの親の仕事内容や性格までわかっているから、できる対応だと思う。

「親や家庭の事情までまるっと受け止めて、必要なときにいつでも頼れるサードプレイスになりたくて。それが結果的に、子ども自身をよりよく育むことにつながると思います」

「0歳から2歳くらいの時期は、わたしも子育てが大変でした。子どもの発達や成長について気軽に相談できて、無理しなくていいよって言ってくれる場所がまちにひとつあったら、もっと子育てがしやすくなると思いませんか?」

頼ってもらえる場所であるために、後藤さんは地域でさまざまなことに取り組む。

子どもの通う学校のPTA役員や地域の主任児童委員(民生委員)、商店街の振興会など。そこで得た情報やつながりがあるからこそ、あらゆる相談に応えることができるし、子どもや保護者に多角的な視点をもって接することができる。

「目指しているのは、0歳から大学生まで、ずっと子育てに伴走できる企業です」

保育園や放課後スクールの運営に加え、今後は幼稚園をつくる計画も。スクールでアルバイトをする大学生の進路相談に乗ることもある。

「幅広い年齢を対象とするためには、自分たちの力だけでは絶対に足りません。だからわたしたちはハブとなって、地域の事業者と子どもたち、親御さんたちを結びつける役割でありたいと思っています」

「それに、親でも保育士でもない大人と関わることで、子どもの興味関心は広がっていく。わたしたちが信頼できる大人をどんどん子どもと出会わせてあげることで、将来社会に出るためのより良い学びにつながるんです」

小規模とはいえ、地域の人たちとの交流や、ワークショップやイベントの企画・運営、保護者の相談対応やカウンセリングなど、スタッフが担う仕事は幅広い。もちろん、目の前の子どもと向き合うことも何より大切な仕事だ。



実際に働く人たちは、日々の仕事をどう感じているんだろう?

話を聞いたのは、主任を務める中野さん。

「わたし、型にはまるのがあまり好きじゃなくて。だから、ここの保育園は合っていると思っています」

短大を卒業後、一度社会を見てみたいと一般企業で4年働いたのち、保育士に。

もともとは近所の園で施設長を務めていたものの、後藤さんの保育への姿勢に惹かれ、約1年前にピクニックナーサリーへ来た。

「子どもを一個人として捉えて関わっていく姿とか、保護者に寄り添っていろいろな支援ができることとか。わたしが求めている保育園のあり方と似ているなと思いました」

「認可の保育園ではなかなかできないことに、日々取り組めている実感があります」

認可園の場合、自治体の条例や安全上の理由から、活動内容に制限があることも。公立と私立の学校の違いと近いイメージかもしれない。

もちろん安全は第一に考えながらも、中野さんたちは創意工夫しながら、いろんな体験の場をつくることに挑戦し続けている。

「この前も、スクールで使う椅子をマスキングテープでデコレーションするっていう企画があって。普通は怒られちゃうようなことをやらせてもらえて、子どもたちがすごくワクワクしているのを感じました」

先生たち自身がワークショップを企画することも。

たとえばハロウィンのときは、横浜公園に出向いて「逃げた魔女をみんなで探してお菓子をもらおう!」というイベントを企画。クリスマスには、先生が用意した楽器と、子どもたちの手づくりの楽器で演奏会をしたそう。

「ワークショップをやるごとに、自分の価値観もどんどん変わっていくし、いい経験になっているなあと感じます。どうすれば子どもたちがもっと喜んでくれるかって常に考えますし、やっていると自分自身もすごく楽しい」

「子どもは保育士のことをすごく見ているので。『自分が楽しくなければ、子どもも楽しくない』というのが、保育士になったときからのモットーです」

自分でできることがまだ少ない0〜2歳児にも、「この子たちには危ない」と考えるのではなく、「どうすればできるか?」という発想でまず考える。

ほかの先生たちともアイデアを出し合って、みんなで形にしていこう、という空気感があるそう。

「意見がぶつかることももちろんあるけれど、子どものためを思っているのはみんな同じ。なんでそれをやりたいのか、子どもにとってどうなのか、とことん話し合って一番いい方法を見つけていくことが大事だと思っています。新人の先生にも、どんどん恐れずに提案してほしいですね」



保育園で働くスタッフには、自身の子どもや孫と一緒にピクニックナーサリーやスクールに通っている人もいる。

中野さんもそのうちの一人で、近くの幼稚園に通う娘さんがスクールを利用しているそう。
スクールのスタッフが幼稚園のお迎えにも行ってくれるらしいから、家族ぐるみで信頼関係が築かれているんだなあと思う。

次に紹介する菊池さんは、もともとは保育園を利用する保護者の一人だった。

新卒から5年間保育士として働いていた菊池さん。その後転職し、会社員として働いていたときに、子どもを預けることになった。

「人見知りの息子が、はじめて見学に来たときからすごくリラックスして遊んでいたのがとても印象的でした。預けはじめてからも、先生たちにたくさん悩みを聞いてもらって、すごく支えてもらいました」

「前に保育園で働いていたとき、クラスをまとめようと必死で、子ども一人ひとりとあまり向き合えなかったっていう後悔があって。ピクニックナーサリーの先生たちと接するうちに、ここでもう一度保育士に挑戦したいという気持ちが湧いてきました」

自分がしてもらったように、保護者と関わっていきたい。日頃から心がけているのは、たくさん話を聞いて、寄り添うこと。

「たとえば、お母さんから『あまりご飯を食べないんです』って話が出たときに、『◯◯したらどうですか?』ってアドバイスをしがち。でもみなさん、そういうことはある程度自分で調べて知っているんです」

「それでもなお話してくれるんだから、きっとほかの言葉がほしいんだろうなって考えて。アドバイスじゃなくて、『園ではすごくがんばって食べていますよ。お母さんだから甘えているんですよ』って、言えるような保育士でありたいなと思っています」

働く親御さんたちが、「がんばらなきゃ」ではなく、「悩んでいる」「疲れた」と素直な気持ちをこぼせる保育園でありたいと、菊池さんは話していた。

取材前にホームページを見ているときは、クリエイティブな活動がある個性的な保育園だなあと感じていました。

話を聞いていくうちに、子どもや保護者と真摯に向き合い、悩みもつらさも含めて受け止める、温かな居場所なんだという印象が強くなっていきました。

日々、人と向き合い続ける仕事だから、大変な部分もあるかもしれない。

でも、そんな気持ちも含めて、まるごと受け入れてくれる場所だと思います。

(2021/1/25 取材 増田早紀)
※撮影時はマスクを外していただきました。
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