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街の盛り上がりを
物陰からそっと見守りたい
まちを耕す根っからの裏方

渋谷から横浜をむすぶ東急東横線に、「妙蓮寺」という駅があります。

大きなお寺があり、商店街が広がるのどかな雰囲気の街。ここで不動産建築会社を営むのが、住まいの松栄です。

住宅の売買や建築を軸に、60年以上地域に根差して活動している松栄。同時に、管理している古民家を開放してイベントをひらいたり、街を紹介するメディアを運営したりと、不動産建築の枠にとらわれない幅広い取り組みをおこなっています。

「不動産建築業をまじめにやって、お金をいただいて、街に還す。街に面白いものができると街の人からもいいフィードバックが返ってきて、住みたいという人がお客さまとなって来てくれる。この『循環』が松栄のビジネスモデルになっています」

松栄の代表、酒井さんはそんなふうに話します。

今回は、広報と総務を担当するスタッフを募集します。日々の細かな仕事をおこないながら、会社の取り組みや考えを丁寧に発信する仕事です。



渋谷から東急東横線に乗り、30分で妙蓮寺に到着。

平屋の駅舎を出ると大きなお寺があって、商店街が続いている。昔ながらのお店が並ぶなかに、詩集やエッセイの書店、立ち飲み屋など新しいお店もちらほら見える。

渋谷、自由が丘、横浜など、観光地化している街が多い東横線のなかで、妙蓮寺は等身大の生活が営まれていることを感じさせる街だ。

駅から歩いて4分で、ブラウン色の建物が見えてくる。おととし松栄が建てたばかりのこの建物は、1階が洋菓子店、2階が松栄のオフィスになっている。

迎えてくれた代表の酒井さんとは、もう4年の付き合い。飾らないフラットな印象は、初めてお会いしたときから変わらない。

お久しぶりです。またちょっと新しいお店が増えましたね。

「うちの近所にも、テラコーヒーという美味しいお店が来てくれました。僕が子どものころはもっと下町で、子どもたちが空き地で野球をやるような街だったんですけどね。東横線の人気が高まるにつれて、街の雰囲気も変わりました」

松栄を創業したのは酒井さんのおじいさん。賃貸管理から売買、建築まで幅広く手掛け、今年で創業62年目を迎えた。

地域の人から「松栄さん」と親しまれる、まちの不動産建築屋さんだ。

「祖父の代からお付き合いのある地主さんもいれば、若いご家族が『ママ友から、家のことなら松栄さんだって聞いて』と来てくれることもあって。60年積み重ねてきた信頼を裏切らないように、まじめに仕事しないといけないなと思います」

酒井さんたちの仕事ぶりは、お客さんとのエピソードから伝わってくると思う。

「昨年やっと成約した事例なのですが、自社イベントで知り合った方から『実家が、私道や水道管の問題でなかなか売れなくて困っている』というご相談をいただいて。その家を売るためには、近隣の方たち全員と私道の承諾書を交わし、水道管を市に譲渡する必要があるなど、非常に多くのハードルがありました」

もともとは他の不動産業者に相談していたものの、難題があまりにも多すぎて、なかなか対応してもらえていなかったそう。

まず、その家に住んでいるおばあさんに話を聞きに行った酒井さん。年をとり家や庭の管理ができず困っているという話を聞いて、なんとか住みやすい家に引越しさせてあげたいと思ったという。

「時間がかかることはわかっていましたが、腹を据えて交渉に臨む決意をして。お客さまには『一つずつ解決していきましょう』とだけお伝えして、ご近所の皆さま一軒一軒と話し合いを開始しました」

実に3年に及んだこの交渉。途中で諦めてしまいそうになることも何度もあったものの、次第に近隣の方も信頼してくれるようになり、最終的に全員の納得を得ることができた。家も無事に売れて、おばあさんも住みやすい家に引越しできたという。

「住まいの仕事は、お客さんの生活に直結するぶんものすごく責任が重いです。ただ売れればいい、成約すればいいとは僕は絶対に思わない。お客さまにとっての幸せをいちばんに考えるという自分の信念を試された話でしたね」

今では、当時話し合いを重ねた近隣の方からも、不動産や相続の相談を受けている。

目先の対応ではなく、長期的な視点で「何がお客さまにとっていちばんよいのか」を考え、提案する。言葉にするのは簡単だけれど、実際はとても難しい。

お客さんも、本当に自分たちのことを考えてくれていると感じるからこそ、松栄を信頼できるのだと思う。

「ありがたいことに、お客さまの多くは松栄の考え方や姿勢を知ったうえでご来店いただいています。僕らに求められているのはいわゆる営業ではなく、メリットとデメリットを伝えたうえでプロとしてベストなご提案をする『コンサルティング』だと思っていて」

「そうやって不動産建築で得た売上を、この街に還元するのが僕らの役割だと考えています」

その言葉のとおり、松栄は街のあちこちにちょっとした仕掛けをつくっている。

たとえば、ランチの選択肢が少ない妙蓮寺の新たな選択肢として、日替わりのキッチンカーを呼んだり、自社で管理している古民家を開放して、定期的に食のイベントやコワーキングデイをひらいたり。

「雨漏り修理の相談に来た書店の店主と話すうちに、街に書店を残すためのプロジェクトを立ち上げることになり、クラウドファンディングで資金を集めてリノベーションした」なんてエピソードもある。

不動産や建築という枠にとらわれず、街のことを考えて動く酒井さんたちを見ていると、街の人たちの「とりあえず松栄さん」という言葉が腑に落ちる。

「妙蓮寺のいいところって、生活の街であることだと思うんです。その魅力を伝えることで、住んでみたいという方が現れて、松栄にお客さまが来てくれる。売上とまちづくりを両立させ、『循環』をつくっていくのが松栄のビジネスのあり方です」

実は以前、街の人に向けて飲食店もひらいていた酒井さん。ただ、おもてなしを突き詰めるあまり体調を崩してしまい、気持ちだけでは続かないことを強く感じている。

「松栄がビジネスとして自立しているからこそ、街のことも取り組めます。松栄でやっているのはキラキラまちづくりではなくて、大半は泥臭い裏方。本当は僕は表に出たくないタイプなので、黒子として、街で盛り上がっている人を物陰からそっと見てるくらいが好きなんです(笑)。街という土壌を耕して、街の人たちが持っている種が芽吹くためのお手伝いをしている感覚がありますね」



「酒井が話したようなことをもっと外に発信していくために、広報兼総務の募集をしたいと考えているんです」

酒井さんの言葉をうけて話すのは、設計士の能勢さん。

能勢さんは設計士として働くかたわら、SNSやブログの更新、最近では妙蓮寺のオリジナルマップ制作など多くのプロジェクトに関わっている。

「僕がやりたいのは、お客さまにちょっと豊かでしあわせな暮らしをしてもらうための仕事です。何でもない日常や見慣れたまちが、少しの工夫で楽しく見えてくるようなことが大切だと思っていて。お客さまの暮らしに思いを馳せながら自分の頭を使うという意味では、マップ制作も設計も、同じ仕事だと考えています」

今は酒井さんと能勢さんが、業務の合間をぬって広報も担当している。より安定して発信できるように、広報兼総務の担当者を募集したい。

まずは不動産建築を軸に、ホームページやSNSを更新していくのが主な仕事になりそう。

「不動産屋を選ぶコツや松栄の紹介、街のできごとをブログで発信しているんですが、10年近く前の記事もいまだに読んでいただいているんです。ただ最近は3か月に一度くらいしか更新できていないので、充実させたいんですよね」

たとえば松栄で家を建てたお客さんへのインタビュー記事は、能勢さんが取材・執筆を担当している。広報スタッフは取材に同席して、能勢さんともコミュニケーションをとりながら記事を作成していくと、不動産建築の勉強にもなると思う。

「松栄の家づくりの特長、新しい物件情報、あとはキッチンカースペース1周年とか、話題は山ほどあって。不動産建築の基本も学んでいただきながら、こまめに発信していける体制をつくりたいです」

今は妙蓮寺に住みたい人に対して、土地や物件の供給が追い付いていない状態。広報を通じて街の人に松栄をもっと知ってもらうことで、「空き家で困っている」「土地の使い道に悩んでいる」といった相談をしやすい環境をつくっていきたい。

また、松栄はホームページやSNSに加えて、地域のさまざまな話題を紹介するメディア「菊名池古民家放送局」も運営している。

このエリアで暮らすライターの皆さんが、インタビューや取材を通じて、地域の店主たちやイベント情報などを紹介しているこのメディア。眺めていると、どんな人たちが暮らしているか伝わってきて面白い。

今は酒井さんが街の人へのアポイントをとっていて、取材に同席したり、サイトの方向性を決めたりしているそう。広報スタッフも、今後酒井さんと役割分担していくことになる。

YouTubeでの発信や、シェアキッチンの構想など、広報スタッフと一緒に取り組みたいプロジェクトはたくさんある。

「松栄が大切にしている会社の理念、雰囲気、スタッフの人柄などを伝えるためには、いろいろなツールを活用したり、お客さまと直接お会いする機会をつくったりすることがものすごく大事だと思っています」

「明確な仕事の分担はありません。広報というと華やかな印象がありますが、古民家イベントの裏方、顧客整理に事務処理など、こまごました庶務も仕事です。楽しそうというだけではなくて、裏方として街を耕そうという僕らの考えに共感してくれる方に来ていただけたらうれしいですね」

酒井さんも能勢さんも、一緒にチームを組むには心強いパートナーだと思う。二人の意見やアドバイスも取り入れながら、松栄の考えや取り組みを外に発信していけるといい。



松栄で働く社員は、現在9名。もっとも社歴が浅いのが、前回の日本仕事百貨の募集で入社した設計士の輝本(てるもと)さんだ。

「まじめな姿勢が印象的で、賃貸も新築も、売買も提案できるのがいいなと思って応募しました。わるい人はいないだろうなと思っていましたが、ギャップはなかったですね(笑)。酒井は『どう思う?』と意見を聞いてくれるし、能勢もいつも『うん、うん』と話を聞いてくれて。おだやかな人たちです」

松栄は丁寧な仕事を約束できる範囲として、年間10棟、妙蓮寺から車で30分以内を目安にしている。

素材は確かな性能のものだけを使い、長年付き合いのある職人に施工を依頼。引き渡し後も定期的に設計士が訪れて、問題なく暮らせているか点検やヒアリングをする。

松栄では当たり前になっている「いいこと」も、まだまだ伝わっていないことが多い。広報担当には、新しい取り組みばかりではなく、身近なところから光を当てていってほしい。

「お客さまからは『地元だから安心できる』とよく言われるんですけど、それってなかなかすごいことだと思うんです。顔が見える範囲で誠実に仕事をするのは大きな特長ですね」

妙蓮寺に住みたいという人は、どんどん増えているそう。街を耕してきた松栄の存在も、少なからずそこに関わっていると思います。

東横線沿いの、小さな生活の街。地域に根差し、誠実な仕事をしてくれる方をお待ちしています。

(2022/06/18 取材 遠藤真利奈)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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