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移住も地方創生も
目的ではなく結果
生き方の選択肢を和歌山から

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

誰もがどこにいても、自分らしく暮らし、働く。

そんな未来に向けて活動しているのが、シビレ株式会社のみなさんです。

全国の自治体とともに移住フェアやイベント、ツアーの企画・運営をしたり、地域の高校と連携して教育の魅力化に取り組んだり、首都圏に集中しがちなエンジニアやマーケター、事業開発などに携わる人材の転職や複業を支援したり。

主に教育や採用の分野で多様な事業を展開してきました。

仙台の本社や東京の支社に加え、昨年は熊本にも拠点を設立。今後も全国各地に拠点を増やし、自社内でも働き方の選択肢を広げていこうと計画を進めています。

今回は、和歌山市に新たに開設する拠点のスタッフを募集します。

経験は問いません。ビビッとシビレる出会いを待っています。

 

県庁所在地の和歌山市。ただ、関東出身の自分は、位置関係が正直よくわかっていない。

調べてみて、すぐ北は大阪に接するのだとはじめて知った。関西国際空港から電車で40〜50分ほど。関西のほかの都市圏へのアクセスもわるくない。

人口およそ36万人のまちとあって、中心部には背の高いマンションや飲食店が並ぶまちなみも広がっているし、地方移住がはじめての人も、ここでならあまりギャップを感じずに暮らせそうな気がする。

シビレの拠点は、じつはまだない。今回は和歌山駅から車で5分ほどのコワーキングスペースでインタビューすることに。

まず話を聞いたのは、シビレの共同代表の佐藤さん。

昨年の熊本拠点での取材から1年ぶりの再会。でも、あれ、話し方のイントネーションが違いますね。

「地元が神戸なんで、やっぱりこっちに来ると関西弁が自然と出ますね。新大阪あたりから徐々にウォーミングアップしていって、和歌山着くころには絶好調、みたいな感じです(笑)」

シビレはもともと、3年前から和歌山県の移住事業に伴走してきた。

そのなかでも力を入れて取り組んだのが、「Wakayama Loveドラフト」。県内の地域おこし協力隊や民間の求人に対して、首都圏の人材をマッチングさせるイベントで、2019年にはオフライン、コロナ禍の2020年はオンラインで開催した。

「参加者40人のうち、5人が年度内に和歌山県への移住を完了するようなイベントになりました。みなさん『第一希望、第二希望…』って出してくれるんですけど、移住に至った5人全員、第二希望までに選ばなかったところとマッチングしたんです」

ちょっと意外ですね。

「ぼくらが大事にしていたのは、偶発性で。たとえばZoomで少人数のグループをつくってぐるぐる回して、全員と4分ずつ話してもらうようにしたんですよ。そしたら企業さんも、この人ちゃうやろなって言っていたのに、意外と盛り上がったりして」

ある地域の協力隊は、それまでの2年間でまったく応募がなかったものの、ドラフトを通じて2名とマッチング。自治体の担当者とやりとりする際には、いまだに感謝の言葉をかけられるという。

そうした縁もあり、今年から市のプロモーション事業に携わっていくことになった。

具体的には、これからどういったことに取り組んでいくんですか。

「1つ目は、和歌山市のオウンドメディアを構築して、コンテンツの発掘から編集、発信まで行なっていきます。移住をぼんやり考えている人たちが、学びや気づきを得られるようなものをつくりたくて」

シビレでは、今年の5月に「ケンジン」というメディアをリリースしている。そこでも大事にしているのは、地方で生きるリアルや本音を伝えること。

今回立ち上げるメディアも、単なるまちのプロモーションだけでなく、和歌山で暮らし、働くとはどういうことなのか、自分の体験や考えも織り交ぜながら紹介していってほしい。

「2つ目はバーチャルコンテンツです。和歌山市内のさまざまスポットをバーチャルで体験できるようなものを開発したい。そして3つ目がオンラインでのイベント企画ですね。よそものの視点から、地元のいろんなものをコンテンツ化していきたいと思っています」

もちろん、ひとりですべてを担うわけではなく、シビレのみなさんや和歌山市の担当者も一緒に企画・運営を進めていくし、今後はパートタイムのスタッフや学生インターンも採用していく予定だという。

和歌山のほかにも、全国の自治体とともに移住フェアやイベント、ツアーの企画・運営などを数多く手がけてきたシビレ。

“地方創生に強い会社”として見られるようになり、伝わりやすさを優先して、自分たちでもそう名乗る機会が増えていた。

ただ、次第に違和感も感じるようになった。

「もともとは地方創生をやるって大義名分でつくった会社じゃなくて。じゃあ何の会社か、最近は共同代表の鈴木と毎晩のように話していて、やっぱりぼくらは選択肢を示す会社だと思っています」

選択肢を示す会社。

「東京じゃなくて地方もあるよとか、こんな生き方や働き方もできるんじゃない?とか。その選択肢をわかりやすく、早く、いろんな人に届ける役割だよねと」

「今回の和歌山拠点も、シティプロモーションをするためだけの場所ではないんです。まずは心から共感して、必要だと思う取り組みに全力を注いでいく。どう収益性を担保するのかは、愚直にやったあとで考えればいいというのが、ぼくらのスタンスですね」

 

教育の観点から、和歌山市で新たにはじまろうとしているのが、都市部の子どもが短期間滞在できるトライアルスクール。

今まさに子育て中のシビレの共同代表・鈴木さんは、この取り組みに大きな期待を寄せている。

「息子が小学5年生なんですけど、東京の学校は校庭が狭いし、ルールも多い。彼のなかではちょっと息苦しくて。和歌山の学校行く?海の近くだよって言ったら、え、マジで?ってその気になったみたいで。10月に1週間、一緒に滞在することになりました」

短期間とはいえ、感性のやわらかな幼少期に、普段とまったく異なる環境で過ごす経験は大きい。その後の進路選択にも影響するかもしれないし、大人になって移住や転職を考えるタイミングで、ふとその土地のことを思い出すことだってあると思う。

シビレは、1000社ほどの企業と自治体からなる、内閣府の「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」に所属。そのなかで、子どもたちの可能性を伸ばしつつ、まちの関係人口を増やしていくための分科会を立ち上げ、共同代表の佐藤さんが座長を務めている。

現状は、トライアルスクールはシビレの事業とは別のラインで動いているものだけど、今後はきっとどこかで交わっていくような気がする。

シビレを立ち上げる前から、和歌山との関わりがあったという鈴木さん。

企業誘致の仕事を通じて何度も通ううちに、地域への愛着が湧いていったという。

「海にも山にも近いし、お寺に修行にいきたいとか、たまには遊園地もいいねとか、ふらっとお笑いを観に行こうとか。自分が夢中になれること、心地いい過ごし方を見つけやすい。諦めないで済むまちだなっていうのは、本当に思います」

「それから、わたしは和歌山の人が大好きで。シビレ主催のイベントにも必ず和歌山県さんは出展してくれるし、予算がないときはドリンクスポンサーだけでも、とか。新しいことに対して、まずやってみようという前向きな人が多いんです」

 

そんなスタンスを共有しながら、今回の事業をともに進めているうちのひとりが、和歌山市役所の移住定住戦略課の堀口さん。

今回入る人は、企業雇用型の地域おこし協力隊として採用されるため、堀口さんたち市役所の方と関わる機会も多くなる。

「よく思うのが、移住してくる人にとって行政区域って関係ないんですよ。和歌山市に住んでるぼくも、この前の日曜日はバウムクーヘンがおいしいパティスリーがあるって聞いて、橋本市まで食べに行って。暮らすってそういうことじゃないですか」

「和歌山市のプロモーションはもちろんしてもらいたいですけど、ちょっと足を伸ばして紀の川市にこんないいところがありましたとか、そういう発信もどんどんやってほしいんです。和歌山市の協力隊やからって、和歌山市だけにこだわらないでほしいなって」

移住・定住施策の実績としては、市内への転入者数に光が当たりがち。

一方で、周辺の市町村に住みつつ和歌山市内に勤める人や、毎月1週間滞在する多拠点生活者などを増やすことでも、まちにいい循環を生むことはできる。

そうした関係人口を可視化していくために、堀口さんはNFTなどの技術を取り入れていくことも前向きに考えているという。

「行政で何かことを起こそうと思っても、1年ぐらいかかったりします。でも、1年も経てば、社会の状況ってけっこう変わりますよね。だからこそ、民間の立場であるシビレさんの力を借りながら、その時々の状況に合わせて、やるべきことをやっていきたいんです」

立場上言いにくいだろうことも、堀口さんはスパッと言葉にしてくれる。一緒に事業を進めていくなかで、心強いパートナーになってくれると思う。

 

ただ、新しい土地に飛び込んで拠点を立ち上げていくのは大変なこと。

実際に経験してきた先輩は、どう感じているのだろう。昨年の11月から熊本拠点の立ち上げスタッフとして働いている中島さんにオンラインで話を聞いた。

以前は大手コンビニ会社でスーパーバイザーなどを務めていた中島さん。30歳を目前に、日本仕事百貨でシビレの求人記事を見つけ、新たな一歩を踏み出すために応募したそう。

「毎日、毎週の流れが決まっていたコンビニ業界から、1から自分で考えて仕事する環境に変わって。自分で選んだことですが、想像以上のむずかしさをこの1年弱で感じています」

地域の企業の人材不足解消のために、求人のサポートやマッチングイベントなどを提案したものの、金銭面や過去の失敗から、なかなか重い腰が上がらない。

入社時に思い描いていた1年後の姿には、まだまだ近づけていないのが現状だという。

「感情のメーターがあったら、7〜8割は悔しいって気持ちが占めています。でも、たまにやってくる達成感のインパクトが大きくて」

「熊本県のオンラインの移住相談会も、当日参加された方がすごく楽しそうにしていたり、県の担当の方が『シビレさんにお願いしてよかった』って言ってくださったり。準備期間は毎日悔しくて、しんどくても、またやりたいなって思える。そんな仕事をもっとしていきたいなと思いますね」

中島さんはこれから、おにぎり屋さんをはじめる計画があるそう。

拠点のある多良木町には、九州で3連覇している「こめたらぎ」というお米があり、水も豊富。誰もが知っている国民食で、具材によっていろんな地域とコラボレーションもしやすい。

おにぎりを通じた場づくりと、地域内外の交流につなげられたら、と考えているそうです。

新しい選択肢をつくるには、いろんなやり方があります。和歌山で何ができるか。答えのない試行錯誤を一緒に楽しめる人を求めています。

(2022/9/6 取材 中川晃輔)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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