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この3年、観光・宿泊にかかわる仕事を続けてきた人たちは、たくましいなと思う。
予約の大半が突如キャンセルになったかと思えば、旅行支援で多くの人が一気にやってくる。いつだって先のことはわからないものだけど、激流のなかを漕ぎ続けるような時間だったんじゃないかと思います。
株式会社ベステイトも、そんな荒波を乗り越えてきた会社です。福岡・博多で「モンタン博多」、東京・鶯谷で「LANDABOUT TOKYO」というホテルを運営しています。
海外からの渡航も再開し、あらためて人の流れが戻ってきた今。モンタン博多で、新たにゲストリレーションズマネージャーを募集します。
お客さんの旅行体験をよりよいものにするため、サービス全般の責任者とスタッフのマネジメントを担うポジションです。サービスの開発やオペレーションの構築、イベントの企画運営など業務は多岐にわたります。
あわせて、モンタン博多とLANDABOUT TOKYOそれぞれでアルバイトスタッフも募集中。
ホテルから日本を元気にする。そんな想いに共感できる人を待っています。
福岡空港から地下鉄に乗って1駅の東比恵駅。その出口から歩いて5分ほどとアクセスのよい位置に、モンタン博多はある。
築30年のマンションをリノベーションしたホテルは、まわりの風景に自然に溶け込んでいる。
客室は72部屋。一部の部屋は賃貸の住居やオフィスになっている。1階のラウンジでは、大きな荷物を抱えた宿泊客と、慣れた様子の住人らしい人が気ままに過ごしていた。
このホテルを25歳のときに立ち上げたのが、代表の石橋さん。
もともとは日本仕事百貨で見つけたホステルのアルバイト募集がきっかけで宿泊業界へ。
その後べステイトを立ち上げ、2017年にモンタン博多、2020年には東京・鶯谷にLANDABOUT TOKYOをオープン。もうすぐ7期目を迎える。
「コロナ禍でダメージはものすごく受けました。みんなの協力もあって、なんとか会社を潰さずにここまで生き残ることができて。外国のお客さまも戻ってきて、ようやく乗り越えたな、これからだなという感じでいます」
お客さんがほとんど入らない期間も、休業はしなかったそう。もし自分たちが休めば、アメニティやリネン、清掃の業者など、取引先にも影響が及んでしまうからだ。
その間、1ヶ月の長期滞在プランをつくったり、1階のラウンジを開放してワーケーションやリモートワークに対応したり。工夫を重ねて乗り越えてきた。
モンタンの軒先を活かしたコーヒーとワッフルのお店「NOKISTA」も、コロナ禍ではじめた取り組みのひとつ。
「気軽に外を出歩けない時期に、地域に対して何か貢献できることはないかなっていうことではじめたんです」
ちょうどこの日は出店日だったので、期間限定の鳴門金時あんバターワッフルとコーヒーをいただくことに。
「お菓子づくりが好きな子がスタッフにいて、ワッフルをつくりましょうと。生地から仕込んで、九州産の食材も使って。うちは東京でカフェもやっているので、コーヒー豆はそこで自家焙煎して、バリスタ経験のあるスタッフがハンドドリップで淹れています」
スタッフの得意なことが活きているんですね。
「ホテル業って、チーム戦なので。いろんな人がいて、個性が混ざり合うことで、はじめてホテルのおもしろさや深さが出てくると思うんです」
創業当初から石橋さんがコンセプトとして掲げてきたのが、「ノーボーダー」という言葉。
世界各国から人が集まり、国籍も性別も年齢も関係なく交流する。ときにはスタッフとお客さんという関係性も飛び越えて、多様な人たちが集う場を目指して、ホテルを経営してきた。
その一方で、マスクをしたり、距離をとったりと、コロナ禍を通じて人と人の間にボーダーを引かざるを得ない場面が増えてしまった。
「ぼくらの積み上げてきたものが、一回全否定されたというか。振り出しに戻った感は正直あるんですよ。こういう場にまだ抵抗がある方もいらっしゃると思いますし」
「ただ、完全に0からっていうわけではなくて、これまでやってきたことは評価していただいている。また再出発していくところですね」
一度立ち止まったことで、組織体制を整えたり、サービスマニュアルを見直したり。これまで現場をまわす忙しさから手をつけられていなかった仕事にも取り掛かることができた。
最近は海外からの渡航が再開したことで、賑わいが戻ってきているという。
「スタッフもすごく生き生きしていて、目の色が違うんですよね。やっぱりホテルって、お客さまに生かされているなと思います。もともと尽くしたい、サービスしたいと思って入ってきている人たちなので、今楽しいんじゃないですかね」
今回募集するゲストリレーションズマネージャーは、これからの組織体制を考えるなかで生まれた新しい仕事。
ホテルサービスの開発や、オペレーションの構築、アルバイトスタッフのマネジメント、イベントの企画運営など。お客さんとホテルのあらゆる接点について考え抜き、心地よく滞在できる環境をつくっていってほしい。
「ホテル内の滞在だけじゃなく、地域もあわせて楽しんでもらいたいっていう想いが強くあります。まちを周遊する人が増えれば、地域経済もうるおう。ホテルがあることで、まちをいい方向に変えていくことができると思うんですよ」
「全国のあらゆる魅力的な場所にホテルをつくってサービスを提供していけば、少なからず日本を宿泊というジャンルから活気づけていけるんじゃないか。それが究極、ぼくらのやりたいことなんです」
ホテルで働くスタッフにも、地域についてのさまざまな知識や伝えるノウハウがより必要になってくる。
そこで最近は、石橋さんがガイドを務め、スタッフと一緒に地域をまわるツアーを月に1回実施しているそうだ。
初回は地域のお店をめぐり、2回目からは歴史を深掘りする。たとえば、LANDABOUT TOKYOでは、正岡子規が晩年を過ごした場所や、徳川家代々の菩提寺である寛永寺なども訪ねた。
人によってまちの見方も違うでしょうし、ゆくゆくはほかのスタッフがガイドしてもおもしろそうですよね。
「まさにその通りで。ほかのホテルさんでも、きちんと時間をとってまちを歩こうとか、情報収集しようみたいな研修をしているところって、そんなにないと思うので。うちの会社の強みにしていきたいですね」
そんな環境に飛び込んできた人は、どんなことを感じながら働いているのだろう。支配人の叶(かのう)さんにも話を聞いた。
「熱い人だったでしょ?石橋。暑っ苦しいときもあるんですよ(笑)。叶さんはどう思ってるんですか?って、めちゃくちゃ聞かれますし、まったく妥協しない方なので、当然わたしにも高いレベルを求めてくる。中途半端が許されない会社ではありますね」
代表の石橋さんは東京と福岡の二拠点を行き来していて、月に1週間〜10日はユニフォームを着て、今でも一緒に現場で働いている。
支配人としても、学びを得ることが多いという。
「スタッフやお客さんはどういう動きをしているのか、部屋の汚れや乱れはないか。“気づき力”はかなり鍛えられました。ミーティングでぼくが先延ばしにしようとしたことも、いやここで決めましょう、っていう感じになったりして。ベンチャーらしいスピード感もあります」
体育学部を卒業後、スポーツインストラクターやランニング大会のコンサルティング・計測などの仕事をしていた叶さん。
前職ではホテルに勤めながら、ランニングイベントの企画運営もしていたそう。
「当時はイベントでいくら利益が出ても、企画した自分に返ってくるものがなくて。評価されている実感が得られなかったんです」
より裁量を持って、自分の責任でチャレンジできる環境で働きたいと、べステイトに入社したのが昨年10月のこと。
3ヶ月足らずで、さっそくイベントの企画運営を任された。
「初詣マラニック」というランニングイベントで、モンタンから走って10社参りをし、福岡観光も楽しむという盛りだくさんな内容。50名以上が参加し、20万円以上の売り上げにつながった。
「イベントで出た利益の使い方は一任してもらえて。スタッフや自分へのインセンティブボーナスと、仕事に使う道具の購入に充てようかなと考えています」
「社長には面接の段階から、自分が楽しみつつ、ちゃんと評価される環境で働きたいというお話もしていました。そういった意味で、さっそく有言実行していただいているなと感じます」
ゲストリレーションズマネージャーには、日々のホテル運営に軸足を置きつつ、こうしたイベントの企画運営も担っていってほしい。
たとえばNOKISTAの出店は、ホテルの稼働が高まってきたため、週1から月1ペースに変更している。そのぶん近隣のお店にも声をかけて、マルシェのような企画に発展させてもおもしろいかもしれない。
「ゆくゆくは、スタッフが企画運営して、わたしは背中を押すだけの体制をつくれたら最高だなと思っています。お客さまに選ばれるポイントというか、目的地になるためのパワーコンテンツを増やしていきたい。伸び代はたくさんありますし、これからが楽しみです」
最後に話を聞いたのは、アルバイトスタッフの吉村さん。もうすぐ入社して2年になる。
「最近は外国人のお客さまが増えていて、日本の方のチェックインがない日もあるくらい。韓国語がちょっとしゃべれるので、いろんな人とお話しするのが楽しいです」
前職はファストフード店で働いていて、とにかく現場を回すことが重要視されている職場だった。より深く接客できる仕事、かついろんな人が一同に会している場所で働きたいと検索したところ、モンタン博多の募集を見つけたそう。
福岡が地元で、友だちにおすすめの場所を紹介するのが好きだったという吉村さん。コロナ禍に入社して、お客さんがほとんど訪れない時期も経験したからこそ、今とても楽しそうに働いている様子が伝わってくる。
「普通のマンションをリノベーションしたホテルなので、設備が何もかも整っているとか、部屋がものすごいおしゃれとかではなくて。スタッフと気軽に話せる距離感やコミュニケーションが自分たちの武器で、魅力だと思います。だから話すのが好きな人がいいですね」
「あとはゲストのことを一番に考えて行動してくれる人。ホテルとしての最終決定は、支配人の叶や代表の石橋がするとして、ゲストリレーションズマネージャーになる方はとくに、ゲストのことに全振りしてくれる人がいいんじゃないかと思います」
“ホテルから日本を元気にする”という大きなビジョンを掲げる石橋さんがいて、それを叶さんや吉村さんのようなスタッフが現場で体現している。
それぞれ得意不得意や考え方の違いはあっても、人と接することの楽しさや奥深さ、そのきっかけとなれるホテルや観光の仕事の可能性を感じて、ここに集まっているように感じました。
自分にも他人にも。線を引かずに向き合ってみたら、新しいノーボーダーの形が見えてくるかもしれません。
(2023/1/20 取材 中川晃輔)
※撮影時はマスクを外していただきました。