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旅館やホテルが好き。
以前は現場で働いていたけれど、もう一度宿泊業にかかわる仕事をしてみたい。
今回紹介する咲楽(さくら)は、そんな想いのある人にぜひ知ってほしい仕事です。
咲楽は、旅館やホテルなどの宿泊施設に伴走しながら、業績改善のサポートをするコンサルティング会社。
今回は、宿泊施設の経営面、運営面を改善していくコンサルタントを募集します。
宿泊業の経験は必須ですが、コンサルタントの経験はなくても大丈夫。
新しい形で宿泊業にかかわってみたいという人はもちろん、飲食業など宿泊施設に関係する仕事に携わってきた人も歓迎です。
東京・恵比寿。
飲食店でにぎわう通りを渋谷方面に進むこと、およそ3分。9階建ての大きなオフィスビルが見えてきた。
エレベーターで6階に上がると、迎えてくれたのは、代表の高橋さん。
「午前中は箱根の旅館さんに伺って、お打ち合わせをしてきたところなんです」
かつてはコンサルティング会社で、いろんな会社の業績を改善する手伝いをしていた。
そこで偶然出会ったのが、伊豆のとある旅館。
「相談に乗っていくうちに、意外と経営が厳しいんだってことがわかって。しかも『多くの旅館さんが同じような状況だと思います』というお話だったんです」
たまに旅館やホテルに泊まりに行くことが、一つの楽しみだったという高橋さん。
「旅館やホテルが持つ、場の空気感や雰囲気が好きだったんです。地域とか施設ごとの個性を探すのも楽しくて」
「世界的には、食事なしで泊まるホテルが主流なんですけど、日本の場合、一泊二食付きで泊まる旅館の文化が古くから続いている。ホテルと旅館のスタイルが両立していることって、世界的にも珍しいんですよ」
一泊二食付きの旅館では、あらゆるところでお客さんへのおもてなしが生まれる。
「チェックインからお部屋までのご案内や、季節ごとのお食事、温泉を楽しむ間に用意するお布団など、衣食住のサービスが一日に凝縮されていて。どんな工夫ができるのか、考えれば考えるほど面白いんですよね」
旅館やホテルを元気にするお手伝いにやりがいを感じた高橋さん。投資ファンドの会社に転職して、宿泊施設に絞って業績改善の経験を積むことに。
その後、独立して立ち上げたのが咲楽だった。
「依頼をいただいたら、まずは現状把握をするために決算書の資料や施設の方とのお話をもとに、施設さんが持つ強みや弱みを把握して、改善できそうな点を一緒に検討していきます」
宿泊プランとあわせた料金の再設定や、食材費を考慮した料理メニューの構築、効率的なシフトの組み方など、一つひとつ丁寧に改善していく。
同時に、旅行サイトで表示される写真や紹介文などの改善など、集客支援もあわせて手掛けていくことも多いそう。
宿泊施設に特化してきた咲楽だからこそ、これまで携わってきた施設の例を参考に、具体的な提案ができるのが強みだ。
「基本的にやるべきことを理解されている施設さんが多いんですが、やり切るのがむずかしい。だから我々が横について、定期的に進捗を見守っていくことが大切だと思っていて。ときどきダイエットみたいだな、と思うんです」
「食べ過ぎずに運動するのがいいとわかっていても、なかなか一人ではできない。何を食べたとか、どのくらい運動できたとか、誰かが一緒に経過を確認していくことで継続できるし、効果が数字で見えてくる。そうなると楽しくなってくるんですよね」
咲楽が伴走することで、売り上げや予約数の増加につながり、業績はほぼ必ず上がる。
加えて、旅行サイトへの口コミに良い変化が見られるなどのうれしい一面も。
良い循環ができてくると、「数年ぶりに社員に賞与を出せました」など、社内環境の改善につながる声が返ってくることもある。
「正直、施設さんの現状を初めて知るときって、悲観的になろうと思えばいくらでも悲観的になれたと思うんです。でもそのときに、『宝の山が来た!』って思えるかどうかだと思っていて」
宝の山。
「『こうしたらきっと変わりますよ』って明るい道筋を提案したり、『お客さま、来てるじゃないですか』と励ましたり。こちらが楽しそうにかかわること、これも大事にしています」
現状をよりよくしたいと思っているとき、そばで楽しそうにサポートしてくれる人がいたら心強いはず。
「人生のとくに長い時間を持っていかれるじゃないですか、仕事って。私たちのベースには常に楽しく働きたいという想いがあるんです」
咲楽の社員数は、現在12名。20代から50代まで年齢層は幅広いものの、「社員旅行や忘年会など、毎年おこなわれる社内イベントでは笑いが絶えないんです」と、高橋さん。
「会社のことを褒められたときに、高橋さんがうれしそうな顔をするのが好きなんですよ」
と話すのは、総合コンサルティングチームの小林さん。
前職も宿泊業界のコンサルタントとして働いていた。咲楽のウェブページを見たとき、会社の雰囲気に惹かれたそう。
「なんだろうな、和気あいあいっていうのかな。社員の集合写真に若手の人が前で写っていたりして、年齢とかに関係なく働きやすそうな印象で。今もその通りだなと感じています」
6年前に入社した小林さん。宿泊業の実務経験がなかったことから、咲楽が運営するホテルでスタッフの仕事からスタートすることに。
「働いている人の想いとかオペレーションの大変さとか。現場で体感したことは数字だけではわからないことだらけでした。コンサルタントになった今も、そのときの経験が活きているなと感じます」
現場を知っているからこそ、働く人の想いに寄り添った提案につながるのかもしれない。
3年ほど現場を経験し、コンサルタントとして働き始めてもうすぐ3年。
「施設さんごとにポリシーを持ってらっしゃるので、その想いと数字をすり合わせながら、改善に向けたご提案をすることが大切ですね」
たとえば、口コミに「食事を残してしまいました」という評価が多く寄せられたという旅館さん。
「一回の夕食でうどんとお味噌汁が提供されていることがわかったので、どちらか一つで十分かもしれないと思ったんです」
「量が多いことがわるいのではなく、少し量を減らしたら評価が良くなるだろうし、食材の費用も抑えられますよ、と。変化を伸びしろとして捉えていただけるようにお伝えして納得していただけました」
加えて、近隣施設の稼働率や料金の調査から、改善できるポイントを見つけていく。
とくに売り上げに影響しやすいのが、料金設定。
平日料金、休日料金、年末年始などの特別料金と、3段階ほどの料金設定しかない施設の場合、あらゆるデータをもとに細かく料金を設定することを提案していく。
「予約状況を日々追っていくと、曜日や給料日後、周辺のイベントなどによって予約がたくさん入る日が見えてくるんです。そうしたら、来年の同じ日は料金を値上げしてもお客さまは予約してくださると思いますよ、と提案したりします」
反対に値下げした日をつくることで予約数が増え、結果的に売り上げにつながることもあるのだとか。
「成果が上がったときはうれしいですね。依頼主のために働くことができたと感じられることがモチベーションになっています」
「その分、課題解決のアイデアが浮かんでこないときは苦しいです。電気料金が上がったとか、人口が減って働き手が少ないとか。どうしようもできない要因が生み出すむずかしさに直面することもあります」
そんなときはどうするんでしょう。
「先輩に相談をしますね。みんな親身になって教えてくれますし、反省点があったら『次はこうするといいね』と前向きに話してくれる人も多くて。だから、楽しく仕事ができているんだなって思います」
「仕事中、話が盛り上がって、気づいたらずっと喋ってることもあるんです(笑)」
そう話すのは、入社して2年となるマーケティングコンサルティングチームの斉藤さん。
小さいころからホテルで感じられる非日常感が好きで、以前は大手ホテルのフロントで働いていたけれど、体調を崩して違う業界に転職。
とはいえ、ホテルが好きな気持ちは変わらなかったそう。
結婚を機に退職し、今後どういう仕事をしていこうかと考えた斎藤さん。まずはスキルを身につけようと、webスクールでいろんなことを学び始めた。
「なかでもマーケティングの仕事が楽しそうって思って。どうせなら好きなホテルとマーケティングを掛け合わせた仕事ができたらいいな、と思ったときに咲楽と出会いました」
入社前は社員全員と面談。一緒に働く人たちの楽しそうな雰囲気にも興味が湧いた。
入社して初めての仕事は、旅行サイトに施設の画像を登録することだった。
「サイトごとの操作方法や膨大な機能を覚えるのが大変でした。メモを取って覚えて、の繰り返しで」
表示される画像の比率もサイトによって違うことから、施設から提供された画像一つひとつの比率を修正したり、一覧で見たときに綺麗に見えるようサイズを統一したり。
「写真はかなり重要です。脱衣所や水回りなど、細かいところの写真もあればあるだけ安心感につながると思うので。ひとつの施設さんで数百枚掲載することもありますね」
写真は追加オプションで枚数を増やせることから、オプションプランや広告の提案をすることも多いそう。
加えて、検索されやすいキーワードが入るようにサイト上の文章を整えることも。
「たとえば、露天風呂があるお部屋で一番検索されるキーワードは、『露天風呂付き客室』なんです。『付き』と送り仮名があると検索されやすくて、送り仮名がないと検索が少ない。細かいんですけど、その小さな積み重ねって大きくて」
ほんの少し写真や文言を変えることで、ページの閲覧数は格段に上がり、結果的に予約、そして施設の売り上げにつながっていく。
「あとマーケティングチームは、施設の現場で働く方とやりとりすることが多いので、現場の声を生で聞くことができます」
人手が足りていない、修繕の予算が足りないなど、現場からもらったリアルな声を総合コンサルチームと共有することで、新たな提案につながることもある。
相談したり、サポートをお願いしたり。近すぎず遠すぎない第三者という関係の咲楽だからこそ、施設の人も安心して頼れるのだと思う。
施設を利用するお客さんからは見えないけれど、咲楽の仕事は、回り回って、お客さんへのおもてなしにもつながっていくのだろうな。
取材終わり、高橋さんの話していた言葉が印象に残っています。
「桜の木って花びら一枚だとわからないけれど、たくさん集まって満開に咲くことで美しいって感じるんだと思っていて。咲楽もそんなチームでありたいなと思いますね」
咲楽がかかわる宿泊施設、そしておもてなしを受けるお客さん。
咲楽のみんなが楽しく仕事をすることで、周りにもその雰囲気が自然と広がっていく。
宿泊施設から、地域を、そして日本を元気にしていく仕事なのかもしれません。
(2023/3/3 取材、2024//9/2 更新 小河彩菜)