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瀬戸内の知られざるまちで
観光協会を土台からつくる

広島・竹原市。

人口は2万3000人ほどで、瀬戸内海の豊かな自然と温暖な気候に恵まれたまち。

NHK連続テレビ小説「マッサン」や、アニメ「たまゆら」の舞台にも選ばれています。

ほかにも、うさぎで有名な「大久野島」や、製塩業で栄えた「たけはら町並み保存地区」など、さまざまな観光資源があるものの、瀬戸内の大きな商業都市に隠れた、まだまだ穴場な観光地。

そんななか、2022年に地域観光の旗振り役である竹原DMOが誕生し、まちのブランディングに取り組んできました。

今回は、そんな竹原市の観光協会で働くスタッフを募集します。

地域おこし協力隊として採用され、任期を終えたあとは、そのまま観光協会で働くことになります。

主に担当するのは、観光情報サイトの更新やSNSの運用といった、竹原市の知られていない魅力を発信するPR活動。市内の約220の事業所を巻き込んで、イベントを自ら企画運営することもできます。

決まった仕事もありつつ、個人の裁量が比較的大きい環境です。

自主的に動き、面白いことにチャレンジしてみたい。そんな人が活躍できる仕事だと思います。

 

広島空港から乗り合いジャンボタクシーに乗って20分ほどで、竹原駅に到着。

ビジネスホテルや警察署が見え、駅の正面には長い商店街が続く。この先に、町並み保存地区があるようだ。

地図を見ていて驚いたのが、駅周辺の大型スーパーの数。20分ほどの徒歩圏内に4つもある。家電量販店や100円ショップもあるので、買い物には便利そう。

駅前の広場にあるのが、「たけはら観光案内所」。

時刻は朝9時ごろ。ちょうど、観光協会の事務局長である石井さんが、レンタカーを借りる観光客の対応をしていた。

「ようこそ!」「今日はどこ行かれるんですか?」と、笑顔でお客さんを送り出している。

案内所の2階の打ち合わせ室で待っていると、対応を終えた石井さんが来てくれた。

「朝早くからありがとうございます!」

気持ちの良い挨拶に、緊張もほぐれる。さっそく、竹原について話を聞いてみる。

「竹原は、うさぎで有名な『大久野島』と、製塩で栄えた『たけはら町並み保存地区』、そして竹の工芸品など、多くの観光資源があるんです」

「さらに、竹原が舞台のアニメ『たまゆら』の聖地として、アニメファンもよく訪れてくれます」

多い時期は、年間130万人もの観光客が訪れていたんだそう。

観光協会はどんな役割を果たしてきたのでしょう?

「観光客が地域へ出ていく拠点として、観光案内やレンタカー・レンタサイクルの貸し出し、地域のお祭りの企画をしています」

ほかにも「竹原観光ナビ」という地域情報サイトを運営。

竹原を中心に、瀬戸内エリアで開催されるイベントや、観光協会の会員である飲食店やホテルなどの情報をまとめている。

今回の募集は、大きく2つの課題を解決するため。

「ひとつは、観光協会の運営資金。事業所からの会費と市からの補助金だけでなく、イベントなどを通してきちんと稼げる仕組みをつくりたい」

「ふたつ目は、業務をしていくためのマンパワーが不足していること。現在、観光案内所の受付スタッフは私を含め2人。SNSの運用や観光案内サイトの更新も、タイムリーにできていない。新しい人を迎えて、組織としての足元を整えていきたいんです」

今回加わる人は、まず観光案内所の受付と、竹原観光ナビの情報更新を担っていく。

最初は石井さんと事業所を回ったり、地域の集まりへと参加したりすることで、顔を覚えてもらうところから。

「観光協会という組織の一員として動く意識が大事ですね。案内所で1日事務作業をすることもあるし、事業所さんの声を拾うために地域まわりをすることもある」

「暮らしに慣れてくれば、観光客や事業所さんの声をヒントに、イベントや産品開発など、好きなことや得意なことを活かせる仕事に挑戦してほしいと思っています」

仕事を進めるうえで頼りになるのが、竹原DMOを含めた、まちの組織とのつながり。今回の応募も、竹原DMOと連携して募集している。

「役場と商工会議所、観光協会、DMOが合同で、定期的に打ち合わせを行っています。その場にはぜひ参加してもらいたい。情報共有のなかで、竹原をより良くする取り組みのヒントが見つかるはずです」

地域のプロモーションをするという点で、DMOと観光協会にはどんな違いがあるのでしょう?

「端的にいうと、DMOは外向きで、私たち観光協会は地域密着型。観光協会は、第一に竹原に暮らす人が自分たちのまちをおもしろいと思えるようにすることを大切にしています」

「竹原に暮らす人と地域の魅力を発信し、地域全体を盛り上げることで、外から観光客を招く。これが観光協会の使命なんです」

石井さんは、どんな人に来てほしいですか。

「竹原に長く住んでいると、地元の良さに気づきにくい。それを客観的な視点で切り取ってほしいかな」

「任せることは幅広いし、責任もあります。ただ、そのぶんやりがいもあるので、竹原を最大限に活かして、まちをおもしろくすることにワクワクできる人だといいですね」

 

続いて紹介してくれたのが、観光協会副会長の堀川さん。

町並み保存地区で100年つづく醤油醸造所の4代目であり、44年前から続くお好み焼き屋「ほり川」を経営している。

昨年から、地域ぐるみのお祭りやイベントを企画する事業委員会を観光協会のなかに立ち上げた。

「事業所が観光協会に所属しているメリットをより感じられるようにしたかったんです」

昨年、事業委員会が主体となって実施したのが、花火大会でのサブ会場の設営。

「本会場は大乗という、竹原からひとつ隣の離れたエリアで。100店舗ぐらい露店が並ぶんです。ただ、参加されている飲食店やゲーム屋さんは、他地域からの出店が多く、竹原の事業所さんが参加できていなくて」

「にもかかわらず、ゴミの分別や警備などは竹原の人たちが担当するので、地域の企画に参画している実感が持てない状態だったんですよね」

そこで、市内にある総合公園の芝生広場を活用して、花火大会のサブ会場を増設。連動イベントを実施した。

「事業委員会には、ゴルフリゾートの支配人をしている人や、竹原のケーブルテレビのアナウンサー、元プロ野球選手とか、個性豊かな人がたくさんいて。いろんなアイデアを元にイベントをつくりました」

竹原の飲食店がキッチンカーで出店したり、野外ステージでは有志でダンスやバンド演奏などのパフォーマンスが行われたり。

「地域で代々続く、『竹原音頭』があって。僕たちもステージに上がって、全力で踊ったんですよ」

さらに、歩道を広くするなどゆとりを持たせたエリア設計にすることで、子ども連れでも安心して楽しめるようにした。

「開催に向けて、竹原のこども園と小中学校を回って告知したんです。うちわを配って、持ってきた子には無料で参加できる抽選会を企画しました。プレステや任天堂スイッチを景品で用意したら、喜んでいただけて」

結果、800台ある駐車場は満車。1万人ほどが集まる大盛況に。

「竹原に暮らす人たちが、思う存分楽しんで輝いた時間でした。大人から子どもまで、『夏休みの最高の思い出になりました!』って言ってもらえたのは、うれしかったですね」

今年開催した第2回では、広島市などの市外から、サブ会場を目がけて来てくれる人が増えたんだそう。

「僕、竹原のためにやりたいことがいっぱいあるんです。イベントに参加することで、自分たちの町っていいところだなって思える人が増えるのがうれしい」と、目を輝かせる堀川さん。

「事業所さんと協力して、竹原のお土産をつくりたいし、町並み保存地区を着物で歩くとか、観光ツーリズムもどんどん考えたい」

現在堀川さんは、高齢化などが原因で過疎が進む、市内の吉名町という地域でイベントを企画しているそう。

「イベントの内容は、吉名町の小中学校に通う子どもたちに考えてもらって。2週間に1回、イベントを考える授業に講師としてお邪魔しています。『考えを集結させたら、いいものできるけん!大丈夫じゃ!』『もっとおもろいことを考えられるじゃろう!』って声をかけて。一緒につくっているんです」

子どもたちが主体になることで、地域の人たちもうれしいし、協力したいと思ってくれるはず。

「まじめにふざける、というか。馬鹿らしく聞こえることも、一度大人が本気でやってみる。いいね! おもしろそう! って、叶えてあげられるようにしたほうが楽しいじゃないですか」

堀川さんも本業があるなかで、出店依頼や保健所の手続き、お金の工面など、やるべきことは多い。

「一緒に企画を考えて実行できる事務局の方がいてくれたら、本当に心強いですね」

「役場やDMOと違って、観光協会のよいところは、地元の人や観光客の顔が見える距離にいること。地元の声を形にしやすい、ということを楽しんで実行できる人だといいなと思います」

 

最後に話を聞いたのが、観光協会でパートとして働く岸さん。

これから入る人は、日々の業務について岸さんから教えてもらう。

4年前、結婚を機に竹原へ移住。竹原のタウン誌のライターとして仕事をしていたところ、紹介を受けて今年の7月から観光協会で働くことに。

案内所では観光客への受付対応だけでなく、レンタカーやレンタサイクルの予約管理、竹原観光ナビの情報更新などもしている。

「竹原観光ナビには、観光客からの問い合わせも集まるんです。竹原市のマスコットキャラクターであるかぐやパンダに年賀状を送りたいとか、アニメの聖地巡礼で写真会を開きたいとか。ユニークなお問い合わせも多いですね」

「お答えが難しいものもありますが、その都度役所や地域の方々に教えてもらいながらご返答するようにしています」

これから入る人は、まずは案内所の受付業務を岸さんとシフト制で回していく。

仕事に慣れてくれば、堀川さんたち事業所の人やDMOと一緒に、イベントの企画運営を進めてほしい。

「いろんな立場の人とコミュニケーションをとって、連携しながら進めていく必要がある。マルチに仕事が発生することが多いので、スケジュール管理をする力は大切です」

「あとは、地域に入っていける人がいいですね。事業所さんや地域の人に、気軽にわからないことを聞きにいけるみたいな。愛嬌がある人だと、馴染みやすいのかなと思います」

帰り際、石井さんとDMOの方がこんな話をしていました。

「数日程度のインターンも予定しています。少しでも興味があれば、まずは来てみてほしいですね」

「堀川さんにはまだ許可を取ってないけれど、お好み焼き屋さんを貸し切って歓迎会しちゃいましょうか。美味しいお酒、持っていきます!」

まじめにふざける。自分で決める責任もあるけれど、やりがいも大きい仕事です。

観光協会もDMOも。数歩先に、まちをおもしろくしようとしている心強い人たちがいます。

まずは竹原を訪れてみて、自分のできることを探してみてほしいです。

(2024/11/21 取材 田辺宏太)

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