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おいしいもので
人と人、地域と地域を結ぶ

創造的なアイデアで、地域の「おいしい」を全国に届けるきっかけをつくりたい。

そんな想いをもつのが、有限会社永瀬事務所。食材・食品の生産者と、百貨店やスーパーなどのバイヤーをつなぐ会社です。

主力サービスは「バイヤーズ・ガイド」。生産者とバイヤーをつなぐ無料のマッチングプラットフォームとして、2008年にスタートしました。

販路開拓のほか、商品の改善提案やブランディングといった伴走支援、さらには自治体や経済団体と連携した商談会の開催など、事業を柔軟に広げてきました。

今回は、いろいろなアプローチで生産者やバイヤーの想いに伴走するスタッフ、そしてそれをサポートする事務スタッフの募集。さらに通年ではなくポイントで、商談会の試食調理を手伝うパート・アルバイトも、あわせて募集します。

おいしいものが好きで、地域と関わる仕事がしたい。そんな人に知ってほしいです。

 

東京・八丁堀。

東京駅や築地市場が近く、ビジネスや食文化の中心地に位置する利便性の高いエリア。駅のすぐ近くに、永瀬事務所のオフィスがある。

中へ入ると、エントランスには藍染の帆布が敷かれ、職人によるのれんが揺れている。飾り棚には伝統的な花器に和花が飾られ、地域のものづくりへの愛情がさりげなく感じられる。

奥のミーティングルームの壁には、日本全国の特産品がずらりと展示されている。

代表の永瀬さんが、穏やかな笑顔で迎えてくれた。

「この仕事をしていると、自然と特産品が集まるんです。おいしいもの好きには、たまらない環境ですよ」

年間150日もの出張で全国を巡る永瀬さんにとって、地域の食や文化に触れることは、仕事の醍醐味そのもの。

「日本全国、15周はしてるかな。どこのまちに放り出されても、目指したい方向へ歩き出せます」

今度松本へ出張に行くことを伝えると、「とうじそばや山賊焼きが絶品ですよ」と、おすすめのお店を教えてくれた。

「新しく加わる方にも、出張のときにはぜひ観光も楽しんでもらいたい。地域を体感することが、この仕事の最大の魅力ですから」

もともとはリクルートで求人情報誌の編集をしていた永瀬さん。29歳のとき永瀬事務所を設立した。

「人生1回しかないから、30歳前に好きなことにチャレンジしたい。リクルートでは“仕事”で人と人を結んできたけれど、今度は大好きな“食”で人と人を結びたい、そんな想いがありました。世の中には様々な食文化があり、“食”は人を幸せにする力がありますよね」

国内最大級の食品展示会に向け、出展者の商品を写真と文章で紹介するガイドブック「バイヤーズ・ガイド」を制作したのが、事業のはじまり。

もとはフリーペーパーだった「バイヤーズ・ガイド」は、現在はウェブサイトに移行。利用者となる生産者やバイヤーからは一切費用を取らない無料のプラットフォームとして運営している。

「地域でものづくりをする生産者たちは、“つくる”のは得意だけれど“売る”のが苦手。商品を売る場所がなかったり、売り方のノウハウ不足に悩むことが多い。人口減少による消費の衰退や、高齢化や後継者不足といった課題も重なり、地元に根付いた事業者でさえ、廃業の危機に直面しているところも」

「東京にいると見えにくいですが、地域の現実は厳しい。それは食品に関わらず、どの業界でも言えること。生産者とバイヤー、消費者をつなぐことで、地元の産業が継続できる仕組みをつくりたいんです」

最初は、生産者の販路開拓を目的にはじまったサービス。今では、生産者ごとの異なる課題に応えられるよう、商品開発やブランディングなど多角的な支援を展開している。

さらにはマッチングの場づくりとして、全国各地で商談会の開催や、百貨店やスーパーで実際に商品を売るテストマーケティングなども実施。

「僕らの仕事は、みなさんの困りごとから生まれます。地域の食文化を次世代につないでいくために、生産者・製造業に携わる方々の声に耳を傾け、事業を柔軟に拡大する」

「食に関わるすべての人に喜んでもらえるよう、やったことがないことでも取り組んでいきたいんです」

最近の仕事で印象的だったと紹介してくれたのが、富山県の米粉振興プロジェクト。

富山県が、県産米粉の利用拡大に向けた取り組みを公募。そこで、永瀬事務所が選ばれた。

永瀬さんが提案したのは、横浜中華街での「とやま米粉『水餃子&開運グルメ』フェア」。

自身のネットワークを活かし、横浜中華街発展会協同組合と連携。春節の時期に、中華街の15店舗で、富山県産米粉を使った水餃子などを提供した。

開催に先立ち、横浜と富山をオンラインで結んだ記者発表も実施。永瀬さんは、フェアの企画から店舗との調整、生産者との連携までを主導した。

「中華街にいらしたお客さまが、富山県産米粉の水餃子を絶賛してくれて。お店からも『米粉を継続して使いたい』との声が届き、販路開拓につながったことはとてもうれしかったですね」

今年も第2回が開催されるなど、横浜と富山の地域間連携のきっかけにもなっている。

さらに横浜での開催に終わらず、神戸南京町でも『とやま米粉 餃子フェア』」を拡げることができた。

「事業領域を少しずつ広げてきましたが、ぶれない軸があって。あれ、僕が書いたんですよ」

永瀬さんが指差した先には「結」の文字。永瀬事務所の経営理念でもある言葉。

「生産者とバイヤーを引き合わせて結びつけ、互いの信頼を深めてもらう。困っている人を助ける、おせっかいのような仕事ですね」

「一つひとつの困りごとから生まれるから、正解はない。それぞれに向きあって、『何が最適だろう?』と考えながら、自分の頭と足とネットワークをフルに活用して解決を目指すのが、本当に楽しいんです」

永瀬さんは全国へ出張に行くたび、可能な限り関係のある生産者の工場や圃場を訪れるなど、直接顔を合わせることを大切にしているという。

新しく入るスタッフも、最初は永瀬さんと一緒に自治体への提案、講演などに奔走することになる。食を通じて、人と人、地域と地域をつなぐ喜びが、永瀬事務所の日常には溢れているはずだ。

 

商談会運営などの案件で、行政や事業者との調整役を担うのが、事務スタッフ。現在、業務委託含め4人いるスタッフ全員が、その役割を担っている。

そのひとり、赤田さんに話を聞いてみる。もともとは永瀬さんの知り合いで、7年ほど前に永瀬事務所へ入社した。

事務スタッフの仕事は主に、商談会の開催に伴う準備を進めること、商談会当日の運営、報告書の作成などがある。

商談会の目的は、売り手となる生産者と買い手であるバイヤーのマッチング。

事務スタッフは、生産者の参加募集、バイヤーの選定から声かけ、チラシやウェブサイトの準備、提出書類の管理や主催者への進捗報告など、多岐にわたる調整を担当することになる。

商談会の終了後に、生産者とバイヤーそれぞれにヒアリング。その結果に応じて、永瀬さんがアフターフォローに伴走する。

「ミスマッチを生まないためにも、生産者さんの希望と、バイヤーさんの意向のすり合わせを丁寧に進めます。とくに生産者さんに対しては、どういった商品をどんなふうに売っていきたいか、きちんとヒアリングする必要があります」

「たとえば売り先のこだわりが、首都圏なのか全国なのか、もしくは百貨店なのか通信販売なのか。希望の売り先によって、お声がけするバイヤーさんも変わります。なかにはあまり定まっていない生産者さんもいらっしゃるので、こちらから質問を投げかけたりしながら、探っていきます」

昨年度は15回開催されたという商談会。9月から11月にかけてのピークの時期は、3つから5つを並行して進めていく必要がある。

「規模が大きいものだと、生産者さんの参加が80者ほどで、バイヤーさんを35人以上お呼びする必要があったこともありました」

事前の提出書類や出欠の可否など、連絡が滞る場合はリマインドもしながら、調整を進めていく。

不測の事態で現地開催が難しく、オンラインに切り替わる場合もある。イレギュラーも想像しつつ、いろいろなケースに対応できるよう進めていく必要がある。

「以前、会場で試食調理をすることになっていたのですが、当日届いた調理器具に電源コードが入っていないアクシデントがあって。バイヤーさんに商品を試食していただきながら商談を進めてほしい思いで準備を進めていたので、調理ができない状況になりとても焦りました」

「電話で代替品の依頼をして納品していただき、なんとか試食品提供に間に合ってホッとしましたね」

相手の連絡や、その場の状況が自分の仕事に影響するから、フットワークが軽く臨機応変に対応できる人が向いていると思う。

細かな調整も多く、個人の裁量に委ねられる部分も多いけれど、わからないことがあれば気軽に尋ねたり、案件が立て込んだときには適宜補い合える体制を常にとっているという。

「開催日というゴールが見える仕事。なんとかタスクを完了させて、無事開催できたときは本当にすっきりしますね」

「業務においては、基本のテンプレートがあるので、覚えるうえで難しいことはひとつもないです。私の家庭の事情も汲んでくれて、週4日の勤務もできている。働きやすい環境だと思いますね」

 

最後に話を聞いたのが、業務委託として関わる蓑島さん。夏から秋の商談会シーズンに、赤田さんと同じく事務作業を担っている。

本職はフリーランスで、生産者さんへの伴走支援をしているという蓑島さん。永瀬事務所に関わるきっかけは、かつてバイヤーとして商談会に参加したこと。

生産者の悩みを直接解決する仕事に魅力を感じ、業務委託として関わることに。

「商談会後の、生産者さんに対する永瀬さんのアフターフォローが、とても手厚い。それがほかにはない強みかなと思いますね」

「バイヤーからのアンケート結果も参考にしながら、商品のデザインや価格、物流、衛生管理など、考えられる課題を洗い出して、改善案を生産者に提案する。豊富な経験から生まれる永瀬さんのアプローチを見ていると、いつも刺激を受けます」

永瀬事務所で働くやりがいとは、どんなところでしょう?

「商品開発、販路開拓のコンサルティング、商談会の運営まで、すべてに関わるからこそ、自分たちが目にする商品が市場に出ることの価値を深く理解できる。それってなかなか経験できないんじゃないかな」

「お店の棚に並ぶ商品には、バイヤーの『良いものを届けたい』という想いと、生産者の『知ってほしい』という想いが背景にある。人の熱い想いや、苦労や情熱に触れるたびに、感動する。自然と、頑張ろうって思えるんです」

一緒に働くのは、どんな人がいいでしょう。

「ここでの仕事は、生産者さんにとってパートナーのような存在になること。僕らの仕事ぶりによっては、チャンスを奪うことになりかねないですよね。責任感を持って、取り組む姿勢が大事です」

「経験よりも、食への愛と地域への好奇心。それが一番大事じゃないかな」

 

食は、人と地域、暮らしを豊かにすることにつながっている。

生産者の想いを全国に届けていく仕事にワクワクする人は、ぜひ応募してみてください。

(2025/04/25 取材 田辺宏太)

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