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美味しいうなぎは
こだわりのエサから

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

土用の丑の日に、うなぎを食べる。

細かな背景までは知らなくても、その風習は多くの人に馴染みがあるはず。

特別な日に食べることが多いからこそ、おいしいものを選びたい。

そんなうなぎの味を決めるのは、ずばり、エサです。

鹿児島に本社を構える株式会社ヒガシマル。

乾麺などを製造販売する食品事業と、うなぎをはじめとする養殖用のエサを手がける水産事業を展開している会社です。

今回紹介するのは、主にうなぎのエサを販売する、水産事業の営業担当。

浜松・名古屋・鹿児島のいずれかを拠点に、生産者や商社と一致団結して、おいしいうなぎを育て、販売するための提案を行います。

最初の1年は勉強期間。目標数字は持たず、先輩に同行したり、地域の養殖業者を手伝ったりしながら、一から知識を身につけていきます。

営業ではあるものの、日々身体を動かして、人や生きものと近い距離で関わる。そんな働き方に共感する人に、知ってほしい仕事です。

 

向かったのは、今回の募集エリアのひとつ、浜松。

東京から新幹線で1時間半。駅のホームに降り立つと、早速うなぎの蒲焼のいいにおい。

そこから在来線に乗り換えて2駅、浜名湖の玄関口にあたる舞阪駅へ。

湖を眺めながら10分ほど車に乗り、ヒガシマルの取引先である「丸徳養魚場」に到着。「普段の仕事のイメージが湧くように」と、今回はこちらで話を聞かせてもらう。

「ヒガシマルが浜松エリアに進出して約3年、丸徳さんは最初にうちのエサを使ってくださった生産者さんです。新しく入る方も、うなぎに関するいろいろなことを、こちらで勉強させてもらうことになると思います」

そう教えてくれたのは、ヒガシマルの藤井さん。これから入る人の上司に当たる方。

もともとは研究開発部門出身で、今は飼料営業部の課長として、鹿児島を拠点に全国を飛びまわっている。

鹿児島県日置市に本社を構え、食品事業と水産事業を展開するヒガシマル。

1972年に参入した水産事業は、クルマエビ用の配合飼料からスタート。その後、ブリやハマチ、マダイ、ヒラメなど、さまざまな魚種へと展開していった。

飼料メーカーの中では比較的小規模だからこそ、独自の方法で差別化してきた。

「たとえば大手メーカーさんは、一種のレギュラーアイテムに絞って販売することが多いんです。一方うちの場合は、病気に強くなるとか、味がよりおいしくなるとか、機能性を持たせたエサを複数販売しています」

「生産者の要望に応えたオーダーメイドにも対応していて。ブランド化するために、各県の特産物を入れたエサを開発したこともありました」

小回りのきく商品開発ができる理由は、鹿児島にある臨海研究所。業界内の研究施設では国内最大級だそう。

生産者の声を反映させたエサをスピーディーに開発したり、現場で病気などが発生したら解剖して原因を分析したり。

曖昧な表現になりがちな、「おいしさ」の数値化にも取り組んでいるという。

「その魚がおいしいと感じるかどうかは、食べる人の性別や年齢によって異なるのが当たり前。だから我々は、旨み成分や甘み成分を数値で表して、エサによってうなぎの味がどう変わるのか、お客さまにデータで示すようにしています」

「たとえばうなぎが含む油の量を調べて、『もう少しエサの油分を増やしたら、身の油のりがよくなりますよ』と提案もできる。単に飼料を販売するだけにならないよう心がけています」

同じ商品でも、毎年内容をアップデートしているそう。

取引がはじまってからも、うなぎがよりおいしく、育てやすくなるように。本当にお客さんのためを思っての話ができるから、きっと営業もやりやすいと思う。

2018年に、ヒガシマルとしては後発で参入したうなぎの事業。

いま話を聞いている丸徳養魚場がある浜松エリアも、もともとまったく縁のない場所だった。

進出当初、うなぎの養殖業者の組合向けに説明会の機会をもらったものの、反応は冷ややかだったそう。

「僕はオンラインでの参加だったんですけど、電波が途切れ途切れで、後々聞くと会場の雰囲気は凍っていたらしいです(笑)。そのとき、一番質問をいただいたのが丸徳養魚場さん。心にグサっと刺さるような質問をバンバンと…」

「でもその後、直接面談の機会をつくってもらって、あらためてうちのエサをプレゼンして。その場で使用すると決めていただけたのが、すごくうれしかったですね」



「最初の説明会は衝撃的でしたよ。でも直接話を聞いて、すぐにお願いしようと思いました」

そう続けるのは、丸徳養魚場の3代目である徳増さん。代々この地でうなぎの養殖に取り組んできた。

ヒガシマルのどんなところがよかったのでしょう?

「我々が求めているものに対して真摯に向き合ってくれたなと。浜名湖は比較的小さな養殖場が多いもんですから、大手さんにはあまり力を入れてもらえなかった。こちらの意見を、初めてちゃんと汲み取ってくれたのがヒガシマルさんでした」

うなぎのエサは、固形の「EP飼料」と、粉末の「マッシュ飼料」に分かれる。マッシュ飼料のほうが長年主流ではあるものの、現地で粉末に水や油を加え、練り上げてから与えなければいけない。

当時、丸徳養魚場ではマッシュ飼料を使用していたものの、原料供給の問題による品質の低下や、毎日の練り上げを負担に感じていた。

「ヒガシマルさんの提案は、最初からEP飼料でした。これなら、そのまま池に撒けばいい。うちは家族経営で人手が少ないので、なるべく楽な飼育スタイルに変えていきたいと、ちょうど考えていたときでした」

「魚の味はエサで大きく変わります。試しに使ってみたところ、非常に良いことがわかって、それからはほぼヒガシマルさん一択。運命共同体として、ヒガシマルさんのエサを採用させていただいています」

最近は、高級百貨店で販売すると完売になったり、品評会で選出されてメディアに出たりと、目にみえる変化も現れている。

天然の稚魚を仕入れてから、出荷するまでは約1年。2万匹を育てているという池を覗かせてもらう。

地下80mから汲み上げた水で満たされたビニールハウスの中は、温室のように温かい。

「うなぎが寄ってくるでしょう。意外と目が見えているから、入り口が開いたな、エサがもらえるのかな、と思って集まってくるんです」

「生きものに関わる仕事って、24時間、身体は休んでいても頭の中ではずっと考えているようなもの。プレッシャーもあるけど、達成感も強い仕事ですよ」

長く付き合っていく営業として、どんな人が来てくれたらうれしいですか?

「生産者にはプライドがある人もいますから、まずちゃんと話を聞いてくれる人がいいのかなって」

話を聞いてくれる人。

「話すときはだいたい、餌を食べないとか、悩み相談なんです。知識だけで『それ違います、こっちがいいですよ』ってバッサリ言われてしまうとつらい。しっかり聞いてフォローアップしてくれる人がいいかな」

 

現在、浜松エリアを担当するのが、川本さん。緊張している様子を徳増さんにいじられたりと、可愛がられているのが伝わる。

新卒で入社して4年目で、浜松に常駐して2年半。今年度から主任のポジションを任されている。

「祖父が漁師だったので、もともと魚は身近でした。養殖業に関わりたいと思ったんですが、その世界にどっぷり浸かるよりは、一歩引いて業界全体を見渡したい。生産者との距離も近く、知見も広げられそうな、エサの会社を目指しました」

「でも就活をしてみると、畜産のおまけで水産をやっているような会社が多い。水産に特化しているところは、ヒガシマルだけでした」

もともと理系ではあったものの、水産についての知識はほぼゼロ。丸徳養魚場を手伝いながら、うなぎの基本を教わっていった。

「勉強というかたちで、毎朝の餌やりから敷地内の草取り。池が空になった後のメンテナンスとか、1年を通して学ばせていただきました。ずっといるので、だんだんと取る草もなくなって (笑)」

営業職には約1年間の研修期間を設け、その間は目標数字を持たないのが、ヒガシマルのスタイル。

これから入る人も、まずは現場の仕事を手伝ったり、川本さんの営業まわりに同行したり。

最終的に独り立ちできるように、じっくり知識を身につけていく。

「お客さんと距離が近いってことは、それなりの手伝いも必須ということ。営業といってもポロシャツで、現場で汗かく作業が9割くらいです。うちの採用ホームページってすごくきれいなので、それを見て応募した身としては、衝撃的なギャップでしたね」

「今は取引先が増えてきたので、いろいろな会社を回って手伝いながら、新商品があれば提案したり、困りごとを聞いたり。営業の1日のスケジュールは結構自由なんですよ」

基本は、自宅から現場へ直行直帰。川本さんは浜松エリアを中心に、静岡の焼津あたりから、豊橋まで出向くこともある。

出荷を手伝う日は早朝から行くものの、そのぶん早めに切り上げるなど、自己判断で調整できる。

「夜に電話がかかってきて、『魚が死んでるからちょっと見てほしい』っていうことも1回だけありました。でも基本的には、お客さんから呼ばれることってないんです。だからこそ、こっちから行かなきゃいけない」

「なにか気になることがあったとき、その場にいれば相談してもらえるけれど、わざわざ電話まではしない。訪問頻度が高いほど、役に立つことができると思っています」

川本さんはどんな人と一緒に働きたいですか?

「自分のほうが経験は長いけど、気を遣わずにどんどん質問してほしいですね。上司がそうやって丁寧に教えてくれて、今の自分があるので。同じようにやっていきたいですし、私もわからないことは調べながら切磋琢磨していけたらうれしいです」

 

「うちのエサで育ったうなぎが出荷されたあと、問屋さんを通じてお客さんの評価を聞けることがやりがいにもなります」と話す川本さん。

この日も、エサの販売代理店の方と、うなぎの卸会社の方が、応援に駆けつけてくれていました。

エサという最も上流から、うなぎを育て、販売するまで。一気通貫で浜松のうなぎを盛り上げていこうとするつながりの深さも、とても印象に残ったことでした。

ニッチな世界ですが、誇りを持って働く人たちがたくさんいます。

「こんな仕事があるんだ」と、初めて知った人も多いはず。少しでも興味を持ったなら、まずは話を聞いて、想いに触れてみてください。

(2025/05/15 取材 増田早紀)

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