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ビーズの世界に浸れるお店
趣味と仕事の
ちょうどいい関係

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「これ、仕事の昼休みにつくったんですよ」

レーシーな花模様のネックレスを見せてくれたのは、ビーズの専門店MIYUKI FACTORYで働く加藤さん。

制作期間は約1週間。昼食後、お店の控室でコツコツ作業を続け、一緒に働く仲間に進み具合を見せるところまでがセットの楽しい日課だったそう。

東京・浅草橋にあるMIYUKI FACTORYは、1949年に創業した国産ビーズメーカーMIYUKIの直営店。自社の看板商品であるガラス製ビーズのほか、世界中から集めたユニークなビーズやパーツ、刺繍材料などが3つのフロアに所狭しと並んでいます。

今回は、販売などの仕事を担う店舗スタッフを募集します。

スタッフの多くは、もともと趣味でアクセサリーづくりなどをしていた人たちですが、お店で働くようになってから、ものづくりを楽しむ時間がさらに増えたといいます。

自分の好きなこととはいえ、毎日いそがしく働いていると、創作活動を続けるのはなかなか難しいもの。それにより、手間のかかる趣味から遠ざかっている人も少なくないと思います。

このお店は、常に色とりどりのビーズに囲まれ、手芸を楽しむ人との出会いも多い場所。仕事を通して創作意欲を刺激されるから、ちょっとした空き時間で、すぐに制作に取りかかるというペースを保ちやすいのかもしれません。

職業作家として作品を発表するのとは違い、あくまでも自由に制作を楽しむ時間を生活のなかに取り込む。ものづくりの趣味と仕事のちょうどいいバランスを維持していきたい。そんな人にぴったりの仕事だと思います。

 

浅草橋は、手芸材料の専門店が多い街。

MIYUKI FACTORYは駅の西口から徒歩1分ほどのところにある。

1日の仕事は、朝9時からスタート。

「まずはスタッフ全員が参加する朝会で情報共有をして。そのあと、在庫を整理したり、お問い合わせのメールをチェックしたりしています。朝会後は、その場に残ってみんなで雑談をすることが多いです。お客さまから聞いたこととか、商品の情報交換とか」

そう教えてくれたのは、加藤さん。入社4年目で、お店では1階のシードビーズ売り場をメインに担当している。

シードビーズというのは、小さな粒状のビーズの総称。ストロー状に成形したガラスを細かくカットしてつくられる。

売り場には、スタンダードな丸い形のものから、細長い形、多角形のものなどいろいろなビーズが揃っている。その数、およそ6000種類。これでも、MIYUKIの製品の一部分にすぎないという。

さらに、ガラス自体に色をつけたものや、内側にメッキを施したものなど。同系色でも加工の違いによって印象が異なる。一つひとつじっくり見ていくと、あっという間に時間が経ってしまいそう。

「ビーズって、手芸の“材料”ではあるんですけど、ビーズそのものもきれいだから、眺めるだけでも楽しい」

「ポロッとこぼれた一粒を拾いながら、え、こんなかわいいビーズもあったの?って発見することが日々あって。つい買い集めてしまう。中毒性があるんですよ(笑)」

製品は、オンラインショップでも販売しているものの、個々の特徴は、実物を見たほうがわかりやすい。お店では、希望があれば瓶から出し、糸に通してみることもできる。

「ときどき、電話やメールでビーズの色味についての質問を受けることがあるんですけど、言葉で説明するのはすごく難しいです。たとえばシルバーといっても、人によってイメージする色は全然違うので」

ビーズ選びは、これからどんな作品をつくるかアイデアを練る時間でもある。

お客さんが、自分のペースでじっくり考えられるよう、店内はグレーを基調とした空間で、照明も落ち着いた雰囲気に整えられている。

「真剣に選んでいるお客さまの邪魔にならないよう、売り場ではあまり声をかけないようにしています。とはいえ、ただ売って終わりでは寂しいので、お会計のときには『このビーズかわいいですよね』とか、ちょっとした会話をすることが多いです」

「自作のブローチなどをつけていらっしゃる方に、『どうやってつくるんですか?』って聞くと、『実はね…』ってバッグの中から、ほかの作品も出して見せてくださる。私たちが販売したビーズがどんな作品になったのかを見られるのは、すごくうれしいです」

高齢のお客さんも多く、ときにはビーズと関係ない世間話に花が咲くことも。忙しいときは、ビーズを量る作業と並行しながらでも会話を楽しむよう意識している。

そうやって普段から話すことで、お客さんからも気軽に質問してもらいやすくなる。

せっかくお店に来たのに、何を選んでいいかわからず諦めて帰るのはもったいない、と加藤さん。

「スタッフもお喋り好きな人が多いです。女性が中心の職場で、20代から50代まで年代は幅広いんですけど、みんなほんわかしています。ピリピリのピの字もないくらい(笑)」

「基本的に残業もないし、自分の好きなことをする時間を持てる。仕事だけに没頭するような毎日だと、家に帰って手芸を楽しむのは難しいし。そういうワークライフバランスを保ちやすい職場だと思います」

 

同じく1階を担当する田島さんも、2年前に入社してから作品づくりをする時間が増えたひとり。

エプロンにつけている猫のブローチは、お店で販売しているキットをアレンジしたもの。

以前はアパレルで働いていた田島さん。ビーズに関する知識はお店に入ってから身に付けたものがほとんど。

「お客さまからよく聞かれるのは、ビーズの穴に合う糸の太さや、糸に通したときにどれくらいの長さになるかなどですね。一応、基準のデータはあるので、お客さまがつくりたい作品のイメージを聞いてご案内しています。暗記というよりは、やりながら自然と覚えていくことが多いと思います」

ビーズは糸に通すだけでも指輪やネックレスがつくれるし、刺繍や編み物などの技法と組み合わせれば立体的な作品もつくれる。技法については、社内で詳しい人がたくさんいるので、興味さえあれば仕事をしながら覚えていける。

入社後、田島さんがもうひとつ身に付けたのは英会話のスキル。

MIYUKIのビーズは世界中にユーザーがいて、日本旅行の目的のひとつとしてMIYUKI FACTORYを訪れる外国人も少なくない。

なかには、限られた旅程のなかで2〜3日続けて来店する人もいるほど。

「もともと、英語は全然話せなかったんですけど、加藤さんたちが話しているのを聞いて、フレーズを真似しているうちに、自分でも案内ができるようになりました」

お店には自動翻訳機があるので、必ずしも英語対応ができなくても大丈夫。ただ、「ビーズ織り」など機械では翻訳しづらい専門用語も出てくるので、自分で伝えてみようという前向きさは持っていたほうがいいと思う。

MIYUKI FACTORYでは、自社製品への理解を深めるため、入社後に広島県にある本社工場を見学する機会を設けている。田島さんも、この夏はじめて生産の現場を訪ねる予定。

「入荷連絡などで工場とは連携していくので、直接会うことで今後のコミュニケーションに活かしていきたいです」

「洋服でもビーズでも、工業製品って自動的に生産できると思われがちだけど、人の手でつくっているものなんですよね。そう考えると、これだけの数と種類のビーズをつくり続けていること自体がすごいなって思います」

 

最後に話を聞いたのは、これから働く人にとって、一番身近な上司になる副社長の勝岡隆史さん。

戦前からビーズづくりをしていたMIYUKIの創業者は、勝岡さんの曽祖父にあたる。

MIYUKIが世界に知られるきっかけにもなったのは、80年代に開発されたデリカビーズというシリーズ。なめらかな色面が表現できることから、手芸の愛好家だけでなくファッションデザイナーにも定評がある。

「最近は、初心者でも楽しめるキットの開発にも力を入れていて、お店にも少しずつ若い世代のお客さまが増えてきています。ひとつのビーズでも、人によっていろんな楽しみ方ができるので、その可能性が伝わるような幅広い提案ができたらいいなと思います」

3年前にお店を全面リニューアルしたとき、勝岡さんがこだわったのは、ビーズが主役の空間をつくること。

店内はすべての棚にスポットが当たるよう工夫されていて、一つひとつの色をじっくり見比べることができる。

「色の組み合わせなどで迷ったときは、スタッフに相談してくださるお客さまも多いみたいです。この店はメーカーであるMIYUKIが、ユーザーの声を聞ける場所でもあるので、お客さまとのコミュニケーションは今後も大切にしていきたいです」

売り場に立つスタッフの気づきは、お店をよりよくしていくための大切なヒント。

最近もスタッフの発案で、ビーズを量るときに使うビーカーに、透明な素材のものを取り入れて試しているところ。中が見えると、重さに対する量の感覚がわかるので、お客さんも量り売りの注文をしやすくなる。

「普段から、スタッフが意見や提案をあげてくれるのはすごくありがたいです。ただ、実現できるものもあれば、難しいものもあって。特に、店内に案内掲示などを増やすことについては、空間の雰囲気とのバランスもあるので、慎重に吟味したうえで進めていきたいですね」

お店には、日々さまざまなお客さんが訪れる。

数十年にわたってビーズ手芸を楽しむ高齢の常連さんもいれば、はじめてビーズに触れる親子、外国のお客さんもやってくる。

ちょっとした案内から、ものづくりの相談まで、相手によって必要なコミュニケーションの量は違う。売り場のスタッフの人数は限られているので、ビーズを量りながら、ほかのお客さんの案内をしながら、全体にも目を配る意識が大事なのかもしれない。

またMIYUKI FACTORYは、アパレルなどB to Bの顧客のためのショールームとしての役割も兼ねている。商談などのやりとりは営業経験のある先輩スタッフが中心に行うものの、これから新しく入る人も、注文された商品の準備など一部業務をサポートすることになる。

メール対応や梱包など、時間内でさまざまな作業を進める工夫が必要な面もある。

「お客さまのほとんどは、ビーズを買うために、わざわざ足を運んでくださる方です。浅草橋という場所柄、たまたま通りかかってふらっと立ち寄るということは、あまりなくて」

「それにここは、ビーズメーカーMIYUKIの顔でもある。海外も含めて、遠路はるばる来てくださるお客さまの期待に応えられる店でありたいです」

 

ビーズ専門店に期待されることって、なんだろう。

品揃え、商品知識。もうひとつ大切なのは、ものづくりの楽しさに共感できるスタッフの存在だと思います。

自分で手を動かしているときのワクワクする気持ちを共通言語に。世代や国籍も超えて、ビーズの魅力を伝えてくれる人を求めています。

(2025/5/29 取材 高橋佑香子)

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