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企画の種を全国へ
まちづくりの風になる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「空き家が増えた商店街に、活気を取り戻したい。高齢者がいきいき過ごせる居場所をつくりたい。そんな地域が抱えるさまざまな課題を解決していくためには、『風』『水』『土』それぞれの役割を持つ人たちが欠かせないんです」

そう話してくれたのは、株式会社iop都市文化創造研究所 代表の永田さん。

まずは、活動のもととなる企画の種を考え、地域に届ける「風」の人。まちの人を巻き込んで、活動を活発化させる「水」の人。そして、その土地で暮らす「土」の人。

たくさんの地域に種が根付き、育ち、花が咲くように。iopは、「風の人」として企画を生み出し、運んでいく会社。

デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)という神戸市の施設を拠点に、地域課題の解決の糸口となるような企画をつくり国内外の地域に届けてきました。

今回はiopで働く企画運営スタッフを募集します。経験は問いません。

最初の3年ほどはKIITOの運営に携わり、企画のつくり方や運営についての経験を積みます。その後は全国各地で課題を抱える地域に企画を届けたり、新しい拠点の立ち上げに関わったり。

自分の考えた企画が地域の人の助け、たくさんの人が豊かになる。そんな面白みのある仕事だと思います。

 

神戸の中心である三宮駅から海に向かって歩いて20分。

iopが企画部門の運営を担当しているKIITOに到着した。

昭和初期に神戸港から輸出する生糸の検査所として使われていた施設。

4階建ての広々とした施設には、ラウンジや、イベントができるレンタルスペース、クリエイターが入居するオフィス、図書館、カフェなどが入っている。

待ち合わせ場所の会議室に向かうと、「特殊詐欺対策を考える」ワークショップの最中。

テーマに興味を持った地域の人や学生が集まって、警察に提案するためのアイディアを話し合っている。

合間を見つけて、代表の永田さんが話をしてくれた。

「KIITOは、課題解決型のデザインセンター。いろんなことをしているので、なにをしているかわかりづらいですよね」

「けど、大切にしているのは子どもから高齢者まであらゆる世代の市民がクリエイティブになることなんです」

クリエイティブになる、ですか。

「地域の課題が多様化するなかで、これまでの解決方法は通用しなくなっている。そこで大事なのが、これまでの常識を飛び越えたクリエイティブの力だと思っていて。その力をあらゆる人が身につけて、身近な課題を解決できるようになれば、地域はもっと豊かになると思うんです」

そのための取り組みの一つが、子どもたちの創造性を育む「ちびっこうべ」という体験型プログラム。

子どもたちの学校外での多様な学びの機会が少ない、という課題から生まれた。プログラムでは、子どもたちがグループに分かれ、シェフや建築家、デザイナーなどのクリエイターから学びながら、3ヶ月をかけて自分たちの夢のお店をつくっていく。

さらに出来上がった店を集めて、子どもたちだけのまちをつくり、自由に買い物や、職業体験をしてもらう。

2012年から2年に1度開催していて、毎回お店づくりには150人以上が、まちオープンのときには1,500人以上の子どもが参加するビッグイベント。

「本当に何もないところから、お店やまちを自由につくる。それって究極の創造教育だと思うんです」

「普段は出会えないようなプロと一緒にものづくりをすることで、学べる知識や感じることがあるはず。そういう経験を子どもたちにしてほしいと思ってこのプログラムつくりました」

ちびっこうべの取り組みは、「店づくり」から「家づくり」に形を変えて神戸市内の学校で総合的な学習の時間にも導入されている。

「ちびっこうべに参加できるのは、近くに住んでいたり、親の感度が高かったりする子どもだけ。一部の子どもだけが豊かになればいいっていうのは違う」

「同じことをするのは難しくても、スケールを変えれば別の地域でもできる。どんなプログラムも、コンセプトを守りながら、その場所に合った形で広めています」

KIITOでは、ほかにも年間20件ほどの連続ワークショップを開催。単発のイベント実施は200件以上に上る。

そんなKIITOのプログラムを学ぼうと、多い時には国内外から年間150以上の視察が訪れる。ときには、自治体や地域活動団体にノウハウを伝えたり、他地域で新しい施設の立ち上げをサポートしたりすることも。

「たとえば、空き家問題とか、高齢者の孤立とか。神戸と同じ課題は全国にもある。地域で活動している人たちと話すと、本当に困っていて。理屈じゃなくて、具体的な解決策を求めている。そういう意味でも、KITTOで実際に使える活動の『種』をつくり続ける必要があると考えています」

地域で活動する人たちに向けて、活動の「種」をつくって届ける。その役割を永田さんは「風」の人と表現する。

「まちづくりというと、地域に根付いて活動する人に憧れる人も多いし、僕もその気持ちはわかるんです。でも、自分で考えた企画の種が、全国、ときには海外にまでに広がっていろんな人の助けになるって、最高にロマンがある仕事なんじゃないかな」

「新しく入ってくれる人にも、そういう面白さを感じてもらいたい。KIITOでたくさん経験を積めるから、企画やまちづくりの経験はなくてもいい。それよりも、この仕事に熱意を持ってくれる人が来てほしいですね」

新しく入る人は、KIITOで企画や運営をしながら、新しい種をつくる方法を学んでいくことになる。

 

大原さんもまったくの未経験から企画を学んできたひとり。

「新卒で翻訳サービスの会社に入ったんですけど、社会とのつながりが遠いなと感じていて。もっと手触りのある、人と触れ合える仕事をしたいと思っていたときにKIITOに出会ったんです」

アルバイトスタッフからはじめて、2年前から社員として企画や運営に携わるように。今は4つのプロジェクトを同時に担当している。

企画と一言でいっても、面白いアイディアを考えるだけじゃなく、講師決めや、スケジュール調整、プレス資料の作成。ほかにも、当日のための備品発注や、運営の流れの整理などさまざまな仕事がある。

大原さんはどうやって、仕事を覚えていったんでしょう。

「まずはゼミに参加したり、受付したり、現場を体験する機会をもらって。参加者視点を学べたことで、自分が企画をするときにも、どうしたら楽しんでもらえるかを考えるヒントになりました」

新しく入る人も、まずはKIITOのプログラムに参加するなど企画を体感するところから。その後は先輩に教えてもらいながら、多くの現場で実践を積んでいく。

これまで手掛けた企画の中で、特に印象に残っているのが神戸市内の商店街の空き家問題をテーマに扱った『+クリエイティブゼミ』。

参加者は公募で集まった地域の人や学生など。専門家から話を聞き、実際にフィールドワークをして現状を調べるなど、約2ヶ月かけて課題解決のためのアクションプランを考えていく。

「アイディアを出して終わりではなくて、実践を大切にしていて。たとえば『商店街の人を講師にワークショップをする』などの案を実践できる拠点として、iopで商店街の中の空き店舗を借りました」

「初回は、地元で愛されているお寿司屋さんの店主に手巻き寿司を習うワークショップ。ただつくるだけではなくお寿司の歴史を学んだり、ゼミ生のアイデアから、商店街のアーケードの長さを活かして、3メートルほどの長い手巻き寿司をつくりました」

iopが大事にしているのは、考えた企画を一度で終わらせず、地域に根付かせること。そのため、企画や運営は地域の人やゼミ生を巻き込み、大原さんたちはサポート役に回る。

「私たちが全部やってしまえば、簡単かもしれないけれど、それって長くは続かない。完璧じゃなくても、地元の人たちが続けていける規模や仕組みづくりを意識しています」

イベントには地元の子どもたちなど15組が参加。その後も、お寿司屋さんの常連のおばあちゃんと、趣味のレース編みを一緒に楽しむワークショップを開いたり、ゼミ生が子ども食堂を始めたりと、新しいつながりが生まれはじめている。

「お寿司屋の店主が『次のワークショップは、いなり寿司でどうや!』って声をかけてくれたりもして。皆さんがどんどん活動に前向きに変わっていく姿を見られるのがすごくうれしい」

「こういう風景って、一人ではなかなか見られないと思うんです。いろんな人と関わりながら、自分だけでは思いつかないものが生まれるのが、この仕事のやりがいなんじゃないかな」

 

新しく入る人は、KIITOで3年ほど企画の経験を積んでから、iopのスタッフとして企画の種を届ける役割を担っていく。

まさに今、全国を飛び回っているのが14年目になる中野さん。KIITOの立ち上げ当初からのメンバーだ。

「いろんな自治体や、地域団体、民間の方が視察に来て、自分たちの地域でもこのプロジェクトをやってみたいと相談をくださる。そういう方に向けたコンサルティングの仕事をしています」

中野さんが1週間のうちに神戸にいるのは2日くらい。残りの3日間は、さまざまな地域に出張し、事業の立ち上げや地域のお悩み解決の手伝い、企画の種を開催できる担い手育成などに関わっている。

新しく入る人の将来的な働き方は大きく三つ。

一つ目は、中野さんのように神戸を拠点に出張しながらさまざまな自治体をまわる働き方。二つ目は、新しい拠点の立ち上げに向けて、その地域に移り住む。そして最後がKIITOを活動の中心にし続ける働き方。

今は、川越市から委託を受けて新拠点の運営を手掛けているほか、新しい拠点支援の話も出てきている。新拠点の立ち上げに魅力を感じてくれたらうれしいけれど、神戸に残って働き続ける選択もできる。

「同じ種でも、植える場所が変われば咲く花も全然違う。地域によって関わる人や、プログラムのやり方も変わるので面白いですよ」

たとえば、全国に広がっている「男・本気の料理教室」というプログラム。退職後に社会から孤立する男性が少なくないことから、新しい技術を身につけて活躍できる場をつくろうと生まれたもの。プロのパン職人や、バリスタなどから本格的な指導を受けられる。

「静岡では、娘さんにすすめられて教室に参加したお父さんが、すごくコーヒーにハマったらしくて。どんどん腕を上げて、娘さんの知らないうちに地域で活躍するようになって、気づいたら広報誌に載っていたそう」

「神戸では、教室で腕を磨いた人たちがチームをつくって、地域の子育て支援センターに出張してコーヒーをふるまう活動をはじめています」

ほかにもそれぞれの場所でストーリーが生まれている。

「僕たちの仕事は、自分のやりたい企画を形にするだけじゃなくて、困っている人を手伝うためのものだと思うんです。だから、クオリティを追求すればいいってものじゃない」

「その地域の人員や予算を見ながら、僕たちがいなくても、プログラムが長く根付いていくようにバランスを取っていく。そんな意識を持ってもらえたらうれしいです」

 

地域を豊かにするために、いろんな企画を生み出し、届け続ける仕事。

代表の永田さんは、少し照れながらこんなことを話してくれました。

「ちょっとカッコつけすぎかもしれませんが、多くの人を救いたいんです。そういう情熱があれば、ここでの仕事はピッタリだと思う」

「経験も、知識もいらない。まちづくりに種を届ける『風』になりたいと思ってくれたら、一緒に働きたいです」

(2025/7/15 取材 高井瞳 )

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