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「ウッドデッキをつくってみると、メンテナンスもしなきゃだし、草も刈らなきゃだし、やらなきゃよかったなぁって思うこともあります。でも、お客さんの笑顔を見ると、そんな気持ちも全部なくなる」
「些細なことでも喜んでもらえるのが本当にうれしくて。根っから、人が好きなんだなって」
そう話すのは、ホテルサンローラの総支配人、水落(みずおち)さん。屈託のないこの言葉に、なんだか聞いているこちらもうれしくなる。

花火で有名な新潟県・長岡市の南西部に位置する川口地域。
この地域で、ホテルサンローラと隣接する温泉施設を中心に、水落さんや地域のプレーヤー、お店などと一緒に観光コンテンツを企画、発信する地域おこし協力隊を募集します。
観光や旅行業の知識・経験があると活かせそう。でもそれよりも、この人を喜ばせたいというおもてなし精神や、自分の趣味・興味関心など「好き」を仕事に活かしたいという想いがある人だと、ぎゅっとつまった3年間になりそうです。
東京から新幹線で1時間ほど。越後湯沢駅から在来線に乗りかえ、越後川口駅へ。
訪れたのは5月の下旬。水が張られた田んぼが広がる風景は、この時期ならでは。過ぎていく山や川、田畑に自然とおだやかな気持ちになる。

のんびり電車に揺られて1時間。到着した越後川口の駅から、今回の目的地であるホテルサンローラへは、車で10分ほど。

ホテルサンローラと隣接する温泉施設「えちご川口温泉リゾート」は、もともと地元の人が多く利用する憩いの場。
ところが、第3セクターによる営業は赤字が続き2020年に一時休業。ノブサーズという企業が経営を引き継ぎ、2022年にこの2つの施設は営業を再開した。
今では、温泉は13万人、ホテルは1万人ほどが年間に利用する施設となり、営業2年目で黒字化も果たした。
再興の立役者が、ホテルサンローラとえちご川口温泉リゾートの総支配人を勤める、ノブサーズの水落さん。
どんな方なんだろう?と身構えていると、首からタオルをかけ、颯爽と現れる。

「10月に収穫祭を企画していて。午前中は、施設内にある畑に野菜の苗を植えていました。あ、お茶のみますか?」
水落さんは前職で、湯沢にあるスキー場併設のリゾートホテル「NASPAニューオータニ」の支配人をしていた。
「地元が川口で、ノブサーズの社長から地元で一緒に事業をしないか?と誘われたのがきっかけで関わりはじめました。前職は経営母体もしっかりしているし、安定した仕事でした。けれど、敷かれたレールを進むだけに思えてしまって」
「ここでなら、これまでの経験を活かして、自分のやりたいサービスができる。とは言っても、一度閉じていた施設の再開ってやっぱり大変でした。何回後悔したか(笑)」
ネット予約のためのシステム構築、洋室のみの客室に和室をとりいれ、ベッドや家具を新しくするなどより快適に過ごせるよう改装。さらには、お客さんに提供する朝食の見直しなど、ハードとソフトの両面に手を加えていった。
水落さんが前のめりでこの施設に取り組むのは、この場所に可能性を感じているから。
「とにかくロケーションと温泉の泉質がいい。地元の僕ですら、こんなにいい場所があるって全然知りませんでした。なので、ちゃんと広報をすればお客さんは来る場所になると思ったんです」

肌に触れるとしっとりと感じる温泉は、県内でも珍しい強塩泉。身体に浸透しやすく、保湿・保温効果が高い泉質で、関東から頻繁に通うお客さんもいるそう。
露天風呂やホテルの客室からは、山々のふもとで信濃川と魚野川が合流する景色が見渡せる。朝の雲海、山に沈む夕日、夜には満天の星空と、1日を通して見せる自然の表情も美しい。
近くには、国際芸術祭「大地の芸術祭」の会場や、新潟の銘酒「久保田」をつくる朝日酒造など立ち寄りたい場所もある。
「雪が降る地域なので、冬にかまくらとか雪だるまをつくると、こどもたちが喜んでくれて。お客さんに喜んでもらうための引き出しが、この地域にはいっぱいあります」
「温泉に入るだけじゃなくて、半日以上滞在できるエリアにできれば地域も潤うし、お客さんの経験価値もあがる。地域にまだまだ引き出しはあるけれど、自分1人ではあけきれないし、伝えきれないので、一緒に活動してくれる仲間が必要なんです」
特に狙っていきたいのは、海外からのお客さん。県外のお客さんは少しずつ増えてきているけれど、海外に向けた発信はまだ手が付けられていない。
「ホテルの近くには、1棟貸の古民家も運営しています。雪の重みに耐えられるよう太いケヤキの梁のある立派なつくりで、県内でも人気の宿のオーナーからお墨付きをもらうくらいの施設なんですが、まだうまく活用できていません」

「ほかにもキャンプサイトやコテージも運営していて、幅広いお客さんのニーズに応えられる場所になってきました。これをどう広めていくか。一般的な観光地ではないこのエリアにどれくらい人を呼べるか、一緒に挑戦していってほしいと思います」
地域の観光を背負って立つ。そんな気概でもいいけれど、まずは小さいことから試し、積み重ねていくのもいい。
ホテルサンローラで働くスタッフたちも、自分の好きを起点にお客さんも楽しんでもらう企画を考え、実施しているよう。
次に話を聞いたのは、そんなスタッフのひとり、温泉のフロントで働く貝瀬さん。

「 『温泉卓球がしたい』というアルバイトスタッフのアイディアで、プレイルームに卓球台を置いたり、レストランのパフェ好きなスタッフが自らパフェメニューを開発したり。お客さんが喜ぶこととマッチしていれば、スタッフのやりたいことをかなり柔軟に取り入れてくれます」
「私は、接客がやりたいってことと、もうひとつ、ここでサンセットヨガをしたいというのが入社の理由で」
サンセットヨガ?
「お客さんとして利用していたときから、ここの夕日がすごくきれいだなと思っていました。この夕日に包まれながらヨガをしたら、気持ちよさそうだなって」

「ヨガを8年習っていて、インストラクターの友だちもいるし、代表の水落も『やろう、やろう!』と背中を押してくれています。晴れていたら外でもいいし、古民家で開催するのもいいなと、あれこれ考えています」
入社して1年ほどの貝瀬さん。これまでは本業のフロント業務が中心だったので、これから本格的に企画をするところだそう。
貝瀬さんの話を聞いていると、参加してみたい気持ちになってくる。
「私たちが楽しそうにしているからか、ここで働きたいという人が集まってきたり、地域の人がキャンプギアのイベントをしたい、テントサウナをしたいと声をかけてくれたり。バラエティーや映画のロケハンが来ることもあります。いろんな人が来て、アイディアをくれるし、飽きないですね」
川口でなにかをしたい人のハブのような施設。地域にとっていい流れをつくってくれているよう。
ここでの暮らしはどうですか?
「車は必要ですね。でも車さえあれば、30分ほどでお店がたくさんあるエリアに行けますし、生活するには不自由しないと思います」
「私はお隣の市から1時間かけて通勤していますが、景色がきれいで毎日ドライブ気分です。特に山にまだ雪があって緑が出はじめる冬から春に変わる季節が好きで。そんな景色を眺めながら暮らせるのはいいなと思います」
新しく加わる人は、ホテルサンローラのスタッフ以外にも多くの地域の人と関わっていく。
ホテルを中心に考えていく機会が多いものの、期待されるのはそこから地域全体に波及するイベントの企画や、観光コンテンツをつくっていくこと。
長岡市川口観光大使の田中さきさんも、地域のプレイヤーとして関わっていく一人。

川口に住むおじいさんと田んぼと畑をしながら、観光大使として地域のイベントの司会をしたり、新潟のサッカーチームの試合のハーフタイムショーに出演したりと、川口を精力的に発信している。
これから農業を生かした観光コンテンツをつくるときや、地域でイベントを開催するときには、田中さんに相談すれば企画から力になってくれそう。
「母の実家が川口で。幼いころからじいちゃんの畑仕事を手伝っていました。そこで農業の楽しさを覚えて。24歳のときに長岡の市街地からこっちに移住してきました」
「同じ市内だけれど、川口はより自然に近く、四季の移り変わりを感じながら過ごせるところが気に入っています」
豪雪地帯に属する川口地域。冬に降り積もる雪は豊かな水源をもたらし、季節ごと、朝と夜の気温の違いは旨味の強い米や野菜を育む。
「農業が盛んで、食が豊かな地域です。このエリアには畑や田んぼが多いので、田植えや苗の植え付け、収穫の体験もできます。去年は、親子で参加できるサツマイモの収穫イベントを水落さんたちと企画しました。普段の農作業とは違って、みんなでわいわい収穫するのも楽しい。参加者からも好評だったので、今年は宿泊付きのプランも考えています」
「こどもたちに土に触れ、食べ物がどうできているのかを知ってほしい。私自身が幼いころの経験から農業に関心を持ったので、これをきっかけにこどもたちが少しでも興味を持ってくれたらうれしいなと思っています」

地域おこし協力隊として着任したら、まずは地域をまわり、よく知ることからはじめる。最初の1年は、施設やお店、地域のプレイヤーとの関係づくり、イベントの手伝いなど。2年目からは本格的に自分で観光コンテンツやイベントなどを企画していくことになる。
ノルマのようなものなく、自分の裁量で、地域に人を呼び、滞在価値を上げるための企画を考え、実施していく。
田中さんが農業の分野を深めていったように、自分の興味関心があることに近い企画ができるので、まずは自分が起点となり楽しむ姿勢が大切。
「迷わずに挑戦できる人がいいのかなと思います。失敗しても川口の人たちは優しいですし、挑戦を手伝ってくれる人が多いんです。何事もやってみようって人が来てくれたら、一緒に楽しくできるんじゃないかな」
いきなり大きな花火のような大成功はないかもしれませんが、自分も目の前の誰かもうれしくなる観光の形を、ここでなら模索できるかもしれない。
協力隊の任期を終えたら、ホテルのスタッフとして働くことも、川口の観光プロデューサーとして関わり続けることもできる。
おおらかに、前向きに取り組むこの地域のプレイヤーたちと、誰かの喜んでいる姿を思って一歩踏み出せる人を募集します。
(2025/05/29 取材 荻谷有花)


