安全な水道、ゴミ収集、子どもたちの教育、災害対策。
わたしたちの日常は、自治体の運営によって成り立っています。
住民からの税金をもとに、まちの未来を考え、判断を下しているのが、都道府県の知事や市区町村長。「首長(くびちょう)」と呼ばれる人たちです。
その数、日本全国にわずか1788人。まちの経営を担う首長たちに向けて、自治体をより良くするための情報や機会を届ける雑誌があります。

手がけているのは、株式会社全力優(ぜんりょくすぐる)。
長年、地方創生に携わった経験をもとに、2023年に「首長マガジン」を創刊。自治体の経営にまつわる首長の悩みに応えてきました。
今回募集するのは、首長マガジンの広告営業と編集者。
地域の活性に貢献していきたい。東北・仙台から全国に発信できる事業をつくりたい。そんな思いを持つ人に知ってほしいです。
東京から新幹線に乗り、1時間半で仙台駅へ。
改札を出てエスカレーターを降りると、日本各地の名産品が並んでいる。仙台駅は東北の玄関口として、さまざまな情報が集まるエリアだ。

駅から歩いて5分ほどで、モダンな外観の高層ビルに到着。
2階のオフィスフロアに上がると、AIを活用したスタートアップなど、東北から新しい事業を生み出そうとする企業が名を連ねている。
年明けには新しいオフィスへの移転を予定しているそう。
会議室に案内してもらい、代表の菅野(かんの)さんに話を聞く。

仙台出身の菅野さん、北海道庁での経験が、首長マガジン創刊のきっかけになった。
「財政破産をした夕張市の支援を担当しました。まだ若い自分には経験が足りず、無力感を覚えた2年間で。これからのキャリアでは、本当の意味で自治体の力になりたいと思ったんです」
自身を鍛えるために、ベンチャー企業を支援する会社に転職。
その後起業、独立し、より自治体の困りごとに応えたいと、全国の首長へインタビューをはじめる。
そこでわかったのは、「自治体の経営者としての実務は、誰からも教わらない」ということ。
「最初は信じられなくて。でも、みなさん同じことをおっしゃるので、本当なんだと思いました」
「重要な役割なのに、みんな同じことで悩んでいる。全国1788人の首長がより良い判断やマネジメントができれば、一つひとつの自治体、ひいては日本全体が良くなると思って。首長を支えることに大きな意義を感じたんです」
そんな想いから生まれたのが、「首長マガジン」。

読者は基本的に首長のため、一般には流通させず、発行しているのは毎号2000部のみ。自治体向けのビジネスをおこなっている企業からの広告費で運営されている。
内容は、観光、福祉、教育、DX、ふるさと納税などの自治体運営における政策テーマから、人事、財政、議会、選挙、セカンドキャリアといった自治体経営者ならではの話まで。首長が悩み、意思決定に迷うテーマを扱っている。
なかでも人気なのが、「覆面首長ぶっちゃけ放談」という企画。

選挙あるあるや、副首長の人事、民間企業との付き合い方など。首長経験者だからこその悩み、対応を赤裸々に語ってくれている。
「首長は、まちの最終決定をするリーダーであるがゆえに、孤独な側面があるんです。気軽に相談できる相手や、民間企業のような横のつながりが少ない。そんななかでも『このマガジンだけは本当に共感できる』、『ほかには載っていない情報があって助かる』といった声をもらっています」
「社員は現在7名ですが、みんな経験豊富な方々で。信頼して権限も移譲しているんです。ここからは彼に聞いてもらえたらと思います」
そう紹介してもらったのが、事業部長の高野さん。
菅野さんと二人三脚で首長マガジンを立ち上げ、これまでにリクルート、PayPayなどをわたり歩いてきた人。

「創刊から2年半が経過しましたが、ここまでは本当に大変な道のりでした(笑)。はじめは首長マガジンの知名度が低くて、広告費に見合ったお返しができなかったんです」
創刊したころ、首長マガジンに共感して、商談の機会につながればと広告を出してくれたクライアントがいた。しかし、読者からの目立った反響は得られなかった。
「担当の方から『期待以下でした』という言葉を貰って、すごく落ち込みました。なんとか力になりたいと思って、そこからは試行錯誤の日々でしたね」
マガジンを読んでいる首長は、どんな情報を求めているのか。
全国の首長に会って、感想を聞かせてもらったり、困りごとを教えてもらったり。一人ひとりとの関係を深めていったことで、今ではアンケートへの返信が累計600件を超えるほどに。
「現職の首長さん達が『読みます!』とXで発信したり、地域の首長が集まる勉強会でマガジンを紹介してくれたりと、少しずつ反応が見られるようになりました」
「その結果、企業さんにも『市長さんが情報交換を希望しています』と伝えられるようになって、企業と自治体の新たなつながりも生まれています」
たとえばと教えてくれたのが、自動車部品の製造過程で生まれる端材を活用した、防災マット。
「普段は子どもたちの椅子に敷くマットですが、つなぎ合わせることで災害時には簡易ベッドにもなる。防災減災、エコを子どもたちに教えながら、万が一のときに役立つ優れものなんです」

「首長マガジンで紹介したら、ある自治体の首長さんから問い合わせがあって。具体的な商談につながっていきました」
首長や現場のコメントを次号で紹介すると、商談を希望する自治体からの問い合わせが2件、3件と増えていった。
「現在、マガジンは10号まで発刊できて、ありがたいことに首長からの反応も増えてきました。さらに良いものをつくるためにも、新しい仲間に加わってほしいんです」
「はじめにもらった厳しい言葉は忘れられませんけど、これからは『期待以上でした』って言葉を一つでも多くもらえるように頑張っていきたいですね」
首長マガジンを発行するためには、企業からの広告費が欠かせない。
そこで今回募集するのが、広告営業の担当者。
「心強い先輩がいるので未経験でも安心してください」と紹介してもらったのが、営業マネージャーを務める笹川さん。
秋田出身で、長年にわたって観光や教育、公共交通における提案営業のキャリアを積んできた方。質問に対して、あれもこれもと熱心に答えてくれる姿が印象的。

「責任もありますが、ぼくらがいるから、企業と首長の新たな接点が生まれる。喜びをダイレクトに感じられる仕事だと思いますよ」
新しく入る人は、まずは企業との関係性を深めるところから。
DXや子育て、公共施設など、自治体をターゲットにした展示会に顔を出して、出展企業の課題を聞きにいく。
社名を広めたい、商品を使ってほしい。さらには、自治体の政策に対して提言したいなど、企業のニーズは多岐にわたる。
「クライアントさんの課題を聞いて、お役に立てそうなことをすぐにお伝えできるかが大切です。まずは私の横で、聞き方や伝え方を学んでもらえたらと思います」

正式に依頼をもらった後は、要件を整理してページを作成する編集者につないでいく。
「『笹川さんのおかげで首長と商談できました』『商品を紹介してくれてありがとう』と言ってもらえると、やっぱりうれしい気持ちになりますね」
本来、雑誌の広告は、効果がすぐには見えづらいもの。けれど首長マガジンは、1788人という限られた数だからこそ、一人ひとりが価値を感じられるところまで関わる。
首長や企業の役に立っている、確かな手応えを感じられると思う。

「読者と会える媒体って、すごく貴重じゃないですか。『実はこんなことに困っていて』と現場のリアルな課題を教えてくれる。こんなにやりがいを感じられる仕事はそうないと思いますよ」
不特定多数に届けるのではなく、顔の見える人のために届けていく。そこに喜びを感じる人が向いているんだろうな。
「日本でいちばん首長の電話番号を持つ人を目指しています」と笑って教えてくれる笹川さん。
実はまだ、入社して7ヶ月なんだそう。そのバイタリティはどこから来るのでしょうか。
「自分の育った地域が人口減少に直面するなかで、まちづくり、ひとづくりの重要性を感じて、営業支援の会社を立ち上げたんです。コロナで一度は頓挫しましたが、やっぱり地域の役に立ちたい。この想いを実現したいのが原動力ですね」
「あとは社是にある『わるだくみ』という言葉にも共感していて。新しいチャレンジを仕掛けることが好きなんだと思います(笑)」

2026年には、企業と首長が集まるイベントも企画している。
「首長って、普通は会えないですよね。でも、ぼくらは日本でいちばん首長に会える媒体。どこにも競合がいないので、自信を持って提案していってほしいですね」
「私は首長マガジン編集部が仙台にあったから転職を決めました。全国に向けた発信が、仙台や東北からもできることを伝えたいですね」
隣で聞いていた編集者の佐藤さんも、頷きながら教えてくれる。

新聞記者、福島市役所を経て、今年から全力優に入社。現在は福島市に住んでおり、週に2〜3回オフィスに出社している。
「編集の仕事がしたくても、東北には媒体が少なくて。東北でも編集の仕事を諦めたくない人には一つの選択肢にしてほしいし、自治体や政治に興味があれば全国からも大歓迎です」
毎号のキックオフは、企画会議からはじまる。
全力優の編集部に、首長マガジンの発行を担う一般社団法人地方自治マネジメントプラットフォームの理事である首長の経験者が数名加わったチームで、時事を鑑みながらテーマを考える。
テーマや取材対象者が決まったら、そこからは各自の取材に分かれる。
「取材には首長経験者が行くことが多かったんですが、私たちの成長のためにも、最近は自分たちでも取材先を見つけ、直接伺うようにしています」
佐藤さん自身も、全国に出張して取材をしている。

取材が終わったら、音源をもとにインタビュー内容を書き起こす。先方の確認を経て、問題なければレイアウトを組み、入稿に進んでいく。
「インタビュー記事では、もとの語りを生かすような編集を心がけています。ほかにも、企業さんを紹介する広告記事も書きますよ。訴求したい内容に合わせて、私たちが取材、執筆をしています」
編集者は佐藤さんを含めて2名。編集の経験が少しでもあれば、挑戦できるそう。
「人数が少ない会社なので、自分がここまで決めて良いのかなって不安に思うことはあります。年に4回も発行しているので、悩む時間もないっちゃないんですけど(笑)」
「私は子育ての関係で、書く仕事を一度諦めたこともあって。全力優があったので、またやってみようと思えた。地方で編集の仕事をやっていきたい方に、今回の求人が届いたらいいなって思います」
「仙台と言えば、牛タン、ずんだ餅、笹かまぼこ。そこに並ぶような媒体をつくっていきたいですね」
取材中、そんな言葉もありました。もしかすると、そう呼ばれる日がいつか来るかもしれません。
首長マガジンが面白いと感じたら、まずは気軽に話を聞いてみてください。
東北・仙台から、日本の未来をともにつくる仲間を待っています。
(2025/11/17 取材 櫻井上総)