こと旅を書くうえで、文章力と同じくらい問われるのが、世界の見方ではないでしょうか。
20歳になったばかりのころ、ぼくは旅に飽きつつありました。
ここもあそこも行った、未知なんてない……そんな思春期特有の視野狭窄に罹っていたときに出合ったのが『世界を見に行く。』です。
同書は「ほぼ日刊イトイ新聞」の連載の書籍化。全ページがポストカードとして切り離せ、旅を振り返る石川直樹さんのコメントが収録されています。
写真一枚あたり300字程度の短い文章を繰り返し読んでは、写真家の視点、世界に未知を求める態度のようなものを感じ、行間から学びました。
彼のような著者になれずとも、本をつくる仕事がある──編集者を志すうえで影響を受けたことも、最後に言っておかなければいけませんね。
内田 洋介・うちだ ようすけ
編集者 / 独立系旅雑誌『LOCKET』
1991年生まれ。埼玉県出身。2015年に独立系旅雑誌『LOCKET』を創刊。企画・取材・執筆・撮影・編集・流通を個人で一貫して行なう。2023年10月末に最新号スキー特集を発売したほか、フリーランスとして旅行媒体を中心に活動。