脳梗塞の後遺症によって身体の自由を失った著者が、唯一動かすことができた「左瞼のまばたき」によって執筆した本です。
自身が置かれた環境の描写、揺れ動く感情の吐露、そして追憶。ユーモアやアイロニーを交えながら美しい文章が綴られています。
副読本としてヴィクトール・フランクルの「夜と霧」を合わせて読むと、この本の美しさは「不条理な人生に対する著者の態度」から来るものだと気づかせてくれます。
生き方、働き方にどこまで影響を受けたか定かではありませんが、ひとりの人間の在り方として、彼が世界を見つめた眼差しでもって、世界と対峙できたらと願わずにはいられません。