この本を始めて手にしたとき、僕は家業の建設会社に入り、上手くいかないことばかりで悶々としていました。まだインターネット前夜で、色々な人の暮らしや仕事を気軽に知ることが出来なかった頃でもありました。毎日大変な事ばかり、仕事が楽しいという感覚はなかったし、仕事を自由に選ぶこともできなかった自分の人生。そこにひと筋の光、希望を見せてくれた本でした。
それからは常に“自分の仕事”というものを意識してずっと生きています。建設会社の跡取り、カフェのオーナー、宿の女将、料理家、執筆家と脈略なく渡り歩いてきた今、振り返るとそれらがしっかりと道になっているのは、この本のお陰だと思っています。
麻生 要一郎・あそう よういちろう 茨城県出身。雑誌やウェブなど多媒体で、料理や暮らし、家族についての執筆をしている。著書『僕の献立 本日もお疲れ様でした』『僕のいたわり飯』『365ぼくのたべもの日記』(光文社)を出版。