コラム

自粛が明けたら熊野詣へ

これはしごとゼミ「オンライン仕事百貨の編集ゼミ」に参加された、細貝由衣さんによる卒業制作コラムになります。

細貝さんがオンライン上でインタビューしたのは、同じく参加者の春田さん。「いま行きたい場所」というテーマで話してもらいました。

春田さんが行きたいと話してくれたのは、世界遺産にもなっているあの場所。自分の足で歩くことで、感じるものがあるようです。

学生の頃から熊野古道が好きで、毎年ゴールデンウィークはほぼ熊野に行っています。

去年は「中辺路(なかへち)」ルートを全部踏破して、今年は「小辺路(こへち)」っていう、和歌山県の高野山から本宮大社まで80kmぐらいを歩こうと思ってました。

1日で歩かないですよ。4日ぐらいかけて。1日20km弱ぐらい歩いて、帰りはバスで。

今年も行こうと思ってたけどキャンセルして。今はもう、ずっと家にいるっていう状態ですね。

熊野古道はフラットな場所もあれば、すごく山の道もあります。スタートとゴールが絶対決まっているような一本の道ではなくて、ルートがいっぱいあるんですね。

「熊野本宮大社」と、那智の滝がある「那智大社」、そして「新宮大社」っていう3つの神社があって。それを巡る小辺路(こへち)・中辺路(なかへち)・大辺路(おおへち)っていう道と、伊勢路っていう伊勢神宮からの道とか、修験者だけが行く奥駈道(おくがけみち)っていう山道とか。

ピンポイントに日帰りで行くこともあれば、時間をかけて1週間ぐらい歩いたり。色んな巡り方ができます。

奈良と三重と和歌山にまたがっていて、大阪からだと近いじゃん!って思うじゃないですか。

実は電車の本数すごい少ないです。起点になる町まで行くのにも、すごい少ないですし。バスで紀伊半島を抜けて行くのもなかなかで、時間がかかるんですね。交通網が発達してないので、とにかく遠いんですよ。でもそこが良くて。

すごい都会で働いている自分がちょっと僻地に行くっていうので切り替えられるから。その遠さが癒しになってるんですね。

ちなみに熊野の「くま」って今は「熊」ですけど、昔は「隅っこ」っていう意味の漢字で、中央の京都や奈良から離れた遠い場所っていう意味もあったみたい。

熊野古道は日本有数のトレッキングルートで、文化や歴史が千年以上前から続いている感じがあって、それも魅力に感じます。

途中に九十九王子(くじゅうくおうじ)っていう旅のポイントになる神社がいくつもあるんですけど、平安時代から残っていて、休憩所の役目もあったそうです。

たとえば近露(ちかつゆ)王子では、平安時代の貴族が詠んだ近露の歌という歌碑があったりとか。そういう発見がいたる所にあります。

大切なのは計画を立てることですね。

持久力はある方なんですけど、自分の体力を考えて「今日はここまで行こう」とか、無理のないように。山歩きはそれも楽しかったりします。

やっぱり無理をすると、足が動かなくて立ち往生しちゃうような所も通るので。

自分の体力と向き合う、「自分と向き合う」みたいな。そういうのを感じに毎年熊野に行ってるところがあります。

次はいつ行けるかなぁ。今まで、全然運動もしてなかったんですけどね。

(聞き手・書き手:細貝由衣、話し手:春田千尋)

仕事百貨の編集ゼミは、伝えるよりも伝わることを大切にしながら文章を書いていくためのゼミです

次回の開催日程はまだ決まっていません。開催のお知らせは日本仕事百貨のトップページで随時お知らせいたします。