コラム

ハイラルの端っこをゆく

これはしごとゼミ「オンライン仕事百貨の編集ゼミ」に参加された、杉山佳代さんによる卒業制作コラムになります。

杉山さんがオンライン上でインタビューしたのは、同じく参加者の熊川京花さん。「いま行きたい場所」というテーマで話してもらいました。

行きたい場所、見たい景色、歩きたい道…。現実の世界じゃないからこそできること、たくさんあるんだと思います。

「『牧場物語』は種まきが一番好きでした。まっさらな畑に何の種をまこうかな〜って考える時間」。

そう話すのは、神奈川に住む大学4年生のきょうかさん。

『牧場物語』は小4の頃、パッケージに一目惚れして買ったゲームだという。

「はじめは小さな牧場なんですよ。耕せる畑の面積も、9マスしかないし、牛も1頭しか飼えない。でも、そのうち羊や烏骨鶏も。だんだん牧場が大きくなっていくのが楽しかった」

コロナウィルスによる外出自粛中はゲームや就活。たまに散歩。

「自然を見るのが好きな自分に気づいたんです。ちっちゃい頃、おばあちゃんちの山でたけのこ掘りしてたなぁ」

おうちでも自然を感じられるゲームがあるんですよ、と教えてくれたのが『ぼくのなつやすみ』。

小学生の”ボク”が夏休みを田舎の親戚の家で過ごす物語。4作シリーズがあって、北海道篇と瀬戸内篇をプレイしたそう。

「北海道には住んだことがあって。牧草ロールとか転がせるんです」

ゲームの中で?

「うん。川に飛び込んで、ヤマメを捕まえたりもしました。牧草ロールを転がすのも、川泳ぎもわたしはできないから“ボク”が羨ましい(笑)」

気になってゲーム実況を見てみたら、実際にある景色を元に背景が描かれていて、緑がいっぱいの画面。

きょうかさん曰く『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』も、ただ同じ場所に突っ立っているだけで、自然を感じるという。

「風の表現が繊細で、匂いがしそうなほど。風で葉っぱが流れているのが見えたり。なんか立体的だったなぁ、自然がそこにある感じ」

画面の中で起こっていることなのに、たしかに自然を感じてるんですね。

「でも、大草原が描かれた絵を見てもそういう気持ちにならない。画面が止まっていると自然を感じないというか。動きがあるから自然を感じるのかも」

ゼルダは草一本だって揺れてますもんね。

ゼルダでは何をしますか。敵と戦うもよし、謎解きをするもよし、食材を集めて料理をするもよし。

「戦うのは上手くないので、できれば敵とは会いたくない。戦闘よりはハイラルを探索するのが好き。マップの端っこを歩いたり」

マップの端っこを歩く。

「未知の場所に行きたくて。地図に載ってないけど、みたいな。見つけた!っていう感覚を求めてうろちょろしてます」

最近なにか見つけましたか?

「ゼルダじゃないけど、こないだ母と散歩してて神社なのか墓地なのか、その中に小高い丘があって。入り口に『ここには神様が住んでいるのでお静かに』と書かれた看板がグサっと」

「登り切った先に大きい石や鳥居があって、本当に祀られてるみたいでした。見下ろす先に景色がぶわぁっと広がってて気持ちよかった。まだ行ったことない場所たくさんあるなぁって」

(聞き手・書き手:杉山佳代、話し手:熊川京花)

仕事百貨の編集ゼミは、伝えるよりも伝わることを大切にしながら文章を書いていくためのゼミです。オンラインで開催しているので、どこからでも受講することができます。

次回は12月の3日間で開講します。申し込みは2020年11月18日(水)まで。興味のある方は、こちらからお申し込みください。
※募集は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました(2020/11/19)。