イベント

5.5 Tue
しごとバー
アートシンキングナイト

いろんな分野で活躍している方をゲストとしてお招きし、お酒を飲みながら、ゲストと一緒に会話するイベントです。気になるテーマやゲストがいたら、気軽に参加してください。
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※このイベントは終了いたしました。

『ハウ・トゥ アート・シンキング』という、とても面白い本の著者、若宮和男さんとの対談です。

もともとは3月に開催予定だったのですが、コロナの影響もあり延期になっていました。

僕の著書『生きるように働く』とのW著者対談、という企画だったわけですが、あらためて『ハウ・トゥ アート・シンキング』と『生きるように働く』には共通することと、異なることがあるように思います。

『ハウ・トゥ アート・シンキング』について、簡単に紹介させていただくと、アートとは「ちがい」を生み出すこと、という説明からスタートします。

これまでは同じものを大量に生産することが求められており、ちがい=不良品であった。ただ、同じものをつくるだけでは価値ではなくなっている。いかに「ちがい」を生み出すかが求められていることであり、アートは「ちがい」を生み出すもの。

たとえば「ロジカルシンキング」は、分けることで分かる方法であり、答えを見つけだすもの。顕在的な課題には強いものの、潜在的なものを形にするのは難しい。「デザインシンキング」は、はっきりしていない課題を見える化すること。ただ、観察する対象が必要であり、いわばプロトタイピングなので、まだゼロの状態のものを思考することには向いていない、という問題がありました。

それに対して「アートシンキング」は、偶発性、事故、自分、わからない、違和感、みたいなところがきっかけになるようです。僕の『生きるように働く』で言えば、ハプニング、衝動と付き合う、自分ごと、というキーワードが近いような気がします。

詳しくは本を読んでいただくとして、今夜は2人の著者が「もし今、本に追加でもう1章だけ追加するならどんな内容?」とか「新しいプロジェクト」について話をする予定です。

でも流れに任せてしまうのも面白いかもしれませんね。楽しみにしています。

(配信後記)
若宮さんもぼくも、元建築出身ということもあり、同じことを考えているけど、2人の「ちがい」ってなんだろう?という話になりました。

若宮さんが「建築はアートだと思いますか?」と聞かれて答えたのは「アートな建築は嫌いなんですよ」というもの。

ここは決定的な「ちがい」だったかもしれない。

ぼくは建築雑誌に掲載されるためだったり、居心地が悪かったり、すぐに壊れてしまったりする建築を誰かのためにつくりたくない。もしくはある種の建築論的なものを具現化させるための手段だったら、それが一番気持ち悪い。人から依頼されてそんな建築を建てたくない。

でも自分が利用する建築だったらどうだろう。建築家も施主も自分だったら。

図面も書かずに使いながら、あーでもない、こーでもない、とつくっていくのはとても楽しい。

そうやって自分が大家であり、施主であり、建築家となるようなものを建ててみたいと思っている。

それに対して若宮さんは「建築のアート的な側面が好き」とのことだった。

今、若宮さんが興味があるのは「建てない建築」「見立て」なんだそう。もしかしたら数年後には、また建築に戻るかもしれないとのこと。

なぜアートな建築が好きなのか、若宮さんは次のように話してくれました。

「なんていうのかな、人のお金で建築するとしても、自分が信じるものを形にしたら、相手は最初『何これ?』ってなるんだけど、だんだんわかってくるものがあると思っていて。自分も起業家としてやっていると、だいたいのことは「そんなわけねーじゃねーか」って、10人9人どころか、100人中99人言われるんだけど、徐々に変わっていく」

たしかに。日本仕事百貨もみんなに反対されました。そんなの無理だって。

「相手のニーズに当てにいくことばかりだと、これじゃだめだということもあって。文句言われてしまうけど、賭けてみたいということもあって。それは相手のことを踏みにじっているわけではないと思うんです」

「ポール・ヴァレリーというフランスの哲学者が書いた『エウパリノス』っていう、建築の本があるんですけど、そこにすごい好きなフレーズがあって。『街の中の建築はほとんど黙して語りかけてこない。その中に、語りかけてくる建築がある。より一層良いのは、これが最も稀なのだが、歌う建築というものがある』というような一節があって。語る建築というのは、たぶんデザイン的にも機能的にも良くて、その建物を見たら何の建築物かわかるみたいな、ただの実用性をも超えたデザイン性があるということだと思うんですけど、その先にあるポエティックなものをやりたいな、と思いながら生きている感じがします」

詩はアートのように、「わからない」ものであり、人によって同じように受け止めるものではない。だからこそ、ポエティックなものには、想像もできない、常識を超えたものを生み出せる力があるのだと思います。

僕も「贈り物をするように働く」ことを大切にしています。

それはただ言われたことを形にするだけでなく、言われていないけど相手が必要としているものを届けることだと思っています。前者がロジカルシンキング的なものかもしれないし、後者はデザインシンキング的なのかもしれない。

さらに言えば、すぐには必要なものだとわからないけど、何年かしてやっぱり良かったと言ってくれるものをお渡しすることができたら、それはもっと素晴らしいのじゃないか。そして、そういうものがアートだし、アートシンキングなんじゃないかと思いました。

まあ、でもやっぱりアートな建築、は気が引けてしまいます(笑)

これは受けてきた教育の影響なのかな。また若宮さんと話してみたいです。(ナカムラケンタ)

若宮 和男(わかみや・かずお)
uni’que 代表 /ランサーズタレント社員 / 日経COMEMO KOL / コアバリューファシリテーター / アート思考カタリスト 建築士としてキャリアをスタート。その後東京大学にてアート研究者となる。 2006年、モバイルインターネットに可能性を感じIT業界に転身。NTTドコモ、DeNAにて複数の新規事業を立ち上げる。2017年 、女性主体の事業をつくるスタートアップとしてuni’queを創業 。「全員複業」という新しい形で事業を成長させ、東洋経済「すごいベンチャー100」や「Work Story Award」イノベーション賞、バンダイナムコアクセラレーターにも選出。ビジネス領域に限らず、アートや教育などでも女性の活躍をサポートする。 自社事業の傍ら、新規事業の経験を活かし、資生堂、楽天を始めとした大企業やスタートアップなどにコアバリュー経営のアドバイザリーを行う。日経新聞 COMEMO のキーオピニオンリーダーとして「アート思考」に関する発信・プロデュースも手掛けるほか、直近では渋谷QWSのコモンズメンバーとして渋谷から世界へ向けた新しい価値創出もサポートする。 http://uni-que-inc.com/

タカダ アキラ(たかだ・あきら)
株式会社ティー・ケー・オー 常務取締役プロデューサー。今回の当初のイベント「代々木八幡 Creator‘s Meetup」のオーガナイザーです。

代々木八幡 Creator‘s Meetup とは
奥渋や代々木上原のついでに紹介されがちな代々木八幡ですが、路地には人気のブーランジェリーやパティスリー、レストランなどが増え続け、街としての魅力を確立しつつあります。また、映像制作会社やデザイン事務所、アパレルメーカーなどが数多く在籍し、常に多種多様なクリエーターが集まってくるエリアでもあります。とはいっても常に大人数が交流できるような飲食店やイベントもなく、なかなか知り合うきっかけがないのが現実です。
そこで元代々木町に社屋を構えて20年以上になるtkoでは、近所に住んでる方や勤務されてる方など代々木八幡に思い入れのあるクリエーターのみなさんと業界の垣根を越えた交流の場を作り、一緒に代々木八幡を盛り上げたい、楽しみたいと考えコミュニティを設立しました。

ナカムラ ケンタ(なかむら・けんた)
生きるように働く人の求人サイト「日本仕事百貨」代表。事業やスペース、コミュニケーションシゴトヒト文庫ディレクター、グッドデザイン賞審査員、IFFTインテリアライフスタイルリビングディレクターなど歴任。東京・清澄白河「リトルトーキョー」「しごとバー」監修。誰もが映画を上映できる仕組み「popcorn」共同代表。著書『生きるように働く(ミシマ社)』。2020年には事業承継プロジェクト「BIZIONARY」スタート。

日時
2020/05/05 20:00〜21:00
会場
YouTube Live
参加費
無料

※このイベントは終了いたしました。