こんにちは。場の編集者の初香です。
今回は“ケアするしごと”バー。「介護」や「ケア」にまつわる多彩なゲストをお招きし、お話を聞いていきます。
第2回、お話をしていただくのは社会福祉法人福祉楽団の奥住 比沙子(おくずみ・ひさこ)さん。
優しさや思いやりだけでなく、科学的なアプローチでケアの現場づくりをしている福祉楽団。「生命力の消耗を最小にするように」生活を整えていくことを大切にしています。
また、スタッフの生き方やライフステージに合わせた人事制度、科学的な介護を実現するための育成プログラムなど、働きやすい環境にも力を入れています。
福祉をたずねるクリエイティブマガジン〈こここ〉
科学的な介護ってなんだろう? 福祉楽団「杜の家なりた」をたずねて
撮影:田野英知
奥住さんは千葉県成田市にある「杜の家なりた」で、ケアサービスワーカーとして6年現場を経験したのち、休職。
3ヶ月の「前向きな休職」を経て、現在は千葉県習志野市に開設予定の「実籾(みもみ)パークサイドハウス」の開設準備室に所属しています。
もともと、福祉業界を目指していたわけではない奥住さん。大学では社会学の専攻、留学などを経て、ほっとできる場所や肩の荷を下ろせる場所について興味があったそう。
福祉の業界に飛び込んだきっかけは「触れたことのない世界に触れてみたい」、「福祉楽団の価値観が自分とあったから」だそう。
普段、介護やケアと接点のない生活を送っているなかでの福祉への参入。不安はなかったのだろうか。
「やったことのない世界で不安はあったけれど、自分で体感して、確かめてみないとわからない」
「それに、福祉楽団にはいろいろな背景の人がいて、福祉の勉強をしている人は半分くらいだった。先輩職員など自分のモデルケースとなる人がいたのが大きかったです」
現在、開設準備を進めている「実籾パークサイドハウス」は、全国でも例をみない施設。高齢者のグループホーム、障害のある子どもの放課後等デイサービス、児童養護施設等、分野を越えた福祉拠点だ。
児童養護施設を出た子どもたちが、大人になっても泊まりに来られる部屋があるなど、成長の過程を見守り、伴走していく仕組みをつくっています。
ここではどんなふうに高齢者と子ども、そして職員が生活をしていくのか。
「それぞれの家が別々に存在しているわけではなくて。たとえば、児童養護施設の子どもが、いつもベンチで日向ぼっこをしているおじいちゃんとよく話す。わたしたち職員よりも二人が仲良くなったりすることもあると思います」
「そんなときに、グループホームの職員が遠くからそっと見守ったり、各施設ごとではなく、実籾パークサイド全体をケアするために情報共有をしたり。おじいちゃんと何かあったときはその子に伝えよう、と外側から支援するような関係になっていくのかなと思います」
開設前の施設なのに、まるでその場で見ていたかのように語る奥住さんの姿が印象的。
「高齢者のグループホームでは、最後の瞬間を迎えることもあります。家族と暮らすことがむずかしい児童養護施設の子どもたちが、その死と向き合うことだってあるかもしれない」
「実籾パークサイドハウス」の敷地には、外と中とを隔てる壁はない。開設前にも関わらず地域の方々ともいい関係を築き始めている。
触れたことのない世界に触れた結果、いま奥住さんは「介護の世界の広さにハマった」といいます。
生きている限り、誰しもどこかで触れることになるであろう「介護」や「ケア」。
その現場で、クリエイティブに新しいことをいきいきと楽しんでいる人がいる。
当日は、実際に奥住さんがケアワーカーとしてどのように働いてきたのか、現場を離れた今どんな思いで施設開設に関わっているのか。そして「福祉」のこれからについてお話を聞いていきます。
“ケアするしごと”に興味のある方も、「まずは飛び込んでみる生き方」が気になった方も。お待ちしています。
<現地参加をご希望される方へ>
⚫︎時間
20:00-22:00
※20:00-21:00 トークイベント
21:00-22:00 アフタートーク(現地参加のみ)
⚫︎場所
リトルトーキョー 3F
135-0022 東京都江東区三好1-7-14
⚫︎チケット
無料(ワンドリンク制)
Peatix上でご予約ください
※当日のお支払いは電子決済のみとなります
※なお、SNSを介して発生したトラブルなどの責任は負いかねますこと、あらかじめご了承ください。
※しごとバーでは、特定の思想や宗教、マルチ商法、情報商材の販売などに関わる方の参加はご遠慮いただいております。そのほか、セクハラ行為なども含めて、参加者に不快感を与える行為を目撃した方はお知らせください。
※当イベントは現地参加の場合、事前予約制を推奨しておりますが、当日の飛び込み参加も可能です。
※座席をご希望の方には、お早めにご来場いただくことをお勧めいたします。状況により立ち見となる場合もございますので、予めご了承ください。
「介護」や「ケア」と呼ばれる領域には、まだまだ知られていないユニークな場所や人、活動、創造的な取り組みや、科学的なアプローチが存在します。その領域のしごとや働き手は、人が“自分らしく”生きるために大切なことへのまなざしを多くもつ、と言えるのかもしれません。
身近に感じる人も、まだまだ遠いと考える人も、立ち寄ってゲストの話に耳をすませてみませんか?
奥住 比沙子 (おくずみ・ひさこ)
1995年東京生まれ。明治大学政治経済学部にて社会学を学ぶ。ほっとできる場所づくりを仕事にしたいと思い、社会福祉法人福祉楽団に入職。千葉県成田市にある「杜の家なりた」でケアサービスワーカーとして高齢者介護の世界にとびこみ、科学的根拠に基づくケアの実践を学ぶ。入職3年目から共生型ショートステイの相談員も兼務し、在宅介護の世界の広さにハマる。入職7年目、ちょっと外の世界を見てみたくなり「前向きな休職」を決め3か月間国内外を旅する。復職後の現在は千葉県習志野市に開設予定の「実籾パークサイド」の開設準備室に所属。介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士をもつ。本とコーヒーと日向ぼっこが好き。お昼休憩は外の空気を吸って日に当たっていたい。
福祉楽団🔗
垣花 つや子 (かきのはな・つやこ)
学生時代演劇を専攻。大学院に進学し「認知症介護と演劇的な手法」をテーマに研究を模索、挫折。その後、いくつかの企業でウェブの編集を経験、フリーランスに。アートプロジェクトの記録や高齢介護領域の情報発信サポートなどを務める。2021年4月より福祉をたずねるウェブマガジン「こここ」編集部のメンバーとして企画・編集を担う。名前は大切な人からいただいたペンネーム。
福祉をたずねるウェブマガジン こここ🔗
髙橋 初香 (たかはし・はつか)
日本仕事百貨でイベントやリトルトーキョーの運営を担当。埼玉県出身。高校卒業後、舞台やイベントを中心とした俳優業を経験。コロナ禍をきっかけに大好きだった本に携わりたいと思い、桑沢デザイン研究所に入学。生き方と働き方を考えているとき「日本仕事百貨」と出会い2024年に入社。場の編集者として、人々が出会い、つながっていく場をデザインしたいと思っている。趣味は散歩。