※このイベントは終了いたしました。
*ゼミの募集は終了いたしましたが、京都府福知山市で新たに開設される中小企業相談所へのご応募・お問い合わせは引き続き募集しています。ご興味のある方は記事下部にある詳細ページをご確認ください。
しごとゼミはいろんな分野のプロフェッショナルの講師とともに、既存プロジェクトの実績を惜しげもなくケーススタディしながら学ぶ、少数によるゼミナール形式のスクールです。
講師は新しい企画のアイデアを一緒につくることなども目的にしながら、一緒に働ける人との出会いも期待しています。受講者は生きた知識を得るとともに、働く機会も得られるかもしれません。働くつもりはない人であっても、もちろん講師は本気で教えます。
今回は「ローカルコンサルゼミ」の第3回目を開催します。
講師は、愛知県岡崎市にある産業支援拠点「岡崎ビジネスサポートセンターOKa-Biz」でセンター長を務める秋元祥治さんです。
町工場、ベンチャー企業、NPO、地元のママさん、占い師など。日々さまざまな中小企業や起業家から相談を受け、結果につながる具体的な提案をしている秋元さんが、その知識や経験を共有するとともに、地域にイノベーションを起こす“真の結果を出す発想力”について教えてくれます。
この発想力は、決して生まれ持ったセンスではないといいます。会社勤めの人も、地方へ移住して仕事をつくりたいという人も、コンサルティング企業で働く人も。どんな働き方をする人にも役立つものだそうです。
興味のある方は、ぜひ続けて読んでみてください。秋元さんと同じ舞台に立ち、一緒に働きたいという人も大歓迎です。
全国に約412万ある日本の企業。その99.7%が中小企業です。
中小企業支援において日本でもっとも成果を上げているといわれている公的機関に富士市産業支援センター「f-Biz」があります。
今回講師となる秋元さんは、10年ほど前からf-Bizセンター長の小出宗昭さんに師事し、2013年に岡崎ビジネスサポートセンター「OKa-Biz」を立ち上げました。
OKa-Bizは開始早々に予想を大きく上回る成果を上げ、f-Bizとともに「行列のできる中小企業相談所」と言われています。
いまや全国の市町村や国から注目され、とある地域では市長が一丁目一番地の政策として掲げるほど。しかもセンター長の年収は1000万円以上と、公の産業支援に比べても破格の金額。
f-BizやOKa-Bizをモデルにした産業支援拠点が、今後全国各地に設立されていくそうです。
なぜそんなにうまくいっているのか。
実際に小出さん・秋元さんに話をうかがうと、中小企業支援だけに限らない、あらゆる仕事に通じるものが見えてきました。
—まずは小出さんにうかがいます。f-BizやOKa-Bizではどのような事業を行っているのですか?
小出 全国にはものすごい数の公の中小企業支援施設があるわけです。でも、これがひとつ大きな問題で。ハコは立派なんだけれど、相談に来る人があまりいない。当然ながら、そこから生まれる成果もあまりないんですね。
経営者の悩みのほとんどは「売上を上げたいけれど方法が分からない」というもの。でも、相談するとしたら税理士や自社の経営陣など、身内の人ばかり。売上を上げる相談をしようにも、できる相手がいなかったんです。
そこで相談者の売上アップに直結した具体的な提案を行なっているのがf-BizやOKa-Bizです。どうやったら売上が上がるかを相談者と同じ目線で考え、本人たちが気づいていないセールスポイントを見つけ出し、発信していく。それが僕らの仕事です。
—具体的にはどんなふうに相談に乗っているのでしょう。実際の事例を教えてください。
小出 株式会社司技研という、自動車部品の金属加工をしている会社があります。長期に渡る経営不振で、経営的に極めて厳しい状況だった。社長は決算書の入った紙袋を両手に抱えて相談に来ました。けど、我々はそれをまったく見ないんです。じゃあ何をするかというと、1回1時間という枠の中で徹底的に話を聞く。
そうすると、メインは金属加工業なんだけれども、ときどき試作部品をつくっていることが分かった。急ぎの依頼が来たら、一生懸命図面を引いて、一生懸命削って、3日で納品しているのだと、社長は普通に話すんです。
そこで僕は突っ込むんですよ。「いまあっさりと『3日』って言いましたけど、それってすごくないですか?」と。そして提案するんです。明日から新サービスをはじめましょう。『試作特急サービス3DAY』と名付けて、手書きでいいからチラシをつくって、ウェブサイトにも載せて、営業もやり直してくださいと。本人の顔色が変わって、うなだれて相談に来たのが、出て行くときにはもう「頑張ります!」と。
その後どうなったかというと、直後の3ヶ月で新規の取引が50件も取れた。さらに驚くのは翌年以降で、自動車メーカーから直接連絡が来て、電気自動車の試作部品やレーシングカーの特殊部品の仕事を受注したんです。売上は8割アップ、利益率は2.5倍ですよ。
かかったお金はというと、手書きで書いたチラシのプリント代数万円だけ。設備も技術もそのまま。お金をかけていないんですよ。使ったのは、本人が気づいていない真のセールスポイントを活かす『知恵』なんです。
相談に来るほとんどが小規模の会社です。農家のお父さんから新しくネイルサロンをはじめるママさんまで、いろんな人がいます。大手コンサル会社のクライアントとは違う『人もない・モノもない・お金もない』相手に、知恵をもって流れを変えていく。我々は、少ない装備と少ない人数で局面を打開するデルタフォースやネイビーシールズみたいなものなんですよ。
—知恵を出すには、生まれ持ったセンスが必要なのでしょうか。
小出 僕はそんなことはないと思っている。天性のひらめきでも、破天荒な思いつきでもない。まず圧倒的な情報量を持っていることです。毎日面白いことを常に探して、バラエティ番組を見ているときでも貪欲に探せるか。人が見逃してしまうような情報に気がついて、掴んだ情報をもとに自分で調べる。そうすると、情報が生きた知識に転換される。生きた知識の集積から知恵が生まれるんです。
3C・4P・SWOTのような中小企業診断士的な手法は、その先じゃあどうするかって具体的なアイデアが示せないから限界がある。我々のやり方は従来になかった手法だと思う。ゼミで学べるのはその手法です。本当の結果を出す発想力。実際のイノベーションを起こすことができる発想力なんです。
—ゼミにはどんな人が来るといいでしょう?
小出 毎年f-Bizに研修生が来るんですね。金融機関の職員がほとんどですけど、伸びる人とそうじゃない人がいる。伸びる人に共通している部分は何かって探り出すと、こういうことなんです。
おおよそ日本の組織では与えられた就業規則などのルールとマニュアルがあって、ここまでやれと目標設定されて、その通りにやるように仕向けられる。自分の考えがあっても押さえ込まれて、芽を摘まれちゃうんです。それで金太郎飴状態の人間ができちゃうんですよ。ところが、組織の中には「こうしたほうがいい」「これはおかしい」と明確に自分の考えを持って、自分の意志で行動しようとする人間がいる。そういう人です。
ただ、単なる不満分子はだめ。不満をエネルギーに変えて、行動して突破する人間。いわれた通りにやるのが嫌でオリジナリティを発揮したい、もっといい方法あるだろうと常に思っている人間。そういう人は世の中にいっぱいいるはずです。
僕らの仕事ってチェンジメーカーなんですよ。あらゆる局面を変える。企業を変える、地域を変える、そのきっかけづくり。それができる発想力を磨くゼミなんですよ。知恵を持つ人間はいま企業の中で一番求められているし、一番手放したくない人材だと思う。
—秋元さんにもうかがいます。どんな人に来てほしいでしょう。
秋元 日本仕事百貨の求人記事を読んで、たとえば伝統工芸を何とかしたいと思って、でも何とかする力がないという人。何とかする力をつけるためには、このゼミで本当の結果を出す発想力を磨くといいと思うんです。
秋元 それと、いろどりの横石さんや西粟倉の牧さんになりたいという人もいいと思います。お二人は地域で活かせるものを見出だして、ターゲットを絞り、その人たちに合わせた商品を開発して提案しています。その考え方やアプローチそのものは、我々がやっていることと非常に近いです。彼らのようなことをやりたいから横石さんや牧さんに弟子入りするのもいいけど、一方で本質的なエッセンスを学ぶのだったらこのゼミもいいと思います。
そして、その力をつけるという意味に置いては、この仕事はとてもいいと思いますよ。多様な現場で多様な人たちとの1000本ノックのような仕事ですから。
—1000本ノックですか?
秋元 OKa-Bizがはじまってからの2年半で1000件ほどの相談を受けさせていただきました。1時間の真剣勝負×1000本です。結果として振り返ると、ほかの仕事に比べてとても成長スピードのはやい仕事だと思います。とある上場企業さんから、役員を1ヶ月間置かせてくれないかとご相談があるほどです。
小出 僕なんて41歳からこの世界に入ってもう50代になるけど、相当自分の力が伸びたもん。自分自身で成長した実感がある。50代の人間が成長した感覚が持てるってすごいよ。
—f-BizやOKa-Bizをモデルにした産業支援拠点が、これから全国各地で設立されるそうですね。京都府福知山市でも設立される予定で、今回のゼミではそこで働きたいという人も募集します。この仕事に必要なポイントは何でしょうか。
秋元 3つあります。1つ目がビジネスセンスです。知恵の話をしましたが、『情報→知識→知恵』をぐるぐる回せる人は結果を出す発想力があって、ビジネスセンスが高いです。2つ目がコミュニケーション能力。どんなにいいアドバイスをしてもやるのはご本人ですから、ティーチングよりコーチング。目の前の人にリスペクトを持って、相手の意欲を引き出すポジティブなコミュニケーションが大事です。そして3つ目が情熱です。
小出 いま我々の取り組みは行政セクターのほうにも浸透しはじめていて、全国各地のいろんな市町村から話があるんですね。ところが適した人がいない。能力的によくても、気持ちを持った人が意外と少ないんですね。この仕事をする上で重要なのは、何よりもスピリットの部分です。我々がやっているのはスーパーコンサルだけど、外資系コンサル会社のようにスマートな形じゃない。売上が下がり続けている中華料理屋のおやじから地元の占い師まで相談に来る。そういった人たちと膝を突き合わせてモチベーションを上げていかなきゃいけない。「何としてもあなたの人生を変えてやるぜ!」ってスピリットが必要です。
僕らの仕事は、人の人生を変えられちゃうんですよ。みなさん自信をなくして、でも何とかしたいから相談に来る。そこでうまくパーンとやると、社長・社長の家族・従業員・従業員の家族、みんなの人生を変えられる。この前相談に来た人は、本当は廃業したくて僕に「やめたほうがいい」の一押しをしてもらいたくて来たんだって。「何言ってるの、こんなすごいところがあるじゃん!」って示すと、もう人が変わったように頑張っちゃう。「ありがとう」と心の底からストレートに感謝される。その感覚が忘れられないから、社長をやってくれといういろんな誘いも断り続けてこの世界にいる。はじめたらやめられない仕事だと思うよ。
人を完璧にハッピーにできる仕事だね。それが連続的に起こると、ハッピーな人が増えるから地域が元気になる。安定的な収入を得ながら真剣に地域と向き合える仕事って、この仕事しかないですよ。
—今後、この業界にどのようなことを期待していますか?
秋元 地域をよくしたいって言う人が増えていると思うんですけど、大前提として、まちを元気にするためにはそのまちに人が住まないといけないし、人が住むためには魅力的な仕事やワクワクする現場がいっぱいなければいけないと思うんですよね。お祭りも大事だし、つながりが生まれることも大事だけれども、仕事がなかったら全部が成り立たないと思うんです。
そう思うと、f-BizやOKa-Bizこそが地方創生のど真ん中だと思うんです。中山間地は深刻で分かりやすいがゆえに、みんなが注目して飛び込んでいく。けれども強い地方都市がいないと、中山間地は成り立たない。一見地味で、でも規模の大きい地方都市を変えていく、どんなまちにでも通用する究極の地域おこしのモデルっていうのはf-BizやOKa-Bizで間違いないと思います。従来の日本の中小企業支援に一石を投じて、地域の経済や産業そのものを変えていくこの取り組みが広まれば、日本はよくなります。
これまでは参入障壁が異常に高くて何ら市場として解放されていなかったけれど、いまやっと解放されるタイミングです。だからこそ、これまで公的産業支援に無縁だったビジネスパーソンにこそ飛び込んでほしいです。若くても適性があるとか、情熱を持っている人にトライしてほしい。いまや期待が大きいゆえに困難も多いと思います。でも、それすら楽しめる情熱があれば、きっと大丈夫です。
(2017/5/8 森田曜光)
日時
2017/6/4(日) 13:00〜17:00
場所
東京都江東区三好1-7-14 リトルトーキョー2階
参加費
¥0(1ドリンクを別途ご注文いただきます)
定員
30名(応募者多数の場合は選考いたします)
募集期間
2017/5/8(月)〜5/22(月)
概要
・しごとゼミは実際のケースを通じて仕事への取り組み方や考え方を学ぶ場です。
・仕事のスタンスや考え方に共感できる人と出会うことができます。
・講師側は仕事の仲間探しを、受講生は共感できれば求人に応募もできます。
・一緒に働く働かないに関わらず、講師側は本気で伝え、教えます。
・本気なので、普段言えない話もありますし、秘密も守ってもらいます。
※このイベントは終了いたしました。