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住まいって自由だ

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住まいって案外、不自由だなぁ。

一人暮らしをはじめようとしたころ、なかなか良い物件が見つからなくてそう感じたのを覚えています。

ただ、それは単に自分が知らなかっただけなのかもしれない。

ウダツの宮島さんは、こう話します。

「家を買うってことは一見リスキーです。実際に家を買ったことで借金に追われ、それに縛られて転職ができないって人もいたりしますから。けど、金融や建築の側面からもその家の適正価値を判断できれば、リスキーではなくなります」

「買った家は自分のものだから好きに暮らせる。家を買うっていうのは、買った後どのように暮らすのか、自分で決められる自由を手に入れることに価値があると思うんです」

株式会社ウダツは六本木にオフィスを構える、スタッフ5名の小さなリノベーション会社。

マンションの一室をリノベーションしたり、工事だけを請け負ったりと、都内の物件を中心に仕入れから設計、施工、販売まで一貫して手掛けています。

ほかにも、カスタマイズできる賃貸運営・収益不動産「OnCo温故」や、大家さん向けのリノベーション提案「あそびごころZero」など、様々なサービスを展開。

自分たちで全部やるからこそ、すべてを知った上で空間をつくれる。投資とリターンのバランスのいいリノベーションで、今の暮らしやエリアのニーズにあった部屋づくりをしています。

今回は現場監督とそのアシスタント、営業スタッフの募集です。


六本木駅から歩いて3分ほど。

1階に飲食店が入った低層ビルが立ち並ぶ街の一角に、ウダツのオフィスがある。

迎えてくれたのは、代表の宮島さん。

宮島さんに話を伺うのは、これで3度目だろうか。

最初の取材からまだ数年しか経っていないけれど、その間リノベーション業界は1年を経るごとに大きく変容しているという。

「ありきたりじゃない、凝ったデザインのリノベーションが相当増えましたね。でも見ていると、デザインしすぎている物件は、苦戦しているのが多いように見えます。頑張ってかっこいいものをつくって『いいね!』とは言われるけど、結局売れない物件が結構多いんです」

どうして売れないんですか?

「賃貸なら、面白いデザインだから2年くらい住んでみようかなってニーズがあるんですけど、買うとなるとなかなか難しいんですよね。石のタイルとか風合いのあるビンテージのものをたくさん取り入れたデザインは僕も好みなんだけど、それをやっちゃうとぴったり当てはまる人しか反応してくれない」

「うちに来るお客さんも、他はやりすぎているって。それに比べてウダツさんのは糊代があって、これしかないと思った、と言ってくださるんです」

白い壁と天井に、無垢の床。

ウダツが手がけた物件は、どれも真っ白な箱のようなデザインをしている。

とんがり過ぎないデザインだから、まるでまっさらなキャンバスに描くように、自分らしく空間を彩ることができるという。

「ただそれだけだと、単に小洒落たシンプルな部屋になっちゃいます。そこでどんな要素を取り入れているかというと、うちは“生活感”なんです」

たとえば洗濯やアイロンがけ。生活の中で時間を取られることが多い割に、十分なスペースがないために、結局リビングのソファーの上で服を畳んだりすることがよくあると思う。

「一般的な部屋のつくり方って、とくに洗濯機置き場とかは、ありさえすればいい、という感じで設計されているものがほとんどです。うちは脱いだ服の収納やアイロンかけするスペースなど、リアルな暮らしを中心にプランを組み立てています」

ここで、ウダツが手がけた物件の写真を見せてもらった。

キッチン周りの間取りがとても特徴的な1LDK。

もともと3LDKだった中古マンションの一室を、立地やエリアの特性から外資系企業でバリバリ働く単身者をターゲットに据えてプランニングしたという。

「洗濯機置き場をキッチンの隣に配置して、洗濯物をたたんだりアイロンがけができる棚もすぐ近くに取り付けました。今の生活スタイルならPCをいじったり、料理本を読みながら料理するので、そのためのスペースとしても使える」

「こうすることで、デザインだけじゃない、リアルな暮らしがイメージできるんです」

ウダツでは物件を購入したお客さんに、その後の住み心地をインタビューして次の設計に活かしている。

暮らしを軸にしたプランニングをするようになったのは、実はここ1年くらいの話。水回りがちらかってしまっていたお客さんのリアルな生活を知ってからだった。

「真っ白な箱のようなデザインも、最初からそれがいいと思ってやっていたわけじゃないんですよ。それこそ最初のころは壁にタイルを貼ったり、真四角なアイランドキッチンをつくってみたりしていて、いろいろ試したんです」

「いまのシンプルなデザインになったきっかけは数年前の月島のプロジェクトです。デザインに力をいれすぎず、試しに白い壁と天井、無垢の床にしてみたら、木場で材木屋さんをやっていた60代のご夫婦が買ってくださったんですよ。契約のとき、『お部屋の雰囲気がモダンすぎるかしら』と感じたけれど、『とにかく無垢の床がよかった』と。こういうデザインなら、いろいろな人たちにも受け入れられるんだなって」

大手不動産会社や外資系不動産投資ファンドなど、宮島さんはもともと不動産業界一筋で働いてきた方。

いいと思ったら試してみて、ダメなら柔軟に軌道修正する。独立後はそんなスタンスで不動産以外にも設計や施工管理などに挑戦し、一気通貫したリノベーションを手がけられるようになった。

「不動産の買取、設計、現場監督、販売。全部知ってたら、お金をかけて人に頼むときに判断しやすくなるだろうと最初は思っていたんです。でも、自分でやってみたら面白くなっちゃって」

「だから、自分の趣味が高じてやっているというか、好きなことをやっているんですよね」

宮島さんの趣味とは“引っ越し”。

サラリーマンの時代から吉祥寺や経堂、中目黒、赤坂、西麻布、千駄ヶ谷などなど…これまで10回も引っ越しを経験している。ほとんどが賃貸ではなく、物件を買って自分でリノベーションし、数年住んだあと売ったり貸したりしているという。

物件の売買はお金がかかって大変ではないか尋ねてみると、買うときのローン支払いと貸したときの賃料収入のバランス、低投資で高感度な内装のバランス、この2つさえ間違えなければ、意外にもマイナスになることはめったにないのだとか。

「金利がとくに今は安いので、月にローンを15万円支払ったとして、そのうち金利は約2万円だけ。13万円は元金が減るから、3年も住めば約470万円返済が進みます。つまり、買った値段と同じ価格で売れば、手元に470万円が残ることになります」

「だから不動産を理解し、金融を理解し、建築を理解した上で家を買うっていうのは、暮らしを楽しむっていうことでもあって。これをスタッフにも知ってほしいし、『ね、楽しいでしょ?』って伝えたいんです」

宮島さんは、スタッフの人たちが家を購入することを当面の目標にしているそう。

もちろん強制はしないけれど、自分でやってみることでできることの幅が広がっていく面白さを伝えたいんだと思う。

今回募集する2つの職種も、ひとつを起点にゆくゆくは職域を広げていってほしいそう。

たとえば、現場管理なら、設計や仕入れまでできるようになったり。ひとつの分野を覚えるだけでもとても時間はかかるだろうけど、すべてを経験するからこそより深く考えられることがあるだろうし、見えてくるものもあると思う。

宮島さんのように、自分の暮らしも仕事も、もっと自由にできるのかもしれない。

「だから、情熱って言ったら大袈裟なんだけど、現場とか仕入れの仕事をやってみたい!って意思が強い人がいいなと思っています」


現場管理アシスタントの小松田さんはまさにそんな人だと思う。ウダツで現場管理をやってみたいと、昨年4月に入社した。

前職では、デベロッパーのリフォーム事業部で営業を担当していた小松田さん。

営業ではプランづくりもしていたことから、最初から最後まで自分で手がけられるようにと、すべてを手がけるウダツに興味を持ち、応募したのだという。

「前の仕事でも現場監督を挟んで職人さんとやり取りしたりしたことはあったんですけど、自分ひとりだけってなると、それこそ部品の名前から分からないことだらけで」

「もうその都度教えてくださいって聞きながら。でも、みんな優しい人なんですよね。分かんないのかよって顔をしながら教えてくれます(笑)」

入社して最初の5ヶ月間は、先輩の現場監督の大久保さんについて回り、現場の仕事の流れを覚えていった。

その後ひとり立ちし、10月の半ばにはじめて担当した物件が完成した。

「自分ひとりだと、あぁここも引っかかるんだ、あぁここも…って。ずっとつまずきながらやっていた感じですね。悩んだら自分で判断しないほうがいいと思って、宮島や大久保にほとんど聞いていました」

全体の工程管理から職人さんの手配、資材の発注や現場の環境づくりなど。現場管理と一口に言っても、やることは多岐にわたる。

また中古物件は壊してみないと分からないこともあるから、柔軟な対応力も必要。

それに、職人さんときちんとコミュニケーションできるかどうかも重要なポイントだ。

「お風呂のお湯を沸かすのに、壁についているリモコンがありますよね。あれって給湯器からリモコンまで、床か天井か壁の経路を辿って配線しなきゃいけないんです。私は職人さんが勝手にやってくれるものだと思っていたんですけど、職人さんは言わないとやってくれなくて」

「で、壁のクロス貼りがはじまる前に、あれ?って気づいて。そのときは大丈夫だったんですけど、経路がとれなかったらと思うとゾっとしますね」

小松田さんは入社当初、先輩の大久保さんの手際の良さに圧倒され、自分にできるのか不安に思っていた。

いろんなハプニングがあり、教えてもらいながらだったけれど、ひとりで担当した物件が完成したときの達成感は大きかった。

「大きい荷物を持つこともあるから、やっぱり女性だと大変なんですけど。それでも職人さんに手伝ってもらえるようにしたり、どうやればスムーズにできるのか自分で考えてやれば、できないことはないなって」

「それでも自分の中の引き出しがまだまだ足りないので、経験値を増やすしかないと思っています」

現場管理のことだけでも必死だけれど、ゆくゆくは設計も覚えていきたいという。

ウダツでは宮島さんと現場管理チーム、そして外部の建築士さんの約4名で会議を開き、仕入れた物件のプランづくりをしていく。

今はまだ話を聞くばかりだから、建築士さんのノウハウを吸収して、そのうち十分な話し相手になるのが小松田さんの目標だ。

物件の仕入れのことも、徐々に理解できるようになるんだと思う。

「そうなんですよね。ちょっとずつ関わっているので、垣根がなくなっていくというか。全部できるようになったら最強ですよね」

建築も不動産も、職域を横断して全部できるようになる。それは正直とても大変なことだし、何年もかかることだと思う。

でも、「そのほうが楽しいんだよ」という宮島さんの話を聞いていると、目指したくなる気持ちが湧いてくるような気がします。

(2017/10/24 取材 森田曜光)

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