求人 NEW

太陽に、未来に、環境に
想像力をひらき
循環のなかで生きていく

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

今日、なにを食べたか。

それは、どのように料理したものか。

誰が、どうやって育てた野菜なのか。

生活のなかで選択していることは、積み重なって社会を変えていく。

それを日々実行し、伝え続けている場所があります。

千葉・木更津にあるKURKKU FIELDS(クルックフィールズ)。

広大な敷地のなかでは農業や酪農、養鶏が行われ、育った命をおいしくいただくダイニングやベーカリー、シャルキュトリーを併設しています。

点在するアート作品を鑑賞したり、農業体験をして時間をすごすなかで、命の循環を実感し、自分の暮らしについて考えるきっかけが生まれる場所。

今回は、宿泊施設cocoonの運営担当として場を整えたり、ファームツアーに案内したり。宿泊客を場内で働く人や動物、自然とつなげる役割を担う人を募集します。

あわせて、KURKKU FIELDSのメンバーも運営に関わる「百年後芸術祭」のインフォメーションスタッフも募集中。

目の前にいる人や自然と地道に関わっていくことで、未来をよりよくしていくことができる仕事だと思います。



東京から向かうと、アクアラインを通って1時間ほど。

KURKKU FIELDSに到着したのは、開場前の朝9時。

パンの香りが漂うベーカリーの横を抜けると、遠くにアート作品や畑が見えてくる。奥の方から「メェ~」と羊の元気な声が聞こえてきて、なんだか気分が切り替わる。

丘を少し下ったところにあるのが、地面に埋まっているように建てられた図書館。

ここで、7年前の立ち上げ当初から働いている新井さんに話を聞かせてもらう。

長野の自然に囲まれて育った新井さん。

大学院で自然教育について学んだあと、日本仕事百貨で記事を読みKURKKU FIELDSへ。

新しい施設を立ち上げるときに関わる人たちの調整役をしたり、運営ルールを考えたり、イベントの企画をしたり。

ここではじまる新しいことが軌道に乗るまでの運営を担うことが多いそう。

「とにかく立ち上げるぞって凝縮してやってきた3年間から、最近は次のステージに入ってきた感覚があって。運営方法が見えてきたからなのか、ほかの団体とコラボするプロジェクトが増えてきたからなのか。そうだな…自分たちがやっていることに自信がついてきたのかもしれませんね」

代表の小林さんは、音楽プロデューサーとして活動をしながら、社会課題に取り組む団体を支援する「ap bank」や、都市でのサステナブルな消費について問いかけるプロジェクト「kurkku」など、環境や社会について一人ひとりが考えていくきっかけをつくり続けてきた。

木更津ではじめていた有機農業を多くの人に開き、4年前にオープンしたのがKURKKU FIELDS。

この土地で育った有機野菜をおいしくいただくダイニング、ソーラーパネルを使った太陽光発電、小川を開拓してつくったビオトープ、鶏や牛のフンを使った堆肥づくりなど。施設も仕組みもやり方も、地道に試し、経験を重ねてきた。

家族連れが遊びに来たり、校外学習の一環で農業体験をしたり、食事を味わいに来る人がいたり。さまざまな人が時間を過ごしながら、自然や循環、持続可能な生き方を体感する場になりつつある。

「この場所は、クリエイティブの源泉でありたいという思いがあって」

クリエイティブの源泉。

「過去から培ってきたものを、今、自分たちがどう活かして未来につなげていくのか。自分の行動が、社会にどうつながっていくのか。人間が本来持っている想像力みたいなものが、次の社会、未来をつくっていくんだと思っていて」

空から降り注ぐ太陽の光。目に見えない土のなかの微生物。

おいしい野菜をつくろうと試行錯誤する農家さんの月日や、卵は鶏から生まれてくる命だということ。

便利な社会のなかで忘れてしまいがちだけれど、私たちは、さまざまなもののつながりのなかで食べて、生きている。

この場所で循環していく命やエネルギーを体感することで、その想像力を取り戻してほしい。

想像力のきっかけをつくるため、KURKKU FIELDSのメンバーは、常にさまざまなことに挑戦し続けている。

そのひとつが、3月から南房総の5つの市とともに開催する「百年後芸術祭」。

代表の小林さんが総合プロデューサー、アートディレクターに各地で芸術祭を開催している北川フラムさんを迎えるこの企画。KURKKU FIELDSは会場のひとつとして作品を展示するだけでなく、メンバーも全体の運営に関わっている。

「都心から近いのに、海も里山もある。いろいろな人が集まれる地域だからこそ、これからの時代を考えやすい場所なんじゃないかと思っているんです」

「芸術って表現は自由だし、どう解釈するかは鑑賞者に委ねられているじゃないですか。目に見えないものに気づかせてくれたり、こぼれ落ちそうな小さなものに光を当てていく力があると思っていて。地域に芸術を持ち込むことに、すごく可能性を感じています」

さまざまな取り組みがはじまるなかで、KURKKU FIELDSのなかでも大きな柱のひとつとなってきたのが、2022年にオープンした宿泊施設cocoon。

KURKKU FIELDS全体が見渡せる丘の上に建っているこの施設を訪れると、最初に出迎えてくれるのは、運営全般を担当している坂本さん。

今は予約の管理や受付、部屋の清掃や食事のサポートなど、宿泊に関わることに幅広く携わっているそう。

以前はアロマセラピストとして働いていたと聞き、妙に納得してしまうほど、やさしくやわらかな雰囲気の方。

「千葉出身の夫がcocoon内のレストランperusで働くことになったのをきっかけに、ここの募集を知りました。お客さまに寄り添うという点では、宿泊業とセラピストは似ていると思っています」

cocoonは、独立した7棟のヴィラが立ち並ぶ宿泊施設。

繭に包まれているような客室からは、KURKKU FIELDSで流れる時間を眺めることができる。

総合ディレクターにファッションデザイナーの皆川明さんを迎えたこの場所のキーワードは“能動的な宿”。

宿泊する人は、まずはファームツアーに参加して、この場所の循環について学びながら、場内の畑で自分が食べる野菜を収穫することになる。

料理をしたい人はキッチンを使い自分でつくってもいいし、料理人の手によるコース料理として食べることもできる。

「野菜が苦手だというお子さんが、ここの野菜だと食べてくれたりするんです。自分から行動することで味の違いに気がついて、ちょっと閉じていたものが開いていくような場面に出会えることがあるんですよ」

閉じていたものが、開いていく?

「最初は興奮していたり緊張していたりしても、ファームツアーから帰って来ると、ぜんぜん顔が違うんですよね。自分で採った野菜を食べて、ぐっすり眠って朝を迎えると人間がいやされていく。回復している場面に出会えるのは、私にとっても幸せなことだなと思っています」



来場者の心がほぐれるファームツアーを担当しているのが、ここに来て1年半の佐藤さん。みんなからは下の名前で「剛さん」と呼ばれている。

「新井と同じようにKURKKU FIELDS全体のことを幅広くやっていて、ここでの宿泊対応もそのひとつです。コーディネーターというか、案内人みたいな仕事ですね」

「ほかのスタッフが、僕がお客さまと話をしている姿を見て『剛さんのお友だちですか?』って声をかけてくることが何度もあって。それだけ馴れ馴れしいというか、人と仲良くなるのが得意なんですよ」

ハキハキと、聞いているだけで元気になりそうな話し方をする剛さん。

周りにいた大人や読んでいた本の影響を受け、環境に対する意識を強く持っている子どもだったそう。

「いろいろなことを知れば知るほど、人って、なんて地球に対して悪なんだろうって考えてしまって。なるべく自然を守ることにつながる仕事、環境に負荷のない生き方をしていきたいと思うようになったんです」

奄美大島でネイチャーガイドをしたり、パタゴニアやオーガニックスーパーで働いたり。独立して革製品をつくっていた時期もある。

KURKKU FIELDSとの出会いは、子どもも大人も一緒に遊べる場づくりをしていたときのこと。

「ここがオープンする前から、サマーキャンプみたいなことをやらせてもらうようになって。そのうちに、体験事業を一緒につくる外部ディレクターとして関わることになったんです。1年くらいして、cocoonを立ち上げるためにフルコミットしないかって声をかけてもらって」

「僕がやってきたことを全部活かせる仕事だなって。環境や未来をよくしていくためには、1人でやっているより、ここでみんなと働くほうがより多くの人に届けられる。世の中が変わるスピードが早くなると思ったんです。我慢せず、たのしいやり方で未来を変えていけるんだと伝えるのが仕事になりました」

チェックイン後、15時のファームツアーから20時頃までが剛さんの担当。

楽しそうな家族の時間を見守ることもあれば、一緒に料理をしたり、ときにはそのまま食事を共にすることもあるそうだ。

「長い時間一緒にいるので、人と過ごすのが好きじゃないとむずかしい仕事かもしれませんね。僕らにとっては毎日のことだけれど、その人にとっては特別な1日だったり、なにかがはじまる日になるかもしれない。日々フレッシュな気持ちを持ち続けるのは、心がけるようにしていることのひとつです」

お客さんとの関わり方も、仕組みも、草刈りや掃除をして場所を整えることも。すべてを自分たちで考え、変えながら、ここでできることを積み上げている。

「大人が子どものようにはしゃいでる場面もありますよ。いろんな仕事をしている人が来てくれるけど、ここではみんな素になれるというか、我慢しなくてよくなる。そういう居心地のいい場所をこれからもつくっていきたいですね」

宿泊も、農業も、ダイニングも。

日々の地道な循環は、ここで出会う人に伝わり、少しずつ未来を変えていく。

自分の手を動かして働く仲間になることに心が動いたら、ぜひ、木更津を訪れてみてください。

(2024/2/22 取材 中嶋希実)

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