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太陽と、土と、命と
小さく日々を積み重ねる
大きく未来が循環する

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身の回りのものは自分でつくったり、環境に負荷をかけないもの、つくっている人の顔が見えるものを選んだり。

買うもの、食べるものの選択肢が広がっている今、手触りのある暮らしを心地よいと感じる人が増えているように思う。

日々の選択は小さなものでも、それが積み重なることで、社会は大きく変えることができる。

2019年11月、千葉・木更津にオープンしたKURKKU FIELDS(クルックフィールズ)は、そんな人を増やすきっかけであり、学びを深める時間を過ごすような場所。

広大な敷地では農業や酪農、養鶏などが行われていて、訪れた人はおいしいものを食べたり、アート作品を鑑賞したり、農業体験をして時間を過ごすことができる。自然のなかで命の循環を感じ、自分の暮らしを考えるきっかけが生まれる場所になっています。

農場として耕してきた10年を経て、誰でも訪れることのできる施設としてオープンを迎えたものの、場づくりはまだまだ発展途上。ダイニング、宿泊施設であるタイニーハウスの運営、体験学習の受け入れなど、場内のさまざまな施設で働く仲間を探しています。



東京から木更津のKURKKU FIELDSへは、アクアラインを通って1時間ほど。

門をくぐり進んでいくと、トラクターに乗って畑を耕すスタッフ、丘の上を気持ちよさそうに歩く牛、点在するアート作品など、広大な敷地のなかでさまざまな活動が行われているのがわかる。

「最近森の中にライブラリーができました。丘の上でつくっているホテルはもうすぐオープン予定です。ほかにも、まだまだ計画していることがたくさんあって、常にバタバタしてますね」

最初に話を聞かせてくれたのは、オープン当初から全体の運営に関わっている新井さん。全体を引っ張るリーダー的な存在。

代表の小林さんがこの場所の構想をはじめたのは、10年以上前のこと。

音楽プロデューサーとして活動をしながら、社会課題に取り組む団体を支援する「ap bank」や都市でのサステナブルな消費について問いかけるプロジェクト「kurkku」など、環境や社会について一人ひとりが考えて生きていくきっかけをつくり続けてきた。

その集大成とも言えるようなKURKKU FIELDSは、目の前で育まれる命をおいしくいただき、自然のなかで心地よく過ごすことのできる場所をつくることで、自然や循環、サステナブルな生きかたを考えるきっかけをつくる場所として運営している。

「小林さんの言葉を借りると『サステナブルクリエイティブ』。自分たちの暮らしが土や太陽、過去や未来とつながっていることへの想像力と、そのなかで変化していける考え方、クリエイティビティを持ち続けることで、いい未来をつくることができるんだと思っています」

この土地で育った有機野菜をおいしくいただくダイニング、ソーラーパネルを使った太陽光発電、小川を開拓してつくったビオトープ、鶏や牛のフンを使った堆肥づくりなど。

施設も仕組みもやり方も、一度つくったものを守るというより、柔軟に変化し続けてきた。

「オープンして3年。運営しながら見えてきたことがたくさんあります。まだまだやりたいことも多いし、具体的な計画がいくつも動いていて。少しずつ、いい方に向かっている実感があります」

「これまでは社会課題についてどう投げかけていくか、大きな循環の仕組みをどうつくるかを考えてきました。最近は、もっと小さな積み重ね、日々コツコツ繰り返していくような循環もあると感じていて」

日々の小さな循環。

「はい。たとえば宿のフロントで言えば、毎日予約管理をして、部屋を快適に保って、お客さんが気持ちよく過ごせるように案内する。施設のなかを気持ちよく歩けるように草刈りをする。小さなことの繰り返しが積み重なっていかないと、大きな循環が生まれないんだとわかりました」 

  

小さく、健やかな循環を体現しているスタッフの一人として紹介してもらったのが、古材を集めてつくったタイニーハウスヴィレッジで、フロント業務を担っている森さん。

「はじめて来たとき、なんて気持ちの良い場所なんだろうと、ワクワクしたことを覚えています。大それたことはできないけれど、ここに身を置きたいと思いました。少しばかりホテルで働いた経験があって、運良く採用していただいたんです」

遠慮がちに話を聞かせてくれる森さんは、予約の管理から当日の出迎え、翌朝の見送りまで、ここでの宿泊に関わることすべてを担当している。

畑で収穫したばかりの野菜を食べ、自然のなかで眠り、卵を産む鶏の声で目覚め、搾乳したできたてのチーズをいただくことができる。ハーブを摘んでハーブティーをつくったり、野菜の収穫体験をしたり。

丘の上に建設中のホテル「cocoon」では、自分の暮らしについて考える仕組みを取り入れようとしているそう。

体感してもらいたいことはたくさんあるものの、押し付けがましい関わり方はしていない。

「過度なサービスはしないようにしています。あとは家族を出迎えるような気持ちですね。ここに花があったら、ここに打ち水してあったら気持ちいいだろうなって。食やエネルギーについて専門性があるわけではないので、自分にできることを毎日コツコツとやるくらいしか、できることってないんですよ」

宿泊以外にも、企業の研修や学校の校外学習など、学びを目的にこの場所を訪れる人たちに向けたプログラムも用意している。

担当している岩佐さんは、明るくサバサバと気持ちのいい方。

「新卒で少し働いたあと、音楽の世界に入って弾き語りで歌を歌っていました。30歳手前で歌をやめて、子ども向けのデジタルアートの体験施設で働いて。今までの自分のスキルを活かせること、一次産業っていう新しい世界が楽しそうだと思って、ここに来たんです」

旅行会社に営業したり、下見にくる学校の先生たちと相談してプログラムをつくったり。校外学習当日は案内役も務めている。

「生徒さんにどう感じているか話しかけたり、畑での作業を楽しそうにしている姿を見たりすることが好きですね。持続可能な環境をつくるために普段からできることがあって、自分の生活にもダイレクトにつながっているんだって気づいてもらえるようにプログラムを組んでいます」

岩佐さんがまとめ役を担いつつ、畑での体験やエネルギーの循環についての学びなど、専門的なパートはほかのスタッフと連携しながらプログラムをつくっている。

さまざまな活動をしているスタッフがいることに、最初は戸惑うこともあったそう。

「ずっと店舗に立っている人もいれば、畑に出ている人もいます。みんな好きなことを仕事にしている人が多くて、良くも悪くもプライベートと仕事の境目がない。一人ひとりの働き方がぜんぜん違うので、コミュニケーションの方法はいろいろと考えてきました」

「個人的な想いとしては、そんなスタッフの姿も見てもらいたくて。野菜を育てたり、チーズをつくったり。学校ではわからない、いろいろな職業があるっていうことにも気づいて、将来の選択肢を広げてもらえたらと思っているんです」

  

ダイニングのメニューや加工品の監修を担当している山名さんも、一般的なシェフとは違う働き方をしている人のひとり。

「これまで大阪と東京、都会のイタリアンレストランで働いてきました。どこでつくられた野菜とか、どこでつくられたものかわからないまま料理をしていたので、食材についてちゃんと説明できなかったんです。つくる人が見える環境にいたほうが、自信を持って料理ができると思ってここで働くことにしました」

ダイニングのメニューには、敷地のなかで収穫した野菜やつくりたてのチーズを存分に使っている。

採れたての野菜やつくりたてのチーズを使えることは贅沢さがある一方で、季節ごとに限られた素材で料理をするなど、制約も多くなる。

「僕がずっとやってきたイタリアンって、素材と向き合っている料理で。料理人は食材の生命力をちゃんと伝えることで、チーズってこんなにおいしいんだ、ナスってこんな味がするんだっていうことをシンプルに伝えるパイプ役だと思っています」

「価格にあったクオリティなのか、食べる空間の雰囲気がいいのか、その卵はどういう環境で育った鶏が産んだものなのか。今『おいしさ』の範囲ってすごく多様化してると思うんです。経験があるかどうかよりも、食材と向き合って、どうしたらおいしくなるんだろうって考えられる人と働きたいですね」

ここでのシェフの役割は、おいしいものをつくるだけにはとどまらない。

持続可能な仕組みについて、食を通してできることを考え、実践していくことも求められていること。

「コンポストのこと、堆肥のこと、有機栽培はどういうものなのかを学ぶ日々です。プラスチックの容器ではないものを選んだり、ゴミを出さないようにしたり。どれも手間がかかります。本気で向き合おうとしたら、小手先ではできないんだっていう現実を突きつけられる日々ですね」

柔軟に学び、日々コツコツと健やかな仕事を積み重ねていく。

それはここを訪れた人に伝わって、少しずつ、社会を変えていくんだと思います。

できることがあるかもしれない。

そう思ったら、ぜひ木更津に足を運んでみてください。

(2022/8/29 取材 中嶋希実)

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