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人に添うリノベーション

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

つくりながら考えることで、現場からアイデアが生まれてくる。

ウダツの環境だからこそなし得るリノベーションがここにはありました。

今回はリノベーション物件を中心に取り組んでいるウダツで建築に特化した方を募集します。

建築と言っても、ここで求められているのは一つの作業に特化しているよりも、さまざまな工程に興味をもって指示を出せるあたらしい現場監督のかたちかもしれません。

udatsu01 設計の仕事をやってきたけど現場に興味がある方や、これからのリノベーションのあり方を模索したい方、ウダツが取り組んできたプロジェクトに興味をもってくれた方はぜひつづきを読んでみてください。

 
渋谷駅から徒歩十数分。大通りから細い道へ入ると、静かな住宅街が広がります。

人やビルで溢れていた街のイメージとは異なる、静かな場所に事務所はありました。

udatsu02 事務所は古い民家をリノベーションしたもの。急な階段を上って事務所に入ると、ゆっくりとした時間が流れていた。

はじめにお話を伺ったのは代表の宮島さん。

不動産会社や外資系不動産投資ファンドの会社で仕事をしてきましたが、リーマンショックを機に、自分のなかにあった「やりたいこと」を仕事にしよう、と決めたそうです。

udatsu03 「20年くらい前から画一的な間取りが嫌いで。自宅用に中古マンションを購入し、好きなように改装する住まい方を5、6回やりました。そういう意味では今の事業は趣味の延長かもしれませんね」

「事業ですから、利益を上げること、そのためにコストを削減することは確かに大事です」

しかし、ほとんどの物件が床や壁などの規格品は『掃除のしやすさ』、最新の設備は『スペック』で説明されている。

そんなマーケットの中で、床には本物の木を貼り、壁や天井は真っ白であるシンプルな物件があったらいいなと思い、今の会社でそれを提供する事業を始めたそうです。

しかし、古いマンションをいったん買い取り、リノベーションして売るということは、大きな借入金と在庫リスクを抱えることになる。やり方に工夫が必要でした。

「うちは先に部屋をつくってしまうんです。デザインやプランニングにやり過ぎ感のないシンプルな空間にすることで、選んでくださるユーザーの間口を広げる。同時に生活動線のなかに便利で魅力的なポイントを盛り込む。そのバランスを大事にすることで、事業としてのリズムが生まれてきました」

udatsu04 住む人よりも先に空間をつくる。一見リスクがあるような気もするけど、空間をシンプルにつくったり、ニーズを分析したりすることで、入居者は自然と集まってくるそうだ。

「こだわりの強い人も、平凡な住宅でいいという人にも選んでもらえるもの。そんなふうにバランスを取ることで、初めて購入者が現れます」

街の様子とそこに住む人の様式や年収、さまざまな属性といったマーケティングに基づいて空間をつくる。その立地や価格帯がミスマッチな商品にならないように部屋をつくることを意識する。

購入者と同じ視点を持つことでウダツ流の価値観を築きあげてきました。

「僕らのやり方は、そこに住む人の生活感、満足感につながる部屋をつくるためにどれだけのサービスを提供できるかを重要視しています。だから、シンプルな空間でありながらも、追求している部分はかなり深くあります」

ユーザーがいちばん求めていることを考える。

その答えは人に寄り添った空間をつくることでした。

「物件を引き渡してから1年ほど経過したあとに、家具の配置など、そこでどんな暮らしが生まれているかをヒアリングしにいくんです」

「すると、意外にもかっこいい暮らしというより、生活感がにじみ出るような部屋になっていることもあります。シンプルな空間であるウダツの特徴かなと思っています」

シンプルにして余白を残すことで、部屋を自分らしくカスタマイズしたくなる。

住む人のことを想像することで、「やりすぎない」という形が生まれたのかもしれない。

そんな人に寄り添った空間づくりをしているなかで、現場を切りもりできる人材が必要になってきた。

「今回募集するにあたって、うちは少人数体制なので「あ・うん」の呼吸のチームワークで、物件数を増やしたり、新たな取り組みにとりかかりたいと思っているんです」

少ないチーム体制のまま、リノベーション物件の件数を増やしていく。そういった環境で、どういった施工担当の方が必要とされているのでしょうか。

udatsu05 「ウダツのやり方を面白いと思ってくれる人がいいですね。少人数だからいろんな機会がやってくる。そんなふうに自由にやれる環境を、チャンスだと思える人が向いていると思います」

たとえばデザイン的にセンスや知識のある人だったら、新しいことに踏み出すこともあるのでしょうか。

「もちろんありますね。今はどの空間も無垢の床、壁や天井は真っ白、というシンプルな部屋をつくるというコンセプトで進めています。けれどもマーケットにほとんどない商品であり、かつユーザーの潜在的なニーズがある企画を見つけ出せれば、違う展開もおこないたいと思っているんです」

前例がないからこそ、新しいことは自分の頭で考える。そんな環境を楽しめる人が向いているのかもしれない。

「当たり前を疑って、アイデアを拾ってくれる人が理想ですね。毎回解体して、大量に捨てている廃材は当たり前の現場の風景です。でもそれを見て『本当にこの廃材は再利用できないの?』と、利用する方法を徹底的に考えてみるとか」

「常識に縛られていると見えなくなっている、なにげないアイデアに気づき、問題意識を持てる人と一緒に働きたいです」

 
実際に施工とそのサポートをしているスタッフからも話を伺いました。大久保さんと関田さんです。

udatsu06 二人とも、日本仕事百貨を通してウダツに出会いました。

設計事務所で働いていた大久保さんは、すべての工程を自社で手がけるやり方に惹かれて、ウダツに入社しました。

「一般的な設計事務所は図面を書いて、現場は現場で管理をする。実際に職人がどういう仕事をしているかは見えにくい立場でした」

udatsu09 それぞれが役割分担して進めるやり方が当たり前になっているなかで、ウダツではすべての工程を一貫しておこなう環境だった。

現場に立って行動できる環境だからこそわかることもあると話します。

「今までの仕事では設計図面が現場への『バイブル』のようなものでした。しかし、ウダツでは図面を待たずに、物件を取得してからすぐに工事に入る。壊してみると図面の想定とおりに行かないこともたくさんあるからです」

その場で代替案に検討したり、スピード感を求められたりするので、その都度図面を修正するよりも、現場でつくりながら考える臨機応変さの要素が重要になってくる。

「自分より遥かに年配の職人さんに対して指示しなければいけません。『何生意気いってんだ』って思われるときもあるかもしれません」

ウダツは施主であり設計者ですが、打ち合わせし、指示をして『あとはよろしくお願いします』だけではない。

現場の雑用や清掃、材料の荷揚げ、休憩のときのお茶の買出しなど、とにかく自ら積極的に動く。その姿勢が職人さんに伝わることで、職人さんとの意思疎通がはじめて出来るのかもしれない。

今書いている図面も自分や大工さんが理解できる最低限のものだという。

udatsu08 「いろんな工程があるので、コミュニケーションは図面だけでは終わらないんです。そういう意味では手際の良さというか、柔軟性のある人が向いているのかなと思いますね」

柔軟性ですか。

「たとえば、企画会議で、このスペースに動くクローゼットをつくる、と決まった物件があったんです。そんなことはやったことありませんでしたが、まあ、どうにかなるかな、と簡単に考えていました。最初は下にVレールを入れてステンレスの戸車をつけたら動くと思っていたんですが、大工に見せたら絶対壊れると言われて。そこからキャスターにしたり、ガイドをつけたり」

「なんとか完成させたものの、服を入れると重すぎて動かないことが判明して。そこで全体を動かす手すりも必要になって。そういった試行錯誤の繰り返しでした。そこがウダツっぽさでもあるんですけどね」

udatsu10 ゼロから考えたことを実現させるのは難しいことだけれど、同時に面白いところでもある。

 
大久保さんの話を聞いていた関田さんもつづけて話してくれた。

「ちょっとITベンチャーに似ている雰囲気があるんですよね。かたちの無いものをつくるところが。一人ひとりがプロジェクトを持って推進し、きちんとリリースしていくところがそんな雰囲気を感じさせるんです」

「歴史も浅い会社なので柔軟だし、受け入れてくれる懐の深さっていうのはあると思いますね」

udatsu11 関田さんは4月に入社し、現在は施工担当のサポートなどをおこなっている。すべて一貫しておこなうやり方や、ライフワークに理解がある会社ということに魅力を感じ、ウダツに入社した。

「これまでは1000人規模の会社に所属していたので、急に6人になったときにはまた違った大変さがありました。ただ常にコミュニケーションもあり風通しもいいので、わからないことがあればわからないと素直に言える環境です」

「自分なりに問題解決をおこない、一人一人の推進力がないとやっていけない会社なので、いままでの会社よりも自分が求められているなと思いますね」

もちろん大変なことも多いようだ。

「決まっていない状況で工程が進んでいくところは大変ですね。その場でプランを決めて進めていくこともあります。そういうときに素早く解決する姿勢みたいなのは常に求められますね」

 
取材中、常に事務所内では会話や笑い声が絶えなかった。ここでは、いろんな個性が集まり、いい空気が生まれていました。

現場を通して、建築の経験を広げたいという方。そして、暮らす人を想像することで、空間を生み出すことが気になった方は、きっとこの空気に馴染むことができると思います。

自分たちでつくりたい、現場監督をしたいという方はぜひ応募してみてください。

(2015/7/6 浦川彰太)