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シェアから生まれる

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箱根・強羅から、「シェア別荘」という新しい場づくりがはじまろうとしています。

都心で働くビジネスマンにとってのリフレッシュの機会になったり、クリエイターにとっては創造の場になるかもしれない。家族水入らずの時間を過ごすのもいい。

誰もが別荘を持ち、週末などに気軽に自然のなかで時間を過ごせるライフスタイルを提案するとともに、そこから都市と地元の交流を生むことで、地方も元気にしていく。

今回は、そんな「シェア別荘」で、訪れるお客さんをもてなしたり、地元と交流しながら、シェア別荘を企画・運営・管理していくスタッフを募集します。

そこで何をすることになるのか。住み込みで働くことになるのか、通うことになるのか。それは、現地へ出向きやりながら考えていくことになると思う。

「シェア別荘」について話を伺うために、東京・渋谷区にある株式会社アスラボのオフィスへと伺った。

「別荘を買おうとすると、ある程度年収のある層でも難しいことですよね。ところが海外に目を向けてみると、オーストラリアでは、平均的な年収の家庭でも、仕事が終わってから家族でヨットに乗って湖上でご飯を食べたりだとか、自然のなかでの生活を楽しんでいたりするんですね。そこには、家と会社の往復だけではない、豊かな生活があるんです。」

そう話すのは、代表の片岡さん。不動産投資ファンド・ヘッジファンドでの勤務を経て、2008年に独立した。

今まで、都市のなかのシェアハウス付き農園「元麻布農園」や、一流シェフと農家をつなぐ「シェフのおすすめマルシェ」などの事業を手がけてきた。

「シェア別荘」は、日本の都市で生活する人にも、自然の中にもうひとつの居場所をつくり気軽に行き来できるような新しいライフスタイルを提案したい。そんな片岡さんの想いからはじまった。

「僕も昨日まで直島に行っていたのだけど、その旅の中で頭も整理できたし体も元気になったし、帰ってきて、間違いなく生産性上がったなって感じるんですよ。そういう時間って、一部の限られた人だけではなくて、誰にでも必要なものだと思うんですよね。」

その一方で、都市部ではない地域を元気にするために必要なことは、人を呼びお金を落としてもらうこと。旅行だと1回きりだけれど、もしも別荘という形なら、継続的に地域に人の流れをつくることができる。

「都市と地方がうまく支え合えるような関係をつくりたいと思っています。都市の人だけ集まっても、なかなか地方の問題は見えてこない。逆に地方の人だけ集まっても、問題を解決するアイデアは出てこない。一緒に現実に向き合って、何かを変えるアイデアをつくっていく機会が必要なんですよね。」

「だからぼくは、“交流”が必要だと思う。」

その交流は、たんに楽しいだけの交流ではなくて、ともに問題に向き合い、解決策を考えるもの。そして、片岡さんが今までやってきたのも、そんな場づくりだった。

創業当時に片岡さんが思い描いていたのは、自身も暮らす東京で、都市での豊かな暮らしを考えていくこと。元麻布農園も、もっと気軽に土いじりがしたい!という自分の実感からはじまったそうだ。

ところが、やっていくうちに、「都市の豊かな暮らしの可能性」だけではなく、もう1つの可能性が見えてきた。

「だんだん、都市の人の自然と触れ合いたいというニーズを使って、地方の人も良くなる仕組みがつくれないかな、と思うようになったんです。」

そこで片岡さんは、元麻布農園に現役の農家さんを講師として招き、農業のノウハウを教えてもらったり、伝統料理のワークショップを開いてもらうなど、農家の方と都市居住者の間に交流の機会をつくっていった。

「農家の方が農業によって得る年間収入は、平均的に低いんですね。僕らは、農家の方をお呼びするときは日当をお支払いしてます。講師としてだけではなく、都会との交流を通して営業もしていただいて、農業以外の収益機会を生み出して欲しいと思っています。」

今まで都市は、ひたすら地方を犠牲にしてきた。例えば、福島の発電所の電気は、全て東京の人のためにつくられていて、福島の人は1ワットも使っていないそうだ。そういう話は、電気以外にもいくらでもある。都市中心にものごとを考える流れを変えていきたい、と片岡さん。

「シェア別荘」も、新たな交流を生むために、まさにこれからはじまろうとしている事業。

雑誌「Discover Japan」と共同で取り組む「みんなの別荘プロジェクト」には、数人の建築家がコンペティションに参加。2 万m²を超える敷地内にある、かつて保養所として使われていた2階建ての建物が、リノベーションによって「シェア別荘」へと生まれ変わろうとしている。

ここからロビーや客室、大きな共同浴場がどんな風に変身するのか、片岡さんたちも楽しみにしているそうだ。

今回募集するスタッフは、まだ見ぬ完成したシェア別荘の建物なかで、人が集まる場づくりだったり仕組みをつくっていくことになると思う。

例えば、どんなことをすることになると思いますか?

「週の半分は別荘に泊まり込んでもらうことになるのかな。どうすればお客さんにも地域の人にも満足していただけるのか考え、行動してもらう。」

「多分、生半可なことではないと思いますよ。元麻布農園もそうだけど、来てくれるお客さんに気分よく過ごしてもらうためには、雑草を抜くとか、そんなことまで?と思うようなことも仕事になるのかもしれない。シェア別荘は、土地が6千坪あるんですよ。その広大な敷地の雑草を抜いたり落ち葉を掃くことも、必要とあればしないといけない。それを嫌だと思う人は無理ですね。」

ときには、地域の人と触れあうなかで、夜中までお酒の席に付き合わないといけないこともあるかもしれない。祭りの準備にかり出されて、重いものを運ぶこともあるかもしれない。

色々なことがあると思うけれど、そういうことを面倒くさいと思わない人。ひとつひとつ向き合って、社会をよくするという大きな目標に繋げていける人。そんな人が向いていると思う。

「やっぱり、圧倒的な情熱がないとダメだと思います。だけど、情熱だけでも難しい。そこにロジカルシンキングと創造性が必要です。頭だけではなく、ちゃんと手足も動かすこと。それが社会を変えるために必要なことだと思います。」

話していると、片岡さんはすごく熱い人なのだと分かる。でも、衝動というよりも、論理に基づいて考えてきた人なのだろうなということも感じられる。

柔道をやっていたそうなので、もともと熱い人だったのか。それとも、何かきっかけがあったのか。気になったので質問してみた。

「大学生のときに、バイトで遣いきれないくらい稼いでいたときがあったんです。そのときに、服を買ったり焼肉を食べたり、お金で買える豊かさは全部経験したんです。そこで、人生って金じゃないんだな、と思うようになったんですね。じゃあ、残りの人生をどういう風に使っていこう?と。考え出したらまったく答えが出なくて…。そこからは苦悩の日々でしたね。」

当時19歳だった片岡さん。なんと、貴重な(?)青春時代の1年間を、ほとんど全てその悩みに費やしてしまった。

「考えた末、結局人の一番幸せな瞬間って、席を譲って『ありがとう』と言われるシンプルな瞬間だなって思ったんですよね。他者から感謝されること以上に幸せなことなんてないんだと気付いたんです。そしたら、目指すべきは究極的には世界平和じゃんって。これだったら死ぬ前日まで、命をかけてできるって思ったんです。」

大学を卒業後、投資の世界に入ったのは、お金を動かせないと何にもできない、という考えから。

「お金を稼ぐ、というのはあまりいいイメージが持たれていないかもしれないけれど、僕はすごく勉強になった。この資本主義経済の中で、どうしても資本というものが力になるんですね。想いだけだったら10人しか助けられないけれど、そこに資本の力があれば100万人、1億人だって救えるかもしれない。」

理想とアイデアだけでは実現できないことも、それをビジネスにする力があれば実現できる。

「うちの会社は、資金の調達に長けているから、世界を良くしたいと思ったらなんでもできるんですよ。僕は野菜なんて売ったこともなかったし、別荘なんてやったことないけど、それでもちゃんとこの会社の事業として成り立っているのは、会社勤めの時代にロジック+創造性を鍛えられたおかげだと思っています。」

「今は社員10人の小さな会社だけれど、将来は一部上場して、社員数万人の大きな会社にしたいんですよ。世界で1番頭が良くて、パッションがあって、世界を変えていこうという集団にしたい。本気でそう思っています。」

もう1人紹介したい人がいます。片岡さんと一緒に、アスラボの経営全体を考えている、取締役の室賀さんです。

室賀さんは、大学を卒業後、大手アパレルメーカーに就職。その後外資系金融業を経て、知人の紹介を介してアスラボへ入社した。

一緒に働く人として、どんな人にきてほしいと思いますか?

「さっき片岡が、人に席を譲る喜び、という話をしていましたが、席を譲るところまでは、けっこうできる人はいると思うんです。でも、新しいビジネスや仕組みをつくるという意味でいえば、本当にそれが一番相手にとっていいことなのかどうか、常に考えられる人がいいと思います。もしかしたら席を譲るよりも、カバンを持ってあげる方が喜んでもらえるかもしれないですよね。そんな風に、他の解はないのかどうか探していける人。」

どうすれば、そういうことができると思いますか?

「単純に、思いやりとか想像力だと思います。お給料は、会社から貰うものではなくて、お客様からいただくものですから。そこを忘れないで、相手に対して想像力を持って働いてほしいと思います。」

目の前のお客さんに向き合う。同時に、大きな未来もイメージしながら。

「小さな組織なので、事業のスピードに会社の仕組みが追いついていなくて、大変なこともあります。でも、そのぶん形にした時の喜びはすごいんですよね。もしかしたらそれは、社会にとっては爪を引っ掻いたくらいのものでしかないかもしれないのだけど、今までになかった価値をつくっている会社なので、それがわたしたちのモチベーションになっています。」

きっと大変なこともあるけれど、もしもアスラボの目指す未来に共感していたら乗り越えられる。むしろ前例のないことだから「自分たちがつくった」と言えるし、こんなに楽しいことはないと思います。 (2013/6/8 ナナコup)