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※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「ここで働いていると、日本の工芸を守ることができる。そのことによって職人さんたちとものづくりを続けていくことができる、そう思えるんです。“伝統工芸を元気にする!”っていうビジョンがあるから、なんで働いているんだろう?なぜ売っているんだろう?って迷わずにいられるんです。目標があるので。」

中川政七商店は“日本の工芸を元気にする!”という思いのもと、麻製品などの生活雑貨を中心に、企画から販売をおこなっている会社。

D7A_6105 「遊 中川」「粋更kisara(きさら)」「中川政七商店」「大日本市」などのブランドをもち、北海道から九州までの直営店で、暮らしを楽しみ、豊かにする商品を届けている。

今回は、岡山、立川にできる「中川政七商店」と、福岡、名古屋にオープンする「大日本市」など、新しくできる4店舗で働くアルバイトスタッフを募集します。

この店舗以外でのスタッフも募集しています。ものづくりに興味のある人はぜひつづきを読んでみてください。

「中川政七商店」は、1716年に奈良晒(さらし)などの麻織物の問屋として創業したのがはじまりで、2016年には創業300年を迎える。

老舗ではあるけれど、ただ伝統を守るのではなく、いま本当に必要なものはなにかを考え、つねに変化し続けている。ベンチャーのような老舗です。

nakagawa 中川政七商店のスタッフさんたちは、笑顔が素敵な人、明るい人、おっとりした人など、さまざまな人がいます。

そんな中でも共通しているのが、ものづくりにたいして情熱があるところ。

まず、中川政七商店のこれまでについて、お話を伺いました。

答えてくれたのは、直営店をマネージメントしている林さん。

「会社自体が2008年あたりから大きく変わりました。いまでこそ、“日本の工芸を元気に!”というビジョンを持っていますが、それまではビジョンも特になかったんです。」

ブランドが大きくなり、創業300年も近づく中で、自分たちのことを振り返り、これからどう進んでいくかスタッフ全員で向き合っていった。

「私たちには300年という歴史がしっかりあるんだから、そこにしっかりと根差していく使命があるよねって。その頃はまだブランドも『遊 中川』と『粋更kisara』という2つで、ロゴマークも、筆文字でした。それだとどうしても“和雑貨”のイメージをもたれてしまう。自分たちが目指したいのは、 “みやびな和雑貨”というよりは、日本のさまざまものづくりを広めていくこと。“日本の工芸を元気にしたいんだ!”ということに気づいていったんです。」

自分たちの目指す方向が、しっかりと定まった。

そのために、なにを変えて、なにを変えないのか。それをきっかけに、ブランド展開や、コンセプト、ロゴマークなどに変化が現れはじめていきました。

D7A_6241 その流れの中で生まれてきたのが、今回募集する「中川政七商店」と「大日本市」という2つのブランド。

林さんはつづけて、こう話します。

「その話し合いの中で、自分たちの目指していることを伝えるためには、会社名を冠にしたブランドをつくるべきなんじゃないかって提案があったんです。」

ブランドを増やすということは、かなりの労力をともなうこと。

ましては300年つづく名をかかげるのだから、相当な覚悟が必要だった。

「それまで“日本の布ぬの”をコンセプトにした遊 中川と、“美しい暮らし”を提案している粋更kisaraの2つのブランドを手掛けていました。その2つのブランドと、会社を紐づける形で、『中川政七商店』が生まれました。」

D7A_6288 中川政七商店は、300年の歴史をもつ老舗ならではの、温故知新の思いをもとにつくられた自社製品と、セレクト商品が並んでいる。

自社製品が多く並ぶ中川政七商店とはテイストが異なり、日本全国のさまざまな商品が並ぶ『大日本市』というブランド。

大日本市はどんな思いからはじまったブランドなのでしょうか。

「中川政七商店がはじまると同時に、私たちのいままでのものづくりのノウハウや流通網を活かして、ものづくりをしている会社へのコンサルティングがはじまりました。」

コンサルティングがはじまった背景には、それまで取引をしていた地方の工場などが廃業してしまうことがあったことがきっかけ。理由を聞くと、後継者がいないためや、仕事はあるけれど金銭的に続けていけないからなどだった。

「それは日本人としても悲しいですし、会社としても困ってしまう。じゃあ私たちが持ってるノウハウでなんとかできないかなって。ものづくりは企画からやってきていますし、流通網もあります。それを全部つかって手助けしていきたいなと思うようにいたりました。」

簡単な解決方法としては、まずはそこから商品を仕入れて販売すること。それができれば、いいものづくりをしている会社が持ちこたえることができる。

D7A_6196 「ですが、コンサルで手助けしている人たちが、一瞬持ちこたえるだけでは意味がないんですよね。その会社が自分たちで食べていけるようにならなきゃいけない。いつまでもコンサルしてるのでは、結局のところ意味がないんです。」

商品を買い付けするバイヤーたちは、東京に集まっているし、商品を知ってもらうための展示会も東京でおこなわれることが多い。

だったら、そういう人たちが常に商品を発信できる拠点をつくろう。

これを縮図にしたアンテナショップをつくろう。それを形にしたのが『大日本市』。

D7A_6188 「大日本市は、そういう全国のブランドたちの“市”なんです。ある意味では私たちが営業をしていますが、それぞれのブランドのお店でもあるんですよ。1つのテーブルの上には、そのブランドの商品のみ。他ブランドを一緒に並べないようにしています。」

中川政七商店のように、自分たちの会社や思いを背負っているブランドや、大日本市のように、メーカーをどんどん育てていくブランドなど、それぞれに役割や意味がしっかりとある。

どちらにも共通するのは、ものをつくる人、つかう人のことをとことん考えながら生まれてきたブランドということ。

販売スタッフとして日々お店に立っている方たちにも話を聞きにいきました。

まず、渋谷PARCOの大日本市へ。

瑞々しい笑顔で向かえてくれたのが、平岡さんと芳村さん。

たくさんの雑貨屋さんがある中で、どうしてここで働きはじめたのでしょうか。

学生時代から、ここでアルバイトをしてきたという平岡さん。

D7A_6111 平岡さんは、今年の6月に社内試験を受けて、社員になったそう。林さんもそうなのだけれど、中川政七商店には、アルバイトから社員になった人が多くいる。

「学生時代に、古着屋や雑貨屋など、いろんなお店で接客をしてきました。そのとき自分の中でひっかかることがあって。商品の使い方は説明できるけれど、ものの背景まで話せなかったんですね。それがすごくもどかしくて。何か伝えられるような販売職はないか探していて、ネットで『伝える 販売』で検索したら、仕事百貨の記事を見つけたんです。それで、受けてみようかなと。」

販売スタッフはどんな仕事をするのでしょうか。

「まずは店内の掃除をして、お店をあけます。お客さまがみえたらご挨拶をします。なにか探していらっしゃるなと思ったら、商品のことなどをポイントを押さえながらお話していったり。お会計もしながら接客もして。商品が届いたら、商品を並べながら接客をしていきます。」

販売職には、どういう役割があると思いますか?

柔らかな口調で答えてくれたのは、新卒で入社した芳村さん。

「販売スタッフが、ものづくりの一番先にいてお客さんと触れ合う人なので、きちんと伝えることが役目だと思っています。お店のディスプレイもそうですし、話す言葉や、ちょっとした仕草もご挨拶も、ぜんぶ伝わってるんだなって思っています。」

D7A_6235 印象的だった出来事はなにかありますか?

「昨日すごく嬉しいことがありました。お祭りにいくから、そこに持っていくバッグを選んでほしいって相談をしてくれたお客さまがいて。その方がお祭りの報告をしに、わざわざ会いにきてくれたんです。それからおばあちゃん家にいくのにちょっとしたお土産を選びたいってまた相談をしてくれました。すごく嬉しかったですね。」

話を聞いていくと、芳村さんは今回の新店舗への異動希望を出しているそう。

中川政七商店には、自分で手を挙げて、意思を伝える社内公募制度という仕組みがある。

希望職種やプロジェクトに面接や選考を経て採用されると、異動や昇格をしたり、アルバイトから社員になることができる独自の取り組み。

「できるかどうかはわからないですけど、どんどんやってみたいというのが正直な気持ちです。」

まだまだ話は尽きなかったけれど、その足で東京駅前のKITTEにある、中川政七商店へ。

駅の喧噪を忘れてしまうような、ゆったりとした空気の流れる、居心地のいいお店。

このお店は中川政式商店の中でも、一番大きい店舗。新しくオープンする岡山店はここよりもさらに大きな店舗になるそうだ。

店長の岩川さんと、立石さんが迎えてくれました。

D7A_6248 写真左:店長の岩川さん 右:立石さん

中川政七商店のさまざまなブランドで8年間販売スタッフとして働いているという店長の岩川さん。

販売スタッフとして、大切にしていることはありますか。

「つくり手の想いを正しく伝えるという役割と、ものをつくっている方たちの流通の出口になっているんだ、という心構えでお客さまと接していますね。みただけではわからないこだわりを知るとわたしもお客さまにこのことを伝えたいなって思いますね。」

店舗には、つくり手のかたもよくいらっしゃるそうで、そこで商品のことをお話する機会もあるそうだ。

どんな人と一緒に働きたいですか。

答えてくれたのは、男性スタッフの立石さん。

立石さんのような男性スタッフのおかげで、サラリーマンのお客さまも気軽に話しかけてくれることが多いそう。

D7A_6293 「歴史も大事にしつつ、スピード感もあって。変えないところは変えない、変えるところはいいように変える、チャレンジ精神が旺盛な会社なんです。もっとよくしよう!と思って動ける方、素直な方と一緒に働きたいですね。」

それと一日動き続ける仕事。口だけではなく、全身をつかってコミュニケーションをする仕事。体力も必要になってくる。

「僕は、販売職の経験はありませんでした、まだまだ足りていないところもあるのですが、楽しく仕事ができているので、未経験者の人でも安心して来ていただければなと思います。ほんとに先輩もお客さまもいい方ばかりなので、まずはお店に来て、この雰囲気を感じてほしいです。」

“日本の工芸を元気に!”この共通のものさしに共感できるのであれば、一歩踏み出してものづくりの輪に入ってみませんか?

(2014/09/20 吉尾萌実)