求人 NEW

和食×給食を広げる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「まちの人が農業や漁業について知り、食卓を豊かにする。そして食材に適切な対価を払うことで、地方に仕事が生まれる。そんな社会をつくりたいんです。」

まちと地方。その両方が豊かになるお手伝いをするのが、東京築地の合同会社五穀豊穣です。

2009年の創業当初は、特産品開発や農産物の販路拡大といった“つくる人を変える”仕事に取り組んできました。

そして現在は、“食べる人を変える”仕事へと展開しています。

核となるのが、学校給食事業。

1. 農林水産省や、鰹節、昆布、豆などの和食材を扱う食品メーカーから対価を頂き、学校給食で子どもたちにごはんを中心とした和食を食べてもらい、日本食文化や生産者への感謝の気持ちを育む事業です。

五穀豊穣では企画とWEB、2つの職種で人を募集します。

はじめに企画ディレクター。学校関係者と生産者や和食料理人をつなげ、和食給食の実施校を増やしていきます。

和食給食の普及を、WEBから支援する人も募集します。和食給食のレシピをシェアできるサイトを、立上げから運営更新まで担ってほしい。

企画は、新卒の応募も可能です。WEBについても、基礎的な知識があれば働きながら実力をつけることも考えられる。

食を通したビジネスで地域を豊かにしたい方には、とっておきの仕事だと思います。

訪ねたのは日本人、そして外国人観光客でにぎわう東京・築地。

築地市場の一角に五穀豊穣のオフィスはあります。

2. 会社の第一印象は、働くみなさんが若いこと。

代表の西居さんは31歳。そして全員平成生まれという社員たちに、学生アルバイトが席を並べます。

はじめに西居さんに話をうかがいます。

大阪府・堺市に生まれ、大学卒業後はマーケティング会社へと就職。

そこで、農林水産省の「田舎で働き隊!」というプロジェクトを担当したことが、五穀豊穣の起業につながります。

3. 「飲食業会で働く若者を集めて地域に送り、食について考える機会を提供するプログラムを担当したんです。」

そこで感じたことがあるという。

「どの地域にも素晴らしい地域資源はあります。けれど上手くいくところと、そうでないところがある。違いは、資源を発信できているかどうかでした。なんとかできないかなと思って。それができる部署に移らせてもらえないかと思って提案したんですが、叶わず。そこで『辞めます』と。」

26歳のことだった。

まずは地域を自分の足で歩き、人を訪ねてまわった。

これまでに特産品開発や農産物・水産物の販路拡大に取り組んできた。

4. 「言ってみれば、つくる人を変える仕事ですね。生産地に、マーケティングやコスト意識を持って事業に臨む人を増やす。そして雇用を生み出したいんです。」

事業を進める中で、食べる人への働きかけも必要だと感じるように。

「生産者のことを想像して、感謝できることが大切だと思います。たとえばにんにく。3個100円の中国産と、1個200円の青森県産のどちらを選ぶのか。スーパーで白菜が一個100円で売られていたら『この値段で農家さんは儲かっているのかな?』と考える。そんな人を増やしたいんです。」

生活者としては安い方がうれしいけれど、国産の農産物を適正な価格で買うことは、畑や田んぼの保全にもつながる。

そうした日本の気候風土のなかで、和食は育まれてきました。

魚類だけでも4200種を越える豊富な食材。魚と野菜を中心とすることで、理想的なPFC(たんぱく質・資質・炭水化物)バランスを保っていること。そして、だしを用いることで、塩分が控えめですむこと。

健康面に優れた和食は世界中で親しまれ、2013年にはユネスコの無形文化遺産にも認定されました。

けれど日本の食卓からは、年々姿を消しつつあります。

そこではじめたのが、和食給食の事業。

「大人が食生活を変えることは、なかなか大変です。子どもの頃の食事が、その人の食の価値観を形づくると思うんです。」

学校給食の実態を調査すると、こんな結果が見えてきた。

「献立をつくる栄養士さん自身が、家庭で和食を食べていませんでした。だから、料理方法がわからなかったんですよ。」

そこで西居さんは、つながりのある和食料理人たちに声をかけて、和食給食応援団を結成した。

5. メンバーは、TV番組にも登場する「日本料理 賛否両論」の笠原将弘さんや、ミシュラン三ツ星を獲得する「銀座 小十」の奥田透さんなど。錚々たる顔ぶれ。

料理の世界でも和食を志す人が減っているそうだ。

昨年度のある料理の専門学校では、和食を志す人が全体の1割未満だったとのこと。

「和食文化を受け継ぎ、広めることに一役買いたい。その思いから、参加してくださる方が多いです。」

応援団のみなさんは日本全国の学校へ赴き、土地の食材を活かした献立を開発。その過程で、学校の栄養教諭・学校栄養職員さんに和食の技法や大切さを伝えていきます。

6. 活動の輪は広がり、今年は20人以上の料理人とともに、全国25校で和食給食を提供するまでに。そこで今回の募集に至ります。

続けてスタッフの方に話をうかがいます。

中西さんは、アルバイトを経て入社。現在は、学校給食事業を担当している。

7. 「学校によって現状はさまざまです。関わる人たちと話し合いを重ねて、一緒に考えていきます。」

たとえば東京都のある小学校では、ご飯給食を増やす取組みを行った。

学校栄養職員さんをはじめ、学校長、教育委員会、近隣の学校栄養職員さんと、生産者の方。多くの人を巻き込み議論を重ねて、見えたことがある。

「そもそも、ご飯を食べる意欲が強くない子どもが多かったんです。というのも、食べものが溢れているんですね。給食でしっかり食べなくても、家に帰れば好きなものが食べられます。そこで生産者の方に授業をしてもらおう。お米がどのようにつくられて、どんな苦労があるのか。食のありがたみを学ぼうとなったんです。」

1年間の事業年度では授業実施に至らなかったけれど、その後も関係者による自発的な話し合いが続けられる。そして翌年には、食育の授業が行われた。

8. 中西さんには、事業において心がけていることがあるという。

「当事者のみなさんの自発性が大切です。だからこそ、一歩踏み込んで話をすることもあります。」

入社当初、印象的だったことがある。

「西居が、特産品開発の事業に取組む地域の人にこう話していました。『もしこの地域がなくなっても、僕をはじめ、多くの人は困りません。でも、みなさんはそれでいいんですか?仕事をつくって、ここで暮らしていくことを考えませんか』。」

当事者たちの自発性を引き出すことは、学校給食においても大切だ。

都内のある学校で子どもたちの食生活のアンケートをとると、こんな結果が出てきた。

「朝は手軽にすませようと、パンやコーンフレークを食べる生徒が7割に上りました。夕食も、パンや麺類など3割がお米以外です。外食でのラーメンや、シチューにパンをつけて食べたり。ご飯が食卓にあがっても、ピラフやチャーハンといった料理。和食を食べる機会がほんとうに減っているんですね。」

そこで、学校長や学校栄養職員さんにこう話したという。

「『給食のある週5日の昼食』だけで献立のバランスを考えていませんか?子どもたちの食事は、家庭での食事も含めると1日3食、1週間で21食です。そのなかで、献立を組んでみませんか?」

アンケートの結果を知った学校栄養職員さんたちは、学校給食ではしっかりご飯と味噌汁を食べてもらおうと動きはじめたそうだ。

9 五穀豊穣が仕事において大切にしているのは、ほんとうに地域が豊かになること。

「同じ志を持ち、とことん追求する方としか仕事をしないように心掛けています。わたしたちも相手の方以上の情熱とスキルを持って仕事に取り組まないといけない。そう思っています。」

仕事を勝ち取るためには、企業へのハードな営業ややりとり、企画のコンペなどもあるという。

五穀豊穣は、食を通して、地域のお手伝いをしたい。その思いを持つ人が、本気で臨める環境だと思います。

経験や力量によっては早い段階から、仕事を任せる可能性もあるとのこと。

また今回は、WEBディレクターも募集します。

「和食給食を普及する上で、日本全国の取組みをWEBで共有していきたいんです。サイトは、和食給食版の“クックパッド”と説明すると、イメージしやすいかもしれません。日本全国の栄養士さんが考案したレシピの公開にはじまり、サービスを追加していきたいんです。」

和食料理人の方が編み出したレシピを公開する。さらには、食品や調味料メーカーとタイアップして、商品を用いたレシピを特設ページで紹介することも検討している。

現在、五穀豊穣にはWEBに関する専門性を持った人がいない。

そこで、サイトの立上げから運営までを任せられる人に来てほしいと考えている。

どんな人がよいでしょう。

「社内外の人と日々話し合い、調整をくり返し進めることになるでしょう。WEB制作に関する実績があるに越したことはありません。けれど食や地域に対する思いに共感した方であれば、多少経験が浅くても、働きながら力をつけていってほしい。まずは応募してほしいです。」

社内での仕事を中心としつつ、学校給食の現場に触れる機会もあるかもしれない。

10. 中西さんは、一緒に働く人に伝えたいことがあるという。

「会社も個人も、これからつくっていく気持ちが大切だと思います。」

小さい会社だからこそ、仕事の幅も広い。学校給食の事業を主軸に、採用を手がけたり、総務や広報の仕事を行うこともある。そんな環境を楽しんでほしいという。

仕事も自分でつくりだすもの。

「待っていたら誰かがやってくれる、仕事が降ってくる。そういう会社ではありません。自分で仕事をつくりたい人が活躍できる場だと思います。」

貪欲に学び、自分の思いを実現する力をつけていく。そして、会社も組織として成長していく。どんどん育っていける環境があると思います。

日本の食や農業、地域をよくしたい。

その思いを一緒にビジネスにしていきたい方を五穀豊穣はお待ちしています。

(2014/10/16 大越はじめ)