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「夕飯はブリ大根にしようと、家族みんなで桜新町にある魚屋さんへ買い物に行く。そんな時間がすごく贅沢で楽しいんです。こういったことを『いいね』って思う人が、わたしたちの物件を選んでくれているのかな。」青山物産が運営する「ガレージ賃貸」の物件を見ていると、部屋の中だけではなく、その町でどんな暮らしができるかを自然に想像してしまう。
ご近所さんに挨拶をして学校へ向かったり、夕焼けを眺めながら帰宅したり。
思い描く暮らしの情景に溶け込むような住まい。それがガレージ賃貸の物件だと思います。

中古マンション専門の不動産売買の仲介サイト「ゼロアパ」や、豊かな生活の情報を集めたサイト「暮らしのタネ」など、運営するサイトもさまざま。
昨年には新たに賃貸仲介サービスをはじめ、東京都内の賃貸マンションやアパートを「ガレージ賃貸」で紹介しています。
今回募集するのは、ガレージ賃貸の運営を担う人です。
経験がなくても大丈夫。それよりも、自分の暮らしを楽しんでいたり、大切にしている人に来てもらいたい。
そんな人であれば、たとえ未経験でも自信を持って物件を紹介できると思います。
田園都市線用賀駅から歩いて8分ほど。
国道の向こう側に、可愛らしい三角屋根をした5階建てのビルが見えてきた。
この建物の3階に、青山物産が運営に関わっているギャラリー「APART GALLERY & LIBRARY」があります。
扉を開けると、代表の四方田(よもた)さんが迎えてくれました。

そんな四方田さんに、昨年オープンしたガレージ賃貸についてうかがいます。
ガレージ賃貸は、青山物産が賃貸物件の仲介サービスをはじめるのに合わせてつくった物件情報サイト。
どんな物件を載せるのか、はじめは具体的なことをあえて決めずにスタートしたそう。
「コンセプトを先に決めると、それに縛られて自分たちが苦しくなってしまうことがあります。そうならないよう、変化を楽しみながらやっていこうと。」
さいしょは、ざっくりと面白そうだと思う物件を並べていた。
ただ、味わいのあるマンションが好きな四方田さんたちは、自分が住みたいと思うヴィンテージマンションを多く掲載した。
すると、お客さんもそんな物件を好む層に変わっていった。文化人やクリエーター系の方が多く、なかには著名人や建築に携わる方もいるという。
「そんな方々とお会いしてお話しながら、こんな物件をガレージ賃貸に加えたら面白そうだなと考えたり、お客さまからこういう物件がほしいと聞いたり。マイナーチェンジを繰り返しながら、いまのガレージ賃貸ができあがってきました。」

そのなかでも、ガレージ賃貸の物件は「ほかとは違うよさがある」とお客さまから言われるそうだ。
「他社さんはオシャレな人に向いている物件だけど、うちは『こういうのいいよね!』っていう感じなんです。」
どういうことでしょう?
「実は、僕らも上手く言葉にできなくて。古いとか、ただヴィンテージを追いかけるのと違う。グっときて、住みたいなって思うような。」
「たとえばお風呂の湯加減って、いまは全自動でいちいち見ないですよね。でも、その湯加減を見るときの会話が生まれそうな家。『お風呂が沸いたか、見てきて!』って。ちょっとした足りなさで、会話が生まれるような、そんな感じがいいなって思うんですよね。」
不便とはまたちょっと違う気がする。懐かしさでしょうか?
「うーん。懐かしいというより、琴線に触れるような物件。自分のなかにある歴史の情景が思い出されるような感じかなあ。」

それにしても、自分たちで言葉にできないイメージの物件を、四方田さんたちはどうして見つけることができるのだろう。
そう聞くと、「たぶん自分たちがそういう暮らしをしようとしているからじゃないかな。」と、専務の福永さんが答えてくれた。
「僕は昭和49年のマンションをリノベーションして住んでいます。四方田も昭和54年のマンションで。古ければいいっていうわけじゃないですけど、なんとも言えない味わいがあるし、新しいよりも時間に熟成されたものに価値を感じますね。人の愛情が積み重なっているというか。」

広い敷地に建つコの字型のマンション。ゆったりとした中庭があるけれど、エレベーターやオートロックなど、新しい設備は整っていない。
端から見れば、ただの古い物件かもしれない。
「けど、こういう建物が好きなんです。敷地にゆとりがあったり、そこにできたコモンスペースにみんなで集まったりして。」と四方田さん
「我が家は肉も野菜も、地元のお店で買うんです。何でも揃うスーパーじゃなくて、専門店で欲しいものを吟味して買う。自分の子どもにも意識づけています。」
青山物産で働く人たちは、暮らしを見つめて、自分が「いいな」と思い描く生活を実現している。
一見、手間とか面倒と思ってしまうことだけど、楽しもうとする気持ちがある人にとっては、自由な余白なのかもしれない。
そんな余白のある家が、ガレージ賃貸の物件なのだろうか。

福永さんが以前物件案内したお客さんのことを話してくれた。
「あるお客さまはピンポイントで桜新町に住みたいとお話されていて。理由を伺ったら、大好きな魚屋さんがあるから引っ越したいというんです。安くて新鮮な魚を揃えていて、町で有名な魚屋さんで。」
「つまり住環境は部屋だけじゃなく、町も全部含めてのこと。僕らやお客さまは、不便かもしれないけれど、その町で暮らすプロセスやコミュニケーションに価値を感じているのだと思います。生活の余白を大切にする感じかな。」
そういった価値観に合う物件。とても感覚的なことで、たとえ経験者でもはじめは物件探しに苦労すると思う。
けど、福永さんは「急がなくても大丈夫」と話してくれた。
「ゆっくりと馴染んでいけばいいです。僕らがすべて正しいわけじゃないので、新しく加わる人たちの感覚がグラデーションのように合わさっていって、僕らもその人自身も、持っている感覚を高めていけたらいいなって。」
昨年入社した山本さんにも話をうかがいます。
青山物産で働きはじめてから約9ヶ月。ガレージ賃貸に合う物件を探すのに、まだまだ苦労しているそうだ。

「いまだにその方のお名前は知らないんですけど、いつもお話をしていて。野菜を直売しているので、夕飯の献立に加えたりして。地元の田舎の雰囲気に近い感じなのかな。」
あとで四方田さんに聞いてみたのだけれど、山本さんを採用した理由は「暮らしや人との関わり合いをきちんとやってきた人なのかなと、話していて感じたから」だという。
そんな山本さんの前職は、ショップの販売員。
なぜ青山物産に転職しようと思ったのだろう。
「昔から日本仕事百貨を読みものとして読んでいたんです。それで、だんだんとこういうお仕事もいいなと思いはじめて。」
「ほかにもいくつか不動産屋さんがあったけど、青山物産の記事を見て、四方田さんはすごくいい笑顔をしているなとか、小倉さんはコーヒーを持ってきてくれる優しい人なんだなとか。小さなことかもしれませんが、親しみを感じられて。それで、この会社に応募してみようと思いました。」

「みなさんがしっかり教えてくださるので、安心して仕事ができました。でも、さいしょはすごくつらかったですね。とくに物件案内のロールプレイング。」
新たに入社した人は、まず物件撮影と物件案内の練習からはじまる。
実際に物件のなかで、四方田さんたちベテランスタッフがお客さん役となって、物件案内で想定されるいろんな質問を投げかけるそうだ。
「窓の向こうに見える建物は何ですかとか、エアコンを取り外していいのかとか。帰り道のお店のことも聞かれたりして。何も知らないのにそこからはじまるから、聞かれても分からないんです。」
「宅建の勉強もしていたから、余計つらい時期だったのかもしれないな。」
それを聞いて、四方田さん。
「仕事は楽しくしたいけど、楽しいだけだとお客さんから見透かされちゃう。お客さんにとっては、新人であろうがベテランであろうが、僕らをプロだと思っていますからね。きっちり知識を持っていないと、お客さんの前には行かせられないです。」
「でも、それは経験で身につくことなので。ロールプレイングをしたり、お客さんから教わったりしながら、仕事を覚えてほしいです。」
未経験でもゼロから教えてくれて、資格取得も応援してくれる環境がある。山本さんは、昨年10月の宅建試験に合格したそうだ。
ただプロになるためには、長い時間かけて土台を築かなければならない。それを理解できていないと、はじめはつらく感じてしまうかもしれない。

福永さんと山本さんは、どんな人に来てほしいですか?
「当事者意識はすごく必要だけど、流せるところもないとこの会社では絶対やっていけないと思うんです。内面的なところで、自分を追いつめ過ぎない人。スキルはどうにでもなります。」と福永さん。
続けて、山本さん。
「おおらかで素直な人がいいな。社会人としてある程度の経験を積んで、自分の考えが固まっていても、人の話を柔軟に受け入れる人のほうが楽しめるだろうな。」

というのも、四方田さんや福永さんもガレージ賃貸に載せるような物件を見に行きたいからだとか。
そんなふうに、自分たちにとって心地よいペースでこれからも柔軟に変化し続けていくのだと思います。
最後に、四方田さんがこう話していました。
「いろいろと変わっていきながら、でも社会にとってもプラスでありたいという軸はズレずに。こういうところに住みたいね、こういう暮らしをしていきたいねっていうものを、これからも表現できたらいいなと思っています。」
青山物産にしかできない暮らしの提案。これから一緒につくりあげていく人を募集します。
(2015/2/13 森田曜光)