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ここで働く人たちを見ていると、凛としているな、と感じる。野に咲く花をみるような感覚。柔らかいなかにも芯がある。同じ日本人の女性として、背筋が伸びるような気分になる。そんな取材でした。
今回は、金沢生まれ・神楽坂育ちの”和コスメ”を販売する「まかないこすめ」で働く人を募集します。

手元にある身近な材料でつくったからこそ、主成分は日本酒や米ぬか、塩など無添加で肌にやさしく安心して使えるものだけ。肌にも心にもやさしいコスメとして、お客さんやメディアの間ですこしずつ広がってきています。

だからこそ、ひとりひとり実際に触れて使い心地を知ってもらったり、疑問があれば直接聞くことができる、お店での販売はとても大切。
ここで働くスタッフはほとんどが正社員で、アルバイトは少ないということを教えてもらいました。
それは、“お客様と最も近い位置にいる店舗スタッフは、ブランドの顔として、最も重要な役割を果たしている”という会社の考え方によるもの。
だからなのかもしれない。ここで出会った人たちは、それぞれ自分なりの使命や想いを持って、いきいきと働いているようにみえました。
お店を訪ねて、話を聞いてきました。
神楽坂に降り立った瞬間、平日なのに、まるで休日のようなゆったりした時間の流れを感じる。
お店に向かう途中、日傘をさした奥さんたちとすれ違う。うさぎのロゴが入った紙の手提げ袋を持っている。「神楽坂っぽくていいんじゃない?」なんて会話も耳にする。

最近では海外のガイドブックで紹介されることも多いそうで、国内外から旅行客が訪れる観光地でもある。
「まかないこすめ」の本店は、この地に10年前にオープンした。金沢出身の代表が、金沢の雰囲気にいちばん近い花街を探してここに行き着いたそうだ。
お店に入ると、白い上着に赤いスカートを履き、美しい姿勢が映えるすっきりとした制服姿で、店員さんたちが迎えてくれた。
店内は、平日なのにたくさんのお客さんがいる。ゆったりした雰囲気のなかにも、女性たちのおしゃべりが聞こえるにぎやかさがあり、なんだか心地よい。

そう話すのは、今年1月からこのお店の店長を務めている浦越さん。
勤めて5年になるそうだけれど、「こういうあらたまったインタビューは緊張しちゃいます」と言う姿はとてもフレッシュな感じがする。
「ここで働いていると、知らなかった世界に引き込まれていく感じです。面白い世界もあるんだなって。6年目だけど、日々勉強ですね。楽しく過ごしています」

「もともと和の雰囲気やものが好きで、このお店にはお客さんとして来たことがあったんです。和のオーガニックには、働きはじめてから興味を持ちました」
仕事にきっかけをもらっている、とうれしそうに話す浦越さん。
それでも、「まかないこすめ」の商品はスキンケアからボディケアまで品数がとても多いから、すべて勉強してお客さんに伝えるのは大変なのかなと想像する。
浦越さんはどうやって勉強しているんですか?
「商品とともに本社から概要や説明が送られてくるので、まずはそれを読んで、どんな伝え方がいいのか考えます」
「いちばん大切なのは、自分自身が商品を使うことですね。働いているスタッフはみんな、全種類使っているんですよ。だから、自信を持って伝えられるんです」

「わたし、金沢の出身なのよ」とお客さん。お店のおやつコーナーに並ぶ金沢ゆかりのお菓子をみながら、しばらく金沢の話で花が咲く。そのあと「ついつい懐かしくていろいろ話してしまいました」と笑顔で帰っていった。
見送ったあと、浦越さんがこんなことを話していた。
「あのお客様、何度か会ったことがあるのですが、金沢出身というのは今日はじめて知りました」
「わたし、もともと人見知りなのですが、接客は好きなんですよ。自然に話すことができます。あんなふうにプラスの会話ができるのが、すごくうれしいなって」
浦越さんが自然な笑顔になったので、こちらも嬉しくなった。
「販売って、ずっと立ちっぱなしで体力的にきついとか、もしかしたら大変なイメージもあるかもしれないですが、それだけじゃないってことを知ってもらえたらな、と思います」

「話し方やおそうじの仕方、生花の飾り方など、作法や所作を自然に身に付けられるので、花嫁修業にもなる…かもしれません(笑)」
店長の浦越さん自身、日々成長したいという前向きな方なので、働く人もその感覚を持てたら、さらにいい空気のお店になっていくのだろうなと思う。
浦越さんと別れたあと、押上の東京スカイツリータウン・ソラマチのなかにある、ほかの店舗も訪ねることにした。
ブランドの歴史や文化など空気を伝える神楽坂の本店に対して、東京スカイツリータウン・ソラマチ店は、ブランドを広く知ってもらうための発信地。
異なる役割を持っているから、同じブランドのお店でも雰囲気がぜんぜん違うそうだ。
お店があるのは、おみやげもの屋さんが並ぶエリア。たしかに「発信地」というのにふさわしい場所。多くの人が行き交うにぎやかでお祭りのような雰囲気がある。それに、お店が角にあるからとても目立つ。

松本さんは、勤めて4年目になるそうだ。3年前のオープン時からこのお店を切り盛りしている。
「シンガポールからきたお客さんが、1年後、また『マツモトサン!』って会いにきてくれて、わたし宛に手紙を書いてくれたんです」
そんな、さまざまな国から観光客がやってくるこのお店ならではのエピソードを、にこにこしながら、次々話してくれる松本さん。
たしかに、また会いたくなる笑顔だと思う。こんこんと湧いているようなあたたかさがある。

そう話す目はまっすぐで、この仕事に誇りを持っているのだなと感じた。人一倍使命を持ってここで働いているようにみえる。
「わたし、出身は岩手で、専門学生のときに仙台に住んでいました。もともとアトピーで悩んでいて、そろそろ化粧もしたいなと思っていたけれど、肌が落ち着かないと化粧もできないし。悩んでいることを知った友人が勧めてくれて通いはじめたのが、まかないこすめ仙台店だったんです」
使ってみたら肌の調子が良くなった。なにより親身になって相談に乗ってくれるスタッフたちが心強くて、お店に通いつめるようになったそう。
ここで働きたいと思いつつ、一度はべつの仕事に就いたけれど、求人が出たことをきっかけに応募した。

「わたしは 『まかないこすめ』を求めてお店を訪ねていたけれど、お客様全員がそうではないんだなって。自分が伝えたいと思っていることも、それを求めている人とそうじゃない人がいる。それを知ったとき、販売の仕事って難しいな、と感じました」
とくに東京スカイツリータウン・ソラマチ店の場合は複合施設だから、お客さんはいろいろな目的を持ってやってくる。まかないこすめを知らずに、なにげなくお店を訪ねる人だってたくさんいる。

お土産を売るフロアにあるけれど、商品自体は日常で使うものだから、もっとどんなものなのか知ってほしい。使い心地を試してみてほしい。
「自分自身が肌に悩んでいたので、わたしは『まかないこすめ』に救われたんです。だから、アトピーで悩んでいる人がいたら、同じように”使って良かった”と思ってもらいたいなって。」
松本さんのように、商品に惚れている人だったら自然とできるのかな。
「知らなくても、商品に興味を持って、知ってみようとか使ってみようというチャレンジ精神のある方がいいですね」

“対人”の仕事だから、よかれと思って言ったことが、誰にでも喜ばれるわけじゃない。こういうときどう伝えるか、どう振る舞うか。そういうことを日々考え続けている。
とくに初めてお店を訪ねた人にとっては、そのお店での印象が、「まかないこすめ」のすべてになる。だからこそ、お店での接客は、商品を売ること以上の役割があると思う。売る人がブランドのイメージそのものになるというか。
「もっと、”いいものだ”ということ、これが”まかないこすめなんだ”っていうことを、たくさんの方に知ってほしいと思っています」

そうして世界に”日本女性の美”を発信していくことは、日本の誇りをつくることにもなると思う。
日々、目の前のお客さんに向き合いながらも、そうした大きなイメージまで持ってお店に立つ人がきてくれるといいなと思います。
(2015/6/22 笠原名々子)