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ようこそ、福岡へ

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

暮らしを心機一転して、新しい地でスタートしたい。もっと自分にあった気候風土の場所を見つけたい。そんな思いの人にとって、地方への移住は選択肢になります。

そうは言っても、ネットやメディアの情報だけで実状はわからないもの。人や地域との縁がなければ、難しいことがほとんどだと思います。

今回紹介するのは、福岡県が移住へのハードルを下げようと県外居住者を対象にはじめたプロジェクト。募集中の地域のうち、県北部の宗像市と東部のみやこ町の2つの地域を訪問しました。

小倉(北九州)や博多(福岡)といった大きな都市と、おおらかな自然の両方をかねそなえている福岡県。近年、移住先として人気が高まっている。

日本仕事百貨でも、これまで仕事付き移住体験「ちくご移住計画」の募集を掲載してきた。その全県版と言えるのが、今回の「ふくおかトライアルワーキングステイ」のプログラムだ。

窓口を担当するのは、「福岡R不動産」を運営する株式会社DMX。担当の坂田賢治さんと乙倉慎司さんに案内してもらった。

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福岡R不動産を手がけている会社が、こうした移住促進プロジェクトに力を入れる理由を坂田さんに聞いた。

「空き物件をただ紹介するだけではなく、期限を設けた移住体験(トライアルステイ)を2011年からスタートしました。その後、2013年から『仕事付き』というかたちに発展したんです」

ツテがなければ、引っ越してから仕事を探す場合もあるはずだ。

「それで思い描いていたイメージと違ってうまくいかず、もといた場所へ帰ってしまうのではもったいないです」

「他に知られていない地域にいきなり移住するのは難しいんですよ。これから地域の担い手となる人を呼んで、自分たちの地域を知ってもらい、ゆくゆくは根づいてほしいというのがこのプログラムです」

坂田さんは福岡出身で、大学生では京都、大学院では大阪で過ごしたあと、福岡へ戻った。今年入社した乙倉さんは、岡山出身。山口大学で建築を学んだあとに福岡へ来たという。

Uターン、Iターン、比較的若い人たちが福岡には暮らしているのだなという印象を持つ。

気候のよさ、自然災害の少なさなど、福岡県のいいところを教えてもらいながら、30分ほど高速道路を走ると宗像市に到着した。福岡市と北九州市のベッドタウンとして発展してきたが、豊かな自然が残るゆったりとしたまちだ。

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近隣の糸島が先に全国区で知られるようになったが、宗像でも海沿いのエリアに若い世代が移住してくるようになったという。この地域に限定して飲食店やショップなどを紹介する本があるほど。

また「道の駅むなかた」が、全国の道の駅でトップクラスの売り上げを誇るほどの人気施設になっている。海の幸と山の幸の両方に触れられるのが理由。自然の素材がそろっていて、ビジネスチャンスが広がっているのだ。

インターからさらに10分ほど山の方角へ走ると「正助ふるさと村」が現れた。山間にのんびりと田畑が広がる吉武(よしたけ)地区は、古き良き山村が残るエリアだ。

出迎えてくれたのは、統括部長の三浦哲久さん。

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1年半前の記事(嫌われ男と地域コミュニティ)で社員募集をした三浦さん。産直市場と体験工房、農村レストランを運営する正助ふるさと村に入社後、苦労しながら地域にとけこみ、人気施設へと飛躍させた人だ。

吉武地区はどういう土地なんだろう。

「このあたりは新興住宅地ではないから、地域の結びつきがとても強いんです。たとえば、100人くらいの児童しかいない小学校の運動会では先生の数も少ないから、一世帯からひとりずつ手伝いに出なくてはいけない」

男性グループも女性グループも、コミュニティを中心に地域が動いていく。そこへ入っていけないと、かつての三浦さんのようにしんどい思いをするけれど、いったん認められて中に入れてもらえれば、とことん味方になってくれる。

前回の記事で入社した武田聖也さんも、仕事を張りきっていた。渡された名刺には「吉武地域のお助けマン」とある。

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この日は「むなかた吉武こころ会」のおかあさんたちと、公民館で赤紫蘇の収穫作業をしていた。90歳以上のベテランもいる地域の女性団体は、正助ふるさと村で販売する生産品やレストランの食材を育ててくれている。

手打ちそば付きのランチビュッフェは、平日にも関わらず早い時間から満席の人気だった。地元の素材を使った料理が本当においしい。口コミでどんどん市外の人もやってくるのがうなずける。

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地域に密着して、順調に成長している正助ふるさと村。さらなる展開に向けて、商品企画が動いていた。

かつて、きらびやかな六本木で20代をおくった元美容師の三浦さん。正助ふるさと村に入ってからは、そこで通用してきた都会的な感覚を「嫌われるもの」として封印していた。

しかし、宗像のまちや、日本の地域にあるものの人気が若い世代に高まったいま、その感覚を徐々に復活。次なるアプローチを試みている。

商品開発の中心となるメンバーは、女性スタッフ4人。三浦さんは親しみをこめて「ムラガール」と呼ぶ。

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「彼女たちの視点を生かしたコンフィチュールやドレッシングなどの新商品を、年内に6〜7点開発する予定です。『こういうイメージでやってみたら?』と僕がイメージを投げかけたあとは、口をはさまないで彼女たちに任せてます」

今回応募する人にやってもらうのは、正助ふるさと村にある施設での仕事とともに、ムラガールのメンバーが進める商品開発への参加だ。

「現代は『イナカっぽさを残しながら、ちょっとオシャレな商品』が求められていると感じています。うちの会社は『食育健美』がテーマなので、そこさえ守ってもらえれば、あとは自由に発想してほしいですね」

地域の生産者としっかり結びつくことで手に入る豊かな素材と生産力をもとに、新商品を開発できる環境。2カ月というトライアルワーキングステイで体験するには、とてもタイミングがいい。

スタッフや地域の人とウマが合えば、移住と入社を検討できるから、さらに貴重な経験が積める。何年か後に独り立ちして事業をするなら、地域の人たちも応援してくれるはずだ。

次に向かったのは、福岡市からみて東のエリア。北九州の小倉駅から普通電車に乗って、約30分で行橋駅に着く。駅の規模も比較的大きく、そんなに淋しい場所へ来たという感じもない。

この駅から1分ほどで、京築(けいちく)里山商会の本店兼事務所へ着く。古くて大きな長屋に待っていたのが、吹上紘子さんと旦那さんの剛一さん。

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そもそも「京築」というのはどういう地区を指すのだろうか。自身がこの地区出身である剛一さんに聞いてみる。

「大分県との県境にあって、地図で見ると九州のちょうど右上の場所。行橋市、豊前市、苅田町、みやこ町、築上町、上毛町、吉富町からなる地域です。古くから栄えた場所で、『豊(とよ)の国』と呼ばれるくらい自然の恵み豊かな地域なんですよ」

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剛一さんは大学時代を東京で過ごした後、北九州拠点の百貨店に勤務。婦人服などのファッションブランドを販売するセクションにいた。

いまの仕事とは関連性がないようにも思えるが、退職後も世界に通用する「本物」を探していった結果、自分が育ったふるさとにもそうした宝は眠っていると気づいたのだという。

やがて紘子さんと結婚。子育てに適したライフスタイルを求め、SOHOやネットワークを生かした働き方を探っていった結果、しだいに里山暮らしに魅力を感じるようになった。

うみ、まち、さと、やま。恵みを育む4つの場所への想いを「里」の文字をかたどったマークに込め、京築里山商会はスタートした。

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中心の業務は「京築セレクト」としてプロデュースする商品の販路開拓。今回応募する人も、このショールームでの接客業務のほか、梱包や全国への発送、生産者とのやり取りから商品企画・情報発信まで、スキルに応じてさまざまな仕事に携わることになる。

小学校5年生と2年生の子どもを育てながら、代表をつとめる紘子さんは熊本出身。子育てするなら環境のいい場所でと以前から希望していたという。

「この事務所はショールームも兼ねているので街なかにありますが、20分もクルマに乗れば里山の自然が広がる場所なんです。ビオトープ(生物群集空間)がとても身近なんですよ」

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京築里山商会の歴史は、2007年あたりまでさかのぼる。当時、剛一さんは、福岡県ちくご地域での移住定住、雇用創造の取り組みを手がけていた。

その取り組みの中で、ふたりは過疎高齢化や環境保全などの地域の抱える課題解決には、くらしを変えていく必要があると気づき、ライフスタイルの研究所「スロー・ラボ」を紘子さんが設立した。

その後のスロー・ラボの活動が「みやこスタイル」というかたちに結実したのが2012年ごろ。商品開発+移住・定住プログラム=ライフスタイルの表現、という図式ができあがった。

ふたりの経歴と会社の由来を聞いていると、地方移住のリアルな姿が浮かび上がってくる。ふたりの考え方に触れながら、トライアルワーキングステイで過ごす1カ月で学ぶことは大きそうだ。

福岡のことを知ってほしいという願いで始まった、移住促進のプログラム。どちらも、地域のことを肌で感じられるよう、戸建て住宅が用意されている。

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トライアルステイは、あっというまに終わってしまう時間だ。リフレッシュ休暇のようなお客さん気分で応募したら、もったいないと思う。

2カ所の取材を終えた帰り道、坂田さんがこう言っていた。

「これまで移住促進の仕事をやってきて思うのは、福岡市のような中核都市とは違って、地域に入っていって生きていくには、誰かに『雇われる』という姿勢をなくさないと難しいということですね」

ノウハウやバックアップを受けつつ、しっかりと地に足をつけた豊かなライフスタイルに手が届くチャンス。これは巡ってきた人生のタイミングだという直観があるなら、決断の材料となるように応募を検討してはどうでしょう。

※京築里山商会(みやこ町編)へのエントリー締切は、2015年8月9日(日)ですのでご注意ください。

(2015/7/28 神吉弘邦)