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ちょうどいい距離感で

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「コミュニティづくりをしたい」と考える人は、近ごろますます増えてきていると思う。

ただ、一口にコミュニティづくりと言っても、いろいろな関わり方が考えられます。

デベロッパーとして都市開発や宅地造成の事業に携わるようなことから、自治会のイベントを地域の人と一緒につくり上げていくようなことまで、規模も人との近さもさまざまです。

そんななか、フォーシーカンパニーが得意とするコミュニティづくりはちょっと異色な感じがします。

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対象としているのは、主にマンションやニュータウンなどの新規入居者同士のコミュニティづくり。

依頼のあった不動産会社に対してコンサルティングを行うだけでなく、企画や現場での運営もサポートする。

けれども、いつまでもスタッフが場を回すことはせずに、最終的には入居者たち自身がコミュニティを運営していけるように引き継ぐことを目標にしています。

今回はここで、コミュニティづくりのプランや運営のスキーム、コストなどを管理するプロジェクトマネージャーと、実際に現場に入って運営するコーディネーターを募集します。

コミュニティづくりに関わる仕事をしてみたい方、すでに関わっているけれど、今とは少し違う関わり方もしてみたいと考えている方は、ぜひ続けて読んでみてください。

JR神田駅。赤レンガの高架下を抜けて5分ほど歩くと、フォーシーカンパニーの事務所にたどり着く。

出迎えてくれたのは、代表の中澤さんだ。

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中澤さんは、もともと大阪でシー・ブラッドという会社を経営していた方。

昨年、東京で同じくコミュニティづくりをしていたエヌアンドエスコミュニティアソシエイツ(N&S)と合併し、株式会社フォーシーカンパニーが誕生した。

シー・ブラッドは15年、N&Sは20年にわたって続いてきたという両社だから、蓄えてきたノウハウは相当なものがある。

「ありがたいことに、今こういう仕事がすごく求められているんです。我々としても、このビジネス分野を世間により広く認知させていきたい。そのためには、会社としての組織形態をしっかりと組み上げていかなければなりません」

「5年10年先まで仕事が入っているなかで、ぼくらの今いるスタッフとタッグを組んで成長し、これから先このビジネス分野を支えていきたいという想いをもった人にきてほしいですね」

たとえば、自分でまちづくりNPOを立ち上げたけれど、資金が足りずに困っている人であったり、設計事務所に入ってから、人ではなく図面と向き合っていることに違和感を抱きはじめた人であったり。

想いはありつつも、それを実現できていない人たちを受け入れられるように、きちんとお金を生む仕組みやマネジメント体制を整えているそう。

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とはいえ、社内の体制や仕組みをいくら整えたところで、それだけで仕事がたくさん舞い込んでくるということはない。

背景には、コミュニティのあり方が以前にも増して複雑化してきたことが考えられる。

「今、ひとつのマンションのなかで餅つきやりましょうとか、子育て交流会やりましょうというよりは、周囲の戸建住宅や商店まで含め、多岐にわたる人たちが交流できるプランを考えてほしいという案件が増えているんです」

以前日本仕事百貨で紹介したコミュニティカフェ「ななつのこ」は、そういった多様な人がつながるためのハブ機能をもった場の一例だ。

飲食を提供する以外にも、近隣の方がイベントやワークショップを開催したり、お気に入りの本を寄付することでバリエーションが増えていくシェアライブラリーを設けていたりと、幅広い年齢層の人たちが交流できる場となっている。

フラワーアレンジメント

また、同じビル内に入居しているオフィスワーカー同士が交流する機会を設けることで、お互いの知見を交換してスキルアップをはかったり、仕事上のコラボレーションやイノベーションを起こしていくようなプロジェクトも、阪急阪神グループと一緒に進めている。

今でも基本は生活者視点だけれど、今後は商業者やオフィスワーカーなどといった多様な立場の人たちも視野に入れたコミュニティづくりを提案していける人が求められているのかもしれない。

実際に現場に入っているのは、どんな方たちなのだろう。

コミュニティイベントの運営などに携わっている、コーディネーターの3名にもお話を伺う。

まずは市川さんが仕事の全体像について教えてくれた。

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「主にマンションやニュータウンに入居されて1、2年の方同士にお知り合いになっていただく。お知り合いからお友だちになっていただく。そのきっかけづくりをしています」

「人が集うだけではだめなんですね。社内の開発担当が事業主様や建て主様の想いを聞いて組んだプログラムをもとに、集まった方をよく見ながら、わたしたちがどこをサポートして、どこを自由にやっていただくか、一生懸命考えて動くんです」

どれだけプログラムがよく組まれていても、現場に入ってみてはじめてわかることもあるし、居住者は当然ひとりひとり違う。

「答えがひとつじゃないところはきっと大変ですね」と市川さん。

「あとはどこまでやるか。10やれば完璧なんだろうけれど、8ぐらいのところで別の案件にベクトルを向けなきゃいけないときもあるんです。今の状況だったら5なのか、8いけるのか、というような葛藤は常にあります」

逆に言えば、常に10の力で関わり続けることが必ずしもコミュニティにとっていいことではないのかもしれない。

委ねられる部分は委ねつつ、適度な距離感をとって関わる仕事だと思う。

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「基本的にわたしたちは黒子だと思っているので」

黒子、ですか。

「やっぱり主人公は居住者さんなんです。3ヶ月とか6ヶ月も経てば、居住者さんも変わってきます。まわりにつながりもできてくるので、それに合わせてこちらの黒子具合も変えていきます」

そう言われるとたしかに、市川さんのはたらきはまるで黒子のようだ。

主人公である居住者さんが自由に動き回れるよう、あれこれと手助けをするけれど、突き詰めればそこに“いない”ことが理想的な仕事とも言える。

自分の考えを主張して引っ張っていきたい人よりも、媒介となって周囲の言葉を引き出せるような人のほうがこの仕事には向いているんじゃないだろうか。

隣で何度もうなずきながら市川さんの話を聞いていた藪下さんは、まさにそういう方だった。

自分から積極的に発信しているわけではないのに、輪のなかにいると雰囲気がやわらいで、話しやすくなるような感じがする。

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そんな藪下さん、コミュニティづくりに興味が湧いたのは、留学での経験がきっかけだったという。

「敬語がないからかもしれないですけど、日本にいるときよりも、いろんな世代とふつうに話せる環境があったんです。なんかこれってすごく心地がいいし、無理もないなあと思っていて。こういう環境が日本にもあったらいいなと思いながら帰ってきました」

知り合いもまったくいない環境だったからこそ、無理なく話せる相手がいることの大事さを余計に感じた。

そのときに得た感覚が、きっと今のコミュニティ運営にも活かされている。

「なにかやりたいと思っている方がいらっしゃるときに、それをやりたいと言いやすい環境をつくることが、たぶんうちの会社が入っている意味なんだと思います」

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最近担当した物件では、こんなことがあった。

「武蔵小杉のタワーマンションでのこと。コミュニティでなにかするというよりも、ご自身の生活を楽しみたい方が多いんじゃないかなあという不安もあるなかで、手探りではじめました」

「ただやっていくうちに、意外にみなさん出てきてくださったり、昔ながらの手遊びの企画を楽しんでいただいたりと、こちらが想定していなかったところで反応してきてくださって。次第に『自分たちはこうやりたい』という意思をはっきりと示してくださるようになってきました」

出会いのきっかけを用意してもらうよりも、自ら積極的につくっていきたいという声が多く上がってきた。

そんな声を受けて、今まさに動き出しているのがクリスマスコンサートの企画。

はじめはハンドベルを使った参加型のコンサートを提案したものの、マンション内で特技をもっている人に披露してもらったらいいんじゃないか、と逆に意見をもらった。

「そのほうが、今後いろいろと長年続けてやっていくなかでも、自分たちでまたなにかやりやすくなると思う、とお話しいただいて」

「今は子どもたちの合唱練習をいつやろうとか、フルートを吹かれる方に吹いてもらおうとか、プロの司会者の方が住んでいらっしゃったということで、その方に司会をやっていただくことになりました」

まだ1年も経たないうちにここまで話が進むことは珍しいそうだけれど、経験のない環境に飛び込んだからこそ気づけたことも多かった。

「現場ごとに気づくことがたくさんあります。だから、現場で働きながら働き方も覚えるということに違和感のある方には、難しい仕事かもしれないです」

そう話すのは、もうひとりのコーディネーターである大津さん。

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もともと、日本仕事百貨でコミュニティカフェ「ななつのこ」の記事を読んだのがきっかけで、ここに入ってきた方だ。

入社して1年も経っていないけれど、市川さんや藪下さんにアドバイスをもらいながら、どんどん現場に出ている。

「誰も答えをもっているわけではないので、マニュアルもつくりようがないんです。ぼくは、それはそれで不確実な要素を楽しめるんじゃないかと思っています」

マニュアルがつくれない分、わからないことがあればその都度コミュニケーションをとることが大事。

「その点は心配しなくていいと思いますよ。入ってきたばかりでも、自分が思うことを言ってもいいんだっていう環境があります」

子育てやイベントの進め方についてアドバイスをもらうこともあれば、自分の世代の感覚を率直に伝えることもある。

実際、オフィスのなかを撮影している間にもたくさんの言葉が交わされていた。

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「すごくいい距離感ですよね。仕事をするっていう部分でも、みんなそれぞれのうまい距離感をとっているので、そこがなあなあになることはないですね」と藪下さん。

コミュニティ内でも、社内でも。

相手のことを考えながら、ちょうどいい距離感で関わることが大切な仕事のようです。

そんな気持ちでみんながお互いに関われたら、きっとそこにはいい循環が生まれていくのだと思います。

(2015/11/18 中川晃輔)