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きっかけはここに

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これまで数々のリノベーション事業を手掛けてきた株式会社リビタが、新たにローカルに拠点を置き、地域価値の向上につながるきっかけとしての場を日本各地に開きます。

プロジェクト名は「THE SHARE HOTELS」。その第一号店として、石川県の金沢市橋場町に「HATCHI」が来春にオープンします。

hatchi01 今回募集するのは、HATCHIのオープニングスタッフです。

その名の通り「発地」という意味をもつこのホテルでは、宿泊業務のほかにも地元の人と旅行者をつなげたり、新しいイベントやコンテンツも企画したりする。

ホテルマンというよりも、この場を通じて北陸での出会いや旅のきっかけづくりをする“コーディネーター”という役割がぴったりな仕事です。

 
取材の日は日曜日ということもあって、北陸新幹線のホームは大混雑。東京駅から2時間半ほどで金沢駅に到着すると、あたりはたくさんの観光客で溢れかえっていた。

駅から東へ続く大通りを進んでいくと、Y字路につきあたる。このあたりは橋場町といって、昔は金沢で一番の目抜き通りだったそう。

その橋場町にある仏具店だった空きビルをリノベーションして、HATCHIは来年の3月にオープンする予定だ。

hatchi02 この日は、オープンに向けてリビタが内覧会イベントを開催。

人通りの多い好立地ということもあって、外国人観光客や地元の人など、多くの人たちの目を引いている。詳細を知ろうと、おじいさんや若い人たちが何人も中へと入っていく。

「こういう空きビルをリノベーションするのって、地方ではまだまだないことなんです。見捨てるしかなかった建物がどうなるのかと、地元の方々や行政にもすごく注目していただいていますね」

そう話すのは、リビタの常務取締役の内山さん。

hatchi03 リビタが創業したのは2005年。いわばリノベーションの専門会社として、首都圏を中心に数々のリノベーション事業を手掛けてきた。

「社名に使っている“リノベーション”という言葉。以前は『リフォームとどう違うの?』と聞かれたり、『ソフトも含めて建物を刷新することだ』とかさまざまな解釈で使われたりしていました。ただ、いま思うのは『いままでになかったものを新たに生み出す』ということがリノベーションなんじゃないかと」

「つまりハードを変えたことによって、まわりにいい影響が出て、状況が好転する。単に建物のバリューが上がって高く売れて、でもその後劣化してダメになるという繰り返しでは意味がないなって思っています。我々が一石を投じることで、状況自体がプラスに変わっていくようなことをしていかないと」

今回のプロジェクトTHE SHARE HOTELSは、ホテル事業をやろうとはじまったわけではないという。

あくまでホテルというのは仕組みのひとつ。リノベーションを通じて、地域活性に貢献できるような施設をつくりあげていく。

「ここができあがったらゴールではないんです。会社としても、地域に根ざして、今後何ができるかを考えていこうと。このプロジェクトは拠点づくりの起点でもあるんですね」

はじめの地域が金沢だったのは、なぜですか?

「たまたまだと思ってください(笑)。このプロジェクトを企画した北島が金沢出身でネットワークもあり、ぜひ金沢でこのプロジェクトを立ち上げたいと。いまもほかのエリアを探していますし、来年度にはあと4物件くらい立ち上がる予定です」

 
THE SHARE HOTELSやHATCHIについて詳しく聞きたい。

THE SHARE HOTELSの発案者であり、HATCHIのプロジェクトリーダーでもある北島さんに話をうかがう。

hatchi04 北島さんは長野県松本市生まれの金沢市育ち。株式会社UDSでホテルや商業施設の事業企画を経験し、フリーランスを経て、3年前にリビタに入社した。

「実家に帰省する度に、馴染みのある建物が駐車場になっていたり、マンション開発が進んでいたりして。まちの空洞化をストップさせる、ベンチマークになるようなことができないかと思っていて。それでいつかは地元の金沢に帰って、まちを元気にする場をつくりたいなと思っていたんです。新規事業を提案できる社内制度があったので、そこで起案をして」

THE SHARE HOTELSが掲げるコンセプトは「日本の未来が宿る場」。

既存のかたちにとらわれない宿泊スペースと、地域に開かれたシェアスペースを設けたシェア型複合ホテルだ。

建物内だけで完結するのではなく、地域内外の人が集い、多様なアイディアや価値観がシェアされる場。ここをきっかけに地域活動が活発化し、地域の魅力向上につながることを目指している。

「IターンUターンをして、地方のまちで活動する人が増えています。その一方で、人や地域とつながりたいという旅行者がいる。その2者をつなぎ合わせようと」

「たとえば、企画したまちづくりプロジェクトに旅行者が参加するとか、地元の作家さんの作品をここに展示して、ワークショップも開いたりとか。お互いのメリットをうまくつくり出していける場に、ホテルならできるんじゃないかと思います」

hatchi05 「それで、とくに金沢でやりたいことというのは、北陸ツーリズムの“発地”なんですよね」

発地?

「北陸ってものづくりとかおいしい食べものとか、すごくいいコンテンツがたくさんあるんです。それに関わっている方々にここでいろんな活動を一緒に仕掛けていただいて、旅行者と交流していただくと。そうすると、たとえば能登の酒蔵の杜氏さんと仲良くなって、翌日に酒蔵を見学に能登のほうに行くようなことが起こると思う」

「その先で、旅行者が地域の方と仲良くなったり、その土地を気に入ったりすれば、移住するような人も出てくるかもしれない。そんなふうに、ただここで交流するだけじゃなくて、さらに北陸各地に旅をしながら、そこでの土地との関係性を深めていただきたい。そのきっかけづくりとなる場として、どんどん周辺地域も巻き込んでやっていこうと“HATCHI”(発地)という名前にしています」

hatchi06 すでにネットワークは広がりはじめている。

この日の内覧会イベントでケータリングを持ってきてくれていたのは、河北潟という地域で自然栽培のハーブ園を営んでいる方。HATCHIオープン後は、農業体験を一緒にやろうと話が上がっているそう。

また、イベントのワークショップの司会をするのは地元でまちづくりを手掛ける会社の方。旅行企画も行なっているそうで、何か一緒にできないかと話している。

ほかにも作家さんや事業者など、北陸の魅力をつくる人たちとの縁ができはじめている。

hatchi07 「近隣のおじいちゃんおばあちゃん含めて、いろんな方に来てもらいたいですね。シェアとかソーシャルなこととかに興味がない人にも来て欲しい。すごく開かれたホテルにして、人と人をつなげていこうと」

「それが相乗効果となって新しいことが生まれる。そんなプラットフォームとして、地域を応援していったり元気にすることができるんじゃないかなと考えています」

2階以上を宿泊スペースにして、1階部分がシェアスペースとなる。金沢R不動産を運営する有限会社E.N.Nが飲食店を手掛けるほかに、物販スペースやイベントスペースなどを設ける予定だ。

「地下にキッチンもつくる予定なので『料理教室やれる人いませんか』とか『テラスにもお店出せますよ』とか『一緒にイベントやりましょう』って呼びかけて、いろんな人に使ってもらいたいなと思っています」

hatchi08 「なのでホテルっぽい、がっちりしたオペレーションは必要なくて、よりフレンドリーな対応が求められるかなと思っているんです。それと同時に、ひとをつなぐことや企画を立てる能力が求められる。たとえフロントスタッフでも、ただチェックイン・チェックアウトの対応をしているだけではなくて、積極的に会話して『こんな人がいますよ!』って人と人をつなげたりして、自分でも何か起こそうという意志のある人たちに集まってもらいたいですね」

大きなイベントを開催するとなれば、スタッフ総出で準備作業を行なうこともあるかもしれない。どんな立場の人でも臨機応変な動きが求められる。

「だから一般的なホテルより仕事は大変だと思いますよ。共感できるからこそ、楽しんで頑張れるような人だといいと思う」

「地元に戻って自分でビジネスをはじめたいという人にはいい機会かもしれないです。起業するまでの間、ネットワークをつくるためにもここで働くとか。そういう意味では、スタッフにとっても“発地”であるのかな。ここをステップにして自分のやりたいことをやってもらえたら、個人的にすごくうれしいですね」

hatchi09 ホテルなどでの業界経験は問わないそうだ。経験に基づく考えよりも、素人目線の自由な発想のほうがイノベーションにはかかせない。それはこれまでさまざまな新しい事業を打ち出してきたリビタの経験則なのだという。

ここでふたたび内山さん。

「経験よりも、共感ベースで地域のために何かできないかって思う人のほうが可能性を秘めていると思います。マネージャーなのかいちスタッフなのか、それはあくまで役割なので、パフォーマンスに応じて給料が高くなることもありえます」

「ただ我々は、やるからにはその市場でナンバーワンのポジションを絶対勝ち取ろうという意識がありますから、しっかりとしたオペレーションを求めます」

 
内覧会イベントには約200人の方々が見学にやって来た。

イベントの最後にはワークショップを開き、この場をどんなふうに利用したいか、どう利用すれば面白くなるか、みんなでHATCHIの在り方について話し合った。

hatchi10 参加していたのは学生や親子連れ、ご高齢の方などさまざま。「ラジオ局を開設しよう」や「作品のオークションを開こう」など、いろんなアイディアが出された。

これから加わる人は、こういった方々の提案から日常の何気ない会話まで、一つひとつを丁寧に汲み取ることが大切。

はじめはなかなか芽が出ないことがあるかもしれないけれど、その積み重ねが誰かにとってよいきっかけとなるのだと思う。

THE SHARE HOTELSプロジェクトも、これから全国各地にローカライズ展開していきます。経験を積めば、そこで活躍することもできると思います。

HATCHIからはじまる、きっかけづくり。ここで働く人にとっても、よいきっかけの場なのだと思います。

(2015/11/2 森田曜光)